カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Vettaiyaadu Vilaiyaadu】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2006/09/05 20:00   >>

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【Vettaiyaadu Vilaiyaadu】 (2006 : Tamil)
脚本・監督 : Gautham Menon
出演 : Kamal Haasan, Jyothika, Prakash Raj, Kamalinee Mukherjee, Daniel Balaji, Saleem Baig, Ahuti Prasad, Ajay Naidu, Lev Gorn, Rajshri Nair, Mumaith Khan
音楽 : Harris Jayaraj
撮影 : Ravi Varman
制作 : Manickam Narayanan

《あらすじ》
 マドゥライ在住の警官、アーローギャラージ(Prakash)は、後輩で親友の警官、ラーガヴァン(Kamal Haasan)と共に、失踪した自分の娘、ラーニー(Rajshri Nair)の捜索に当たっていた。だが、ラーニーは惨殺死体として発見される。しかも、切断されたラーニーの小指がアーローギャラージ宅の玄関に吊るされるという、猟奇的な犯行だった。 
 このショックを癒すために、アーローギャラージ夫妻はニューヨークに移住する。しかし3ヵ月後、この夫妻惨殺の知らせがラーガヴァンの耳に届く。
 連続殺人事件の気配。タミル・ナードゥ警察は捜査のためにラーガヴァンをニューヨークへ派遣する。
 ニューヨークでラーガヴァンはアンダーソン(Lev Gorn)という警官とコンビを組み、ほどなく複数の女性死体を発見する。すべてレイプ後に喉をかき切られており、ラーニーの場合と似た手口であった。彼らはFBIにも協力を依頼する。
 一方、ラーガヴァンはアーラーダナ(Jyothika)という女性と出会う。彼女は結婚生活に破綻をきたし、自殺しようとしたところをラーガヴァンに救われたのであった。2人はほどなく惹かれ合うようになる。ラーガヴァンにはかつて妻(Kamalinee Mukherjee)がいたが、自分が担当する事件に巻き込まれ、非業の死を遂げていたのであった。
 捜査を進めるうちに、タミル・ナードゥ州出身の2人の医大生が容疑者として浮かび上がってきた。ラーガヴァンたちは彼らのアパートに乗り込むが、逆に襲われ、アンダーソンは射殺、ラーガヴァンも重症を負う。
 警察の手が伸びていることを知った2人組の犯人は、インドへ帰国し、国内を逃走する。
 ラーガヴァンはけがの回復も待たずに、アーラーダナと共にインドに戻り、殺人鬼追跡へと踏み出すのであった、、、。

   *    *    *    *

 タイトルの「Vettaiyaadu Vilaiyaadu」は「Hunting is a game」という意味らしいが、これは女性狩りをする犯人の異常心理を象徴したものだろう。
 たっぷり2時間50分、アクションシーン満載の満腹映画であったが、しかしカメラワークや編集、デジタル映像処理が抜群にうまく、ほぼスキのない素晴らしい作品に仕上がっていた。

 主題は「猟奇的レイプ殺人」。
 犯人の2人組殺人鬼は確信犯的な変質者として描かれており、かなり印象的。インド映画もここまで表現するようになったかと、妙に感心した。
 ただ、ニューヨーク(アメリカ)を舞台にした猟奇的事件物は、アメリカ映画なら珍しくもなんともないわけで、ここは何故インド人がこういう映画を作らなければならなかったか、その必然性をはっきり示してほしかったのだが、その辺はよく分からなかった。
 それを解明するカギは、犯人たちがレイプ殺人鬼になった動機の中にあるのかもしれない。
 一連の事件の動機には「私怨」というのもあるが、しかし、彼らは生まれつき変質的な傾向を持っていたようだ。早くも13歳のときに友人を殺し、田舎の女教師をレイプし、井戸に捨てるという犯罪を犯していた。
 血を見ると興奮し、性的衝動を抑えられない2人。しかも彼らは、単なる友人というよりは、自身が濃密なホモセクシュアルな関係で結ばれている2人であった。
 まぁ、このような連中が街に潜んでいるかと思うと、インド人も枕高くして眠ることはできないだろう。しかし、実際にはインドでも異常犯罪は増える傾向にあり、これまでアメリカ映画で描かれていたことは、これからインドでも起こりうる、という作者からの警鐘なのかもしれない。

◆ パフォーマンス面
 カマル・ハーサンとプラカーシュ・ラージという、お気に入りの強面俳優が並ぶとあって、かなり楽しみにしていたが、残念ながらプラカーシュ・ラージの役は小さく、完璧にカマル・ハーサンの映画だった。ただし、カマルは素晴らしかった。
 面白いのは、カマル扮するラーガヴァンはかなり凶悪な事件を担当しており、しかも自身が半殺しの目に遭うほどの状況下にありながら、ジョーティカ(アーラーダナ)相手に「一緒になろう」などとやっていることで、これもカマルのキャラがなせる業か? 毎度タミル映画のスーパーヒーローのタフネスさには舌を巻く。

 ジョーティカは、今回は「泣き顔」がウリのようだが、まずまずの出来。

 可愛そうなのは死んだラーガヴァンの妻役だったカマリニー・ムカルジー。このベンガル美人は前半でこそ清涼感をかもし出していたが、なにせ後半のアクションシーンが濃すぎたので、映画を見終わった後では顔すら思い出せなかった。気の毒なので、写真を添付しておく。

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◆ テクニカル面
 監督のGautham Menon、かなりの才人と見た。だが、タミル映画通に言わせると、前作の【Kaakha Kaakha】の方が出来がいいと言う。(要チェック)
 ハリス・ジャヤラージの音楽もいい!

・満足度 : 4.0 / 5

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