カーヴェリ川長治の南インド映画日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 【Mohini 9886788888】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2006/09/28 01:30   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 0

画像

 カンナダ映画。これももう1ヶ月以上も前に観た作品であるが、まだやっているし、なにせインドでは珍しいホラー映画なので、書いておく。
 「9886788888」は殺された女性が持っていたモバイルの番号。

【Mohini 9886788888】 (2006 : Kannada)
物語・脚本・監督 : S.V. Rajendra Singh Babu
出演 : Adithya, Sada, Suhasini Manirathnam, Rajesh, Anu Prabhakar, Nasser, Riyaz Khan, Adi Lokesh, Komal Kumar, Bullet Prakash, Hamsa Nandini
音楽 : Hamsalekha
撮影 : Giri
制作 : A. Mohan

《あらすじ》
 ジャーナリストのワルシャ(Sada)は大規模な売春組織の実態を解明しようとしていた。そのため彼女は悪漢たちに執拗に命を狙われていたが、その都度恋人のワルン(Adithya)に助けてもらっていた。ワルンは正体を隠して、無職の風来坊としていたが、実は警察官であり、モーヒニ(Hamsa Nandini)という失踪した女性の捜査をしていたのである。
 二人が調査を進めるうちに、どうやらモーヒニの失踪はこの売春組織と関係があるらしいことが分かってきた。しかし、売春組織の関係者が次々に殺害されるという事件が起きる。しかも不思議なことに、彼らの携帯電話には9886788888番から電話があり、不気味な女性の呪い声を聞いた直後に変死を遂げるのである。実はモーヒニはすでに殺されており、その亡霊が関係者を呪い殺そうとしていたのである。
 悪漢の襲撃から逃れるため、ワルシャはワルンの姉(Anu Prabhakar)夫婦の提案で郊外のゲストハウスに引っ越す。しかし、なぜかこのゲストハウスにもモーヒニの亡霊が出没した。
 ワルンの姉は裕福な実業家(Rajesh)と結婚しており、女の子と3人で幸福な家庭を築いていた。ところがある時、あろうことかモーヒニの霊はこの無垢な少女にまで憑依し、家族を悩まし始めたのである。

画像

 モーヒニ事件の容疑者が何名か浮かび上がってきた。しかし犯人と断定できる決め手がなかった。だが、彼らの言動から遂にモーヒニの遺体が発見されたのである。モーヒニの悪霊は真犯人に襲いかかり、殺そうとする。それは意外な人物であった、、、。

   *    *    *    *

 ホラー映画はインドでは珍しく、多くは作られていないジャンルだと思うが、数年前から比較的よく作られ始め、ちょっとしたブームになっている感さえある。カンナダ映画でも力作【Aptha Mithra】(04)がこの流れに入るのかもしれない。
 ホラー映画だけでなく、もともとインドには日本人の感覚からして怖いと言える怪談が少ないように思う。これは、神的存在や霊的存在への理解の仕方や関係の結び方が日本人とはずいぶん異なっているからかもしれない。インド人なら幽霊をネタにしても、コメディー映画や道徳映画を作ってしまいそうな気がする。

 そんなインド人が何ゆえホラー映画を求めだしたのか?
 都市部における経済発展による生活様式の急激な変化が人々の心に不安をもたらし、それが恐怖感覚への嗜好を生み出している、というもっともらしい説明をどこかで読んだことがあるが、どうかなぁ?とも思う。
 少なくともこの【Mohini 9886788888】に限って言うと、そんな社会学的必然性とはあまり関係がなく、ラージェンドラ・シン・バーブ監督、たんに一度ホラー映画なるものを作ってみたかっただけではないか、、、そう思わせるほど、一本気合の入らぬ作品であった。(ちなみにラージェンドラ・シン・バーブ監督自身は、これはたんにホラー映画だとは思わないでくれ、と言っている。)

 確かに2時間半楽しめた。面白かったと言ってもよい。
 だが、ダンスシーンとコメディーシーンが多すぎて、笑っていいのか怖がっていいのか分からなかった。
 特撮とかCGも悪ノリしている感じで、メリハリをなくしているように思う。

 一番いけないのは、ラストシーンで「モラル」を持ち出してしまったことだろう。真犯人を殺そうとしたモーヒニの亡霊は、結局は殺すのをやめてしまう。それを見て、観客が騒ぎ出すこと騒ぎ出すこと。もしかしたらあれは絶賛の言葉だったのかもしれないが、カンナダ語が分からない私でも意味は推測できた、、、「早く殺せ!」である。
 インド娯楽映画の定式として、本作のようなエンディングも理解できないことはないが、ホラー映画の体を取るなら、どうせフィクションなんだし、ここは一つ、スパッと非情な見せ方をしてもよかったのではないか、と日本人の私などは思ってしまう。

◆ パフォーマンス面
 主演のアーディティヤは本作の監督、ラージェンドラ・シン・バーブの息子。普通の男優。
 ヒロインのサダーはシャンカル監督のタミル映画【Anniyan】(05)でずいぶん有名になったが、カンナダ映画では【Monalisa】(04)という作品に出演している。まずまずの実力。あまり個性のない顔立ちがかえって個性的に思われるのか、この頃よく活躍しているようだ。
 モーヒニの母親役をやっていたスハーシニ・マニラトナムは、あのタミル映画界の巨匠、マニラトナム監督の奥さん。光ってました!

◆ 結語
 【Mohini 9886788888】はホラー作品として観ると、締まりのない感じがするが、しかし、ストーリーそのものは凝っていて、どんでん返しがあったりして、一般的なインド娯楽映画として観るなら、なかなか面白い。ダンスシーンとコメディーシーン、それにCGの使い方に工夫を加えれば、良い作品になったと思う。

・満足度 : 2.5 / 5
 

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(4件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
【Yaaradu】 (Kannada)
 ウィノードラージ主演のカンナダ映画。  ウィノードラージといえば、サンダルウッドの‘ダンス・キング’の異名をとるアクション系俳優だが、若き日の【Dance Raja Dance】(87)などで見せた活きの良いダンスは日本のマニアにも知られているところである。  制作は彼のオカンのリーラヴァティ。つまり自家制作ということになるが、この母子による作品としては【Kannadada Kanda】(06)と【Shukra】(07)がある。前者はヒットしたが、後者はヒットしなかったらしい。本... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2009/11/15 14:10
【Naagavalli】 (Kannada)
 この日は【Dandupalya】というカンナダ映画を観ようと映画館に行ったが、満席の立て札。では、第2候補のカンナダ映画【Addhuri】にしようと別の劇場へ行ったら、こちらも満員御礼。「おお、カンナダ映画界も繁盛してるじゃん」と思いつつ、仕方ないので、この【Naagavalli】を観て来た。  ホラー映画だという前情報だった。インドではホラー映画はそう頻繁に現れないが(もっとも、頻繁に観たいものでもないが)、別けてもカンナダ映画界では作られることが少なく、ここ数年では【Mohin... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2012/07/10 21:23
【6-5=2】 (Kannada)
 明確な規制があったわけではないと思うが、カンナダ映画では題名に非カンナダ語(英語やヒンディー語)を使うと、KFCC(Karnataka Film Chamber of Commerce)から「再考しなさい」とのクレームが付くことが多かったが、最近ではお構いなしになったのか、今年は【Election】、【Director's Special】、【Whistle】、【Teenage】、【Victory】、【Case No.18/9】、【Coffee with My Wife】、【Colors... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2013/12/04 23:18
【Jessie】 (Kannada)
 ちょっと夏バテ気味なので、気の張ることはしたくなく、映画もブログの書きやすそうなものを観よう、、、そうするとカンナダ映画になるわけで、ハリプリヤー出演の【Ranathanthra】にするか、パワン・ウォデヤル監督の【Jessie】にするかで迷ったが、前者がホラー映画っぽかったので今回はパスして、【Jessie】を観ることにした。と、ところが、こちらもホラーだったというオチが! ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2016/04/05 20:30

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
【Mohini 9886788888】 (Kannada) カーヴェリ川長治の南インド映画日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる