カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Aishwarya】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2006/10/16 22:00   >>

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 私はウペンドラのファンだと言いながら、去年【Gowramma】と【News】を観て以来、3作続けて見逃した。フロップ続きだったのと、このごろ彼自身が監督をしていないので、もう一つ乗り切れないところがあった。初期の迸り出るような才気は過去のものかと、なんだか「上手い俳優」になりつつある彼にちょっと失望したりもする。
 しかし、やはりウペンドラの新作ともなれば、なにかしら胸ときめくものがある。特にこの【Aishwarya】は、公開前から話題性が高かったので、期待を胸に抱きつつ劇場に入った。その話題の一つは、トップモデル、ディーピカ・パドゥコーネの映画デビューである。

【Aishwarya】 (2006 : Kannada)
脚本・監督 : Indrajith Lankesh
出演 : Upendra, Deepika Padukone, Daisy Boppanna, Ramesh Bhat, Ramakrishna, Komal Kumar, Sadhu Kokila, Dayanand, Doddanna
音楽 : Rajesh Ramanath
撮影 : Krishna Kumar
編集 : Vinod Manohar
制作 : Dr.Ramanjaneyalu, K.C.N.Kumar

《あらすじ》
 アビシェク(Upendra)は叔父が経営する大手広告会社のマネージャー。彼は大の女嫌いだった。そんな彼のもとに、アイシュワリヤ(Deepika Padukone)という非常に美しい女性がアシスタント・マネージャーとして入社してきた。
 彼女はミドルクラスの出身で、快活で自分の意見をはっきり主張できる女性だった。アビシェクはそんな彼女を毛嫌いし、嫌がらせを始める。アイシュワリヤはアビシェクの不可解な言動に我慢できなくなり、退社を決意、社長(アビシェクの叔父)に辞表を提出する。だが、社長は、そもそもアイシュワリヤをヘッドハントしたのは自分だったため、彼女を引き留め、アビシェクが女嫌いになった経緯を話して聞かせる。
 ・・・アビシェクにはかつてアンジャリ(Daisy Boppanna)という恋人がいた。彼女は売れない女優をしており、悪意のないほらを吹く癖があったが、純粋な心の持ち主で、特に身体障害児に対する振る舞いがアビシェクの心を捉えていた。だがある日、二人は自動車事故に遭い、アビシェクは大怪我を負ってしまう。怪我から癒えたアビシェクの枕元にはアンジャリの結婚式の招待状があった。それを見て彼は非常にショックを受け、裏切られたと思った。・・・
 アビシェクの女性不信の理由を知ったアイシュワリヤは会社に残ることにする。アビシェク対策として社長は、アイシュワリヤをマネージャーにし、アビシェクをアシスタントに降格。そして、二人にヨーロッパ出張を命じた。
 ヨーロッパでも二人は不愉快な関係を続けていた。だが、やがてお互いを理解し始め、惹かれ合うようになる。アビシェクの心に変化が生じたのである。しかし皮肉なことに、アビシェクは一つの事実を聞かされ、落胆する。アイシュワリヤはすでに婚約していたのである、、、。

   *    *    *    *

 観終わって、はっきりした。これはヒロインのアイシュワリヤを演じたディーピカ・パドゥコーネのための映画だと。
 私はここに高らかに宣言したい。「遂に出た! カンナダ映画界初の8頭身スリム美人女優!」と。

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 トップモデルの彼女は、スタイル抜群なのはもちろん、美人かつ可愛い。写真で見る限り表情が硬いような気もし、スクリーン上ではどうかな?と心配したが、映えていました! 特に笑顔が魅力的。演技もデビューにしてはまずまず。(声も良かったが、これはもしかするとアフレコかもしれない。)デビューとしては理想的だったと思う。
 私はこの映画を40ルピーで観たが、たかだかミールス1食分の値段で2時間たっぷり味わえたこの快感! こんなことがあるからインド映画鑑賞はやめられないんですねぇ、皆さん。
 彼女はバンガロール在住で、父は有名なバドミントン選手だったPrakash Padukone。監督のIndrajith LankeshがたまたまPrakashの友人だったため、出演が実現したのだそうだ。
 もちろん、すでにボリウッドの魔の手も伸びている。シャールク・カーンとの共演作が準備進行中とのことだ。

 映画そのものの出来はまずまず。退屈しない作品だった。
 ただ、アビシェクとアイシュワリヤの展開はテルグー映画の【Manmadhudu】(02)から、アビシェクとアンジャリのエピソードはタミル映画の【Ghajini】(05)からアイデアが取られており、独創的とは言えない。
 映像などはカンナダ映画にあっては破格に美しく、見た目にはお洒落な作品に仕上がっている。その点は評価できる。
 監督のIndrajith Lankeshは、前作の【Monalisa】(04)でもそうだったが、起伏のあるストーリーをうまくまとめて、一般受けする娯楽作品を作るのが得意なようだ。もし彼に十分な資本と人材を与えたら、【Kaho Na... Pyar Hai】(00)のRakesh Roshanばりの作品を撮るかもしれない。

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 ちなみに、アンジャリ役のDaisy Boppannaは美人処として有名なCoorgの出身。カンナダ映画【Rama Shama Bhama】(06)にも出ていたそうだが、全然分からなかった。(ヒンディー映画の【Garam Masala】(05)にも出ていたらしい。)

 さてさて、肝心のウペンドラであるが、、、
 冒頭にも書いたが、演技としては申し分なく、役者として進化しているなぁと思う。ただ、これがウペンドラにとって褒め言葉になるのかどうか?
 今回の役柄は、髪を短く切り、スタイリッシュなドレスに身を包み(まぁ、腑に落ちないコーディネートはままあったが)、ピカピカの職場でうら若き女性たちに囲まれて仕事をする広告会社のエグゼクティブ。
 たまにはこんなウッピーを見てみるのも悪くはないが、ビリも吸わず、ロング(と呼ばれるナイフ)も振り回さず、血も流さない彼は、髪を切られたサムソンのように何かしら頼りない。この映画のアビシェク役なら、ウペンドラでなくとも上手くやれたであろう。
 だが、ウペンドラの真価はこんなものではないはず。真の愛を求めて、傷つき傷つけ、血みどろの劇愛を展開した彼はどこに行ったのか? 善悪の彼岸を求め、目前の似非モラルを手当たり次第切り裂いて見せた彼はどこに行ったのか?
 やはり、ウペンドラ原作、脚本、監督、主演の新作を待たねばなるまい。

◆ 総評
 【Aishwarya】は、カンナダ映画にしてはお洒落な娯楽作品を楽しみ、ディーピカ・パドゥコーネの輝きを堪能したい人なら満足できるが、ウペンドラ目当てで、ある種の衝撃を期待するファンなら物足りなさを感じるだろう。

・満足度 : 3.0 / 5

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