カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Arrasu】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2007/03/14 23:35   >>

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 プニート・ラージクマル主演のカンナダ映画。
 偉そうにカンナダ映画のコメントを書いていながら、私がいかにカンナダ映画について無知であるか告白すると、このプニートという人があの故ラージクマル、カンナダ映画界の神格的存在で、昨年4月に他界したときはバンガロールで暴動が起きたほどの、あのラージクマルの息子だということを知らなかった。ラージクマルの息子で俳優をやっているのはシヴァ・ラージクマルのみだと思っていた。道理で顔が似ているわけだ。
 ついでにもう一つ恥をさらしておくと、2006年のFilmfare賞・カンナダ地区で最優秀作品賞に輝いたのは【Nenapirali】だったが、観ていません!
 つまり、このブログはその程度の映画評集だと思って、適当にお付き合いしていただければ幸いである。

【Arrasu】 (2007 : Kannada)
物語 : Janardhana Maharshi
脚本 : M.S.Ramesh
監督 : Mahesh Babu
出演 : Puneeth Rajkumar, Meera Jasmine, Ramya, Srinivasa Murthy, Komal
音楽 : Joshua Sridhar
撮影 : Ramesh Babu
編集 : S.Manohar
制作 : Parvathamma Rajkumar

《あらすじ》
 シヴァラージ・アラス(Puneeth)は海外で暮らすインド人。亡き父の遺産を受け継ぎ、いくつものグループ企業を指揮する青年実業家だ。正義感の強い性格ではあるが、夜な夜なカジノに繰り出し、湯水のようにお金を使うことが当たり前のようになっていた。
 彼はインドのグループ会社のマネージャーであるラーマンナ(Sreenivasa Murthy)の要請でバンガロールへ赴くことになった。現地での生活は退屈極まりないものであったが、あるとき、シュルティ(Ramya)という女性に出会い、一目惚れする。
 彼女は偶然にもラーマンナの娘であった。シヴァラージはこれ幸いとプロポーズするが、慎重な性格のシュルティは彼の浮ついた考えを正すために、一つの課題を突き付ける。「父の名前(アラス)を使わないで、あなたに月5000ルピーのお金が稼げるか?」
 一本気なシヴァラージはこれを聞いて、1ルピーも持たずに路上へと飛び出す。
 しかし現実はそう甘くはない。オートリクシャの運転手や安食堂のオヤジに職を求めるが、まともに取り合ってもらえない。とうとう空腹のあまり路上で倒れてしまうが、そこをアイシュ(Meera Jasmine)という女性に助けられる。
 アイシュは安アパートで質素に生活する女性であった。また、偶然にもシュルティの親友でもあった。シヴァラージは彼女のアパートに居候させてもらい、彼女が勤めているサリー店で働かせてもらうことになる。
 シヴァラージは、始めこそ安アパートでの寝起きや慣れない労働に戸惑ったが、アイシュや周りの人々との交流を通して、次第に今まで知らなかった人生の側面を発見し、幸福感を感じる。アイシュはそんなシヴァラージに好意を抱くようになる。
 そしてある日、アイシュは親友のシュルティに自分の気持ちを打ち明ける。やはりシヴァラージを愛していたシュルティはそれを聞いてショックを受けるが、親友のために自分を犠牲にしようと決める。だが、シュルティとシヴァラージのそもそもの経緯を知ったアイシュは、自分こそ二人のために身を引こうとする。
 シヴァラージはこの三角関係に困惑する。そして、とうとう一つの奇策を思い付くのであった、、、。

   *    *    *    *

 設定や筋運びに特に新しいものはないが、カルナータカの大衆的映画ファンが求めているものは何でもあるという、南インドのミールス(定食)のような映画だった。
 ずいぶん面白かった。
 クライマックスにはひねりがあり、おやおやと思わせてくれる。ただ、「実際にはこんなことはありえん」とか「そんな結論でいいの?」と言いたくなる人もいるだろうが、ここは、まぁ、難しいことは言わないようにしよう。
 (なお、このクライマックスにはカンナダ映画界のスター男優が2人特別出演している。さらに、映画の最後では、某有名女優がカメオ出演しているが、それは見てのお楽しみ!)

 お金の価値も人生の目的も理解していない若者が、インドの庶民の生活に揉まれることにより、それらの真の価値に目覚めていくという話。
 それ自体は美しく、倫理的でもあるが、これもインド映画では何度も何度も使われているモチーフ。
 テルグー映画の【Nuvvostanante Nenoddantana】(05)でもそうだったが、NRI(非インド居住インド人)、特にビジネスで成功して富を築いたNRIは胡散臭いものとして描かれることが多く、この【Arrasu】もそうしたインド人の複雑な心理が見え隠れする作品だった。
 しかし、一体全体、海外での裕福な生活では心を見失い、インドの庶民的な生活の中にこそ心はあるという、そういう単純な決め付けでいいのかなぁ、と、こういう作品に接するたびに思う。
 この映画でも、「お金じゃない!」とか言っておきながら、お世話になった人たちへの恩返しとして足長おじさん的に取ったシヴァラージの方法は、結局は自分のコネと資産を使うことだったので、「お前の良心はそんなものか」と、突っ込みを入れたくなった。
 モラルの一つの形の提示としてこれでいいのかもしれないが、いい加減なところで生ぬるかったかなぁ、と思う。

◆ パフォーマンス面
 登場人物の中でもっとも光っていたのはアイシュ役のミーラ・ジャスミン。
 ケーララ出身で、マラヤラム映画を中心に広く南インド映画に出演しており、National Film Awardの主演女優賞も獲得したことのある実力派女優。南インドではかなり有名。
 私はミーラ・ジャスミンといえば、泣いているか怒っているかの役柄しか見たことがなかったので、今回生き生きと笑っている彼女を見て安心した。
 マニ・ラトナム監督の【Aayitha Ezhuthu】(04)にも出ており、【Yuva】だとラニ・ムカルジーがやっていた役を演じていた。で、驚いたことに、彼女は1984年生まれだそうで、だとすると【Aayitha Ezhuthu】のときはまだ20歳だったということになる。とてもそうは見えない存在感で、今になってやっとこさ彼女のすごさに気付いた。
 私の目からすると、特別に美人だとも思えないのだが、周りのインド人は口を揃えて「きれい、きれい」と言っている。南インド人の目から見ると、彼女は「吉永小百合」に見えるのかもしれない。
 (写真トップはプニートとミーラ・ジャスミン。下はラミャ。)

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・満足度 : 3.0 / 5
 

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