カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Shankar Dada Zindabad】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2007/08/18 23:44   >>

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 サンジャイ・ダット主演の「ムンナーバーイ」シリーズは、私は去年の【Lage Raho Munnabhai】を劇場で観たのが最初で、それはいたく感動したので、慌ててDVDを買ってパート1の【Munna Bhai M.B.B.S.】も観た。そんな次第であるから、【M.B.B.S.】のヒット後、他言語にこぞってリメイクされた「M.B.B.S.」物は一つも観ていない。
 【Munna Bhai M.B.B.S.】はカマル・ハーサン主演のタミル語版【Vasool Raja M.B.B.S.】、チランジーウィ主演のテルグ語版【Shankar Dada M.B.B.S.】、ウペンドラ主演のカンナダ語版【Uppi Dada M.B.B.S.】と順々にリメイクされたが、爆発的にヒットしたのはテルグ語版のようである。その勢いを駆ってか、今回、この【Shankar Dada Zindabad】の登場である。言わずと知れた【Lage Raho Munnabhai】のリメイクであるが、サンジャイ・ダットの役柄をチランジーウィがどう演じているのか、また、作品全体としてどうテルグ映画風に味付けされているのか、興味は尽きないところである。

【Shankar Dada Zindabad】 (2007 : Telugu)
物語 : Rajkumar Hirani
監督 : Prabhu Deva
出演 : Chiranjeevi, Karishma Kotak, Srikanth, Dilip Prabhavalkar, Sayaji Shinde, Sarath Babu, Sada, Rohit, Brahmanandam, M.S.Narayana, Venu Madhav, Sunil, Pawan Kalyan, その他カメオ出演多数
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : Chota K.Naidu
編集 : Marthand K.Venkatesh
制作 : Akkineni Ravishankar, Gemini Kiran

《あらすじ》
 ストーリーはほぼ忠実にオリジナルをなぞっている。
 ヤクザの親分、シャンカル(Chiranjeevi)が愛するラジオジョッキー、ジャーナウィ(Karishma Kotak)とその父のために、悪徳動産屋、ラージャリンガム(Sayaji Shinde)に闘いを挑む、しかしそれは暴力によってではなく、ガンディーの非暴力主義によってである、というもの。
 (【Lage Raho Munnabhai】の項目もご参照ください。)

   *    *    *    *

 本作を観て、なんでテルグ語版で「ムンナーバーイ」シリーズが2作ともリメイクされたのか、分かるような気がした。チランジーウィ演じるシャンカル・ダーダーのキャラクターがとてもよく活きている。
 サンジャイ・ダットとチランジーウィは似てはいないが、迫力ある男っぽいヒーローができるのはもちろんのこと、両者共にコメディーもうまく、愛嬌がにじみ出るという点で共通している。チランジーウィのこのキャラクターと卓越した芸力のおかげで、ムンナー・バーイがシャンカル・ダーダーとして独自に確立できており、それがファンに受け入れられたのだろう。
 もちろん、私はオリジナルのサンジャイ・ダットにも強い思い入れを持っているので、ときおり違和感も感じたが、チランジーウィのシャンカル・ダーダーもそれ自体として面白く、どちらが良い悪いという議論はナンセンスだろう。

 他の役柄でオリジナルとリメイクを比較してみると、、、
 アルシャド・ワールスィー演じるサーキット役は、リメイクではATMという役名でシュリカントが演じていた。シュリカントはすごく好演しているが、好演しすぎた感があり、ここはアルシャド・ワールスィーに軍配が上がるか。

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 悪徳不動産屋役のボーマン・イーラーニはサヤージ・シンデ、その娘役のディヤー・ミルザはサダ、自殺しかけた男役のジミー・シェールギルはローヒット、占星術師役のサウラブ・シュクラはブラフマナンダムと、それぞれ演じていたが、この辺はどっこいどっこいだったと思う。
 リメイクがオリジナルに最も水をあけられたのはヒロインだ。オリジナルのウィディヤ・バーランは素晴らしかったが、リメイクではカリシュマ・コタクという新人が演じており、なんとも印象は薄かった。もう一度ウィディヤ・バーランを使ってもよかったし、勢いのある南インドの女優を使ったらなおよかったと思う。
 その代わり、オリジナルでアビシェク・バッチャンが演じた新郎役は、こちらではチランジーウィの弟のパワン・カリヤンが演じており、最後でアクションと鋭い眼力を披露してくれ、個人的にはこちらのほうが好き。
 ちなみに、ガンディージーを演じたのは両作ともディリープ・プラバワルカルで、おいしい役を二度取りしている。

 どうテルグ映画風に味付けされていたかについては、これはやはり、力動的で、賑やかなダンス・シーンとアクション・シーンに尽きるだろう。
 ダンス・シーンは、監督がPrabhu Deva、音楽がDevi Sri Prasadと来れば、ある程度の水準は期待できる。その期待通り、個々のダンス・シーンの出来は良かった。ただ、これらが作品全体のテーマとマッチしていたかどうかについては、ちょっと疑問が残る。
 そもそも【Lage Raho 〜 】は、そのライトな音楽シーンの使い方が作品の内容と合っており、心に染み入る情緒を作り上げるのに成功していた。それに比べると、この【 〜 Zindabad】は新鮮な効果はなかったと思う。
 (ついでに記しておくと、ダンス・シーンの一つにAllu ArjunやRavi Teja、Nagababu、それにDevi Sri PrasadやPrabhu Deva自身も登場する曲があり、これは賑やかで楽しい。)

 アクション・シーンについては、この映画はチランジーウィのアクションに始まり、パワン・カリヤンのアクションで終わっている。アクションといっても、作品の性質上、血なまぐさいものは一つもない。
 特に、ラスト近くの結婚式場のシーンで、新郎のパワン・カリヤンが悪漢を蹴散らし、キリリとした視線で睨みを利かすシーンにはスカッとした。ありがたいファン・サービスだ。
 しかし、よく考えてみると、作品全体を通して「暴力はいかん!」と言っている手前、このシーンは必要なかったのね。
 「この人(シャンカル)はガンディー主義を奉じているので、暴力は使えないが、今この有様を見て、私がこの人に代わってお前たちを成敗する!」とパワン・カリヤンが大見得を切って言い放つのはカッコよかったが、他の人なら暴力行使も許される、というわけでもなし、結局、「正義の鉄拳」は許される、という結論になっているようで、これはガンディーの「非暴力主義」ではない。
 だいたい、この【 〜 Zindabad】では全編を通して「DadagiriよりGandhigiri(暴力主義より非暴力主義)」ということが強調されていたようだが、そもそもオリジナルの【Lage Raho 〜 】ではそうではなかったと思う。オリジナルが伝えていたのは、たんに「暴力はいかん」ではなく、「あなたの内にガンディーを見出せ、内なる良心を呼び覚ませ」ということだったと思う。それだからこそ、このメッセージが多くのインド人の心に何かを喚起させ、たんなる映画のヒットにとどまらず、広く社会現象まで引き起こす源になったのだと思う。(例えば、オリジナルでは悪徳不動産屋も最後にガンディーの幻影を見るようになるが、リメイクではそのシーンはなかった。これは重要なことなのに。)
 この微妙なズレのせいで、オリジナルの持っていた高みが失われ、【 〜 Zindabad】はどちらかというとありがちな勧善懲悪の娯楽作品に留まってしまったように思う。

 と、アクションとダンスに関して辛口のコメントをしてしまったが、だからこの映画にはダンスとアクションは要らなかったのだ、と言いたいわけではない。事実、楽しい気分にひたれる出来だ。
 今回のケースのように、ヒンディー映画と南インド映画を比べてみてすぐ気が付くことは、南インド映画のほうが汗をかいているな、ということ。
 別に汗をたくさんかけば偉いというわけではないが、少なくともそこには身体/肉体というものに対する視点が存在するわけで、これが、私の考えでは、南インド映画を面白くも特異なものにしている点だと思う、、、。
 作品の調和を崩してまで、ダンスとアクションにこだわったプラブ・デーワ監督の気持ちが分からないでもない。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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