カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Yamadonga】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2007/08/28 21:14   >>

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 私がこの映画に注目したのは、評判はよく聞くが、まだ一度も見たことのないNTRジュニアを見たかったからでも、ケーララ出身の二人の美女、プリヤーマニとマムター・モーハンダースを見たかったからでもない。
 「ヤマドンガ」! まずはこのタイトルの力強い響きにそそられたからである。
 語の響きだけではない。「Yamadonga」の「Yama」は冥界に住む死を司る神、すなわち「閻魔大王」のことで、「donga」は「泥棒」。全体では「閻魔泥棒」とか「冥土を盗んだ男」という意味にでもなろうか。
 このタイトルだけでもただならぬ気配を感じるのは私だけだろうか。

 (ネタバレ注意報:この映画を観る予定にしている方はこれ以上読まないか、飛ばし読みすることをお勧めします。)

【Yamadonga】 (2007 : Telugu)
脚本・監督 : S.S.Rajamouli
出演 : NTR Jr, Mohan Babu, Priyamani, Mamta Mohandas, Ali, Brahmanandam, Jayaprakash Reddy, Raghu Babu, Narendra Jha, M.S. Narayana, Dharmavarapu Subramanyam, Kushboo, Naresh, Rajiv Kanakala, Narsing Yadav
音楽 : M.M. Keeravani
撮影 : Senthil Kumar
美術 : Ananda Sai
編集 : Kotagiri Venkateswara Rao
制作 : Cherry, Urmila Gangaraju

《あらすじ》
 ラージャ少年は泥棒をして生活していた。一方、少女マヒーは大富豪の娘。彼女は祖父から、御神託により将来、飛馬に乗った王子様(ラージクマール)と結ばれると聞かされ、印のペンダント(ヤントラム)をもらっていた。
 ある日、マヒーが遊園地の回転木馬に乗っているとき事故が起きるが、たまたまその場にいたラージャが彼女を救う。彼の名前を知ったマヒーは、彼こそがその王子様だと思い、ペンダントをあげる。
 そのペンダントを売り飛ばそうとしたラージャ少年は、それが金銭としてはほぼ価値のないものと知り、捨ててしまう。しかし、何度捨ててもそれはラージャの元に戻って来るという、不思議なペンダントだった。
 成人したラージャ(NTR Jr)は相棒(Ali)と組んで、相変らず泥棒をしていた。彼は盗んだものは何でも盗品屋の女・ダーナラクシュミ(Mamta Mohandas)に売り飛ばしていた。
 他方、マヒー(Priyamani)は両親を早くに亡くし、阿漕な叔父や叔母たちに召使い同然の扱いを受けていた。祖父の遺産の相続権はマヒーにあったが、叔父たちはそれを虎視眈々と狙っていた。
 ある時、ラージャはある人のガウンを盗むよう依頼を受ける。作戦は首尾よく行き、難なくガウンを盗むことに成功する。
 同じ時にマヒーは、叔父たちが雇った悪漢たちに誘拐されようとしていた。彼女はなんとか逃走するが、行き掛かり上、ラージャが盗んだガウンを着て逃げてしまう。ラージャは悪漢たちを蹴散らし、マヒーを保護する。
 ガウンを取り戻したラージャは、意気揚々と依頼主(M.S. Narayana)の所へ赴くが、小切手にサインをする寸前に、依頼主は頓死してしまう。あっけなくも大金を逃してしまったラージャは、人間の死を司る神・ヤマ(Mohan Babu)に対して罵詈雑言を浴びせかける。折りしも冥界でこの罵りを聞いていたヤマは、他の神々の前で恥をかかせられたことに憤り、彼の死期を早めることに決める。
 落胆するラージャだったが、マヒーが大富豪の遺産相続人であることを知り、身代金をせしめるために、彼女を家に留める。その過程で、マヒーはラージャが例のペンダントを持っているのを見、運命の王子様と再会したことを知る。
 ラージャは身代金交渉のためマヒーの叔父たちと対峙する。しかし、ヤマの操作で彼はあっさりと悪漢に刺し殺されてしまう。
 冥土に来たラージャであるが、彼はヤマの恣意で自分の死期が早められたことを知り、憤る。そして、閻魔帳の記録官・チトラグプタ(Brahmanandam)をたぶらかして、ヤマの力の象徴・パーサムを盗み出すことに成功する。
 パーサムを手にした以上、ラージャがヤマになり、ヤマはヤマではなくなった。冥界では大混乱が起こり、ラージャはヤマの前でこれ見よがしに振舞う。
 やっとのことでパーサムを取り戻したヤマは、ラージャを地獄へ落とそうとするが、なんと彼はヤマの威力を持っていたときに閻魔帳から自分の罪業を消去していた。ヤマは、ラージャに罪を犯させるために、彼を再び人間界に戻すことにする。
 再生したラージャはマヒーとの再会を果たす。彼はマヒーが運命の人であることを知り、彼女を愛するようになり、悪辣な叔父たちから彼女を救う決意をする。
 と同時に、本気でラージャの命を奪いたいヤマは、チトラグプタを連れて下界へと降りて来るのであった、、、。

   *    *    *    *

 ネタバレ承知の上でお読みになる方のために、あえて詳し目あらすじを記したが、これを読めばこの映画の面白さが想像できると思う。
 まさにインド人にしか作れない、インド映画でしか味わえないファンタスティックなアクション・コメディーだった。
 神様とか天界がモチーフに使われているが、バクティ映画というわけではなく、徹底した娯楽作品だ。しかし、ヒンドゥー教の神話やパンテオンが巧みに利用されているし、人間の罪や生死、運命などが宗教的世界観のスケールから反芻されている部分もあり、なにかと興味深い大作だった。

 圧巻はなんと言っても冥土のシーン。
 ラージャの悪知恵で混乱に陥る冥界の様子と、ヤマとラージャのやり取りは一風変わったコメディーだったし、それが見事なCGで、しかも「種も仕掛けもございます」といったふうなCGで処理されているところがいっそう面白さを盛り上げていた。
 まさにこのシーンだけでもこの映画は一見の価値がある。(これは私の中では【Sivaji】に匹敵するアホくささである。)
 しかも、この冥界でのダンスシーンにとんでもないサプライズが!
 しかも、この冥界でのダンスシーンにとんでもないサプライズが!
 しかも、この冥界でのダンスシーンにとんでもないサプライズが!
 と、3回リピートしたくなるのももっともなサプライズがあるのだが、ネタばらしの非難を恐れて、私の口からはよもや言うまい。

 さて、冥界のシーンに比べて、人間界でのラージャとマヒーの物語は、展開がくどかったりもたついたりするところがあって、ちょっと残念。3時間5分という上映時間の長さと相まって、面白いと同時に疲れる作品でもあった。
 しかし、なんだかんだ言って、伏線なんかも上手く機能して、最後はきちんとまとまっていたので、めでたしめでたしである。

◆ パフォーマンス面
 ヒーローのNTRジュニアは、体重を25キロほど落としての力演だそうだ。
 この人、初めて見たが、セリフ、アクション、ダンスの上手さと、褒めるところしか見当たらなかった。強いて言えば鼻の形がぶさいくかなとも思えるが、これはこれで個性的でいいのだろう。
 まだ20代半ばの若さなのに、押しの強さは大スター級。冥界でヤマのモーハン・バーブと渡り合うシーンはあっぱれとしか言いようがない。

 そのヤマを演じたモーハン・バーブも素晴らしい。
 まず、外見が見事。インドの神様美学の粋だと思う。
 その外見のカッコよさとは裏腹に、ラージャに散々な目に合わされ、嫁はんにも逃げられ、挙句にたかが一人の泥棒を殺そうと躍起になるというコミカルな側面も描かれていた。これは一般的なヤマ像とはずいぶん違うようだが、たぶんインド人の中ではこういうヤマもありなのだろう。(下)

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 マヒー役のプリヤーマニは標準的な演技だったと思う。
 叔父や叔母にいかに虐待されようとも、いつの日かきっと白馬にまたがる王子が自分を迎えに来てくれると信じ、ただひたすら耐え忍ぶ、そんな設定は個人的には好きだ。
 (写真トップ:NTR JrとPriyamani。)

 もう一人のヒロイン、マムター・モーハンダースは前半と後半に二度見せ場があった。この人、美人で歌も歌え、ヒロインとしての存在感もあるが、悪役もこなせそうなところが女優としての可能性を感じさせる。(下)

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 他に、ダンス・シーンでRambhaやPreeti Jhangiani、Navneeth Kaur、Archanaなども出ており、美女が多数出演する華麗な映画でもあった。
 もう一人、忘れてならないのが、チトラグプタを演じたブラフマーナンダム。彼のコメディーも作品によっては扱いが軽かったりして、気の毒なこともあるが、今回は笑わせていただきました。印象に残るキャラだった。

◆ 参考
 面白いことに、近々シュリーカーント主演の【Yamagola】という映画が公開予定で(もう公開されたかも)、同じくヤマをモチーフにした作品ということで、こちらも併せて注目したい。

・満足度 : 4.0 / 5
 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
面白かったです。
NTR Jrはこの作品が3本目ですが、いまのところこれがかなり好きです。
(髪型がちょっとあれなのですが・・・。これは彼の普通、なのでしょうか)

神様映画、実はちょっと苦手なのですが、これはすいすい見られましたし。

プリヤマニとマムタ・モハンダースの二人もとっても素敵でした。
特にマムタ・モハンダースさんにやられました。
見ながら自分の目がおっさんになってました。



プリヤマニとマムタ・モハンダース

やっほー
2014/07/17 00:43
私もこの映画で初めてジュニアとかプリヤーマニとかマムター姐を見ました。彼らのファンになった記念すべき作品ですね。

>(髪型がちょっとあれなのですが・・・。これは彼の普通、なのでしょうか)

私も髪型はあれだと思います。普通じゃなくって、失敗でしょう。ジュニアは役者としての力量、カリスマ性はすごいですが、衣装、髪型等のファッション面には問題ありです。
 
カーヴェリ
2014/07/17 12:06

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