カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Azhagiya Tamilmagan】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2007/11/17 01:15   >>

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 やはりディワリと共に話題作が押し寄せて来た。
 あれも観たい、これも観たいで、うれしい悲鳴なのだが、こともあろうにこんなときに限って仕事も押し寄せ、来月は一時帰国の予定もあり、これはもう、何本観られるかより、何本観逃すか、と言ったほうが実情に近い。
 しかし、そうも言ってはいられない。まずはタミル映画の2本、【Azhagiya Tamilmagan】と【Vel】から片付けることにした。

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 ヴィジャイ主演の【Azhagiya Tamilmagan】。
 ヴィジャイはタミル映画界の大人気俳優であるにもかかわらず、私は一つも観たことがなかった。
 理由は単純で、私の周りにヴィジャイのファンが一人もいなかったからである。私の周りで話題になるタミル・スターといえば、アジットやマーダヴァンやスーリヤであり、なぜかヴィジャイの名前が上がることは少なく、いきおい劇場に足を運ぶこともなかった。俳優によっては、地元では同じような人気を誇りながらも、他所でも比較的受け入れられやすいタイプと、そうじゃないタイプがあるのかもしれない。
 今年初めに公開された【Pokkiri】は観る気まんまんだったのだが、ちょうどその頃、例の「カーヴェリ川問題」(カーヴェリ川の取水量割り当てを巡るタミル・ナードゥ州・カルナータカ州間の長年の係争問題)が勃発し、カルナータカ州ではタミル映画がボイコットされてしまった。ようやく禁が解けたときにはもう【Pokkiri】は二番館扱いで、結局、観られなかった。

 今回はそういう障壁もなく、心ゆくまで初ヴィジャイを堪能することができた。(と、こういう持って行き方をすると、今さら「実はシュリヤー・サラン目当てでした」なんて言えないなぁ。)

【Azhagiya Tamilmagan】 (2007 : Tamil)
物語 : S.K. Jeeva
脚本・台詞・監督 : Bharathan
出演 : Vijay, Shriya Saran, Santhanam, Ashish Vidyarthi, Sayaji Shinde, Tanikella Bharani, Geetha, Namitha, Ganja Karuppu, Shakeela
音楽 : A.R. Rahman
撮影 : Balasubramaniam
編集 : Anthony
制作 : Swargachithra Appachan

《前半までのあらすじ》
 グル(Vijay)はチェンナイで経営学を学ぶ大学生であると同時に陸上選手でもあり、学業でも競技でも優秀な成績を修めていた。
 彼はある日、お寺でアビ(Shriya Saran)という女性と出会う。二人は、ある陸上競技会での出来事をきっかけに、恋人同士になる。
 アビの父(Ashish Vidyarthi)は大富豪であったが、田舎者で裕福とはいえないグルを受け入れる。だが、田舎に住むやたらと声のでかいグルの父(Tanikella Bharani)は難敵で、さらに母(Geetha)はもっと手強かった。グルとアビはお祭りのときに田舎へ行き、何とか母の理解も得、婚約が決まる。
 だが、かねてよりグルの精神には異常な現象が起きていた。彼は突然、不可避的に不吉なイメージを見るようになるが、その不吉なイメージがことごとく現実となったのである。精神科医は、グルには「超感覚的知覚」が備わっていると診断する。
 婚約式も迫ったある日、グルはあろうことか自分がアビをナイフで刺す幻影を見てしまう。それが現実化することを恐れた彼は、アビを遠ざけ、ムンバイへと逃れる。
 ところが、グルはムンバイで自分と瓜二つの男、プラサード(Vijayの二役)を見かける。もしやアビを刺すのはこの男かとも思い、グルはプラサードを追いかけるが、その過程で交通事故に遭い、入院してしまう。
 プラサードは金のためなら何でもするという「ワル」だった。彼はビジネスのためチェンナイへ赴くが、たまたま出会ったアビやその家族たちから思いがけない歓迎を受け、驚く、、、。
 (ありゃ、ちょっと前半を越してしまったかも。)

   *    *    *    *

 そして物語は、
・グルはどうやって自分が本物のグルであると証明するか?
・グルはどうやって自分が見た幻影の現実化を阻止するか?
ということに焦点が移るが、それがうまく語られているかどうかは、見てのお楽しみ!

 物語は、グルが「超感覚的知覚」(この場合、予知能力)を持っていることと、グルに瓜二つの人物が存在する、という2点が柱になっている。
 前者はいかにも荒唐無稽のようだが、しかしインド人は二大叙事詩の時代から、「神のお告げ」や「夢占い」のような未来への透視と、それによって運命を知ってしまったヒーローたちが悪戦苦闘する物語に親しんで来たので、この映画のようなアイデアもインド人にとっては意外と伝統的で普通の発想なのかもしれない。
 後者の「一人二役」については、これはもうインド人が非常に好むアイデアで、先例はいくらでもある。それだけにうまく仕掛けやひねりを入れないことには観客を喜ばせることもできないが、その点でこの作品がうまくいっているかどうか、それも見てのお楽しみ!!

 それにしても、この作品に限らず、この頃は精神の特殊な能力や状態を扱った作品が多い。私が観たタミル映画だけでも、【Anniyan】(05)では多重人格障害、【Ghajini】(05)では短期記憶喪失、【Chandramukhi】(05)では解離性同一性障害(&読心術)が扱われていた。(ボリウッドでは昨年の【Lage Raho Munnabhai】が印象的だった。)一つのトレンドになっているのだろうか?
 しかし、こうしたネタで映画を作るのは面白いが、下手すると子供だましになってしまうので、少なくとも大衆映画ファンの失笑を買わない程度にはきちんと作ってほしいものだ。
 【Azhagiya Tamilmagan】がその点で成功しているかどうか、、、う〜ん、これは危ういところだが、、、しかし、大丈夫、これはそもそもヴィジャイを愛でて楽しもうという映画なので、難しいことは抜きにして、「超感覚的知覚」もヴィジャイに仕事をさせるための方便だと考えるべきだろう。

◆ パフォーマンス面
 私にとって初ヴィジャイになるのだが、彼のダンス・シーンならSUN TVで毎日のように見ているので、なんだか10年来の友に会ったような気分だった。
 ただ、声は初めて聞いた。想像していたより低くて太い声だったので、それは新鮮に感じた。
 今回は優等生のグルと「ワル」のプラサードという対照的な二役を演じ、二重に楽しめた。面白いことに、観客の反応はプラサードに対してのほうが大きかった。やはり、こういうスターはちょいとワルなぐらいが愛されるようで、、、。
 クライマックスからラストにかけては、ひねりが用意されており、その結論をどう評価するかは人によって異なるだろう。しかし、どんな評価であれ、あの結論が取れたというのはヴィジャイのキャラの賜物だろう。スーリヤやアジットならまた別の結末になっていたと思う。

 ヒロインのシュリヤー・サランはやはり今回もクリスピーだった。
 【Sivaji - The Boss】を観て以来、俄かファンになってしまったが、私にしては珍しく、その後の彼女の作品は全部押さえているので、本当にお気に入りなのだろう。
 あの腰のくびれは南インドでは少数派だが、ダンスの上手さやキャラはやはり南向きだと思う。
 南インドではチランジーヴィ、ナーガールジュナ、ラジニカーントら、そうそうたる大スターと共演した彼女も、ボリウッドでは【Shukriya】(04)でアフタブ・シヴダーサニ、【Awaarapan】(07)でイムラーン・ハーシュミですか。がくっと落ちるなぁ。
 やはり、シュリヤーには南で頑張ってもらいたい。
 (写真下:VijayとShriya Saran。)

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 脇役陣では、Ashish Vidyarthi、Sayaji Shinde、Tanikella Bharaniと、なぜかテルグ映画でお馴染みの面々が揃っていた。
 悪役俳優のAshish Vidyarthiは今回は「父親」役。この人が父親役なんぞをやると、逆の意味ではらはらしてしまうものだが、、、。
 セカンド・ヒロインのナミターの使い方も面白い。

 もう一人注目すべきは、シャキーラという女優だ。
 彼女は知る人ぞ知る南インドのソフトポルノ映画の女王で、こちらで生活したことのある人なら、小便臭い横丁の塀に貼られたでっぷりとした彼女の映画ポスターを何度も目にしたことだろう。
 今回はシャキーラ本人の役として登場し、1シーンだけのカメオ出演だったが、観客からはかなり大きな歓声が上がっていた。

◆ テクニカル面
 A・R・ラフマーンの音楽は、田舎でのダンス・シーンの2曲が面白かった。その他も気持ちはよかったが、どちらかというと普通のポップスだった。しかし、人によっては【Sivaji】よりこちらを好む人も少なくないだろう。
 ダンス・シーンは良かった。その速さ、規模の大きさ、ユニークさから、もしや、と思っていたら、やはりローレンスも振り付けしているようだ。

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◆ 結語
 タイトルの「Azhagiya Tamilmagan」は「美しきタミルの息子」という意味だそうだ。タミル人といろいろ話してみた結果、これは作品の内容を象徴したものというより、ヴィジャイのことを間接的に表したものだろう、ということになった。
 そのタイトルのとおり、ヴィジャイをいろいろと楽しめる映画だった。
 南インドのアクション映画を観ると、観終わったあと、自分もヒーローのように強くなったような感じを覚え、胸を張って大股で歩いたり、サングラスの掛け外しにも妙なタメを作ったりしたくなることがあるが、この作品もそんな気にさせてくれる一本だった。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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