カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Athidhi】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2007/11/04 00:18   >>

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 お祭りシーズン、テルグ映画の4発目、【Athidhi】である。
 この作品、マヘーシュ・バーブ主演ということでかなり早くから期待していたのだが、レビューの評価はボロクソで、巷の評判も芳しくなく、俄かにやる気ダウン。裏で【Kattradhu Thamizh】という地味だが佳作っぽいタミル映画をやっており、よっぽどそちらを観ようかとも思ったが、まぁ、作る側も観る側も、いちいち他人の評価を気にしていては埒が明かない世界なので、ここは初志貫徹、マヘーシュの前作【Sainikudu】もつまらないという風評で見送った経緯もあり、今回は観ることにした。

【Athidhi】 (2007 : Telugu)
物語・脚本・監督 : Surender Reddy
出演 : Mahesh Babu, Amrita Rao, Murali Sharma, Ashish Vidyarthi, Kota Srinivasa Rao, Nasser, Ajay, Ravi Prakash, Sunil, Brahmanandam, Venu Madhav, Rajiv Kanakala
音楽 : Mani Sharma
撮影 : Sameer Reddy
編集 : Gowtham Raju
制作 : G. Ramesh Babu

 でも、やっぱり【Kattradhu Thamizh】を観るべきだったかな?

 簡単にストーリーを書いておくと、、、孤児の少年が善良な金持ちの夫婦に引き取られる。彼はアティディ(「客」という意味)と名付けられ、そこの娘、アムリタとも仲良く生活する。しかし、ある晩、夫婦は金目当ての若者に銃で撃ち殺され、嫌疑をかけられたアティディが少年刑務所に入ることになる。13年後、出所したアティディ(Mahesh Babu)は、自分の嫌疑を晴らし、養父母の復讐を果たすために動き出す。彼はデリーでアムリタ(Amrita Rao)と再会する。二人はそれぞれハイダラーバードへ移動するが、当時、ハイダラーバードでは「カイザー」と呼ばれる謎の誘拐犯が事件を連発し、警察を悩ませていた。アティディは悪漢たちとのやり取りを通して、アムリタが「カイザー」の次のターゲットになっていることを知る、、、という物語。
 養父母を殺した男は誰で、どこにいるのか?「カイザー」は何者か?というのがドラマの駆動力になっている。

 前半は非常に分かりにくい見せ方で、何やら分からない男たちが出てきたと思ったら乱闘シーンが始まるといった感じで、あまりの分かりにくさに、これはもしや監督が酒を飲んだかクスリをやったかした朦朧状態のときに思いついたものをそのまま映像化したのでは?と思ったほどだった。(後で何とかまとまり、結果的には分かりやすい部類の作品だということが分かった。)
 レビューの悲惨さから、どんな酷いものが出て来るか期待していたのだが、実際はそうボロクソに言われるべきものでもなく、出来としてはまずまずだった。
 マニ・シャルマの音楽についても芳しい評価ではないのだが、私が聞いた限り、悪くなかったと思う。

 ただし、大きく持ち上げるところがないのも事実だ。
 少年が濡れ衣を着せられ少年院に入るところはいきなり【Chiruta】と同じ。アクション・シーン、暴力シーン過多の傾向は相変らずで、重苦しかった。【Chiruta】、【Thulasi】、【Athidhi】の3連発では悪玉も同じ、Ashish Vidyarthi。こう、似たり寄ったりの映画を見せられて、飽きませんか、と、思わず隣に座っていた人に聞いてしまうところだった。

 この作品が一番いけないのは、「品がない」ことだと思う。
 別にインドの娯楽アクション映画にお行儀の良さを求めるわけではないが、しかし、インドの勧善懲悪劇といえば、特に教育を受けていないような人にまで映画を観たあと、「ああ、オレもあのヒーローのようにしよう」と思わせるものがあったはず。それが、インドが大規模な貧困と社会問題を抱えながらも、なんとなく穏やかにモラルが維持できてきた一因になっていたと思う。
 【Athidhi】も一応、ヒーローのマヘーシュ・バーブが悪役を倒し、ヒロインを救い出すという形なのだが、作る側はなんだかどんよりとグロテスクな暴力シーンを楽しんでいるようで、スカッと心洗われるものがなかった。
 テルグ・アクションといえば、もっと明るく、健全で、颯爽としていたと記憶しているのだが、、、。
 大体、この映画は暴力描写のせいで「A指定」になっており、子供たちが見られない、つまり、正義のヒーロー、マヘーシュの姿を子供たちが見ることさえできないようになっているのだが、そんなことでいいのだろうか。
 もしかして、これが新しい感覚のアクション映画なのかもしれないが、私は傾向として間違っていると思う。

 しかし、マヘーシュ・バーブはカッコよかった。こういう作品の中でも光るところはさすがだ。
 そもそも歩き方からして「スター」なのだが、ちょっとした仕草、例えば、独特の上目使いやタバコのくわえ方など、カッコいいを通り越して、美しい。

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 おそらく、AP州の各町々にはマヘーシュにちょいと似ていて、同じようなタバコをくわえ方をする「○○のマヘーシュ」が五万といることだろう。彼らを集めて「マヘーシュ・物まねショー」などをやれば、大笑いできるに違いない。
 こうして改めて作品中の彼を見てみると、「【Chiruta】のラーム・チャランはガクッと落ちる」と言ったテルグ人の意見が分からないでもなく、ふ〜む、チル太くんもマヘーシュと同じ路線を歩むとしたら、苦戦を強いられるだろう。

 もう一つの救いは、ヒロインのアムリタ・ラーオ。

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 アムリタ・ラーオといっても【Main Hoon Na】しか思い浮かばなくて申し訳ないが、かなり健闘していて、もし彼女がいなかったら、私は間違いなく途中で寝てしまっていたと思う。(ちなみに、ボリウッドからはもう一人、マラーイカー・アローラーもダンス・シーンに登場していた。)

 さてさて、テルグ映画4連発のうち、アクション系の3作は旗色が悪い。もし、この間に【Happy Days】がなかったら、私はずいぶんテルグ映画不信に陥っていたかも。
 アクション3作を見比べてみると、始めに凡作と思われた【Chiruta】が一番すんなり観られる作品だということが分かった。ただ、3つとも作風も出来も似たり寄ったりで、うんざりしてしまった。2週間にそういう作品を立て続けに見た私もバカだが、テルグ映画産業にも非はあると思う。
 猛省を促したい。

・満足度 : 2.5 / 5
 

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