カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Geleya】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2007/12/10 22:00   >>

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 この【Geleya】と次回アップ予定の【Aa Dinagalu】は共にカンナダ映画のギャング物。
 一時帰国の準備で忙しかったのだが、どうしても押さえておきたい2作だったので、映画館をはしごして鑑賞して来た。
 「Geleya」は「友達」という意味。

【Geleya】 (2007 : Kannada)
監督 : A.Harsha
出演 : Prajwal Devaraj, Tarun, Kirat Bhattal, Mico Nagaraj, Kishore, Rangayana Raghu, Vijay, Sithara Vaidya, Bullet Prakash, Rakhi Sawant
音楽 : Mano Murthy
撮影 : Krishna
制作 : Sri Mookambika Combines

《あらすじ》
 ヴィシュワ(Tarun)とグル(Prajwal)は農村で生まれ育ち、幼なじみで無二の親友だった。ヴィシュワは勤勉で、せっせと父の仕事を手伝っていたが、グルは一攫千金を夢見るタイプで、いかさまポーカーをやって小遣いを稼いでいた。しかしその金でヴィシュワとその恋人のナンディニ(Kirat)にプレゼントを買ってやることを忘れない、気の好い男でもあった。
 ある時、グルは成り行きで村長の息子に怪我をさせてしまう。報復を恐れた彼は、ヴィシュワとともに通りがかりのバスに飛び乗ってしまうが、そのバスはバンガロール行きだった。
 身寄りも行く当てもないバンガロールに降り立った二人は、下町の土管の中で寝泊りすることにした。勤勉なヴィシュワは早速近くの安食堂で下働きを始め、二人分の食費だけはなんとか確保できた。
 その安食堂は、実はジャヤンナ(Mico)というボスが率いるマフィアが秘密の会合に使っている場所だった。ある晩、会合が行われた際に、ヴィシュワはジャヤンナから口止め料として1,000ルピーをもらう。
 1,000ルピーもらってヴィシュワは大はしゃぎだったが、グルは、そんなはした金で喜んではいけないと言う。グルはその現金で小ぎれいな衣類を揃え、賭場に入って、いかさまポーカーでひと稼ぎし、その金で拳銃を調達する。
 グルには一つのアイデアがあった。マフィアの会合が行われているときに、敵方の襲撃と見せかけて、グルが銃を撃つ。その時、ヴィシュワがボスを救い出す、というプロットであった。
 その作戦はまんまと当たり、ヴィシュワはジャヤンナの命の恩人として組に迎え入れられる。一方、グルは敵方のバンダリ(Kishore)が率いるマフィアの一員になることに成功する。
 相敵対する組に分かれた二人は、互いに組の情報を提供し合い、うまく立ち回ったので、それぞれのボスから厚い信頼を得るようになった。特にジャヤンナはヴィシュワを可愛がり、彼のためにナンディニとの結婚をお膳立てしたほどだった。
 しかし、ある日、グルはジャヤンナを射殺してしまう。ジャヤンナ亡きあと、ヴィシュワが組のボスを継いだが、父同然と慕っていたボスが殺されたことに憤ったヴィシュワは、報復としてバンダリを殺害する。
 バンダリ亡きあと、やはりグルがボスを継ぐことになった。奇しくも敵対するマフィアのボスに収まった二人は、互いに憎しみ合い、激しい抗争を繰り広げ、ついに無辜な市民までが巻き添えとなった。
 困り果てたバンガロール警察はスーパー・コップのヴィジャイ(Vijay)を呼び寄せ、両マフィアのメンバーを見つけ次第、射殺してもよいという権限を与える。
 ヴィジャイの働きは目覚しく、グルの組は壊滅的になり、ヴィシュワも組を解散する。
 ヴィジャイらの厳しい追跡にあって、グルとヴィシュワはそれぞれ単身で逃走を続けたが、たまたま彼らが辿り着いた先は、二人が初めてバンガロールに降り立ったときに寝泊りした土管であった、、、。

   *    *    *    *

 カンナダ映画のヤクザ物は、近頃は際立ったヒット作も秀作も少なく、そろそろブームも終焉か、と思っていたら、なんのなんの、相変わらずの勢いで作られている。しかし、この頃は新たな装いをまとって、ニューウェーブというか、ニューエイジというか、血みどろのこてこてしたものとは一線を画した、新感覚なものが現れ始めた。これはもう、はっきり一つの傾向と捉えていいだろう。
 たぶん、端緒は去年公開されたスーリ監督の【Duniya】だと思う。新人の監督が、ほとんど無名の俳優を主役に据え、違った視点でアンダーワールドを描いてみせたものだった。
 この【Geleya】もそう。Harsha監督はダンスの振付け師だが、これが監督デビュー。(この辺、プラブデーワやローレンスを連想させる。)主役の二人、PrajwalとTarun、ヒロインのKiratもキャリア、知名度ともに新人に近い。
 作品の出来としてははっきり稚拙なものだが、なかなか気の利いたこともやっており、自主制作を思わせるような手作り感が却って若者たちの共感を集めているようだ。
 ほんの少し、ゴダールやクロード・シャブロルらのフランス・ヌーヴェル・ヴァーグを想起させないこともないが、まぁ、あれほどのムーブメントにはなりそうもない。だが、こんなところからカンナダ映画が活性化してくるのではと、私は今のところ注目している。

◆ パフォーマンス面
 主役のグルを演じたPrajwalは、カンナダ映画界の有名な俳優、Devarajの息子。たぶん、去年【Sixer】という作品でデビューし、これが2作目だと思う。
 オヤジも押しの強い性格俳優だが、Prajwalもキャリアの割には腰の据わった演技で、大物振りが伺える。しかしこの作品では、どうもマヘーシュ・バブらのテルグ・アクションのヒーローを真似たような気配がぷんぷんするが、それはやめたほうがいいだろう。
 同じくヴィシュワを演じたTarunは、【Kushi】(03)がヒットして知名度を上げ、しばらくボリウッドをさ迷った後、仕事がないのでカンナダ映画界に復帰した模様。その後、カンナダでは順調に出演作も用意されている。
 (写真トップ:左がPrajwal、右がTarun。)

 ナンディニ役のKiratは、どこかで見たことがあると思っていたら、テレビのCMによく出ているモデルだった。整った顔立ちだが、ヒロインとしてやっていくにはアクが弱すぎるだろう。ただ、セカンド・ヒロインなら、聖女も悪女もできそうな感じで、ちょっと注目。【Bommarillu】のタミル・リメイク版にも出演するらしい。(写真下)

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 もう一人、【Duniya】で一躍「下町のスター」にのし上がったVijayであるが、今回はスーパー・コップの役を、それはそれは楽しそうにやっていた。
 私の意見では、この人が映画に出ていること自体がカンナダ映画界の変化の証で、まさにニューエイジの象徴的存在だと思う。相変わらずぶさいくだが、ここは敬意を表して、「バンガロールのシュワルツェネッガー」と呼んでおこう。

◆ テクニカル面
 Mano Murthyの音楽は、大成功した【Mungaru Male】と同じような曲の並びだった。やはり演歌調の甘い1曲がヒットしている。なお、その曲では、テルグ映画【Pokiri】(06)と同じ超スローモーションの技術が使われている。

◆ 結語
 実は、【Geleya】の評価は低く、「学生のような青二才の二人がマフィアのボスになるなんて説得力がない。ミスキャストだ」といった論調が目立つ。しかし、私の見たところ、あえて青臭い俳優を起用し、あり得ない物語を組み立てたところにこの作品の新鮮さがあると思うのだが。リアリティーという尺度だけでは、この作品のヒットの理由は理解できないと思う。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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