カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Preethi Eke Bhoomi Melidhe】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/01/28 23:29   >>

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 プレム監督のカンナダ映画。
 プレムはデビュー作の【Kariya】(03)以来、【Excuse... Me】(03)、【Jogi】(05)と3作続けて大ヒットを飛ばし、間違いなくカンナダ映画界の注目若手監督の一人と目されている。コンセプト志向の作品を撮ることでも知られ、この【Preethi Eke Bhoomi Melidhe】も「Prem's World」とか「New Philosophy」とかいう触れ込みがあって、なにやら怪しそうだ。
 今回は初主演もこなすということで、話題になっていた。
 もう一つの話題としては、ボリウッドのマッリカ・シェラワトがアイテム出演するということだった。

【Preethi Eke Bhoomi Melidhe】 (2008 : Kannada)
脚本・監督 : Prem
出演 : Prem, Namrata, Rohini, Sharan, Ramesh Bhat, Paramesh, Sudharani, Archana, Raghuram, Tejaswini, Ambarish, Vinayaprakash, Mallika Sherawat
音楽 : R.P.Patnayak
撮影 : M.R.Seenu
制作 : Ram Prasad

《あらすじ》
 チャンドゥ(Prem)はバンガロールのバススタンドで切符売りをしている、貧乏で冴えない若者だった。しかし、彼は「世界には自分と結ばれる女性が必ず一人いる」という信念を持っていた。この信念は友人たちの笑い種となっていたが。
 一方、とある田舎にサンディヤ(Namrata)という女性がいた。彼女も子供のときから父に「世界のどこかで月のような男がお前を待っている」と聞かされて育った。
 ある時、チャンドゥの友人、アーディ(Sharan)がお見合いをすることになったが、相手はその田舎のサンディヤだった。アーディはプロポーズを断られるが、理由を尋ねても、サンディヤは空を見上げるだけだった。
 チャンドゥは子供のときに、両親、姉と一緒にバンガロールに出て来たが、いきなり父が蒸発し、姉も交通事故死し、母と二人だけになっていた。しかし、母はチャンドゥのことを「父と同じ顔だ」と言って毛嫌いしたので、チャンドゥは家を出て、母に顔を見せないことにしていた。気持ちのすさんだチャンドゥは、バス切符売りの縄張りをめぐって、ライバルとしょっちゅう殴り合いをする日々だった。
 ある日、チャンドゥは医大生のインドゥ(Rohini)という女性に出会う。彼女は男に言い寄られても歯牙にもかけない高飛車な女だったが、変な男に絡まれているところをチャンドゥに助けてもらい、以来、彼のことを好きになる。しかし、インドゥはチャンドゥの運命の人ではなかった。
 サンディヤはある音楽祭に出るために、バンガロールへやって来る。そこにはチャンドゥもバスの切符を売りに来ていた。二人が出会ったとき、何か引き合うものを感じ、言葉を交わす。二人は、以前に一度路上で会ったことを思い出す。だが、その場はすぐに別れてしまう。その音楽祭にはインドゥも来ていて、彼女もサンディヤと顔見知りになる。
 チャンドゥは、バンガロールまで恋人を探しに来ている女性(Tejaswini)に出会うが、彼女が男の住所も電話番号も知らずに探しているのを知り、その無謀さを諭す。
 チャンドゥはいくつかの手掛かりから、自分の近くに運命の人がいる気配を感じ、探し回るが、会えない。サンディヤも同じだった。ある時、チャンドゥはバススタンドにいた乞食の男に1ルピーを恵む。その直後にサンディヤに会った乞食は、チャンドゥからもらった1ルピーを彼女に渡す。
 チャンドゥとサンディヤは、それぞれインドゥとアーディから、同じように運命の相手を待ち続けている人の存在を知らされる。そこで二人はそれぞれの友人にその人に会わせてくれと依頼する。アーディとインドゥは待ち合わせ場所を決め、二人にそこへ行かせる。そして、彼らもバイクでその場所へ向かうが、途中で交通事故に遭ってしまう。
 偶然会ったと思っているチャンドゥとサンディヤは同じベンチに座ってとりとめのない会話を交わす。近くに泣きながら抱き合っている男女のカップルがいたが、それはチャンドゥが以前にあった乞食と恋人を探していた女だった。女が探していたのはこの乞食の男で、彼はバンガロールまで働きに来たが、仕事がなくて乞食に転落していたのである。
 結局、友人たちが現れなかったので、チャンドゥとサンディヤは離れ離れに去って行く。

   *    *    *    *

 ん〜??? なんとも分かりにくい映画だった。
 タイトルの「Preethi Eke Bhoomi Melidhe」は「愛はなぜ地球上にあるのか?」という意味。めちゃめちゃストレートだ。
 この問いに対し、「世界のどこかに必ず私を待ってる人がいる」という、まるで山口百恵の歌を聴いたかのような仮説を立て、それをプレム監督なりに展開しようとしたようだが、大失敗だったと思う。

 実は、この映画は上に書いた物語がすべてではなく、前後にさらにユニットが付いている。
 まず映画は、大地が割れて神様(大地の神)が登場するCGから始まる。次に、「愛はなぜ地球上にあるのか?」という問いに対して、Kumaraswamy(元カルナータカ州首相)、Balagangadaranatha Swamiji(僧侶)、Muthappa Rai(元マフィアのドン)等、各界の著名人が一言意見を述べるインタビュー・シーンが続き、さらに、愛に起因するネガティブな事例(自殺とか暴力とか)を3つ提示し、それからやっと上の物語が始まる。
 そして物語が終わった後、もう一度冒頭のCGの場面になり、何か丸くて白いもの(雨の神)が大地の神の体内に入る。すると、その体から木々が生え、それまで不毛だった大地も緑でいっぱいに覆われる、というところで映画が終わる。
 なにか壮大で、コンセプトは面白いのだが、ネタや仕掛けの一つ一つが意図不明だったり未熟成だったりして、うまく機能していなかったと思う。

 プレム監督の作品は必ず次の特徴がある。
 ・出会うべき主要登場人物がすれ違いを繰り返し、なかなか会えない。
 ・終わり方が必ずしも八方円満なハッピーエンドというわけではない。
 この作品もまさにそうだった。
 物語では、チャンドゥとサンディヤは結局離れ離れになるが、上に書いた「乞食と女の再会」、「緑に覆われる大地の神」などのエピソードからすると、たぶん将来は結ばれるだろう、否、仮にもしこの二人が結ばれなかったとしても、きっとそれぞれが他の運命の人と結ばれるだろうと、そんな楽観的な信念が感じられ、絶望感というほどのものはなかった。
 しかし、二人が運命の人かどうかは、そりゃあ結ばれれば運命の人なんだろうけど、結ばれなければそうじゃないわけで、それは後になってから分かること。今ここにいる人が運命の人かどうかは「神のみぞ知る」、つまり、結局は誰にも分からないことのはずだ。「世界のどこかに運命の人がいる」というモチーフはメロドラマにはもって来いだと思うが、これそのものをこの作品のように真面目に追求するとなると、行き詰まってしまうのがオチだろう。どうもこの作品はアプローチの仕方が間違っていたように思う。

◆ パフォーマンス面
 俳優としてのプレムは、評価は芳しくないが、私は悪くなかったと思う。しかし、主役を張るよりも、カメオ的な出方のほうがいいと思う。

 二人のヒロイン、サンディヤとインドゥのNamrataとRohiniは、共にムンバイから呼んで来たらしい。しかし、このレベルの女優ならバンガロールにもごろごろいるはずなので、どうしてわざわざムンバイ娘を使ったのか、意図は不明だ。ただし、ソーミャ役のNamrataは笑顔が光っており、もう一度他の作品で見てみたい気はする。
 (写真トップ:PremとNamrata。)

 マッリカ・シェラワトを出したのも意図不明。(まぁ、バンガロールの雑踏で踊るマッリカというのも、私的には興味深かったが。)彼女は、現在制作中のタミル映画の話題作、【Dasavatharam】の出演者でもあるので、もしや、ついでにちょっとお借りして撮影したのかも?

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 ところで、プレム監督の奥方といえば、カンナダ映画界の人気女優だったラクシタ。本作冒頭のインタビュー・シーンに彼女もちらっと顔を出している。

◆ 結語
 【Preethi Eke Bhoomi Melidhe】は、「Prem's World」も「New Philosophy」も空振りに終わった失敗作だ。だが、プレムが目指す世界の美しさが分からぬでもないだけに、非常に惜しい。

・満足度 : 1.5 / 5
 

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【Raj - The Showman】 (Kannada)
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2011/09/06 20:56

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