カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Milana】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/02/20 22:16   >>

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 プニート・ラージクマル主演のカンナダ映画。

 芥川龍之介に『鼻』という有名な作品があり、子供のときに学校で読まされた。
 私はバンガロールで生活していて、この『鼻』をしばしば思い出す。なんで大昔に日本で読んだ小説を今ごろインドで思い出すのだろう、と思えば、その張本人がこのプニート・ラージクマルなのである。

 鼻がでかい。

 プニートはカルナータカでは押しも押されぬ人気スターで、彼の映画はすべてヒットしている。にもかかわらず私が彼の映画を敬遠する理由は、やはりあの鼻なのである。
 ご尊父のラージクマルも鼻は大きかったが、その堂々とした鼻梁には品格漂うものがあった。だがプニートの場合は、威圧感があって、怖いのだ。

 そんな次第で、この【Milana】も観ないリストに入れてしまっていたが、先日の【Flash】のレヴューで触れたとおり、マラヤラム女優のパールヴァティ・メノンが出ているということで、急に観たくなった。
 実は、この作品が公開されたのは去年の9月のことで、堂々150日突破のヒット作となっている。
 (写真上:プニートとパールヴァティ・メノン)

【Milana】 (2007 : Kannada)
監督 : Prakash
脚本 : Prakash, M.S.Abhishek, M.S.Ramesh
出演 : Puneeth Rajkumar, Parvathi Menon, Dileep Rai, Mukyamantri Chandru, Sumithra, Rangayana Raghu, Sihi Kahi Chandru, Umesh, Pooja Gandhi
音楽 : Mano Murthy
撮影 : Krishna Kumar
編集 : S.Manohar
制作 : Dushyanth

《あらすじ》
 ラジオ・ジョッキーのアーカーシュ(Puneeth)は両親の希望に従ってアンジャリー(Parvathi)と結婚するが、まさに結婚式の直後にアンジャリーから「離婚してほしい」と告げられる。彼女はヘーマント(Dileep Rai)という男を愛していたが、父親に強制されてこの結婚式に臨んだからあった。
 アーカーシュもかつて恋人(Pooja Gandhi)がいたが、彼女が両親に強制されて結婚してしまったため、別れることとなった。そんな苦い過去を持つ彼だから、アンジャリーの気持ちも理解でき、離婚に応じる。
 二人は早速裁判所へ行き、離婚の手続きをする。だが、実際に離婚が成立するまで6ヶ月の留保期間があったため、二人は表向きは夫婦として、しかし実際には友達として、一つ屋根の下で生活を始める。
 ヘーマントは行方が分からなくなっていたが、アーカーシュはアンジャリーのためにヘーマントを探し出そうとする。
 ある日、二人がショッピングセンターにいるとき、アンジャリーはヘーマントの姿を見かける。その時は見失ってしまったが、車のナンバーを覚えていたので、アーカーシュに伝える。アーカーシュは自分のラジオの番組を通して情報を集め、とうとうヘーマントと連絡を取ることに成功し、アンジャリーと会わせる。ヘーマントはアンジャリをパーティーに誘う。
 だが、たまたまラジオ番組のインタビューでヘーマントの本心を知ったアーカーシュは、アンジャリーにパーティーに行かないよう忠告する。しかし、聞く耳を持たないアンジャリーはパーティー会場に赴き、ヘーマントに侮辱されることになる。彼女はヘーマントをぶつが、そこへ駆けつけたアーカーシュも彼を叩きのめす。
 その夜、ショックでアンジャリーは首吊り自殺を図るが、アーカーシュが救う。
 アーカーシュはアンジャリーを支え、彼女も次第に明るさを取り戻す。アンジャリーは大学院で勉強するために、アメリカ行きを決意する。
 そんな時、アーカーシュの両親(Mukyamantri Chandru & Sumithra)が二人のアパートへやって来る。アンジャリーは見事に妻の役を演じる。しかし、アーカーシュの母は離婚届の書類を見つけ、事情を知る。
 二人の離婚成立とアンジャリーの旅立ちの前日に彼女の父がやって来る。アンジャリーは父と和解する。また、彼女はアーカーシュを愛していることに気付き、号泣するが、今さらどうにもできない。
 翌日、裁判所で離婚が認められる。アンジャリーは裁判所から直接空港へ向かおうとし、アーカーシュの見送りを拒否する。空しく裁判所で立ちすくすアーカーシュに対して、裁判官は「私は離婚したカップルをたくさん見てきたが、君たちは特殊だ。二人はどういう関係なんだ」と聞く。「単なるベストフレンドです」と答えるアーカーシュに対して、裁判官は「妻というのは人生のベストフレンドじゃないか」と諭す。この言葉を聞いて、アンジャリーを愛していたことに気付いたアーカーシュは、バイクにまたがり空港へと向かう、、、。

   *    *    *    *

 いやぁ、でかっ鼻くんがかなりの男前で、感動しちゃいました、私。

 上のあらすじを読んで分かるとおり、マニ・ラトナムの【Mouna Raagam】(86)やサンジャイ・リーラ・バンサリの【Hum Dil De Chuke Sanam】(99)を思い起こせば、これがどんな作品か想像できる。
 恋愛と結婚、夫婦であることの意味など、インドの恋愛(家族)映画の定番テーマが扱われているが、一つ一つのネタがインド人の感動のツボを押さえており、ヒットしているのも不思議ではない。
 内容的にはオーソドックスなものなのだが、アンジャリが料理が全く出来ないとか、食後にアーカーシュが皿洗いをするとか、バレンタインデーを祝うとか、近ごろの都市部の世相がちらっと垣間見られる。
 娯楽恋愛映画としてはなかなかの出来で、なんかの拍子で観ることになったとしても、お金と時間を無駄にしたとは思わないだろう。
 ただ、この作品にはご都合主義的な筋運びと要らないシーンが多すぎて、映画の質を落としている。それが整理できれば秀作になったろうにと、かなり残念だ。

◆ パフォーマンス面
 プニート・ラージクマルは彼らしい役柄と演技で、良かったと思う。
 鼻のでかさが禍して、つい尻込みしてしまう私であるが、見たら見たで、気さくな好青年に出会うことになり、気持ちは良い。もっと贔屓にしてやらねばなるまい。(と言いながら、先日公開された彼の新作【Bindaas】を観ようか観まいか迷っているのはなぜ?)
 この人、ダンスとアクションは上手く、演技も問題なく、才能という点では特にシャールク・カーンに引けを取るものではない。にもかかわらず、インド映画界における二人のこの格差は何なのだろう?
 ああ! やはりプニートの鼻がもう少し小さければ、インド映画の歴史は変わっていたであろう。
 (写真下:出たっ! プニートの得意技、エビ反りジャンプ。これができると、ダンスでもアクションでもポイントが高くなるのです。)

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 私がこの映画の目当てとしたパールヴァティであるが、間違いなく作品の見どころとなっている。
 さして私の好みでもないのに、たちまち気になる女優の一人になってしまったのは、やはり芝居が上手いからだろう。経歴を調べてみると、ばりばりに演技を勉強したということでもなさそう。映画界でのキャリアも短いのに、これだけの演技ができるというのは大したものだ。きっと女優としての勘が鋭いのだろう。
 カンナダ人は口を揃えて彼女のことを「きれいだ」と言っているが、私は美貌と色気に秀でたタイプではないと思っている。他のアイドル女優とは違った味で勝負してほしい。

◆ テクニカル面
 音楽はマノ・ムルティで、またまた大ヒットとなっている。
 プニートとプージャ・ガンディーのダンスシーンである‘Ninnindhale’は印象に残る曲。だが、‘Male Ninthu Hodha Mele’のほうがもっと耳にこびりつく曲で、私、テレビのカンナダ・チャンネルでこの歌のシーンを見るたびにうるうるしていた。今回、映画本編でこれを見たら、うるうるどころの騒ぎではなかった。(ああ、また他愛のない娯楽インド映画で泣いてしまった。平和なオッサンだ。)

・満足度 : 3.0 / 5
 

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