カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Gaalipata】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/02/12 23:01   >>

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 バンガロールの「若おっちゃん」こと、コメディー・タイム・ガネーシュ主演のカンナダ映画。
 ガネーシュは映画ヒーロー・デビュー作【Chellata】(06)と【Mungaru Male】(06)でたちまち大スターになってしまった。【Mungaru Male】は今もロングランが続くスーパーヒット作だが、その後の【Hudugaata】、【Cheluvina Chittara】、【Krishna】も好調に客を集め、早くも彼は「Golden Star」の称号をいただいている。ガネーシュのおかけで一儲けした映画関係者も多いことだろう。「ゴールデン」と呼びたい気持ちもよく分かる。

 ところが、そんな人気者のガネーシュであるが、「大嫌い」と言っている人も多く、映画の評価もたいてい真っ二つに割れている。
 私は、と言うと、特にガネーシュ・アレルギーはないのだが、【Mungaru Male】の面白さが理解できなかったのは確かだ。(歌は好きで、よく聞いている。)
 この【Gaalipata】も【Mungaru Male】と同じヨーガラージ・バット監督作品で、主演者も共通の人が多く、なにやら【Mungaru Male】パート2といった感じだ。
 今度こそ私はヨーガラージ・バットとガネーシュの世界に入れるだろうか?

【Gaalipata】 (2008 : Kannada)
物語・脚本・監督 : Yogaraj Bhat
出演 : Ganesh, Diganth, Rajesh Krishna, Daisy Boppanna, Neethu, Bhavana Rao, Anant Nag, Padmaja Rao, Raja Rao, Dayal, Rangayana Raghu, Sudha Belawadi
音楽 : Harikrishna
撮影 : R. Rathnavelu
編集 : Suresh Urs
制作 : N. Suryaprakash Rao

《あらすじ》
 ガニ(Ganesh)とディガント(Diganth)とキッティ(Rajesh Krishna)は子供の頃からの親友。おしゃべり好きのガニはMBAを修め、セールスの仕事をしていた。ディガントは医学生で、物静かなキッティはエンジニアだった。
 三人はバンガロールで十分すぎるほどの楽しみを享受していたが、都会の生活にも嫌気がさしていた。キッティはしばらく旅に出ることを提案するが、ディガントの祖父がムギルペーテという高原の村に住んでいたので、三人はそこへ行くことにする。
 ディガントの祖父(Raja Rao)は退役軍人だったが、同じく退役軍人で、自分の弟子だったコダンダラーマ(Anant Nag)の家にお世話になっていた。
 コダンダラーマは妻(Padmaja Rao)と暮らしていたが、その家には娘のラーダー(Neethu)とパワニ(Bhavana Rao)、それに嫁のソーミャ(Daisy Boppanna)も同居していた。ラーダーは医学を勉強し、アーユルヴェーダの研究のため、この田舎で野菜やハーブを栽培していた。いたずらっ子のパワニは大学に入るための勉強中。物寂しげなソーミャは2年前にコダンダラーマの息子と結婚したが、夫の事故死のため未亡人となっていた。そして、村の子供たちに勉強を教えていた。
 三人の男はこの家に寄宿することになる。そして、ガニとディガントはそれぞれソーミャとラーダーに惹かれ、おてんばのパワニはキッティに関心を持つ。
 コダンダラーマは足が不自由で、車椅子に乗っていた。それというもの、村に出没する大イノシシにやられたからであった。この話を聞いた三人は、コダンダラーマらと共にイノシシ退治に出かける。しかし、うまくいかない。そればかりか、ある時、コダンダラーマの撃った流れ弾がディガントに当たり、負傷してしまう。
 パワニはキッティに気持ちを伝えるが、キッティには失恋後遺症があったため、積極的にはなれない。しかし、ガニとソーミャの働きかけで二人の仲はまとまり、パワニの両親も結婚を認める。
 男たちはまたまたイノシシ狩りに出かける。コダンダラーマは猛烈な勢いで自分の方に突進してくるイノシシに驚き、車椅子から立ち上がってしまう。自分の足で立てたことに気付いた彼は、あのイノシシは実はヴィシュヌ神の化身だったんだと、射ち殺さずに感謝する。
 ディガントはなんとかラーダーにプロポーズしたかったが、無愛想な彼女の態度を見て、どうしていいか分からなかった。そこでガニが後押しをした結果、彼女もディガントのことを愛していることが分かる。コダンダラーマは、すでにラーダーのために結婚相手を決めていたのだが、結局はディガントとラーダーの結婚を認める。
 残るはガニである。彼はソーミャにプロポーズするが、彼女はそれを拒否する。ソーミャには再び結婚する意志はなく、NPOの仕事のためスイスへ行くつもりだったからである。
 ソーミャが旅立つとき、ガニが車で送る。二人は途中で車を降り、最後にもう一度川向こうに住んでいる村の生徒たちに会っておこうと、渡し舟に乗り込む、、、。

   *    *    *    *

 高原の村を舞台にし、滝を重要なモチーフに使っているところは【Mungaru Male】とまったく同じ。外見的にはまさにパート2だ。
 舞台となった村はMugilupeteとされているが、ロケ地としてはカルナータカ州の複数の高原地が使われている模様。滝はShivanasamudra Falls。カメラは非常に美しく風景を捉えており、Shivanasamudra Fallsなどは私も見物したことがあるくせに、あそこだとは全然気付かなかったほどだ。またもやインド人観光客を増やすことになるだろう。(【Mungaru Male】のおかげで、MadikeriとJog Fallsは観光客が急増したらしい。)
 美しかったのは映像だけでなく、内容的にも、インド映画によくある貪欲とか憎悪とか復讐とか、そんなどろどろした要素は姿を見せず、穏やかな物語だった。
 「Gaalipata」は「凧」という意味。凧が何を象徴し、どんなふうに映画で使われているかは、見てのお楽しみ。

 思うに、この映画の新鮮な点は、都会に倦んで田舎を目指す若者たちが描かれているところだろう。
 およそカンナダ映画といえば、地方から都会へ出て来くる者たちのドラマが主流で、彼らが暗黒街に迷い込んだり、都会っ子との恋に落ちたりする物語が多かった。だが、この映画では逆に、若者たちが魂の平安を求めて都会を出て行くという、Uターン現象みたいなものが主題に据えられている。
 その主題と呼応して、登場人物の設定にもユニークなものが見られた。隠居してイノシシ狩りに向かうコダンダラーマはどことなく英国紳士風だったし、「アーユルヴェーダ」の研究のために黙々と畑に向かうラーダー、高学歴でありながら、村で思い出の中にひっそりと生きるソーミャと、一味違った人物像が描かれていた。
 やはりカンナダ映画界でも都市富裕層の成長は、映画の志向性を大きく変えつつあるようだ。

 それで、映画の前半はフレッシュで、ノリもよく、イノシシのエピソードも楽しくて、傑作の予感がしたけれど、後半はやや退屈で、普通っぽい演歌的なラブストーリーに終わってしまったと思う。
 どうもヨーガラージ・バット監督というのはセリフのうまさで見せている人のようで、仕掛けや伏線、ひねりの効いたドラマ展開を作るのが下手なようだ。
 となると、言葉が分からない私には厳しく、またしてもバット監督の世界は私の中で炸裂することはできなかった。
 字幕付きDVDの発売を待とう。

◆ パフォーマンス面
 ガネーシュはうまかった。顔とセリフだけで観客を飽きさせないでいたが、それは彼に実力がある証拠だ。
 で、ガネーシュを嫌っている人に何が嫌いなのか聞いてみたら、いろいろある中でも、どうも「泣きすぎ」というのが一番の理由らしい。
 私的には、おしゃべり好きで、いたずら好きで、女好きで、でも失恋してわんわん泣くガネーシュの役柄というのは、新しいタイプのヒーロー像だと思っているのだが、オーソドックスなインド人の価値観にはまだまだ「男子たるもの・・・」というのが残っているのだろう。

 他の出演者もよく演出が付いていた。注目したいのはディガント役のディガントとソーミャ役のデイジー・ボーパンナ。
 ディガントは都会的なハンサムボーイで、三人のヒーローの中では一番人気。ブレイクしそうな気配だ。デイジー・ボーパンナは、これまでBクラスの上位をなんとかキープしている感じだったが、やっと女優らしくなってきたようだ。
 もちろん、アナント・ナーグも相変わらず印象に残る芝居をしていた。
 もう一人、「ドラキュラ」という変な役名だったダヤルも映画に味を添えていた。
 (写真トップ:下段真ん中から時計回りに、Ganesh、Rajesh Krishna、Bhavana Rao、Daisy Boppanna、Neethu、Diganth。)

◆ テクニカル面
 音楽は良いし、ヒットしている。曲の感じから完璧にマノ・ムルティだと思っていたら、ハリクリシュナの担当だった。ハリクリシュナは【Gaja】も現在ヒット中で、今は彼にいい風が吹いている時のようだ。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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