カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Navashakthi Vaibhava】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/02/15 23:34   >>

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 皆さま、皆さま、今回はいよいよカンナダ・神様映画のご紹介です!

 テルグ映画などでは今もコンスタントに神様物・聖者物の映画が作られているが、カンナダ映画ではどうか?という問いが南インド映画ファンの間であった。それで、映画に詳しい幾人かのカンナダ人に聞いてみたところ、2,3年に一度は作られているらしいことは分かったのだが、新作が出ないことには断絶したのか、まだ作る意欲があるのか分からないでいた。
 今回、待望のその新作が出、不肖私めが実地に映画館まで足を運び、この目でしっかりと観て来た。とにかくこれで、今までのところカンナダでも神様映画の伝統は途絶えていなかったことが確認でき、安心した。

 私のこのブログを読んでくださっている方なら、インド映画の神様物がどんなものか認識しておられるはずなので、ここではとやかく言わない。
 私の場合、神様・聖者物としてはまだ【Sri Manjunatha】(01)と【Sri Ramadasu】(06)、【Sri Renukadevi】(03)の3本しか観ていないのだが、活力と情熱に満ち溢れ、視聴覚的にも物語的にも面白すぎる内容にびっくり仰天し、改めてインド映画の凄さを思い知らされた次第である。

 この【Navashakthi Vaibhava】でも、な、な、なんと(!)カルナータカ州に祀られている女神(シャクティ)が9柱も登場し、しかも、それらを艶かしき女優たちが扮するというゴージャスさだ。
 さらに驚いたことに、とうの昔に死んだはずのサウンダリヤが復活し、神々しいお姿を示現しているということなので、果たして私のクンダリニが静かにしていてくれるかどうか。下手すりゃ前立腺肥大もののヤバさである。

【Navashakthi Vaibhava】 (2008 : Kannada)
監督 : Saiprakash
出演 : Shruthi, Ramkumar, Jayamala, Sudharani, Prema, Anu Prabhakar, Vijayalakshmi, Radhika, Dhamini, Ruthika, Ruchita Prasad, Master Ramprasad, Kumari Arpitha, Lakshmi Devi, Krishna, Nagsekhar, Namitha
音楽 : Hamsalekha
制作 : Suresh Kumar Jain

《あらすじ》
 ヴィシュヌ(Ramkumar)とソーバーギャ(Shruthi)の夫婦は貧しいながらも敬虔に暮らしていた。二人は子供に恵まれなかったので、ソーバーギャはナワシャクティ(9体の女神)に頻繁にお参りしていた。その結果、やっと男児と女児を授かることができた。
 二人の子供、プラサド(Master Ramprasad)とデーウィ(Kumari Arpitha)は小学校の成績が悪く、いつも先生に叱られていた。ある時、また先生に叱られた二人は泣きながらナワシャクティにお祈りする。すると女神の化身が現れて、二人に歌と踊りの能力を授ける。
 プラサドとデーウィの歌舞は立ちどころに評判となり、天才児として引っ張りだこになる。その結果、ヴィシュヌとソーバーギャは大金持ちとなる。
 だが、裕福になった二人は傲慢になり、神との約束も神を畏れる気持ちも失ってしまった。ある時、悪魔が取り憑いたヴィシュヌらの親類が7人、家にやって来る。彼らはプラサドとデーウィに毒を飲ませ、昏睡状態に陥らせる。子供たちの病気は病院で診てもらっても、治療不可能ということだった。
 絶望した夫妻は、女神のお告げに従って、カルナータカ州に点在する9つのシャクティ寺院をお参りすることにする。二人はプラサドとデーウィを抱いて、巡礼の旅に出る。それには7人の親類(悪魔)も同行していた。
 それぞれの寺院では、それぞれの女神の霊験で子供たちは回復へと向かう。しかし、いちいち親類たちの計略により、元の木阿弥に戻ってしまう。そんなことを繰り返しながらも、9番目の寺院まで来たとき、子供たちはなんとかダンスができるまでに回復する。しかし、親類たちは非常に強力な黒魔術師と共同し、子供たちの命を奪おうとする。それに気付いた女神たちはムーカンビカ神(Jayamala)を動かす。ムーカンビカ神は他の8体の女神を自身の体に合体させ、パワーアップした神力で黒魔術師と悪魔たちを焼き滅ぼす。
 プラサドとデーウィはすっかり回復し、再び天才児として活躍を始める。

   *    *    *    *

 面白かったです、はい。

 神様映画といっても、主役は夫婦の二人で、子供の病気がきっかけで9つの地母神のお寺を巡礼し、いくつかの試練を経て神々の恩寵を授かる、という物語。
 巡った寺院は、Chamundeswari (Mysore)、Yallamma (Savadathi)、Sharadambe (Shringeri)、Annamma Devi (Bangalore)、Annapurneshwari (Horanadu)、Durgaparameshwari (Katilu)、Banashankeri (Badami)、Parameshwari (Gokarna)、Mookambike (Kollur)。
 上の9つの他に、その近くのお寺も訪れているようで、ロケに使われた寺院は20以上だと思われる。(こりゃあ、ヒンドゥー寺院フェチにはたまらないだろう。)
 残念ながら、私はヒンドゥー教の土着神についてはほとんど無知で、上の寺院の中でも実際に見物したのは3つだけだ。だが、映像を通してみる限り、それぞれかなり渋そうなお寺で、機会があればぜひ訪れたいものだ。

 参考に書いておくと、女神たちを演じた女優は、Jayamala、Sudharani、Prema、Anu Prabhakar、Radhika、Vijayalakshmi、Dhamini、Ruthika、Ruchita Prasad (& Soundarya)。
 サウンダリヤがなんでここにいるのか、どうやって甦ったのか、については、見てのお楽しみ。

 実際のところ、ストーリーはと言えば、上のとおり単純で、メッセージ(教訓)も、富を手にして傲慢になり、信心を忘れるとバチが当たるぞ、ぐらいのもので、なんだか子供だましみたいにも思える。
 神々が活躍するシーンのCGも私の期待を下回るもので、【Sri Manjunatha】とかに比べると、アイデアも技法も格段に落ちると思う。
 にもかかわらず、私は面白いと思ったし、十分に楽しめた。

 まず以って、これが自信満々な勧善懲悪劇だというのが良い。
 私はそもそも勧善懲悪物が大好きで、インド映画を好むのもそのせいだと思うのだが、スーパースター演ずるヒーローが悪玉を叩きつぶすストーリーには理屈抜きに感動する。
 もっとも、何が善で何が悪か?という問題は難しく、単純な勧善懲悪劇は前近代的で幼稚なものとされたりもする。だが、この映画のように、善玉・悪玉がはっきりしている場合にはぴったりのドラマ形態のはずだ。
 それにこの作品は、表向きは女神と悪魔の対決みたいになっているが、実は、夫婦(特に妻・ソーバーギャ)の内面に巣食った悪を滅し去るという、魂の浄化のドラマであり、それが観終わった後のすがすがしさの原因じゃないかと思う。

 9つの寺を順番に回って行くというのも、この作品の面白さになっていたと思う。
 ストーリーとしては水平的な展開になってしまい、盛り上がっては行かないのだが、それでも「次はどんなのが出て来るのだろう」という興味がずっと続いた。
 それぞれの寺院ではその寺の由来やご神体の秘話が賛歌という形で1曲づつ歌われる構成になっていたが、これも賑やかで良かったと思う。

 女神が見せるパフォーマンスとしては、たぶんありがちなイメージが使われていたのだと思うが、それも神様映画初心者の私には面白かった。
 インド女優のど〜んと大きな眼から光線が出たり、眉間のビンディから蜂の大群が飛び出したり、艶々した口から何か霊気のようなものが出て悪魔を懲らしめるというのは、面白いとかカッコいいとか言うより、まったくセクシーだった。

 と、私は痛く感銘を受けた本作であるが、周りのインド人(若者たち)は誰も見とらん。見る意志もなさそう。
 で、どうしてだ?と問い詰めたら、「こういう映画はねぇ、田舎のオバサンが見るものなんですよ」と言われてしまった。
 トホホ。
 きっとインドもスーパースターよりスーパーマン、ハヌマンよりスパイダーマンが好まれる時代になっているのだろう。
 こんな罰当たりなインド人たちは放っておいて、日本の皆さま、一緒に神様映画を楽しみませんか?
 (写真トップ:ずらりと並んだ女神たち。こんなフィギュアがあったら集めたいものだ。)

・満足度 : 3.5 / 5
 

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