カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Gooli】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/04/01 22:52   >>

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 先日の【Avva】の前置きで、「この頃のカンナダ映画には勢いが感じられる」と書いた。その根拠として、新聞の映画欄の星印数を挙げておいたが、実はもっと重要なこと、つまり、他州映画産業界からの女優の出演がにわかに増えた、ということもある。
 もちろん、カンナダ映画界にも昔からボリウッド女優やタミル女優などが来ていたが、近ごろアイドル的な人気を誇る女優はなぜかマラヤーラム、タミル、テルグには出演するが、カンナダ映画にはほとんど出ないという、カンナダ・パッシング現象が起きていたように思う。
 それが、ここ1年は風向きが違い、ミーラ・ジャスミンは早くから来て成功を収めていたが、パールヴァティ・メーナン、ナヴィヤ・ナーイル、チャルミー、ハンシカと賑やかになってきたと思っていたら、この【Gooli】のマムター・モーハンダース(!)に【Satya In Love】のジェネリア(!)である。
 今さらアシンやトリシャーが来るとは思われないが、プレーム監督の次作にはイリアナやシュリヤー・サランが出るという「噂」もあり、この勢いはしばらく続きそうだ。

 彼女たちのこの動きの背景には、タミルやテルグでひと仕事終えたので、次はカンナダ、という単純な理由もあると思うが、こうした「出稼ぎ女優」はまずお金のある所に動くはずなので、カンナダ映画界がそれなりに予算を組めているということなのだろう。
 IT都市バンガロールのバブル・マネーはついに映画界をも動かしたか!
 その真偽はさておき、より身近な形でアイドルたちを拝めるようになって、私はシアワセである。

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 さて、そのマムター・モーハンダースであるが、彼女を純粋なケーララ人と呼べるかどうかは疑問だが、まぁ、マラヤーラム女優に入れてもいいだろう。
 彼女については、私も注目しているファンの一人だが、すでに面白い存在になっている。さして当たらないことで有名な私の予測であるが、こと彼女に関しては、間違いなく何か「やらかしてくれる」だろう。

 ヒーローのスディープももともと注目している俳優で、つまりは、この【Gooli】自体が私にとって注目の1本というわけだ。
 (上の写真:SudeepとMamta Mohandas。)

【Gooli】 (2008 : Kannada)
物語・脚本・監督 : P. Sathya
出演 : Sudeep, Mamta Mohandas, Kishor, Bhavya, Rekha V. Kumar, Laxman, Sathyaraj, Rajashekhar, Yethiraj, P. Sathya
音楽 : Anoop
撮影 : P.L. Ravi
制作 : Ramu

《あらすじ》
 グーリ(Sudeep)はどこの組にも属さないフリーのヤクザだったが、その活動の目覚しさから暗黒街でも一目置かれ、利害の衝突したマフィアから常に命を狙われていた。
 ラミャ(Mamta Mohandas)は裕福な女子大生で、建築会社を経営する二人の兄、およびその家族と同居していた。
 ラミャの兄たちは土地を専門に扱うマフィアのセルワに恐喝されていた。兄たちはグーリを刺客として雇う。グーリはセルワを殺害するが、部下の一人、マッテ・シーナ(P. Sathya)を取り逃がしてしまう。
 その過程で、ラミャはグーリと出会い、強い印象を受ける。
 ある時、グーリは貧しい男から娘の結婚問題について相談を受ける。その娘はある男と結婚を前提に付き合っていたが、騙されてしまい、その男は他の女と婚約することになったからである。グーリは婚約式の会場に乗り込み、男の非を諭す。だが、たまたまその男の婚約相手はラミャの友達で、彼女もその場に来ていた。グーリの行動を見たラミャは完全に惚れてしまう。ラミャは、同じくその婚約式に出席していた警視(Kishor)の口から、グーリが悪名高きヤクザであることを知らされる。
 しかし、ラミャは大胆にもグーリのアジトに赴き、グーリの仲間から彼の電話番号を聞き出す。
 一方、かつてのセルワの部下マッテ・シーナはグーリと敵対するムスリムのマフィア、ファヤーズと結託し、虎視眈々と彼の命を狙っていた。
 ラミャはグーリを呼び出し、プロポーズする。グーリはそれを一蹴してその場を去るが、その様子を監視していたファヤーズ一味によってラミャは誘拐されてしまう。
 グーリはラミャの解放を条件に敵方のアジトに姿を現す。ラミャは解放されるが、グーリは捕われの身となる。しかし、大乱闘の末、彼は脱出に成功する。危険な目に遭いつつも、ラミャはグーリにまとわり付く。その度にグーリはラミャを遠ざけるが、しかし彼の仲間のナインティーという男は、グーリも実はラミャを愛していることに気付いていた。ラミャもその事実を知る。
 ナインティーは、グーリが女を愛してしまい、心が揺らいでいるのを見て、ヤクザとしてのグーリを見限り、敵方のファヤーズの組に寝返る。
 グーリとラミャが会っているとき、ナインティーに誘導されたファヤーズ一味が二人を襲う。二人は何とか難を逃れるが、その時ラミャは「せめて1日だけでも結婚してほしい」と訴える。グーリは彼女の愛を受け入れ、刃物を捨てる。
 グーリはラミャの兄たちに会い、結婚の許可を求める。兄たちは賛成し、結婚式が執り行われることになる。しかし、兄たちの許諾は表面的なもので、彼らはファヤーズに結婚式の時にグーリを殺害するよう依頼していた。
 結婚式会場にナインティーが斧を持って侵入する。ヒットマンの銃もグーリに狙いを定めていた、、、。

   *    *    *    *

 と、あらすじではここまでしか書かなかったが、この後に驚きのラスト20分があるのである。
 おそらく、この映画を観る日本人はほとんどいないと思われるので、最後まで書いてしまってもよかったのだが、やはりネタはばらしたくない。

 その「ラスト20分」のおかげで、なんとも評価の難しい作品となっている。
 前半は、というより、まさに映画の2時間ぐらいまでは、あるヤクザが女性を愛して足を洗う決意をするという、暗黒街映画によくある平凡な展開で、むしろ、カメラワークも編集も落ち着きがなく、美術的にも趣味が悪くて、どちらかというと駄作といえる質のものだった。
 だが、結婚式のシーンからトーンがぐっと変わる。
 このクライマックスをどう受け入れるかで、作品全体の評価が決まるだろう。不快に感じた人、滑稽に思った人、衝撃を受けた人など、いろいろいると思う。
 私は衝撃を受けた口で、忘れようにも忘れられない作品となった。

 サティヤ監督の作品としては、私は【Majestic】(02)しか観ていない。
 【Majestic】もやはり足を洗おうとするヤクザの物語で、「愛」や「人間らしさ」とは無縁だった男が堅気の女性を愛したことから「心」を獲得するものの、結局は権力者に圧殺されるという悲劇だった。悲劇には違いないが、「孤児(主人公たち)にはいつも神様が付いていてくれる」というセリフがあり、救いを信じる姿勢があった。
 この【Gooli】も同じようなコンセプトを踏襲している。
 終わり方としては一段と重たくなっているが、どん底の淵でグーリが見せた決意の強さに一縷の救いを感じた。

◆ パフォーマンス面
 主役のグーリを演じたスディープであるが、実際のところ、どうして彼がこの作品に出たのかは疑問だった。
 もともとアクションも得意とする俳優だったが、近ごろは監督として【My Autograph】(06)と【No.73 Shanthi Nivasa】(07)を撮り、アクション封印、知的なイメージで売り込んでいたからだ。
 だが、まぁ、最後まで観ると、スディープ好みのラディカルな作品だったことは分かった。

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 もっと難しいのはマムター・モーハンダースのほうだ。
 よくこの作品に出ることを承諾したものだ。たいていの女優ならこんな役柄は嫌がるだろう。もしや、彼女は作品のディテールを知らされずにサインをしたのでは、と訝るほどだ。
 この作品が今後の彼女のキャリアにとってプラスとなるかマイナスとなるか、それは分からないが、やはりマムターは曲者だった、ということだけは確かに言えると思う。
 演技としては、良かったとか悪かったとかではなくて、とにかく、ご苦労様でした、と言いたい。
 自信はないが、もし私がこの作品のグーリだったら、やはりあのようにマムターを抱きかかえてあげたいものだ。

 (と、今回は初めから終わりまで奥歯に物のはさまったような言い方になって、えらいスンマセン。)

・満足度 : 3.5 / 5
 

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