カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Santhosh Subramaniyam】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2008/04/26 16:02   >>

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 テルグ映画のブロックバスター、【Bommarillu】(06)のタミル語版リメイク。
 この映画はバンガロールではやらないだろうと思っていたし、やっても、どうせ【Bommarillu】ほどの輝きはないだろうと思われたので、知らんぷりを決め込むことにしていたら、予想に反してバンガロールでも公開となった。
 しかも、自宅から徒歩10分の所にある映画館にもかかっていたので、ジェネリアの顔を見がてら、会社の帰りにぶらっと観て来た。

 思えば、幼い頃の私の記憶では、ちょっとした町にも映画館が1つや2つあり、たいていの映画は家族揃って歩いて見に行けた。しかし、私が小学校に上がる頃には、そうした町の映画館はすっかり姿を消し、映画といえば繁華街まで電車に乗って見に行くものとなってしまった。
 それが、インドでは町の映画館がなお健在で、夕方からでも気軽にサンダル履きで出かけることができ、終わったらやはり近くの酒場で一杯ひっかけながら、作品についてあれこれ思いを巡らす。しかも、こんなことがたったの数百円でできるのだから、なんともインドは映画好きにとって幸せな所である。

【Santhosh Subramaniyam】 (2008 : Tamil)
監督 : M.Raja
出演 : Jayam Ravi, Genelia, Prakash Raj, Sayaji Shinde, Geetha, Kirat Bhattal, Sathyan, Santhanam, Premji Gangai Amaran, Srinath, M.S.Bhaskar, Vijayakumar, Kausalya, Sadagoppan Ramesh
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : Kannan
編集 : Mohan
制作 : Kalaprathi S Agoram

《あらすじ》
 サントシュ(Jayam Ravi)は裕福な家庭の次男坊。彼には2つの希望があった。1つは、自分の手で事業を始めること、2つ目は、理想の女性と恋愛結婚すること。
 だが、サントシュの父・スブラマニヤム(Prakash Raj)はそれを許さない。スブラマニヤムは、子供には何でも与えるが、子供が本当に欲しているものは何か、何一つ気付かないタイプだった。
 そんな父だったから、サントシュの縁談も独断専横、瞬く間にサントシュのフィアンセも決まってしまう。
 だが皮肉なことに、婚約が決まった直後に、サントシュはハシニ(Genelia)と出会い、一目惚れする。
 ハシニはサントシュの大学の後輩で、お寺の管理をしている小役人の父(Sayaji Shinde)との二人暮しだった。彼女はどこか調子っ外れだが、したいことを自然にするタイプの女性だった。サントシュはそんな彼女にますます惹かれ、何度かデートしているうちに、ハシニもサントシュを愛するようになる。
 だが、父のスブラマニヤムは二人の関係に気付く。激怒する父に対し、サントシュは、ハシニを家に呼び、1週間家族と共に生活させてみて、彼女が自分に相応しくないかどうか判断してくれと懇願する。スブラマニヤムはこれを受け入れる。
 ハシニとスブラマニヤム家の奇妙な共同生活が始まる。始めこそ、ハシニのすっとんきょうな言動は家族を当惑させたが、やがて彼女の率直で裏表のない性格に家族も惹かれ始める。だが、サントシュは焦り、何度も彼女をコントロールしようとする。
 そうして予定の7日が終わったが、意外なことに、ハシニは自分のほうからサントシュを受け入れないと言って、家を去る。
 絶望したサントシュは父に対し、ハシニが出て行ったのは何を意味するのか、自分たち父子の間にこれまでどんな問題があったのか、切々と訴え始める、、、。

   *    *    *    *

 映画開始後5秒で、これがオリジナルをピッタリなぞったリメイク作品であることが分かった。ここまで同じだと、リメイクというより、クローンだ。
 なので、特別な理由がない限り、すでにDVDが出ている【Bommarillu】だけ観ておけば十分だろう。
 ただ、本作はコピーとしては完璧に近く、演技陣も頑張っており、そもそもオリジナル自体が面白いものなので、【Bommarillu】の代わりにこれを観たとしても、すごく楽しめると思う。(事実、観客の反応はかなりよかった。)

 それにしても、監督のラージャと主演のラヴィは兄弟だが、この二人のキャリアは結構笑える。(ついでに、父はプロデューサー&編集者のモハンで、本作でも編集を担当している。)
 まず、兄のラージャ監督は、デビュー作の【Hanuman Junction】(01)からこの【Santhosh Subramaniyam】まで、5作がすべてリメイク。(うち4作がテルグ映画のヒット作。)
 ラヴィのほうは、主演作9本のうち5本がテルグ映画のリメイク作品。
 しかも、この兄弟が手がけた前作の【Something Something ... Unnakum Ennakum】(06)は【Nuvvostanante Nenoddantana】(05)のリメイクなので、この【Santhosh Subramaniyam】と併せて、2回連続シッダルト物のお世話になっているわけだ。
 この二人がいかに他人のふんどしで相撲を取っているかがよく分かる。
 こうなると、「ちょっとはオリジナルで勝負せいっ!」との非難の声が上がってもよさそうなものだが、特にそんなこともなく、「コピー屋ラージャ」とか「猿まねラヴィちゃん」とか言われているのを聞いたことがない。むしろ二人の名声は上がる一方のようで、この辺の寛大さがインドらしい。
 というより、主にリメイク作品でスターにのし上がった俳優や、大儲けした監督、プロデューサーも珍しくないので、つまりはインド映画産業界というのがそういうものなのだろう。(オリジナル作品でも、これは純粋なオリジナルだ、と言えるものも少ないし。)

 クローン映画だとは言え、2作を見比べると、やはり気にかかる点はある。(以下、数点羅列。)

1.まず、私の最大の興味は、オリジナルでは父親役のプラカシュ・ラージがハシニの名前を間違えて「ハリニ」と呼んでしまうシーンがあるが、同じネタを使っているか?
 結論から言うと、「ハリニ」とは呼ばなかった。では、何と呼んだかについては、見てのお楽しみにしたい。(上で、【Bommarillu】だけ観ておけば十分だろう、と書いたのと矛盾するが、酔狂なファンのために。)

2.【Bommarillu】では、バスに乗っているジェネリアが教会の前で十字を切るシーンがあるが、この【SS】でもまったく同じことをしていた。ジェネリア自身はクリスチャンだとはいえ、ヒンドゥー教徒という設定なので、これはどうしてか?

3.配役は、プラカシュ・ラージとジェネリア以外は総入れ替えだと思っていたら、もう一人、サントシュの義姉役の女優が同じだった。この人の個性的な声は【Bommarillu】でも印象的だったので、またあの声が聞けてうれしくなった。(写真下の左端。ついでに中央は母親役のギータ、右端は姉役のカウサリヤ。)

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4.音楽はデヴィ・シュリ・プラサドで、曲のラインナップはオリジナルとまったく同じ。お寺でのダンスシーンのみ、若干メロディーを変えていたと思う。
 シッダルトも歌っているはずだが、認識できず。

5.【Bommarillu】の意味は「人形の家」だが、【Santhosh Subramaniyam】は子と父の名前がタイトルになっている。その良し悪しは別として、Santhoshは「幸福」という意味で、本作では、父のせいで自分は幸福(Santhosh=自分自身)を失う、とダブルミーニングになっていた模様。

◆ パフォーマンス面
 さて、主演のジェイヤム・ラヴィについてであるが、上では「シッダの猿まね」みたいな書き方をしたが、思ったより良い俳優なのである。
 男前で体格も良く、ダンスもできるし、演技も本作を見る限り特に問題はなく、こりゃあ、次世代のスターとしてかなりいい所まで行きそうだ。(武術もできるらしい。)
 ヴィシャール氏の強力ライバル現る!といったところか?
 今のところリメイク作品が多く、習作段階といった感じもあるが、【Deepavali】(07:Ezhil監督)の音楽シーンを見る限り、いい雰囲気も出せている。(この【Deepavali】は見逃してしまったが、Yuvan Shankar Rajaの音楽が良く、気にかかる作品だ。)
 次作はおそらくジーワ監督の遺作【Dhaam Dhoom】で、ボリウッドのカンガナ・ラナウトとの共演ということもあって、注目したい。
 (写真トップ:ラヴィとジェネリア。意外と似合うジェネリアとサトウキビ。)

 ジェネリアは、役柄の性格付けも演技のコンセプトも、オリジナルと同じ。
 ただ、私見では【Bommarillu】のほうが良い。これは、2年経ってゲンちゃんが老けちゃった、というわけではなく、メイクアップのせいだと思う。
 ゲンちゃんだけでなく、本作の登場人物はすべて白く塗りすぎで、不自然だった。
 ところで、タミルナードゥの人はよっぽどジェネリアという名前に愛着を感じないのか、本作の宣伝ポスターでは「Genelia」の綴りが「Jenilia」となっていた。

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◆ 結語
 初めて【Bommarillu】を観たときは、字幕無しだったもので、細部も分からず、誤解していたところもあった。その後字幕付きDVDで鑑賞し、今回この【Santhosh Subramaniyam】も観て、やはりこの作品がよくできたものであることを再認識した。
 未見の方は、とにかく一見をオススメする。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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