カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Sathya in Love】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/04/15 22:17   >>

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 先日の【Gooli】の紹介文で、他州で活躍する人気女優たちがカンナダ映画にも出演し始めているということ記したが、その今年一番の目玉がジェネリアであり、作品としてはこの【Sathya in Love】だろう。
 ジェネリアといえば、南インド(特にテルグ)では絶大な人気を誇り、ここバンガロールでも人気は高い。(そのくせ【Mr.Medhavi】は公開してくれなかったので、私はお冠である。)
 彼女の場合、男だけでなく女性からも支持されているのが強みだ。
 【Bommarillu】(06)を観ていたとき、普通、スクリーンにヒロインが登場したときは、お行儀の悪い男連中から歓声の声が上がるものだが、この場合は特別で、女子大生と思しき一団から「ぢぇねりあ〜!」と嬌声が上がり、危うく私はバルコニー席から転落死するところだった。
 ジェネリアが体現している新しい女性像は、かくも都市部のギャルたちをインスパイーしているということだろう。
 ところで、このジェネリアとカンナダ映画界の大スター、シヴァラージクマールが共演するというニュースを聞いたとき、私はにわかには信じられなかった。「えっ、本当にカンナダ映画に出るの?」、「なんでシヴァラージクマールなの?」というのが素朴な実感だった。
 もちろん、俳優として、キャリアも格もずっと上のシヴァラージクマールに対して、ジェネリアの相手役として相応しくないと言うのは失礼なことだが、どうしてもこの二人のツーショットが想像できなかったのである。
 こりゃあ、よっぽどの野心作か失敗作になるに違いないと、期待と不安で一杯の日々だった。

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【Sathya in Love】 (2008 : Kannada)
物語・脚本・監督 : Raghav Loki
出演 : Shivarajkumar, Genelia、Srinath, Vinayaprakash, Sangeetha, Bullet Prakash, Komal Kumar, Jayaprakash Reddy, Subbaraju, Ajay, M.S. Narayana, Narsing Yadav, Pavitra Lokesh
音楽 : Guru Kiran
撮影 : M.R. Seenu
制作 : T.N. Ramesh

《あらすじ》
 サティヤ(Shivarajkumar)は単純で一本気な男だった。両親(Srinath & Vinayaprakash)はそろそろ結婚を、と考えていたが、彼は気の向くままに自由に暮らしていた。姉(Sangeetha)は隣家の娘との結婚を勧めるが、彼は彼なりに理想の女性を思い描いていた。
 ある日、サティヤは家族揃ってアーンドラ・プラデーシュ州のマントラーラヤにある寺院へお参りに行く。その境内で、彼は発作で倒れた人を手当てしている女性(Genelia)を見かけ、一目惚れする。女性の姿は見失ってしまったが、サティヤの吹くハーモニカのメロディーが彼女の耳に残る。サティヤはその女性を探すためにマントラーラヤに残ることにする。
 しかし、駅で家族を見送るとき、サティヤはその女性が列車の中で家族たちの前に座ったのを知り、タクシーを飛ばしてバンガロールに戻る。
 家族からその女性のだいたいの居場所を聞いたサティヤは、友人たちと捜索を開始する。しかし、見つからない。途方に暮れたサティヤが吹くハーモニカのメロディーがまたもや女性の耳に届くが、彼女は誰が吹いているのか分からなかった。
 サティヤたちは列車の乗客リストからその女性の名がヴェーダであることを知り、彼女の住んでいる学生寮も突き止める。
 サティヤたちはその寮へ行くが、ヴェーダは実家に帰省していた。管理人に住所を尋ねても教えたもらえなかったが、守衛に小金を掴ませて聞き出すことに成功する。
 ヴェーダの実家はアーンドラ・プラデーシュ州のカルヌールにあった。サティヤは早速現地に赴き、気のいいムスリムのオート運転手(M.S. Narayana)と親しくなる。
 サティヤは寮からこっそり拝借したヴェーダの写真を持っていたので、それを手掛かりに探し始めるが、たまたまヴェーダの兄(Ajay)に見つかり、手荒い襲撃を受ける。ヴェーダは、実は当地を取り仕切る豪族、ランガ・レッディ(Jayaprakash Reddy)の娘だったのである。ランガ・レッディは、ヴェーダに触れただけでもその男の手足を切り落としてしまうほど、ヴェーダを可愛がっていた。
 そうとは知らず、サティヤはヴェーダの家に乗り込む。そして叩き出されるが、その時、ハーモニカを落としてしまう。たまたまそのハーモニカを手にしたヴェーダは、耳に残る例のメロディーを吹く。サティヤはその様子を目撃する。
 ランガ・レッディの手の者たちは、サティヤがオート運転手の家にいることを知り、サティヤを引き摺りだして処分しようとする。オート運転手はヴェーダに会い、サティヤを助けるよう懇願する。ヴェーダの義姉(Pavitra Lokesh)も彼女を説得する。
 何とか難を逃れたサティヤは、その晩、ヴェーダの部屋に行き、彼女にもう一度会ってくれるよう約束を取り付ける。
 翌日、丘の上の古寺でサティヤはヴェーダに思いを伝える。しかしヴェーダは、自分のためにサティヤが殺されるのを忍びず、バンガロールへ帰るよう懇願し、彼にハーモニカを返す。
 そこへ、ランガ・レッディが身内の者を従えて、猛烈な勢いでやって来る、、、。

   *    *    *    *

 蓋を開けてみると、野心作でも失敗作でもなく、普通作だった。
 普通作というのは凡作という意味ではなく、シヴァラージクマールとジェネリアの取り合わせから、あり得ない恋の物語がヒネリと共に繰り出される異色作では、とも期待していたら、ごくごく正攻法の、南インド映画の王道を歩むような作品だった。

 多くの部分は非常によくできているのだが、観終わった後はなんだかしっくりしない感じがあった。
 始めと終わりが良くない。
 ヒーロー志向の南インド映画は、たいてい始めに主人公を導入するアクションとダンスが1シーンずつあり、ツカミはOK!と来るものだが、本作はそこがドン引きの出来だった。
 それで、これは失敗作かな、と思っていたら、本筋の展開と共にテンポよく盛り上がり始め、コメディーもダンスもうまく機能し、気持ちよく後半へ突入した。
 しかし、肝心のエンディングはどうかなぁ?という結果だったと思う。(クライマックスのアクションは良かったけど。)
 そこのところ、監督にはもうひと踏ん張りしてほしかった。

 この作品の特殊なところは、後半の会話の多くがテルグ語になっていることだ。
 監督は、リアリティを出すため、と説明していたが、確かに後半の舞台はアーンドラ・プラデーシュ州で、登場人物の設定もテルグ人、演技陣もテルグの役者たちを起用していたので、ごもっともと言える。しかし、そのせいでカルナータカの観衆には甚だ評判が悪いようだ。
 そもそも、この物語は舞台をすべてカルナータカ州にしても成立したはずで、それをわざわざAP州に移す理由は何だったのだろう? ジェネリアの人気の中心地がテルグ映画界なので、本作のテルグ語ダビング版を作って、AP州でも公開しようという意図があるのかもしれない。それにしても、本作は内容的に「カルナータカ州vsAP州」みたいなところがあり、かなりカルナータカ賛美をしている部分もあるので、AP州の観客に受け入れられるとは考えにくい。ちょっと首をかしげるところだ。

◆ パフォーマンス面
 仮にこの映画がヒットしなかったとしても、シヴァラージクマールには責任はないだろう。あの、甚だ評判の悪いヘアースタイルは別にして、演技は納得できるものだった。
 さしてハンサムでもスタイルが良いわけでもなく、ダンスが図抜けて上手いわけでもなく、カンナダ映画に馴染みのない人にとっては、どうしてこの人が大スターなのか理解しにくいかもしれないが、いつも一本芯の通った演技を見せてくれ、やはり良い役者なのである。

 ジェネリアは申し分のない可愛らしさだった。
 冒頭のクレジットで、ジェネリアの名前の上にわざわざ‘First time in Kannada’と入れるほどの歓迎のしようだったが、その割には出番が少なかったぞ! (しかも、スペルがGeniliaになっていたし。)
 彼女はもっといろいろできる女優なので、クライマックスではもう少し見せ場を作り、しっかり演出もつけてほしかった。これも監督の踏ん張りが足りなかった点だと思う。
 サティヤが落としていったハーモニカをジェネリアが吹くシーンが妙に艶めかしく、印象に残っている。そこで、今回の私の妄語録は、、、
 「ああ、私はハーモニカになりたい!」


《特別企画 ・ 再現! クライマックス》

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サティヤ「惚れとるんや! ワシのこのハートビート、聞こえるか?」

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ヴェーダ「オッチャン。ウチ、オッチャンのこと、なんとも思てへん。
      ハーモニカ返すさかい、ウチのこと、忘れて。」

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サティヤ「ちょっと待てぃ! ほな、なんでワシのハーモニカ聞いて、
      反応したんや!」と、なおも食い下がるサティヤであった。

◆ テクニカル面
 後回しになって申し訳ないが、音楽はグル・キランが担当しており、彼にとっては50作目となる記念作品だ。
 グル・キランらしい曲を揃えており、この音楽CDはオススメできる。
 テーマ音楽の旋律は物語の中で効果的に使われており、映画館を出た後も耳に残る。
 ダンス・シーンも楽しく、映画館でもDVDでも観るチャンスのない人は、YouTubeなどを通して、せめてダンス・シーンだけでも楽しんでもらえればと思う。

◆ 結語
 【Sathya in Love】は、作品全体としてはまずまず楽しめるものだが、「ジェネリアがカンナダ映画に出る」、「シヴァラージクマールと共演する」ということが事件に感じられる人には物足りなさが残るだろう。
 ジェネリアに「二度とカンナダ映画に出るもんか!」なんて言わせないためにも、なんとかヒットしてほしい。(二度と出ないと思うけど。)

・満足度 : 3.0 / 5
 

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