カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Vellitherai】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2008/04/09 23:12   >>

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 所用があって、チェンナイへ行って来た。
 このところ、例のカルナータカ州とタミル・ナードゥ州間の水問題が再燃し、バンガロールでも再びタミル映画が上映自粛となってしまった。
 それで、チェンナイへ来たのを幸いと、この際2,3本のタミル映画を観ておこうと思っていたら、当地でもこの問題で映画産業界が抗議行動に入り、チェンナイの映画館がすべて1日ストを決行してしまった。
 なんとも運の悪いことで、結局、この【Vellitherai】しか観られなかった。

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 さて、怪優プラカーシュ・ラージは去年【Mozhi】をプロデュースし、ヒットさせた。それに気を良くしたのか、再びプリトヴィラージを相方に据え、この【Vellitherai】の制作である。
 本作は、名作の誉れ高いマラヤーラム映画【Udayananu Tharam】(05:Rosshan Andrrews監督、Mohanlal主演)のリメイク。
 タイトルの「Vellitherai」は「銀幕」という意味。
 はてさて、プラカーシュ・ラージは2匹目のどじょうをゲットできたか?

【Vellitherai】 (2008 : Tamil)
脚本・監督 : Viji
出演 : Prthiviraj, Prakash Raj, Gopika, Sarath Babu, Sampathraj, M.S. Baskar, Lakshmi Rai, Kumaravel, Charlie, Satyan, Trisha(特別出演), Sandhya(特別出演), Jayam Ravi(特別出演)
音楽 : G.V. Prakash Kumar
撮影 : M.V. Panneerselvam, K.V. Guhan
制作 : Prakash Raj

《あらすじ》
 チェンナイの映画産業界に二人の下積み男がいた。
 サラヴァナン(Prithviraj)は映画監督を志しており、努力家で、映画理論についても精通していた。他方、友人のカンナイヤ(Prakash Raj)は大スターになることを夢見ながらも、16年も目が出ず、焦りが募る日々だった。
 カンナイヤは人気女優のマイティリ(Gopika)に憧れていたが、彼女は下積み時代からサラヴァナンを慕っており、それがカンナイヤの癪に障るところでもあった。
 ある日、サラヴァナンが不在のとき、カンナイヤはサラヴァナンの書いた脚本を盗み出し、プロデューサー(Sarath Babu)に売り込む。これはまんまと成功し、カンナイヤ自身が主役の映画として撮影が始まる。
 後日、それを知ったサラヴァナンは憤るが、時すでに遅し、逆にカンナイヤから圧迫を受ける。
 一方、マイティリは、阿漕な兄・ディネーシュ(Sampathraj)に気乗りがしない映画出演を強要され、虐待されていた。彼女はサラヴァナンの家に駆け込み、二人は結婚することにする。結婚後、マイティリは女優業を引退する。
 そうこうしているうちに、カンナイヤ主演の映画が公開され、記録的な大ヒット。カンナイヤは名前を「ディリープカーント」に改め、一躍大スターに躍り出る。
 反対に、サラヴァナンの方は苦境続きで、生活にも困り、タクシーの運転手さえ始めたほどだった。マイティリはそんな夫を見て、自分の存在がプレッシャーを与えると思い、実家に戻る。
 ショックで落ち込むサラヴァナンに対して、プロデューサーが救いの手を差し伸べる。彼はサラヴァナンに映画を撮るチャンスを与えるが、カンナイヤを主役とすることを条件として提示する。サラヴァナンはこれを飲むしかなかった。
 だが、案の定、撮影は難航した。カンナイヤは撮影に非協力的であるばかりか、マイティリがサラヴァナンと別居状態なのを知り、ディネーシュと図ってサラヴァナンに離婚を迫る。さらに、クライマックス・シーンを巡って二人の意見が対立し、とうとうカンナイヤはロケ地から引き揚げてしまう。
 映画は撮影中止の危機に陥るが、サラヴァナンは一計を案じ、プロデューサーやヒロインのラクシュミ(Lakshmi Rai)、友人のムスタファ(Kumaravel)、さらにはカンナイヤの運転手(Satyan)までにも協力を願い、カンナイヤに対して罠を仕掛ける、、、。

   *    *    *    *

 それで、映画は完成へと漕ぎ着けることができるのか、サラヴァナンはカンナイヤに対して一矢報いることができるのか、マイティリはサラヴァナンの下に戻って来るのか、などがエンディングまでの焦点となるが、最後までずいぶん面白く鑑賞できた。

 オリジナルのマラヤーラム版は観ていないのでなんとも言えないが、配役(モーハンラール→プリトヴィラージ、シュリーニワーサン→プラカーシュ・ラージ)の違いからすると、ストーリーはほぼ同じでも、テイストはがらりと変わっているのではないかと推測される。この点、オリジナルもぜひ観てみたい。
 マラヤーラム版では、実際の映画界の出来事や映画関係者をネタにした風刺やパロディーが散りばめられているそうだが、たぶんこのタミル版でも同じことだろう。しかし、言葉が分からないため、そこまでキャッチできず、残念だった。また、タミル映画界の楽屋ネタ、ゴシップに精通している人なら、もっと楽しめたことだろうと思う。

◆ パフォーマンス面
 配役とそのパフォーマンスについては、マラヤーラム版との比較は抜きにして、適材適所でうまくいっていたと思う。
 サラヴァナン役のプリトヴィラージは、「インドにもいたんだなぁ、こんな監督志望の映画オタクが」というような役柄を健気に演じていて、ますます好きになった。
 俳優としては相変わらずのオーラのなさであるが、そこがまた魅力なのかも。スーパースターもメガスターもいいが、オーラがありすぎて近寄りがたい。その点、プリトヴィ君となら、安酒場で安ウォッカを飲みながらの映画談義も可能では、と思わせるほどの距離感の近さだ。
 (写真トップ:友に裏切られ、仕事もなく、嫁はんにも逃げられたサラヴァナン by プリトヴィラージ。そりゃあ、髪も薄くなるというものさ。)

 カンナイヤ役のプラカーシュ・ラージについては、何も言うことなし。
 裏切り者、才能のない野心家、傲慢な小心者、こんな役柄をやらせたら上手いなぁ、、、と、どこまで演技か分からなくなる。
 しかし、芸名が「ディリープカーント」とは! こりゃ、日本だと「高倉錦之介」ぐらいの迫力かなぁ?
 (写真下:非常に誤解を招くスチールだが、本作はプラカーシュ・ラージとラクシュミ・ラーイのロマンス劇ではございません。これは劇中劇の1シーンです。それにしても、二人のこの食い合わせの悪さは如何に?)

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 ヒロイン、マイティリを演じたゴーピカは、、、ああ、また私のマラヤーラム女優メロメロ・トークが始まってしまうが、本作でもぱりっぱりのアイドル女優から悩める主婦まで、素敵に演じていた。
 思い返せば、私、これまでゴーピカ嬢を映画館で見たのはタミル映画の【Autograph】(04)だけだったが、それが尋常ならぬ輝きを放っていたものだから、まぁ、あれ1本でファンになったとしても、だれも文句は言わないだろう。もしゴーピカが同じクラスにいて、保健委員長をやっていたとしたら、私、毎日おなか痛くなっちゃうな。
 (写真下:「アタシの存在は何なん?」と思い煩い、家を出るマイトリ by ゴーピカ。)

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◆ 結語
 【Vellitherai】は、レヴューの評価としてはそう高くはないのだが、これはおそらくマラヤーラム版との比較で星を落としているものと思われる。オリジナルを観ていない人なら、問題なく楽しめるだろう。
 できることなら、やはり字幕付きDVDで観たいところだが、その点ではご安心を。この映画の制作には「Moser Baer社」も絡んでいるので、おそらく1年もしないうちに格安DVDとして市場に出回るだろう。(追記:出ませんでした。すんません。)

・満足度 : 3.5 / 5
 

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
だいたいあってましたw。
面白かったので2回見てしまいました。同じ同室同士の物語でしたが、今回はプラカシュラージさんが、子ズルい役で、ホント上手いですね〜。そういう役!劇中の「ディリープカーント」の映画が見てみたいです。特に三本槍を持ったスーパーヒーローモノを見てみたいw。
インド映画っていろいろ複雑な作られ方してるんですね。リメイクを違う言語圏で作ったり…。本来はタミル語映画をマラヤラム語に吹き替えた時にプラカシュラージさんの声をマラヤラム語の役者さんが担当されたのですよね。もっとプラカシュラージさんに似た声の人当てられなかったのでしょうかw。
プリトヴィラージさんが今回はプラカシュラージさんと仲違いしてるのは違和感あったのですが…段々物語に引き込まれていきました。
プリトヴィラージさん、ATMというテルグ語映画ではアクションもなさっていてMOZHIとこの映画の非体育会系のイメージと違って勇ましい一面を見ました。
意外とお若いんですね。プラカシュラージさんと同い年くらいって感じので老け顔なんでしょうか?それともプラカシュラージさんが若い演技が上手いのでしょうか?どうなんでしょうね。
ナン
2013/08/25 23:09
>もっとプラカシュラージさんに似た声の人当てられなかったのでしょうかw。

そうですね。ぜんぜん違ってますもんね。

>プリトヴィラージさん、ATMというテルグ語映画ではアクションもなさっていてMOZHIとこの映画の非体育会系のイメージと違って勇ましい一面を見ました。

アクションは好きなようで、けっこうやってますよ。
しかし、ATMは、これまた知らんぞ。

>意外とお若いんですね。プラカシュラージさんと同い年くらいって感じので老け顔なんでしょうか?

ま、髪も薄いですし。
 
カーヴェリ
2013/08/27 01:26
ATMはこの映画です。
http://youtu.be/00MPW-86oBg
プリトヴィラージさんの声が少し違う感じもするのでテルグ吹き替え版なのかもしれませんが…。面白かったですね。正義の味方ではないダークな役柄でした。
プリトヴィラージさんもいろんな作品でプラカシュラージさんと共演されているのですね。アカサマンタのタミル版でも…。テルグ版の同じ役の方のほうがお年を召していると思うのですが同年代に見えますね(笑)。残念ながらフル版見つかりませんでした。
プリトヴィラージさんとシュリーカントさんとダブル主演された映画POLICE POLICEという映画ではブラフマージーさんと共演されてましたね。まだ途中までしか見ておりませんが…。続きが見たいのですが時間が足りません(苦笑)。

まったく記事とは関係ありませんが、プラカシュラージさんのここのところのツイッターのツイートで娘さんの散髪する様子の写真がアップされてますが、散髪のエプロンに日本語のデザインがw。なんとなくシュールで。昔高校時代バイトしてた美容院で使ってた気が…。
ナン
2013/08/27 06:54
>ATMはこの映画です。

これはテルグ語ダビング版ですね。オリジナルはマラヤーラム映画の「Robin Hood」という映画です。

>POLICE POLICEという映画

私はタミル語ダビング版の「Kutrappirivu」をDVDで見ましたが、キャストが微妙に二選級で、興味深く鑑賞しました。

>プラカシュラージさんのここのところのツイッターのツイートで娘さんの散髪する様子の写真がアップされてますが、散髪のエプロンに日本語のデザインがw。

そんなところにも日印のつながりがあるんですね(売ってるのかな、こっちで)。
 
カーヴェリ
2013/08/29 09:36
( ̄◇ ̄;)ガーン!プリトヴィラージさんにブラフマージーさん殺された…ぐぬぬ。プリトヴィラージさんもシュリーカントさんに逮捕された…orz。POLICE POLICE、なんとま複雑な気分になる映画です。
ATMってロビンフッドって言うのがオリジナル映画なんですね〜。
インド映画って吹き替えでも、AAKASAMANTHAみたいに微妙に変更があったり、NANBANみたいに別の俳優さんでリメイクしたり、SHAKTIみたく編集されてダビングされたりいろいろと複雑で、どれがオリジナルなのか判断つかないこと多いのでわけがわからなくなりますね。もっとも映画がどのバージョンでと楽しければ全く問題ありませんけどねf^_^;。見た映画、面白いものばかりで…。それぞれ、萌えポイントがあって楽しいです。

美容院のエプロン…20年くらい前に見たので中古の中古の中古かもですねf^_^;。懐かしいです。日本語で何が書いてあるのかプラカシュラージさんはお分かりなのかしら?w

ナン
2013/08/29 23:45
>POLICE POLICE、なんとま複雑な気分になる映画です。

はい、マニア向けのB級映画ですね。

>どれがオリジナルなのか判断つかないこと多いのでわけがわからなくなりますね。

はい、収拾がつかなくなるので、私はダビングとかリメイクはあまり見ないようにして、オリジナルの専念するようにしています。
 
カーヴェリ
2013/09/02 03:17

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