カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Mussanjemaatu】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/05/27 22:23   >>

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 スディープ主演のカンナダ映画。
 先日紹介した【Aramane】もそうだったが、本作も新人監督の手になるもの。
 このところサンダルウッドでも新人監督のデビューが相次いでいるような気がする。この1年ぐらいの間で、私が観ただけでも、【Duniya】のSuri、【Geleya】のA.Harsha、【Aa Dinagalu】のK.M.Chaitanya、【E Bandana】のVijayalakshmi Singh、【Gaja】のK.Madesh、【Sathya in Love】のRaghav Loki、【Aramane】のNagashekharがいる。
 このブログを書き始めるまではそんなこと全くチェックしていなかったので、毎年これぐらいの数の新人監督が出るものなのかも知れない。ただ、上の面々が結構気の利いた作品でデビューしているので、やはり動きとして注目したくなる。
 果たして、本作の監督、Maheshも彼らに続くことができるか。

 「Mussanjemaatu」は、主人公のラジオ・ジョッキーが担当しているラジオ番組の名前で、「Twilight Talk」という意味。

【Mussanjemaatu】 (2008 : Kannada)
物語・脚本・台詞・監督 : Mahesh
出演 : Sudeep, Ramya, Anu Prabhakar, Sumithra, Meghasri, Ramesh Bhat, Yethiraj, Mandya Ramesh, Praneshachar, Krishne Gowda, Padma Vasanthi
音楽 : V.Sridhar
撮影 : Sundaranath Suvarna
制作 : Suresh Jain

《あらすじ》
 プラディープ(Sudeep)はFM局「ラジオ・ミルチ」の人気ジョッキーで、「トワイライト・トーク」という番組を担当していた。彼は番組の中で、様々な悩みや問題を抱えた人と電話で話し、的確な解決法と慰めを与えていた。
 プラディープは、番組の取材でフブリへ行ったとき、帰りの列車の中で物悲しげな女性に出会う。彼は女性に声を掛けるが、無視される。
 その女性はタヌー(Ramya)という名前で、母が死んだあと、飲んだくれの父(Ramesh Bhat)との間に諍いが起き、家を出たところだった。彼女はバンガロールにいる友人、シュウェタ(Anu Prabhakar)の許に身を寄せる。
 シュウェタは「トワイライト・トーク」の大ファンだったので、沈みがちなタヌーに一度電話で相談するよう勧める。タヌーは番組に電話をかけ、プラディープに母の死や父との経緯を打ち明ける。
 ある日、ラジオ・ミルチのスタッフたちが街頭で募金活動をしていたとき、シュウェタはプラディープに会う。感激した彼女は、タヌーをプラディープに引き合わせる。プラディープとタヌーは、お互いに以前会っていたことに気付く。
 プラディープはタヌーを母(Sumithra)と妹(Meghasri)に紹介する。プラディープの一家とタヌー、シュウェタは、まるで家族のように親しく付き合い始める。
 プラディープはタヌーを愛していたし、タヌーもプラディープに好意を寄せていた。しかし、親友関係が壊れるのを恐れて、お互いに気持ちを伏せていた。
 タヌーの誕生パーティーのとき、プラディープはサプライズとしてタヌーの父を連れて来る。タヌーは憤るが、すっかり改心した父を結局は受け入れる。
 やがて、父の手筈でタヌーの結婚が決まる。その知らせを聞いたプラディープはショックで落ち込み、ラジオの番組も辞めてしまう。
 だが、「トワイライト・トーク」のファンは許さない。彼らは大挙してラジオ局に押し掛け、番組を続けるよう訴える。スタッフたちはプラディープを見つけ出し、局へ連れて来る。
 ファンの前に立ったプラディープは、彼らに自分が現在陥っている状況を切々と訴え始める。その声は、実はラジオにオンエアされており、結婚式場にいるタヌーの耳にも届く、、、。

   *    *    *    *

 来ました、来ました、じ〜んと来る作品が!
 ほとんど期待せずに観に行ったのだが、こりゃ、かなりの秀作です。
 非常にあらすじの書きやすい単純なストーリーであるにもかかわらず、感動できたということは、まぁ、私がお目出度いせいもあるが、作り手もそれだけ上手かったということだろう。新人監督のマヘーシュくん、“WELL DONE!”です。

 あらすじを読んで分かるとおり、ラジオ・ジョッキーがリスナーの問題を解決するという設定は、ヒンディー映画【Lage Raho Munnabhai】(06)から着想を得ていると考えていいだろう。だが、作品の内容やテーマは全く異なっている。
 ここ数年、インドではFMラジオがトレンドとなっている。今や若者たちにとってはラジオがテレビや映画よりも身近なメディアのようだ。(その理由を分析するのも面白いだろう。)
 映画界でも、最近はDJを主人公に据えた作品が目に付く。ごく最近のカンナダ映画だけでも、【Milana】【Accident】があった。(【Accident】は同じく「Radio Mirchi」を舞台としている。)
 だが、主人公がジョッキーであるという設定が、たんに設定だけに終わらず、ストーリーやテーマにしっかり絡んでいるという点で、本作は面白味がある。自分はラジオを通して他人を救ってきたのに、自分自身が苦境に陥ったときに自分を救えない。だが、そんな自分を救ってくれたのは、結局は自分が勇気を与えたファンたちだった、というのが作品のミソだろう。

 作品のタッチとしては、やや地味で、90年代カンナダ映画の人情ドラマの線をあえて狙ったと思われる。音楽もそれに合わせて、美しい情感あふれる曲が使われている。
 その音楽が実に素晴らしく、担当のシュリダールという人もこれがデビュー作のようだが、“WELL DONE!”です。
 こういうのを典型的なカンナダ・フィルム・ソングというのかも知れず、これらの曲を聴いて感じることができる人なら、カンナダ映画はOKだろう。

◆ パフォーマンス面
 メイン・キャラクターの演技は申し分ない。
 スディープは特に格好つけることもなく、控えめな演技だった。良い人ぶりがやや鼻に付くところもあるし、タヌーから結婚話を聞いてショックを受けるシーンは、大げさすぎて笑ってしまったが、全般的に好演している。
 声が良く、DJ役にはピッタリだ。

 タヌー役のラミャはやはり良い女優だった。
 去年は不作で、タミル映画に出たりもして、サンダルウッドでは存在感が薄かったが、本作は間違いなく当たり役になるだろう。
 (写真トップ:SudeepとRamya。ちなみにラミャは最近「Divya Spandana」という本名を使いたがっているようだが、カンナダの観衆は誰もディヴィヤとは呼ばない。)

 今回、特に注目したいのが、シュウェタ役のアヌー・プラバカル。
 数年前までは清楚なヒロインとして、カンナダ映画界の顔みたいなところもあったが、結婚して、ここのところ母親役や主人公の姉役のような端役に回っている。しかしテレビ番組の司会をやっていたりと、今なお根強い人気は保っているようだ。
 本作では久々に彼女らしい気持ちのこもった美しさが味わえる。
 (写真下。本作のスチールがなかったので、古い写真を使いました。)

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 プラディープの妹役を演じたメガシュリー、それに同僚役のイェティラージも記憶に留めておきたい。

◆ 結語
 このように良い作品ではあるが、やはり不満点がないわけではない。
 例えば、タヌーの父親(ラメーシュ・バット)は重要な役柄であるにもかかわらず、描き方が簡単すぎて、タヌーとの絡みが月並みになってしまった。
 また、「トワイライト・トーク」のファンの話し方が上手すぎる。ラジオに電話をかけてくる素人があんなに上手く話せるはずがなく、もっと素人っぽく話してくれれば、リアリティーのある面白いものになったのでは、と思う。
 つまり、マヘーシュにはもうひと踏ん張りしてほしかったところだが、次作での飛躍に期待しよう。

・満足度 : 3.5 / 5
 

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