カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Neene Neene】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/06/19 22:00   >>

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 先日よりラーム・ゴーパル・ヴァルマ監督の【Sarkar Raj】が公開されている。この作品はバッチャン家の3人が揃い踏みということで、当然、アイシュワリヤ・ラーイも出演しており、多くのインド映画ファンの話題を集めている。
 ところが、私はといえば、相も変わらず独自路線を歩んでおり、アイシュワリヤ・ラーイなどどこ吹く風とばかりに、もう一人のアイシュワリヤに熱い視線を注いでいた。
 その名も、

  アイシュワリヤ・ナーグ!

 この【Neene Neene】でデビューを果たした、若干18歳の美人カンナダ女優だ。

 名前がアイシュワリヤというだけで、彼女をアイシュの後継者だと称するつもりはないが、先代のアイシュワリヤを知って早や10年、すっかり薹の立った人妻からピチピチ娘に目移りしたからといって、こんな私を責めないでくれ〜。
 というわけで、すでに私の頭の中では、アイシュワリヤといえば「ラーイ」から「ナーグ」への書き換え作業進行中である。(写真下:主人公のディヤーンくんと)

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 「neene neene」は「あなたよ、あなた」ぐらいの意味。

【Neene Neene】 (2008 : Kannada)
物語・脚本・監督 : Shivadwaj
出演 : Dhyan, Aishwarya Nag, Anant Nag, Sharan, Dilipraj, その他
音楽 : Srimurali
撮影 : Dinesh Babu
制作 : S. Basava Reddy

《あらすじ》
 アビシェーク(Dhyan)はマーケティングの仕事をしている青年で、社内でも優秀な社員だった。両親とは早くに死別していた。一方、ナンディニ(Aishwarya Nag)は大手ソフトウェア企業の経営者、ラージャシェーカル(Anant Nag)の娘だった。
 二人は、ナンディニがアビシェークにしたイタズラ電話がきっかけで知り合い、意気投合する。アビシェークはナンディニにプロポーズするが、彼女は「すでに婚約者がいる」と言う。落ち込むアビシェークだが、後にナンディニは電話で、「婚約者とはあなたのことよ」と告げる。
 事情を知ったラージャシェーカルは二人の結婚を容認し、娘に「惨めな気持ちでスーツケースを下げてこの家に戻って来ることだけはするな」と言う。
 二人は結婚式を行うこともできなかったが、ハネムーンにコダイカナルへ行き、断崖絶壁の上でそれぞれ誓い言を立てる。
 アビシェークはナンディニを喜ばせるために、無理をして大きな家を借り、車も購入する。そのためにローンが膨れ上がる。また、新婚生活の影響が仕事にも現れ、彼の業績は落ちていた。さらに悪いことに、アビシェークが保証人になっていた友人、ヴィヴェーク(Dilipraj)が多額の借金を残して消えてしまい、その返済義務を負わされる。アビシェークはこの件で警察にまで連行される。彼は友人のプレーム(Sharan)に金策を依頼するが、プレームはやむを得ずヤクザにお金を借りてしまう。
 こうした出来事が重なり、夫婦間に溝ができる。しかし、そんな時にナンディニは妊娠し、女の子を産む。
 ある時、夫の借金のことを知ったナンディニは、家計を援けるためにコールセンターで夜勤の仕事を始める。しかし、これが裏目に出て、アビシェークは妻の浮気を疑い、ナンディニを家から追い出してしまう。ナンディニの父は、スーツケースを下げて戻って来た娘を何事もなかったかのように迎え入れる。
 アビシェークは借金返済を迫るヤクザに絡まれるが、張本人のヴィヴェークが現れ、借金の問題は解決する。
 アビシェークはナンディニに電話をかけるが、彼女の母は冷たくあしらい、「離婚の準備を進めている」と言う。それを知ったナンディニは実家を飛び出す。
 すべてに絶望したアビシェークは自殺を思い立ち、再び新婚旅行で訪れた断崖絶壁の上に立つ、、、。

   *    *    *    *

 まず始めに、監督のシヴァドワージという人は俳優だそうで、監督としてはこれがデビュー作。クレジットによると、自身でストーリーも脚本も作っているようだ。
 そのせいか、脚本に練りの甘い部分が多く、例えば、ナンディニが夫の借金に気付くくだりや、借金を残して蒸発した友人が忽然と現れるシーンなどは、まったく稚拙で、いただけない。

 そんなマイナス・ポイントがあるにもかかわらず、私はこの映画を評価している。
 R.G. Vijayasarathyというカンナダ映画の批評家は、本作について「おそらくカンナダ映画で初めての、共稼ぎしているモダンな夫婦の不和を描いた作品」と書いている。本当に「初」かどうかは知らないが、なるほど新しいと言える視点を持った作品だ。

 先日紹介したマラヤーラム映画【Innathe Chinthavishayam】の評の中で、私はあの家族たちが抱える問題について「ほっときゃあいいんですよ」と書いた。それに対して、この【Neene Neene】では私の思惑どおり、窮地に陥った若夫婦に周りの人々が世話を焼くわけでもなく、お助けマンも登場しない。あくまでも当事者二人の個人的なもがきに焦点が当っている。
 そもそも「恋愛」「恋愛結婚」「核家族」というのは、大家族や共同体の意思とは関係のない個人的な出来事で、その基盤となるのは「個人」の原理だ。結婚生活で出会う問題も、結局は自分で考え、自分で解決すべき事柄だ。
 本作では、主人公アビシェークが窮地の果てに自殺まで考え、崖っぷちに立つまで誰も動かない。そして、彼が飛び降りればそれまでだが、くるりと向きを変え、もう一度やりなおそうと意志すれば、一段と磨かれた力強い「自我」として再生することができ、この夫婦は大丈夫だろうと周りの人間も確信を持つことができる。
 本作は、恋愛結婚における自立的・自発的な自我の形をはっきり示したという点で、モダンと言えるのではないかと私は思っている。

 そういった文脈からいくと、本作でキーパーソンとなっているのがナンディニの父・ラージャシェーカルだ。非常に強い影響力を持ちながら、山のように動かず、林のように静かな父親像で、これも新鮮だ。もちろん、演じたアナント・ナーグも光る。

◆ パフォーマンス面
 さてさて、注目ポイントのアイシュワリヤ・ナーグであるが、「衝撃のデビュー!」とまでは行かないにしても、前情報なしにこの映画を観た人なら、誰も彼女のことをデビュー女優だとは気付かないだろう。それほど演技的にはしっかりしており、まぁ、平たく言えば、ディーピカ・パドゥコーネよりは上手い。
 きりっとした美人で、しばらくはアイドルでも押せそうだが、将来的には素敵な母親役、貫禄がつけば神様女優としてもやって行けそうな顔立ちなので、末永く頑張ってもらいたいものだ。
 「Nag」という姓から、もしやAnant NagかShankar Nagの娘?とも思ったが、全然そうではなかった。コンカニ・ブラーミンには違いないと思うが、湾岸に長らく居住していたNRIだそうだ。(ただし、カンナダ語は流暢に話す。)

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 ちなみに、つい先日、早速カンナダ語のテレビ番組に出演していたので、ブラウン管越しの姿をデジカメで撮っちゃいました!(写真下)
 このトーク番組で分かったのは、彼女は声も良いということで、たぶんアフレコなしでもやっていけるだろう。(しかし、ダンスは下手っぽい。)

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 サンダルウッドの近況といえば、長らく看板女優を張ってきたラミャが、近ごろディヴィヤ・スパンダナと名前を変え、どうもタミル女優になりたがっているようなので、ポスト・ラミャを見つけ出す必要がある。幸い、私の観察では、このところ活きのいい新人女優が何人か現れている。そこにもう一人、このアイシュワリヤも加わったとは、うれしい限りだ。

・満足度 : 3.0 / 5

¶参考
「新アイシュワリヤちゃん」について
http://timesofindia.indiatimes.com/Entertainment/India_Buzz/Aish_ready_to_make_a_splash/articleshow/3093132.cms
 

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