カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Prachanda Ravana】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/06/06 22:38   >>

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 デーヴァラージ主演のカンナダ映画。
 デーヴァラージといえば、カンナダ映画界屈指の性格俳優、悪役俳優の一人で、そのミョウガのような苦さ、渋さゆえ、私もいたく気に入っている。
 その彼が、やはりインド神話史上屈指の悪玉である『ラーマーヤナ』のラーヴァナ役に挑む。
 インド映画では悪役が主役の座に座ることは稀なので、これはデーヴァラージを堪能する数少ないチャンスというわけだ。
 「Prachanda Ravana」は「恐るべきラーヴァナ」ぐらいの意味。

【Prachanda Ravana】 (2008 : Kannada)
監督 : Srinivas Prasad
出演 : Devaraj, Sudharani, Rajeshwari, Bharat Bhagavathar, Nitin, Mohanraj, Girish
音楽 : Vajrappa, Gopi Krishna
撮影 : Ananth Urs
制作 : The New Wave

《あらすじ》
 羅刹でランカー国の王・ラーヴァナ(Devaraj)は、長い苦行の末、シヴァ神に祝福され、アートマリンガを授かる。
 ラーヴァナはある時、妹・シュールパナカーの願いを聞き入れ、ラーマ王子の妻・シータ(Rajeshwari)を誘拐し、ランカー城に幽閉する。ラーヴァナの妻・マンドーダリ(Sudharani)はその行為を激しく非難するが、ラーヴァナは聞き入れない。
 ラーマ王子(Nitin)はラクシュマナやアンジャネヤ(Bharat Bhagavathar)と共にシータを捜索する。
 アンジャネヤはシータがランカー城にいることを突き止め、彼女の前に姿を現す。警戒するシータに対し、アンジャネヤはラーマ王子の指輪を渡す。シータもアンジャネヤに髪留めを手渡す。
 アンジャネヤはラーヴァナの息子・インドラジットに拘束される。しかし、ランカー城に火を放って難を逃れ、ラーマの許に戻る。
 ラーマはシータ奪還のため、猿の軍勢と共にランカー島に渡る。
 ラーヴァナの弟のヴィビーシャナはシータを返すようラーヴァナを説得するが、聞き入れられない。ヴィビーシャナはラーマの味方に立つ。
 インドラジットがまず攻撃を仕掛けるが、ラクシュマナの魔弓によって首を落とされる。息子を失ったマンドーダリは嘆き悲しむ。
 激怒したラーヴァナはラーマ王子と対峙するが、やはりラーマの魔弓によって首を落とされ、シータはめでたく王子の許に戻る。

   *    *    *    *

 しかし、何をやっとんや、という出来だった。
 残念ながら、完璧な失敗作だろう。(もっとも、こういう神様物は、出来の巧拙よりも、作ることに意義があるのかもしれないが。)

 ストーリーとしては、ラーヴァナによるシータ誘拐とラーマによる奪還だけでなく、それに先立つの若き日のラーヴァナ、熱心なシヴァ神の信者で、音楽(ヴィーナ)の名手であるという、ラーヴァナの肯定的な側面も描かれている。
 元ネタは50年以上前にKanagal Prabhakara Shastryという人が書いた同名のカンナダ語舞台劇。これは、Vajramuniという当時の有名な悪役俳優がラーヴァナを演じて、大層な好評を博したものらしい。
 今回の映画化でも台詞や音楽の多くの部分はオリジナル劇のものを使っているそうだ。

 失敗の原因は、その演劇から映画化するにあたって、やはり創造力が不足していたということだろう。
 そもそも『Ramayana』のような叙事詩を舞台化・映画化するにあたっては相当な工夫が必要なはずで、特に映画化の場合、文学や演劇のように想像力を働かせる余地が狭められてくるので、かなり違った見せ方が要求される。この点で無策だと、哀れな作品しかできて来ない。
 映画化で頼みの綱となるのが特殊撮影だが、それも本作は腰砕けもいいところだった。インドの神様映画のCGは安っぽさが魅力であるといっても、これはもう、安っぽいを通り越して、お笑い種のレベルだった。

 制作したのは、監督のSrinivas Prasadを始めとするカルナータカ州の若手ソフトウェア技術者のグループらしいが、彼らの正体については私は知らない。何であれ、この若者たちが何をやりたかったのか、意図を掴みかねるところだ。

 といって、悪いばかりではなく、部分的には非常に良いところもあった。
 ラーヴァナ役のデーヴァラージ、マンドーダリ役のスダラニ、アンジャネヤ(ハヌマン)役のバーラト・バーガヴァタル、それに名前は知らないが、クベーラ(カーラ?)やクンバカルナを演じた俳優陣は、なかなか押しの強い「舞台調」の演技で、セリフのやり取りに迫力を感じるところもあった。
 『ラーマーヤナ』の強みなのか、観終わったあとに一服の清涼感が感じられるのも、救いといえば救いだ。
 (ラーマとシータについては、かなりがっかりなセットだったが、あんまり言うとバチが当りそうなので、この辺でやめておこう。)

 目玉のデーヴァラージについては申し分なかったと思うが、作品自体が低調なので、カンナダ映画史に残るラーヴァナ像とはならないだろう。彼にとってはお誂え向きの大役なのに、当り狂言にはならず、気の毒なことだったと思う。
 (写真トップ:Devaraj@ラーヴァナとRajeshwari@シータ。写真下:ラーマ、ラクシュマナ、ハヌマンのお馴染みトリオ。)

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・満足度 : 2.0 / 5
 

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【Sri Rama Rajyam】 (Telugu)
 南インド映画鑑賞の楽しさの一つに、やはり「神様映画」がある。「神様映画を観ずして南インド映画を語るなかれ」とは誰も言っていないと思うが、良い神様映画に接した後などには、どこからともなくこういう声が耳に響く。  ところが、近ごろでは南インドでも神様物が現れることは稀になり、テルグとカンナダで細々と作られ、タミルとマラヤーラムではほとんど出なくなっているのではないだろうか。結局はDVD等で過去の名作を楽しむということになる。  神様物が比較的盛んに作られて来たといえばテルグ映画界になるが... ...続きを見る
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