カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Meravanige】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/07/14 23:40   >>

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 マヘーシュ・バブ監督、プラジワル・デーヴァラージ主演のカンナダ映画。
 マヘーシュ・バブといっても、テルグ映画界の‘プリンス’のことではなく、【Akash】(05)と【Arrasu】(07)でヒットを飛ばしたカンナダ映画監督のこと。
 プラジワルはデーヴァラージの息子で、若手有望株として私は注目している。

【Meravanige】 (2008 : Kannada)
監督 : Mahesh Babu
出演 : Prajwal Devaraj, Andrita Ray, Avinash, Bhanu Chandar, Ravi Kale, Sudha, Vidya Murthy, Sadhu Kokila, Komal Kumar, Ramya
音楽 : V.Manohar
制作 : Kantharaj

《あらすじ》
 ヴィジャイ(Prajwal)は商業を学ぶ大学生だが、ろくに勉強はせず、試験のときは教授の息子を誘拐して試験問題を手に入れるような男だった。対して、同じ学部で勉強するナンディニ(Andrita Ray)は優等生の女子大生。二人は犬猿の仲で、会えば必ず喧嘩になる間柄だった。しかし、ヴィジャイの父・アジャイ(Bhanu Chandar)とナンディニの父・スレーシュ(Avinash)は共に警察官で、同僚であると同時に大の親友でもあった。
 ある時、アジャイとスレーシュはテロリスト、バシール(Ravi Kale)の弟を逮捕する。バシールは弟を奪還するためにアジャイを脅迫し、暗殺さえしようとするが、それに気付いた息子のヴィジャイが危機を救う。
 この一件に感銘を受けたスレーシュは、ヴィジャイを娘の婿に、と考える。また、スレーシュ夫妻の結婚記念パーティーに参加したアジャイ夫妻も、ナンディニを見て、息子の嫁に、と考える。二人の父はそれぞれの息子・娘に見合いをさせることにする。
 集合場所に来たヴィジャイとナンディニは、見合い相手というのが大嫌いな人物だったことを知り、喧嘩を始める。その時、二人はテロリストに誘拐されてしまい、森の中のバシールのアジトへと連れて行かれる。
 テロリストは、警察を脅迫するために、ナンディニを虐待している場面をビデオに収めようとする。その隙を見て、ヴィジャイがナンディニを救い、二人は森の中へ逃走する。
 森の中で彼らは、テロリストの追跡だけでなく、ゾウやトラ、コブラなどの野生動物とも遭遇することになる。そんな出来事を経て、二人はお互いに愛し合っていることに気付く。
 バシールはナンディニのビデオを警察に送り付け、弟の釈放を要求する。ヴィジャイとナンディニが逃げたことを知らない警察は、人質交換に応じ、アジャイとスレーシュを現場へ向かわせる。
 ヴィジャイたちは自動車道まで辿り着き、1台の車を止める。ヴィジャイはナンディニだけ車に乗せ、自分はテロリストのアジトへと向かう。しかし、ナンディニが乗ったのはテロリストの車で、彼女は再びアジトへと連れ戻されてしまう。
 アジャイとスレーシュ、それにバシールたちも森の約束の場所に到着し、人質交換が行われようとしていた。ちょうどそこへヴィジャイが現れ、騙されたことを知った警察とテロリストたちの間で激しい銃撃戦が始まる、、、。

   *    *    *    *

 なんとも解釈・評価のしにくい、風変わりな作品だった。
 観る前はアクション・ロマンス物だろうと予想していたが、映画の前半はヴィジャイとナンディニがいかに仲が悪いかというエピソードが延々と続き、もしやコメディー映画かと思っていたら、いきなりテロリストに誘拐されて森の中のシーンになる。そして、二人が逃走したときには、ここからがアクション劇の始まりだと思いきや、ゾウやトラが出て来てアドベンチャー・ワールドの世界になり、ありゃ?と思っていたら、最後は激しいバトル・シーンで幕を閉じる。観終わったあとはキツネにつままれた気分だった。
 もともとマヘーシュ・バブ監督はひねりのある映画を撮る人だが、ここまで奇妙だと、意図的に狙ったものなのか、はたまたネタがなくての苦肉の策なのか、、、。

 最も意外、というか興味深かった場面は、クライマックスの最後のところで、テロリストたちが次々に殺害・捕縛されて、首領のバシール一人が残ったとき、警官のアジャイは簡単にバシールを逮捕できる体勢になっていながら、わざわざ息子のヴィジャイに「お前、やってみろ」と目配せしてバシールを差し出す。で、二人の一騎打ちが始まり、ヴィジャイがバシールをこてんぱんにやっつけると、傍らで見ていたアジャイとスレーシュは拍手喝采してヴィジャイを祝福する、という場面だ。

 タイトルの「Meravanige」というのは、お祭りなどで神様の像を担いで練り歩く行列のことで、インド人に言わせれば、京都の祇園祭などの時代行列も「メラワニゲ」に当たるらしい。それとこの映画の内容とはまったく関係がないようだが、「メラワニゲ」のそもそもの意味は、偉くなった人を周りの人が祀り上げ、祝福するという意味らしい。
 その意味で上の場面を解釈すると、どうもこの映画は大人になるための通過儀礼のようなものを描いているのではないか、という気がしてきた。先日の【Neene Neene】の項で「一段と磨かれた力強い自我として再生すること」みたいなことを書いたが、どうも同じような匂いを感じる。
 ヴィジャイとナンディニは結婚話も出る年頃なのに、会えば喧嘩の子供じみた付き合いしかできない。特にヴィジャイは大学でもイタズラばかりしている未熟な人物として描かれている。それが森の中での試練を通して、ひと皮向けて、お互いを受け入れることができるようになる。
 こういう成長のドラマは珍しくないのだが、この映画の面白いところは、最後に父親がわざわざテロリストと闘わせるという、いわば力強さを判定する期末試験のようなものを息子に課していることだ。これを見事クリアしたヴィジャイは、充実した大人としての自覚を持つことができ、ナンディニとの結婚を決意するに至る。

 こういう考えでいくと、ヒーローとヒロインに実績のあるスターではなく、駆け出しの2人を使ったのは正解だろう。本作は劇中の「ヴィジャイ」だけでなく、俳優「プラジワル」のためのメラワニゲとも考えられるからだ。

◆ パフォーマンス面
 そのプラジワルは、これがまだ4作目の若造のくせに、余裕しゃくしゃくの演技スタイルはちょっと鼻に付く、と感じる人もいるかもしれない。しかし、イケるほうだろう。アクション系では目下のところダルシャンが君臨していて、しばらくはBクラスに甘んじるかもしれないが、そのうち芽が出ると思う。

 ヒロイン、ナンディニ役のAndrita Rayはモデル出身で、これが女優デビュー。
 評価は高く、有望視されているが、幸か不幸か私のセンサーには触れず、ホッとしている。もう、私の「お気に入り女優・玉手箱」も一杯一杯で、、、。

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 プラジワルの両親の役をテルグの俳優、バヌ・チャンダルとスダーがやっていて、ちょっと新鮮な感じがした。

 映画の最後のオチの部分で、やはりこの人、マヘーシュ監督のお気に入りラミャが、「スパンダナ」という役名(実は本名)でご愛嬌出演していた。

◆ 総評
 【Meravanige】は、風変わりであると同時にフレッシュなテイストも持つ作品だが、総合的に見て、私は高く評価できない。ただ、巷では面白いと言う声もよく聞かれ、小ヒットはするかもしれない。

・満足度 : 2.5 / 5
 

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