カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Anthu Inthu Preethi Banthu】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/08/28 22:42   >>

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 昨年のテルグ映画のヒット作【Aadavari Matalaku Ardhale Verule】のカンナダ語版リメイク。
 【Aadavari Matalaku Ardhale Verule】といえば、セルワラガヴァン(監督)、ウェンカテーシュとトリシャ(主演)、ユワン・シャンカル・ラージャ(音楽)など、タレントが揃い、なかなか味のある作品となっていた。お気に入りの1本でもある。
 そんな作品のリメイクとあって、いろいろ注目点が思い浮かぶ。

 ところで、【Aadavari Matalaku Ardhale Verule】(以下、【AMAV】)はテルグ映画でありながら、監督や音楽監督などがタミル人で、タミル映画陣がテルグで映画を作ったというイメージがあった。
 対して、リメイクのこの【Anthu Inthu Preethi Banthu】(以下、【AIPB】)は、制作、監督、主演がテルグ人で、テルグ映画陣がわざわざカンナダに乗り込んで来て、テルグ映画のリメイクを作ったということになる。
 なんか現象として面白い。
 (ちなみに、【AMAV】は今年、ダヌーシュ主演でタミル語版リメイク【Yaradi Nee Mohini】が作られている。)

 タイトルの「Anthu Inthu Preethi Banthu」は「Somehow love came」という意味。

【Anthu Inthu Preethi Banthu】 (2008 : Kannada)
監督 : Veera Shankar
出演 : Aditya Babu, Ramya, Harish Raj, Srinivasa Murthy, Lokanath, Satyajit, Naidu, Rangayana Raghu, Mandya Ramesh, Chitra Shenoy, Kishori Ballal, Melkote
音楽 : Guru Kiran
撮影 : H.C.Venu
制作 : Aditya Arts

《あらすじ》
 シヴ(Aditya Babu)は大学でコンピュータを勉強したものの、職が決まらず、焦りの募る日々だった。母はおらず、学校教師をしている父(Srinivasa Murthy)と二人暮しだった。父は息子の不甲斐なさを嘆いていたが、それでも愛する息子には違いなかった。
 ある時、シヴは美しい女性、プリーティ(Ramya)に出会い、一目惚れする。彼は、彼女が勤めているソフトウェア会社が技術者を募集していることを知り、採用試験を受けに行く。面接試験では苦戦するが、執念が実を結んで、研修生として採用される。
 幸運なことに、シヴはプリーティの下で働くことになる。だが、プリーティは厳しいキャリアウーマンで、シヴは彼女に毎日のように叱り飛ばされていた。
 そんなある日、プリーティのチームはパリへ出張に行くことになる。パリでシヴとプリーティは幾分親しくなり、とうとう彼は彼女に恋を打ち明ける。だが、プリーティはそれを拒否する。彼女は親類との結婚が1ヵ月後に予定されていたからである。
 シヴは失意のうちにインドに戻る。息子がしょげ返っている理由を知った父は、プリーティに会いに会社まで行く。しかし、興奮してしまった彼女は、シヴと父の二人に平手打ちを喰らわせてしまう。その夜、シヴの父は心臓麻痺で急死する。
 シヴは、失恋と父を失ったショックで絶望のどん底に落ちる。
 シヴの親友のハリシュ(Harish Raj)は、結婚のために田舎へ帰るところだったが、シヴの気分を換えるために彼を自分の田舎へ連れて行く。だが、驚いたことに、プリーティの婚約者とはまさにこのハリシュだったのであり、シヴは彼女と再会することになる。
 ハリシュとプリーティの家族は30人を越える大家族だった。シヴは持ち前の人柄の良さから、家族の面々に愛されるようになる。
 結婚が間近に迫って、プリーティはシヴを愛していることに気付く。彼女はシヴに気持ちを伝えるが、彼は平和な家族を壊すのを嫌い、身を引こうとする。このことを知ったプリーティの祖父(Lokanath)もシヴに家を去るよう要求する、、、。

   *    *    *    *

 クローン・コピーとまでは行かないが、オリジナルをほぼ忠実になぞったリメイクだった。出来としては悪くはないが、届かず、といった印象。

 本作の鑑賞後、念のためオリジナルの【AMAV】もDVDで見直してみたが、やはり良かった。何が違うかと言うと、いろいろあるが、オリジナルは緩急の付け方が上手いというのがある。ためるところはため、走るところは走り、抜くところは抜くと、ストーリー展開や演技とは違った次元での見せ方が上手く、結果的に登場人物の情感を効果的に描き出すのに成功している。
 リメイクのこの【AIPB】は、ストーリーはきちんとなぞっているものの、作品のリズム感まではコピーしておらず、メリハリがなく進んでしまった感じがある。それで、シヴとプリーティが出会う場面や父が急死するくだり、最後のクライマックスなどのヤマ場があまり盛り上がらない結果となった。
 監督のVeera Shankarはテルグ映画の【Gudumba Shankar】(04)やカンナダ映画の【Namma Basava】(05:プニート・ラージクマル主演)などのヒット作も撮っているぐらいだから、できない人ではないのだろう。しかし、本作では詰めが甘かったようだ。

 さて、本作を観るに当たっての注目点とは、次の4点だ。

@主人公は、オリジナルの【AMAV】ではベテランのスター、ウェンカテーシュがやっていたが、【AIPB】では俳優デビューのアーディティヤ・バブという人。こりゃあ、ずいぶん違ったテイストになると予測されるが、どう作品に反映されるか?

A【AMAV】ではヒロインのトリシャがカクテルを飲みすぎてゲロを吐くシーンがあったが、さて、【AIPB】でもサンダルウッドきっての「お嬢様女優」と目されているラミャにゲロを吐かせるか? (ついでに、トリシャは【AMAV】の演技で‘Filmfare Award’の最優秀女優賞を取っている。)

B【AMAV】ではムマイト・カーンがアイテム出演していて、味のあるダンスを見せていたが、【AIPB】でも同様の趣向があるか?

C【AMAV】ではヒロインの妹役をスワティという天然ボケ系の女優がやっていて、たいそう気に入ってしまったのであるが、【AIPB】ではどんなふうに処理されているか?

@の回答
 アーディティヤ・バブも頑張っていたが、そりゃあもう、知らず知らずのうちに自分のペースに巻き込むウェンキーの手練手管に比べると、天と地の差だったと言っておこう。
 アーディティヤのほうはずっと若く、溌剌とした感じが出ていたが、役作り・演技のコンセプトは基本的にウェンキーに倣っており、独創性はなかった。
 ところで、このアーディティヤという人、テルグ人で、そもそもは映画プロデューサーらしく、テルグ映画【Jagadam】(07:ラーム主演)を制作している。本作も彼自身の制作によるものだ。(祖父が「Satyanarayana Rao」ということだが、ひょっとして有名な政治家のことだろうか?)
 俳優としてはまだ何とも言えない。背が高く、面構えも悪くはないのだが、言わせてもらえば、本作の主人公をこの人じゃなく、ガネーシュかスディープにさせていたら、もっと質的に良くなり、カンナダ人のウケも良かったに違いない。

Aの回答
 はい。ラミャ嬢もしっかり吐いていました。
 どちらの吐き方が美しかったか? ・・・なんて、誰も聞きたくないですよね。
 ちなみに、【Bombaat】のレヴューの中で「今年のラミャは当たっている」と書いたが、本作では演技に迷いがあったのか、イマイチ輝きが少なかったように思う。

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Bの回答
 やはりセクシー系のアイテム・ガールが出ていて、同じようなダンス・シーンとなっていた。ただし、ダンサーの名前は分からず。
 本作の音楽監督はグル・キランだが、このシーンの曲はオリジナルのYuvan Shankar Rajaのものを使っている。(あと、テーマ曲もオリジナルのものが使われている。)
 グル・キランで全曲揃えてもよかったと思うが、オリジナルの曲が美しいので、ここは譲歩して正解だったろう。

Cの回答
 同じく天然ボケ系の女優を使い、同じような演出が付いていた。主筋とはあまり関係がないのだが、私、好きですね、この妹ちゃんのエピソード。
 けっこう可愛い女優だったので、満足したが、名前が分からなくて残念。
 ちなみに、本家のスワティちゃんについては、現在、タミル映画の【Subramaniyapuram】という良さげな作品が公開中なのであるが、バンガロールでやる気配がない。ったく、頭に来る限りだ。

 しかしながら、こうやってリメイク作品を並べて観てみると、ちょっとしたことでずいぶん違った結果になることが分かり、面白い。映画作りの難しさが改めて分かる。

・満足度 : 2.5 / 5
 

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