カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Dhaam Dhoom】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2008/09/11 23:33   >>

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 ジーヴァ監督、ジェイヤム・ラヴィ主演のタミル映画。
 大雑把な感じでしかないが、どうもタミル映画も近ごろぱっとしない。
 男優陣を見ても、ポスト・ラジニカーントと目される四天王(アジット、ヴィクラム、ヴィジャイ、スーリヤ)は良かったり悪かったりだが、誰が抜きん出たという印象でもない。それ以降の若手となると、ダヌーシュにしてもシンブにしてもバーラトにしても、さらにぱっとせず、はて、コリウッドに明日はあるのだろうかと、心配しないこともない。
 そんな中で、ヴィシャールとジェイヤム・ラヴィは勢いを増しつつあるようで、注目すべし、と思っていたら、ちょうど同じ時期に二人の話題作が公開になった。
 これは見比べのいいチャンス、、、のはずだったが、困ったことにヴィシャールの【Sathyam】は相当つまらない作品だったらしく、バンガロールでは(バンガロールでは、というのを強調)公開1週間で二番館落ち、2週間ですっかり姿を消してしまった。(大体、ウペンドラを脇役にした州外映画がカルナータカでヒットするわけがない。)
 仕方がないので、ラヴィの【Dhaam Dhoom】だけ取り上げる。
 監督のジーヴァは、周知のとおり、昨年の6月26日に、この【Dhaam Dhoom】の撮影中にロシアで急死してしまった。死因は心不全、享年43歳ということだ。撮影監督としても監督としても、惜しい人をなくしたものだ。
 そんな次第で、この【Dhaam Dhoom】も完成が危ぶまれたが、アシスタントのカメラマンやジーヴァの妻が後を引き継ぎ、完成に漕ぎ着けたようだ。

【Dhaam Dhoom】 (2008 : Tamil)
監督 : Jeeva, P.C. Sriram, Aneez Jeeva, K. Manikandan
出演 : Jayam Ravi, Kangana Ranaut, Lakshmi Rai, Jayaram, Maria Kojernikova, Anu Haasan, Chetan, Mahadevan, Bose Venkat, Srinath, Nizhalgal Ravi
音楽 : Harris Jayaraj
撮影 : P.C. Sriram, K. Manikandan, Rajasekhar, Jeeva
美術 : Thotta Tharani
制作 : Sunanda Murali Manohar

《あらすじ》
 ガウタム(Jayam Ravi)は若いながら非常に優秀な外科医で、ロシアで開催される医学会議にインド代表として派遣されることになる。
 ガウタムの姉・サラス(Anu Haasan)は結婚してポーラッチに住んでいたが、ガウタムはその村にいるシェーンバ(Kangana Ranaut)という女性との結婚が決まっていた。ガウタムがロシアから帰り次第、二人は結婚式を挙げる予定だった。
 ガウタムはモスクワの空港に到着する。入国手続きをしているときに、彼は後ろにいた若いロシア人女性が落として行ったジャンパーを拾う。
 その女性はアナ(Maria Kojernikova)というモデルだった。たまたま彼はホテルでアナと遭遇したので、ジャンパーを返す。
 その後、ガウタムはナイトクラブでアナと再会する。彼は泥酔してしまったアナをやむを得ず自分のホテルへ運び込むが、翌朝、アナは他殺体として発見され、ガウタムは逮捕される。
 ガウタムには通訳兼弁護士のアールティ(Lakshmi Rai)というインド人女性が付く。また、在露インド大使館職員のラーガヴァン(Jayaram)も救済を約束する。
 裁判所から留置所へ搬送されるとき、ガウタムを乗せた車はマフィアに襲撃される。彼はその場から逃走するが、以後、警察とマフィアから追われることになる。彼はラーガヴァンの用意した廃屋やアールティの家に身を寄せる。
 ガウタムとアールティは、アナが麻薬の運び屋だったことを知る。また、裁判で提出された証拠写真に矛盾点があったので、真犯人を探すために調査を始める。その過程でアールティはガウタムに恋心を抱くが、彼には婚約者がいることを知り、諦める。
 ガウタムの事件はインドでも報道され、家族やシェーンバの間にもショックが走る。
 ガウタムは、ホテルのボーイからマフィアの一人の情報を得る。彼はそのマフィアの男の家に行き、脅し上げて、遂に黒幕の名前を聞き出す、、、。

   *    *    *    *

 期待したほどの迫力は感じられなかったが、まずまず楽しめる作品だった。
 ストーリーはリチャード・ギア主演のアメリカ映画【Red Corner(邦題:北京の二人)】(97)から着想を得ているらしい。

 狙いはよく分かる。言葉がほぼ通じない土地で謎の事件に巻き込まれ、背後で何が起きているのか全く分からないのに、とにかく何かが動いている感覚、そんな怖さをサスペンスの駆動力とし、追いかけっこの面白さを加味しようとしたようだが、イマイチ緊張感に欠けた。
 背景として、燦々と明るい陽光が降り注ぐタミルの田舎と、寒々として未だ官僚的な雰囲気の残るロシアの街を対比的に描き、それに片や活発な田舎娘との愛、片や知的な女弁護士との心の触れ合いを乗せるという、なかなか贅沢な内容だったのだが、なぜか盛り上がって行かなかったのが残念だ。

 映画の半分がロシアでの出来事で、これが本作の雰囲気を特殊なものとしている。おそらく、これだけ本格的にロシア・ロケを敢行したインド映画もなかっただろうと思う。
 インドは独立以来、ロシア(ソ連)とは強い結び付きを持っていて、両国の体制が大きく変わった今も、軍需やエネルギー産業の面で太いパイプを維持しようとしている。それは表の面だが、裏ではこの映画のようにマフィア・コネクションも強いものがあるのだろう。
 ロシアがどれくらいの麻薬汚染地域なのかは知らないが、日本の角界を騒がせたロシア人力士問題から察するに、かなりヤバイ所なのだろう。本作のように、その麻薬の供給源にインドがなっていて、さらにその取り引きの背後にインドの外交官が絡んでいるといういうのは十分あり得る話だ。
 この作品の持つ明るさと暗さは、そんなインドの表と裏を象徴しているようで、面白かった。

◆ パフォーマンス面
 ジェイヤム・ラヴィはヒーローとしては申し分のないパフォーマンスだった。
 体格の良さと、端正な二枚目で、しばらくは上り調子が続くだろう。
 ただ、ダンスに難があるようだ。体は動くのだが、体格が立派すぎるのか、ドタバタと音が聞こえて来そうな振りで、ちょっといただけない。(写真トップ:ラクシュミ・ラーイと。)

 ヒロインは二人。
 主人公のフィアンセ、シェーンバ役には、なんとボリウッド女優のカンガナー・ラーナーウトがやっており、それが本作の注目点の一つでもあった。
 カンガナー・ラーナーウトといえば、都会的で退廃的な女性をやることが多いのだが、今回はタミルナードゥの田舎娘の役。かなりイメージとは違うが、まぁ、タミルの村落部の娘にしちゃあ、きれいすぎる嫌いはあったが、それなりに健闘はしていた。
 ただ、カンガナーのギャラは750万ルピーで、これは地方映画デビューの女優としては最高額らしい。そんな大金を払ってまでボリウッド女優にやってもらわなければならない役だったかなぁ、という疑問はある。(写真下:村の子供とクリケットに興じるカンガナー嬢。)

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 セカンド・ヒロインはラクシュミ・ラーイで、女弁護士という、これまた彼女のイメージとは違う役どころだった。
 セクシー系の役柄も多いラクシュミだが、今回はメークも薄め、ナイス・バディーをロングコートに封印しての登場だった。それが却って好感度アップ。(下)

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◆ 結語
 【Dhaam Dhoom】は、ロシアでの大規模なロケ、ボリウッド女優の起用、従来とは違った悪役とコメディアンの使い方と、かなり違ったテイストを狙ったサスペンス・アクションのようだが、一つ緊密さが足りない仕上がりだった。
 もしかしたら、監督が途中で死んでしまった影響もあるのかもしれない。返す返すも残念だ。
 ところで、ジーヴァ監督は心臓発作で死んでしまったが、本作の主人公、ガウタムの設定が心臓外科医だったとは、なんとも皮肉なことだ。

・満足度 : 2.5 / 5
 

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