カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Budhivanta】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2008/10/24 20:00   >>

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 皆さま、お待たせしました!
 ウペンドラの【Budhivanta】を観て参りました。
 先月末に早々と「【Budhivanta】・序曲」として告知したものの、やっとレビュー本編の登場でございます。
 1ヶ月近くも何をしていたんだ!とお叱りになることなかれ。私も別に遊んでいたわけではなく、その間、タミル版オリジナルの【Naan Avanillai】(07)のDVDを手に入れ、研究に研究を重ねていた次第であります。

【Budhivanta】 (2008 : Kannada)
監督 : Ramanath Rigvedhi
脚本 : Venkatnarayan, Upendra
出演 : Upendra, Pooja Gandhi, Suman Ranganath, Nethanya, Saloni, Brinda, Lakshmi, Bank Janardan, Sridhar, Siddaraj Kalyankar, Dharma, Hema Chowdhary, Chidanand, Jayaprakash Reddy
音楽 : Vijay Anthony
撮影 : R. Giri
制作 : S.V. Rajendra Singh Babu, A. Mohan

《あらすじ》
 悪質な連続詐欺事件の容疑者として、パンチャムルタ(Upendra)という男が逮捕され、裁判にかけられる。彼は強いマンガロール訛りのカンナダ語を話す男だった。
 法廷には被害にあった女性が次々と出頭して来る。
 まず、レーカ(Brinda)というモデルが証人台に立つ。・・・レーカはヴィジャイ・ミッタル(Upendra)というロンドン在住の実業家と知り合う。彼女の兄(Dharma)は小さな建築会社を営んでおり、政府の仕事を受注するために大臣に賄賂を払おうとしていたのを、ヴィジャイが大臣との仲介役を務める。ヴィジャイはレーカと結婚までするが、賄賂の大金と共に姿をくらましてしまう・・・
 次にシャンティ(Saloni)というテルグ女性が証言する。・・・シャンティは結婚を間近に控えていたが、婚約者には満足していなかった。そんな時にサマラシンハ・レッディ(Upendra)という映画のヒーローのような男と出会い、ぞっこん惚れる。レッディはラーヤラシーマ地方の有力者だった。シャンティは結婚式の日にレッディと駆け落ちをし、二人で生活を始めることにする。しかし、レッディはシャンティの貴金属類と共に姿を消してしまう・・・
 3番目はラーニ(Nethanya)という20歳の女性とその母のチャンドラ・バーイ(Hema Chowdhary)だった。・・・彼女たちは狂信的なクリシュナ神の信仰者で、特に娘のラーニはクリシュナと結婚する夢を見ていた。2人はシュリー・シュリー・シュリー・バガワン・ランジャニーシ・スワーミ(Upendra)の教団に入り、夢のお告げの通り、ラーニはランジャニーシと結婚することになる。しかし、ランジャニーシもラーニの宝石類と共に忽然と消えてしまう・・・
 最後にモニカ(Suman Ranganathan)という著名な女実業家が証言台に立つ。彼女は被告を弁護する証言を始める。・・・モニカは夫にうんざりし、離婚したばかりだった。そんな時、シャーム・プラサード(Upendra)という有能な男が現れ、秘書として雇う。モニカはシャームを愛するようになり、記者を集めてシャームとの婚約を発表する・・・
 これらの証言に対して、パンチャムルタは「それは私ではない。私と似ている男がやったものだ」と自己弁護をする。嘘発見テストでも真実は割れなかった。
 この裁判の様子をプージャ(Pooja Gandhi)という女性が注視していた。彼女は本件の裁判官(Lakshmi)の娘で、法律を学ぶ学生だったが、自身もザーキル・フセイン(Upendra)という画家に成りすました被告とおぼしき男に現金を騙し盗られていた。だが、彼女は被告の頭の良さに感服し、好意を抱くようになっていた。
 法廷にデーヴィッド・フェルナンデス(Sridhar)というクリスチャンの男が現れ、パンチャムルタは実はジョセフ・フェルナンデスという名前で、私の弟だと証言する。しかしパンチャムルタは、自分はマンガロール出身のヒンドゥー教徒で、そんな兄はいないと主張する。警察と検察は二人のDNA鑑定を行うことにする、、、。

   *    *    *    *

 果たして、パンチャムルタは何者なのか、ジョセフ・フェルナンデスとは誰なのか、一体、パンチャムルタはクロなのか、いや、そもそもどうしてこんな不可解な詐欺事件は起きたのか、、、それは映画本編を観てのお楽しみぃ〜!

 というわけで、非常に面白い映画だった。
 (以下、ごちゃごちゃと書いてあるので、本作を観る予定の方は読まないように!)

 法廷の場面では、久々に(と言ってもいいと思うが)ウッピのマシンガン・トーク炸裂の、突っ走りの2時間半だった。
 マシンガン・トークといっても、かつての刺すような攻撃性はなく、理屈と茶化しをミックスしたようなユーモラスなものだった。その辺、物足りなさを感じないこともないが、代わりに40歳を越えたウッピーの技ありトークが味わえる。
 実際、言語について言うと、本作で7役をこなすウッピは役柄に応じて何種類かのカンナダ語方言と英語、ヒンディー語、テルグ語を駆使しており、その使い分けが本作の面白さの一つになっているようだ。(まぁ、【Dasavathaaram】で10役をこなしたカマル・ハーサンには及ばないのだが。)
 台詞の内容では、法廷でパンチャムルタがいかに原告や検事をやり込めるか、その理屈がたまらなく面白いようだが、残念ながら私の語学力では刃が立たない。字幕付きDVDが出るのを待とう! (しかし、あの台詞に英語字幕を付ける苦労人がいるだろうか?)
 ちなみに、被告人の名前「パンチャムルタ」は「5つのアムルタ」の意味で、ヒンドゥー教の儀式で飲む霊水のことだが、この場合は詐欺師の採った5相の象徴として使われている。しかし、映画中で彼は「パンチェ」と短縮形で名乗ることが多く、パンチェなら「巻きスカート」のことになり、こういう言葉遊びもウペンドラらしい。

 本作はタミル映画【Naan Avanillai】(07)のリメイクだが、大枠はオリジナルを踏襲しているとはいえ、改変点も多く、特にクライマックスは大きく変えられている。なので、作品のテーマもずいぶん違ったものとなっている。
 クライマックス以外に大きく変わったのは、「テルグ娘・シャンティ&サマラシンハ・レッディ」と「女実業家・モニカ&シャーム・プラサード」の2エピソードだ。特に前者はテルグ映画の痛快なパロディーで、かなり気合いを入れて作られている。面白い。(これとバーラクリシュナ主演のヒット作【Samarasimha Reddy】との関係は未確認。)対して、後者のエピソードはネタ的に冴えず、もうひと工夫欲しかったところだ。
 脚本はウェンカットナーラーヤンという人とウペンドラの共同となっているが、おそらくアイデアの多くはウッピから出ているのではないかと思われる。

 英語で‘teach lesson’という表現があるが、本作のテーマにぴったりの言葉だ。ただ、本作の内容を「勘違いしている女を懲らしめる男性本位なもの」と取るか、「誤った観念を抱いた女性が悲劇に陥るのを防ぐフェミニズム的なもの」と取るかは、観る人の価値観で違ってくることだろう。
 タミル版はシリアスで辛辣なタッチだが、この【Budhivanta】はパロディーを基調としたユーモラスな印象を受ける。あらすじを読んで分かるとおり、5つの詐欺のエピソードは今日のインドで顕著な世相のパロディーとなっている。
 目の付け所は面白いが、ストーリーの展開も風刺の仕方ももうふたヒネリしてくれたなら、タイトルの「ブッディワンタ(インテリジェント)」に恥じないな映画になっただろうと思う。

◆ パフォーマンス面
 ウペンドラの演技については今さら言及しないが、髪型にしても役柄にしても、これまで試行錯誤していたことがこの1人7役にうまく結実した感じだ。(写真:Upendra@サマラシンハ・レッディ)

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 5人いるヒロインでは、法律学生役のプージャ・ガーンディ、テルグ娘役のサローニ、女実業家役のスマン・ランガナートがよかった。
 特にサローニは素朴に可愛くて、この娘を見るために、もう一度観に行きたいぐらいだ。(写真:サローニとウッピ)

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 スマン・ランガナートには驚いた。彼女の作品としてはヒンディー映画の【Aa Ab Laut Chalen】(99)と【Baghban】(03)ぐらいしか思い浮かばないが、ひと昔前のセックス・シンボル、久々のカムバック、といった感じだ。
 なんでカンナダ映画?と思っていたら、どうも彼女はバンガロール出身で、かつてカンナダ映画に7本も出ていたらしい。もうかなりいい年だと思われるが、変わらぬナイス・バディーで、エッチでございました。

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 脇役陣では、裁判官役のラクシュミがいい。(タミル版オリジナルでもこの人が同じ役をやっている。)
 あと、カンナダ映画界の「ミスター・イーシュワラ」こと、シュリーダルがウッピの兄役で出ている。

◆ テクニカル面
 音楽はタミル版【Naan Avanillai】と同じVijay Anthonyが担当し、実は、用意された音楽シーン6曲のうち4曲までオリジナルと同じものが使われている。しかし、2曲は新曲だし、旧曲も1曲は違うエピソードに移して使われていたりと、まったくのアイデアの使い回しというわけではない。
 音楽シーンの映像はなかなかなもの。‘Chitranna Chitranna’ではウペンドラ自身が楽しそうに歌っている。
 タミル版オリジナルも歌は大ヒットしたが、この【Budhivanta】も面白い曲が並んでいる。うれしいことに、サントラCDには曲の合間にウッピのマシンガン・トークも収録されている。このCDは買う価値ありだ。

◆ 総評
 この映画を観てうれしくなったのは、ウペンドラが元気なことだ。
 この人の映画作りに対する情熱、献身はハンパじゃないが、カンナダ映画界の若いタレントたちも本作を観て、「やっぱ、ウッピ兄はスゲェなぁ」ということになったに違いない。(これが起爆剤となって、カンナダ映画界が活性化してくれたらうれしいのだが。)
 ラジニカーントの【Kuselan】がタミル映画75周年記念と銘打った作品なら、この【Budhivanta】もカンナダ映画75周年を祝うお祭り映画だ。
 こちらではかなりの勢いで客を集めており、日本のウッピ・ファンの皆さまにも、飛行機に乗ってまで観に来い、とは言わないが、必見作としたい。

・満足度 : 3.5 / 5

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