カーヴェリ川長治の南インド映画日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 【Sasirekha Parinayam】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2009/01/27 03:14   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 6

画像

 帰ってきたジェネリア!

 去年、ボリウッド映画の【Mere Baap Pehle Aap】を観て、「もうゲンちゃんは南に帰って来ません」と宣言した私だが、タルンと共演のテルグ作品のニュースに接し、半信半疑で待つこと○ヶ月、本当に、遂に、ゲンちゃんは南に帰って参りました!
 実は、先日紹介した【King】にもすでにジェネリアはカメオ出演しており、もしや本格復帰なのか、はたまた、これが最後の最後なのか、、、とにかく、「サウスのジェネリア」ファンにとって、新年早々、ビッグなお年玉だ。

【Sasirekha Parinayam】 (2009 : Telugu)
物語・脚本・監督 : Krishna Vamsi
出演 : Tarun, Genelia, Ahuti Prasad, Paruchuri Gopala Krishna, Subbaraju, Raghu Babu, M.S.Narayana, Abhishek, Suthivelu, Sivaji Raja, Tulasi, Surekha Vani, Geeta Singh, Giri, Monali Chowdary
音楽 : Mani Sharma
撮影 : Bhaskar Samala
編集 : Shankar
制作 : Sunkara Madhu Murali

《あらすじ》
 カキナダでコンピュータを学ぶブッジアンマこと、サシレーカ(Genelia)は、父のターターバイ(Ahuti Prasad)に呼び出され、急遽、故郷のアマラプラムに戻る。実家では慌しく結婚式の準備が行われていたが、サシレーカはそれが自分の結婚式のものであること、しかもそれが今晩行われることを知り、驚愕する。新郎はアメリカ在のNRIらしい。サシレーカは拒否するが、厳しい父には逆らえず、浄めの儀式に入る。
 ほどなく新郎の家族が乗り込んで来るが、新郎の父、ゴーパラ・クリシュナ(Paruchuri Gopala Krishna)は貪欲な男で、法外なダウリー(結婚持参金)をふっかけていた。それを知ったサシレーカは憤慨し、自分の宝石・貴金属を持って逃げ出してしまう。
 路上でサシレーカはある男に出くわす。その男こそ、新郎になるはずのアビマニュ(Tarun)だった。家族から花嫁が逃げ出したことを聞いていたアビマニュは、ひと目で目前の女性がそれだと悟る。
 叔父たち(Subbaraju, Raghu Babu)がサシレーカ捜しに動き出す。アビマニュは、名前をアーナンドと偽って、彼女の逃走を助けることにする。サシレーカとアビマニュはハイデラバードを目指す。そこから二人の珍道中が始まる。
 ウィジャヤワダでアーナンドはサイクリング旅行をしている友人(Abhishek)たちと合流する。アーナンドとサシレーカもこのグループと一緒に自転車で移動することにする。
 アビマニュは溌剌としたサシレーカに会ったときから惹かれていたが、サシレーカも道中の出来事を通してアーナンド(アビマニュ)を意識するようになっていた。
 サイクリングの一行はナーガールジュナ湖に至る。そこでキャンプをしているときに、サシレーカはアーナンドがグループの他の女性(Monali Chowdary)と親しくしているのを見、やきもちを焼く。彼女は一人でハイデラバードへ行くと言い出す。結局、二人はグループを抜け、トラックの荷台に載って移動する。
 ところが、その途上でデモの一群に遭遇する。二人はデモ隊と警察隊の衝突に巻き込まれ、サシレーカは頭に大きな怪我を負う。アビマニュは彼女を病院に担ぎ込むが、事情を知った彼らの親たちも病院に駆けつける、、、。

   *    *    *    *

 ボリウッド女優・ジェネリアにとって、本作は南で残っている契約の「消化作品」とも憶測されたが、なかなかどうして、かなりジェネリアの気合いの入った「本気作」だった。間違いなく彼女の代表作の1本になると思う。

 「Sasirekha Parinayam」は「シャシレーカの結婚」という意味で、一応、『マハーバーラタ』の一説話とされる物語の題名だが、本作はそれを映画化したものではなく、それを映画化したテルグ映画史上不朽の名作と言われる【Mayabazar】(57)のリメイクでもない。ただし、本作の冒頭に【Mayabazar】のフィルムが引用されており、親の貪欲が惹き起こす子の結婚問題という主題を示唆してはいる。
 ついでに、本作は、公開前はヒンディー映画【Jab We Met】(07)のリメイクだという噂も流布していたが、蓋を開けてみると、逃げる花嫁を男が手助けするというプロット以外まったく違っており、リメイクとは言えないことが分かった。(クリシュナ・ワムシ監督自身もそれを否定している。)

 本作の魅力は、ロード・ムービーらしい「開放感」とジェネリアの魅力、の2点に尽きると思う。
 前者では、クリシュナ・ワムシ監督の感性が光っている。
 親の決めた結婚(しかも、その根底には「貪欲」がある)から逃れるために子たちはどんな目に遭わなければならないか、コミカルなエピソードの連続に私は十分楽しめた。
 (写真下:結婚式の衣装のまま逃げ出すGenelia@サシレーカ。Tarun@アビマニュと。ジェネリアが持つ‘TOKYO’のロゴ入りバッグに注目。)

画像

 (こんな1場面も。タルンの腕にはなぜか「愛神」の文字が。)

画像

 特に光っていたのはツーリングでナーガールジュナ湖まで行くエピソードだ。
 莫大なお金のやり取りのために親が決めた、まるで「人身売買」か「売春」のような縁談に反対するのに、子供たちは言葉でも訴えかける。しかし、それ自身は月並みなもので、特に説得力はないように思えた。むしろ監督が見せたかった新しい視点は、ツーリングやキャンプを楽しむ若者たちの「自由さ」であって、「私たち若者はあなたたち親とは違うんです」、「同じ土俵にさえ立っていないんです」と、親の世代のこだわりとは無縁の若者の姿を見せることによって、伝統的な価値観をあっさり否定し去っているように思えた。
 これはもう、親子の「対立」という段階を越えて、「断絶」だ。これがインド社会にとって良いことか悪いことかは私には言えないが、この開放感に影響される若者も多いことだろう。

◆ パフォーマンス面
 もちろん、タルンも他のベテラン俳優たちも悪くはないのだが、本作の見どころは何と言ってもゲンちゃんだ。
 【Bommarillu】(06)のジェネリアに感銘を受けたクリシュナ・ワムシ監督が、あえて彼女を要求した作品だけあって、表情豊かで、活き活きとしたジェネリアが楽しめる。【Bommarillu】ほどの衝撃はないのだが、今回も彼女が見せた新しい「女らしさ」は、インドのうら若き女の子たちに強い影響を与えるだろう。
 近ごろ「塗りすぎ警報」発令中だった彼女だが、本作ではナチュラル・メイクに近く、意外と色黒の、ジェネリア本来の野性味が味わえる。

画像

 コメディアンは一人だけ。‘Taxi Driver’なのに‘Tax Payer’だと言い張るMSナラヤナの屁理屈は相変わらずシュールだった。

◆ テクニカル面
 マニ・シャルマの音楽は平均的だが、いくつか(特に、ナーガールジュナ湖のシーン)は非常に気持ちが良い。

 撮影は素晴らしかったと思う。やはりナーガールジュナ湖を捉えたシーンが美しく、特に生き物のように描かれたダムには驚いた。

◆ 総評
 【Sasirekha Parinayam】は、テルグ映画界の中核的存在とも言えるクリシュナ・ワムシ監督が、近ごろ流行の低予算・ニューカマー・シネマを意識して作った作品かもしれない。現地の評価は分かれており、「退屈だ」という声もよく聞く。そりゃあ、このようにエピソードが線的に繋がって行くだけの作品はインド人は苦手とするだろう。だが、ロード・ムービー特有のリズムに乗って行ければ、十分楽しめる。
 ジェネリアを見るだけでも、一見の価値アリだ。

・満足度 : 3.5 / 5

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(4件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
【Kanden Kadhalai】 (Tamil)
 本作品はヒンディー映画のブロックバスター【Jab We Met】(07:Imtiaz Ali監督,Shahid Kapoor,Kareena Kapoor主演)のタミル語版リメイクとあって、早くから話題となっていた。もちろん、【Jab We Met】のリメイクということだけでも話題性は十分だが、カリーナ・カプールの役をタマンナーがやるということで、さらに期待に拍車が掛かっていた。  【Jab We Met】を観て、いたく感銘は受けたものの、カリーナ・カプールをやや苦手とする私として... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2009/11/12 03:35
【Mayabazar】 (1957/2010 : Telugu)
 インドの白黒映画の名作をカラー化するという試みは、ヒンディー映画の【Mughal-e-Azam】(1960/2004)や【Naya Daur】(1957/2007)、カンナダ映画の【Satya Harischandra】(1965/2008)があり、さて次は、と思っていたら、ついにテルグ映画から登場した! ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2010/02/17 02:04
【Urumi】 (Malayalam)
 サントーシュ・シヴァン監督の話題の新作は時代劇大作の【Urumi】。  サントーシュ・シヴァンは、インド映画ファンなら誰しも認めるとおり、撮影監督としては人間業とは思えない美しい映像を撮る人で、私も非常に好きなのであるが、映画監督として見ると、評価は微妙になる。概して批評家からの評価は高く、良質の芸術的娯楽映画の作り手と目されているが、私はどうも「マニ・ラトナムの二番煎じ」といった印象を抱いており、嫌いとは言わないまでも、これまでのところインド映画史上の重要な監督だとは思っていない... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2011/04/17 01:51
【Govindudu Andarivadele】 (Telugu)
 トリウッドのクリシュナ・ヴァムシー監督は好きな監督だし、評価もしているので、いろいろ観ているつもりだったが、フィルモグラフィーをチェックしたら、あまり観ておらず、しかも最後に観たのが5年前の【Sasirekha Parinayam】だというのに気付いて、ショックだった。クリシュナ・ヴァムシー監督の作品というのは、アクション物にしても家族物にしても神様物にしても、一風変わったところがあり、哲学的な深みも感じるので、気に入っているのだが、この新作も「おお、ラーム・チャランと農村の取り合わ... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2014/10/08 21:11

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
>公開前はヒンディー映画【Jab We Met】(07)のリメイクだという噂も流布していたが、蓋を開けてみると、逃げる花嫁を男が手助けするというプロット以外まったく違っており、リメイクとは言えないことが分かった。

嬉しいような、残念なような。【Jab We Met】をゲンちゃんで作ったら、どんなにかオリジナルを凌駕するだろうと思ってたので。ともかくクリシュナ・ヴァムシ+ゲンちゃん、早く見た〜い。
Periplo
2009/01/27 04:12
これはおもしろそうですねぇ。私も見るのが楽しみずら。
ゲンちゃん映画はやはり一通り見るべきかなと、今ごろになって思います。

タルンと言えば、私のアールティ アガルワルの敵、、、、、
いやいや、そういうくだらない噂は置いといて、一度彼も何かで見ておきたいと思うので、これは丁度いい作品ですね。

そう言えば、ボリではそろそろ2008年度のフィルム フェア賞が出るんじゃないんですか?
ゲンちゃん受賞になるかが見所ですね!
Piyo
2009/01/27 06:40
Periploさん
>嬉しいような、残念なような。【Jab We Met】をゲンちゃんで作ったら、どんなにかオリジナルを凌駕するだろうと思ってたので。

天然ボケ対決で、さぞや面白かったでしょうに。
カーヴェリ
2009/01/27 22:46
Piyoさん
>私のアールティ アガルワルの敵、、、、、

はい、あなたにあげます、アールティ・アガルワル。
カーヴェリ
2009/01/27 22:48
やったぁ!もらっちった!

と、おバカは置いといて、
>新郎の父、ゴーパラ・クリシュナ(Paruchuri Gopala Krishna)
このパルチューリさんてよく”Paruchuri Brothers”で台本書いてたりするパルチューリさんの片割れですか?
Piyo
2009/01/28 00:33
そうだったと思います。
もう一人はParuchuri Venkateswara Raoだったと思います。
カーヴェリ
2009/01/28 02:28

コメントする help

ニックネーム
本 文
【Sasirekha Parinayam】 (Telugu) カーヴェリ川長治の南インド映画日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる