カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Villu】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2009/02/02 03:02   >>

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 プラブデーワといえばインド屈指のダンサー、振付師、俳優で、インド映画、特に南インド映画を語るには避けて通れないタレントだが、彼は監督としても旨味を見せているのも有名な話だ。
 監督作品としてはヴィジャイ主演の【Pokkiri】(07)が最大のヒットだと思うが、このタミルの人気スターと再び組んだのが本作だ。
 「Villu」は弓矢の「弓」という意味らしい。

【Villu】 (2009 : Tamil)
脚本・監督 : Prabu Deva
出演 : Vijay, Nayantara, Prakash Raj, Manoj K.Jayan, Devaraj, Vadivelu, Geetha, Ranjitha, Adithya, Sriman, Kushboo, Mumaith Khan, Zabyn Khan
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : Ravi Varman
編集 : Kola Bhaskar
制作 : K.Karunamoorthy, C.Arunpandian

《あらすじ》
 指名手配中のマフィアの大物・ラッカ(Adithya)が海路からインドに密入国する情報を得、警部補・ジョセフ(Manoj K.Jayan)率いる警官隊が港で張り込みをかける。ジョセフは非公式にプガル(Vijay)という若者にも協力を要請していた。ラッカはプガルの働きで殺害される。
 プガルはある結婚式に参加するため、地方の村に赴く。彼はそこでジャンヴィ(Nayantara)という女性に出会い、惚れる。プガルはあの手この手でジャンヴィにアタックをかけ、その甲斐あって、彼女もプガルに惚れるようになる。だが、直後にプガルはジョセフに「ジャンヴィを落とすことに成功」というEメールを送る。
 ジャンヴィはドイツのミュンヘンに拠点を置く実業家・JD(Prakash Raj)の娘だった。だがJDは、表向きは実業家であったが、裏では不正ビジネスを専らとするマフィアで、ラッカのボスでもあり、警察の次のターゲットはまさに彼であった。
 ジャンヴィは父に自分の恋人・プガルのことを伝える。JDはジャンヴィとプガルをドイツまで呼び寄せる。
 ドイツでプガルはシャーン(Devaraj)というマフィアの部下とひと悶着起こす。シャーンはJDの取り引き相手だった。シャーンとその部下はプガルを殺害しようとし、彼が空港まで母を迎えに行ったとき、銃で狙う。しかし、プガルの母というのが、他ならぬシャーンの妻・シャンティ(Geetha)であった。シャンティは夫の悪行に嫌気がさし、何年も前に家出をしていたのである。シャーンはプガル殺害を思い留まる。
 プガルが自分の息子であることを知ったシャーンは、公式に発表し、JDにも知らせる。息子を信頼したシャーンは、プガルを秘密の金庫に連れて行き、DVDを渡す。それはJDの不正ビジネスのデータが保存されているディスクだった。しかし、直後にプガルは、飛行機事故と見せかけて、シャーンを殺害する。
 プガルはJDに会い、シャーンを罠にかけるために実の息子であると偽って接近し、殺害したことを告げる。JDは表ではプガルに感謝するが、裏でシャーンの部下たちにこのことを知らせ、プガルを殺させようとする。しかし、プガルは逆にシャーンの部下たちを爆殺する。プガルはDVDをジョセフの許に送る。
 ラッカは実は生きており、ジョセフが監禁していた。だが、ラッカはその縛めを解き、JDに電話で自分が生きていることを知らせる。JDとプガルの間で諍いが起き、その過程でジャンヴィは、プガルがシャーンとシャンティの息子ではないことを知る。彼女はシャンティにそのことを伝えるが、彼女はすでに事実を知っており、ジャンヴィにプガルの父・サラヴァナン少佐(Vijay、二役)の身の上に起きた悲劇を語り始める、、、。

   *    *    *    *

 いや、面白かったです。
 天才ですね、プラブデーワは。

 実は、ハチャメチャな映画で、上のあらすじを書くのにも苦労した。しかも、読者はこのあらすじを読んでも面白くないだろうし、ありがちなスパイアクション・復讐劇ぐらいなものしか想像できないだろうと思う。
 しかし、実際に劇場で観てみると、コメディーもアクションも生きており、しかも高速回転でやって来て、最後までまったく退屈しなかった。

 ストーリーの展開からすると、まさにご都合主義のオンパレードで、ある種の人がある観点から見ると、まったくの駄作、腹を立てるかもしれない。事実、1つ星を付けているレビューもある。
 だが、またある種の映画は、ドラマトゥルギーとかロジックとかで作品の良し悪しを判断できないものもあるのも事実で、本作はそういう作品だ。
 もちろん、ハチャメチャの具合に不備があると不快感を感じるものだが、プラブデーワの快感のツボの押さえ方というのは天才的に鋭く、本作のハチャメチャさはそれ自身が理路整然とした娯楽のシステムになっている。

 だいたい、プラブデーワという人は、彼のダンスを見ていつも思うのだが、才能のある人が子供のときから一生懸命練習しました、だから上手いんです、という次元を越えて、なにか別の生き物が動いているような凄さを感じる。本作が持つ快調なリズム感は、彼のそんな身体感覚の表れなのかなぁ、と思ったりもする。
 プラブ・デーワの監督作品は、【Pokkiri】以外はすべて観たのだが、この【Villu】が最も文学的・言語的な要素に頼らない作品だった。(となると、【Pokkiri】がどんな作品なのか気にかかる。)
 (写真下:プラブデーワ監督とヴィジャイ、ナヤンタラ。なんだか意味深な情景だが、、、)

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 ついでに、本作はヒンディー映画の【Soldier】(98)を下敷きにしているようだが、言われないと気付かないだろう。(ちなみに、【Soldier】は私がインドに住み始めたころのヒット作で、懐かしい映画だ。今思えば、野暮ったい作品なのだが。)

◆ パフォーマンス面
 私はこの【Villu】のことを考えると、まずプラブデーワの顔が思い浮かび、次にヴィジャイが来る。どうも本作はヴィジャイの映画というより、プラブデーワの映画のような感じがする。ヴィジャイのパフォーマンスとしては普通だったように思うのだが、その辺はどうだったのだろう?(もちろん、ヴィジャイだからこそ、こういう映画が作れたに違いないが。)
 【Azhagiya Thamilmagan】(07)に続いて本作でも二役に挑戦し、多面なヴィジャイが楽しめる。ただ、二役物ということでは、【Azhagiya Thamilmagan】のほうが面白みがあったかなとは思う。

 納屋タラ子さんこと、ナヤンタラが演じるヒロインは、可愛そうな役回り。
 本作の脚本で気に入らない点といえば、このナヤンタラ(ジャンヴィ)とヴィジャイ(プガル)の関係で、常の映画のとおりヒーローとヒロインはカップルになるが、しかしそれはプガルが警察から与えられたミッションだった、という設定だった。結局、二人の関係はどうなったのだろう?
 しかし、ナヤンタラのパフォーマンスは、コメディー面でもお色気面でも光っていた。
 (写真トップ:ちょんまげのタラ子。下:口ひげのタラ子。)

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 悪役として、プラカシュ・ラージに加えて、デーヴァラージのとっつぁんが出ていたのがうれしかった。中途半端に甘い悪役像で、とっつぁんらしかった。

 ヴァディヴェールにはエールを送りたい。本作のコメディーは確かに面白かったのだが、そのためにヴァディヴェールがどれだけ痛い目、恥ずかしい目に遭わねばならなかったか、苦労を察して余りある。

 音楽シーンの1つにムマイト・カーンがアイテム出演していた。しかも、ムマイトの横になんかよく似たのが踊っているなぁ、と思っていたら、彼女の妹だということが分かった。(Zabyn Khanという名前らしい。1人でもアレですのに、2人並ぶと、ナニですなぁ。)

◆ テクニカル面
 音楽は、プラブデーワと相性が良いのか、本作もデヴィ・シュリー・プラサド。
 音楽シーンは音的にも絵的にも楽しかった。個人的にはガネーシャ神と踊るシーンが好きだ。

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 本作は古き良き時代の映画を意識してか、劇中に古い作品の引用があったし、映画の開始、クレジットの部分ではレトロな趣の曲が使われていた。

◆ 総評
 【Villu】はまさに‘Leave your brains behind’といったタイプの作品。好きな人は好きだし、嫌いな人は嫌いだろう。頭じゃなく、体で楽しもう。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
プラブ デーヴァ監督作品は私も結構好きなんですよねぇ。(まだあんまし見てないんですが)

やっぱり【Pokkiri】が一番のあたりですか。私はシッダ君、(もとい)トリシャの【NVNV】かとも思ってたのですが。

ちなみに、プラブ デーヴァ監督、映画にも顔を出してました?

>本作が持つ快調なリズム感は、彼のそんな身体感覚の表れなのかなぁ、と思ったりもする。

これは私もそうかなと肯きます。

>納屋タラ子さんこと、、、、

いやん、フルネームでお呼びくださって、タラ子うれぴー!
じゃなくて、タラ子さん、他の映画でもトップ女優がやらなさそうな、結構きわどいコメディーやってますよね。なかなか女優魂が座っているようで、個人的には特に好みではないのですが、そういうところ最近見直してます。


Piyo
2009/02/02 04:45
>やっぱり【Pokkiri】が一番のあたりですか。

私、【Pokkiri】、観てないんですよ。

>ちなみに、プラブ デーヴァ監督、映画にも顔を出してました?

はい、ストーリーには絡みませんが、ダンスシーンに出てますよ。

>なかなか女優魂が座っているようで、

昨日、タミル語版の【Ghajini】を見直したんですが、ナヤンさん、あの頃のほうが良かったなぁ。
 
カーヴェリ
2009/02/02 12:22

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