カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Jolly Days】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2009/02/06 03:01   >>

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 シェーカル・カンムラ監督のテルグ映画、【Happy Days】(07)のカンナダ版リメイク。
 【Happy Days】はお気に入りの1本でもあるので、それだけでも楽しみだったが、本作は「新アイシュワリヤ」こと、アイシュワリヤ・ナーグがヒロインを務めるとあって、私の中ではかなり注目度の高い作品だった。
 ったく、サンダルウッドのアイシュワリヤちゃんと来たら、私の声援の甲斐もなく、去年のデビュー作【Neene Neene】と、続く【Darode】が連続フロップ。もうすっかり映画界には失望して、今ごろアメリカでMBAの勉強でもしている頃だろうと思っていたら、まだ頑張って女優を続ける意志アリのようだ。ここらでヒット作を当てて、女優生き残り戦線に踏みとどまってほしいものだ。

【Jolly Days】 (2009 : Kannada)
物語 : Sekhar Kammula
脚本・監督 : M.D.Sridhar
出演 : Pradeep, Aishwarya Nag, Vishwas, Spoorthi, Niranjan, Ruthwa, Praveen, Keerthi, Ruthika, Suchindra Prasad, Kishori Ballal, Raghavendra, Rahul
音楽 : Mickey J.Meyer
撮影 : Krishna Kumar
制作 : Madi Reddy Param

《あらすじ》
 バンガロールのAIT工科大学に入学し、卒業していく男女4組の物語。
 中心となるのはサントシュ(Pradeep)とアンキタ(Aishwarya Nag)。二人は意識し合う仲だが、ある時、サントシュがアンキタにキスをしたいと打ち明け、それがアンキタの父に聞かれてしまったことから、二人の仲はこじれる。
 アップー(Spoorthi)は政治家の息子・ヴィシュワス(Vishwas)のことが好きだが、ヴィシュワスはセクシーな英語教師(Ruthika)や新入生のアルチャナに目移りし、アップーの価値に気付かない。
 タイソンこと、ニランジャン(Niranjan)は1年先輩のシュラヴァンティ(Ruthwa)に惚れてしまい、ストレートにアタックする。それが先輩たちの癇に障り、ニランジャンたちは上級生からのイジメに遭う。
 プラヴィーン(Praveen)とキールティ(Keerthi)は誰が見てもうまくいっているカップルだった。しかしある時、ニランジャンはキールティが他の男とデートしているのを目撃し、プラヴィーンに忠告する。だがプラヴィーンは、ニランジャンの忠告を聞き入れないばかりか、逆に彼を痛めつけてしまう。
 このようにぎくしゃくした8人だったが、やがて卒業の日が近付いて来る、、、。

   *    *    *    *

 これもクローン・コピーと言えるリメイクだった。ストーリーやシーン割りが同じであるだけでなく、登場人物のルックスまでがオリジナルと似た俳優が使われている。オリジナルとは違う変更があったのは、たぶん、ラストに近いところの1シーンだけだったと思う。

 オリジナルの【Happy Days】と本質的に違うのかなぁと言える点は、この【Jolly Days】のほうが幾分オシャレな線を狙っていることだろう。しかし、それが私の鼻に付くところでもあった。
 例えば、主要登場人物たちが住んでいる家は【Jolly Days】のほうが豪華な家だったし、大学の建物もカラフルに色塗られ、主人公たちは高級バイクや車に乗っている。女優たちのメイクも厚い。それで、無理して小ぎれいな感覚を出そうとした結果、かえってありがちな青春グラフィティーの雰囲気を生んでしまったのかなぁ、という嫌いがなきにしもあらずだ。
 そもそもシェーカル・カンムラ監督作品の魅力は、地味というか、ある種の野暮ったさであって、それが【Happy Days】でも、ともすれば引いてしまいそうな小っ恥ずかしい演出もなんとか共感の範囲内で受け入れられる理由であったと思う。
 そういうカンムラ・マジックのコントロールがないと、たんにコミック調の青春ドラマに終わるのかなぁ、特に本作の前半は登場人物たちの演技もダンスも拙く、見ちゃおれんというのが正直な感想だった。

 ところが、後半に入ってから不思議とテンポよく盛り上がり始め、最終的にはかなり感動できたので、リメイク作品としては合格レベルだと言えるだろう。
 だいたい、シェーカル・カンムラ監督の悪い点は、「とろい」こと、つまり、なかなか小気味よくストーリーが進んでくれないことであって、それが【Jolly Days】ではうまく処理されていたと思う。

 ところで、【Happy Days】のシェーカル・カンムラ監督は工科大学の卒業生だが、この【Jolly Days】のプロデューサーも工科大卒のソフトウェア・ビジネスマンらしい。映画でも理工系の人材や資本が重要な役割を占めるのは、いかにも南インドらしい。
 ちなみに、この物語の主要登場人物たちは、工科大を出て、大手コンピュータ会社に就職するところで終わっている。しかし、周知のとおり、昨年から続く世界不況でインドのIT業界も厳しく、リストラや就職難が当たり前のようになっている。本作を観て、「あの頃はハッピーだったなぁ」と別の意味で回顧している人も少なくないだろう。

◆ パフォーマンス面
 【Happy Days】がそうであったように、この【Jolly Days】でもメイン・キャラクターにはほとんど新人が使われている。アンキタ役のAishwarya Nag、ニランジャン役のNiranjan、キールティ役のKeerthiは映画経験者。アップー役のSpoorthiとプラヴィーン役のPraveenはカンナダ語のテレビ番組でVJをやっており、映画初出演ながら、すでにお馴染みの顔だ。
 男優では、やはりサントシュ役のPradeepとヴィシュワス役のVishwasが有望かと思える。(それぞれ【Happy Days】ではVarun SandeshとNikhilがやっていた役。)
 このプラディープくんが携帯電話を指の上でくるっと水平方向に廻す仕草がなかなかオシャレで、今どきのバンガロール・ボーイらしかった。
 (写真下:左がプラディープくん、右がヴィシュワスくん。)

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 さて、注目していたアイシュワリヤちゃんであるが、う〜ん、期待に届かずといったところか。これじゃぁ、「新アイシュワリヤ」と名付けた私が嘘つき扱いされる。
 ただ、この子は要所要所で「おおっ!」というカワユい笑顔を見せることがあり、この決め技一つだけでも女優としては食っていけるだろう。(まず、ダンスの練習をしてください。)

 アイシュワリヤちゃんについては不完全燃焼だったが、その代わり、本作で最も掘り出し物っぽいのが、シュラヴァンティ役のRuthwaだ。(オリジナルではSoniaがやっていた役。)攻撃的なエロ・カワ系美人なのであるが、ちょっとインド女優には見かけないタイプで、私は早くも「カンナダのブリジット・バルドー」と呼ぶことにした。
 (写真下:左がアイシュワリヤちゃん、右がルトゥワさん。なぜか両人ともご機嫌ナナメ。)

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 オリジナルでカマリニー・ムカルジーがやっていたセクシー英語教師役は、本作ではフェロモン女優のルティカ。ちょっとオバサンくさかった。(どうせなら、ラクシタぐらいを投入してほしかったのだが。)
 【Happy Days】のカマリニー・ムカルジーの心の夫は「マヘーシュ・バブ」だったが、本作では「ゴールデン・スター・ガネーシュ」。映画館内がドッとずっこけた瞬間だった。(やはりガネーシュは三枚目スターだったのだ!)

◆ テクニカル面
 音楽は【Happy Days】と同じく、Mickey J.Meyerが担当。曲もオリジナルと同じものが使われている。
 これは非常に賢明な選択で、本作の成功の最大の要因はこれだろう。

 Krishna Kumarの撮影は相変わらず素晴らしい。

◆ 総評
 【Jolly Days】は上出来のリメイク作品で、感動もできるので、観て損はない。しかし、【Happy Days】を観た人なら、わざわざ本作を見る必要はないだろうし、また、【Happy Days】を観ていない人なら、何らかの理由でカンナダ映画を観たいという人でない限り、やはり【Happy Days】を観ておけばいいと思う。

・満足度 : 3.0 / 5

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
>やはりガネーシュは三枚目スターだったのだ!

この箇所まできて大爆笑しつつも、ちょっと安心したのでした。やっぱ三枚目だったんだ!
Periplo
2009/02/06 05:07
「マヘーシュ・バブ」→「ガネーシュ」なら、あえてウケを狙ったのかなぁ、と邪推してしまいますね。
ガネーシュさん、お気の毒です。(本当にいい男なんですよ。)

しかし、カンナダ映画で、マヘーシュに対応するようなハンサム・ガイは、と言えば、誰がいる??
スディープかなぁ。
ダルシャンやラメーシュでも、私、笑いが起きたと思うんですよ。
カーヴェリ
2009/02/06 21:11
>音楽は【Happy Days】と同じく、Mickey J.Meyerが担当。曲もオリジナルと同じものが使われている。これは非常に賢明な選択で、本作の成功の最大の要因はこれだろう

あの音楽は一品ですよね。不動の青春ソングじゃないでしょうか。
オリジナルの【Happy Days】も別の音楽だったら印象がぐっと変わってくるでしょうね。
私良く”はっぴでぇ〜ず はっぴでぇ〜ず♪”って脳内連呼させてます。
Piyo
2009/02/07 15:58
>私良く”はっぴでぇ〜ず はっぴでぇ〜ず♪”って脳内連呼させてます。

あらまぁ、脳天気なお方だったんですね。
カーヴェリ
2009/02/08 11:00

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