カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Junglee】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2009/02/25 22:51   >>

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 スーリ監督、ヴィジャイ主演のカンナダ映画。
 スーリといえば、【Duniya】(07)で世に出た監督で、私も注目している一人だ。前作(第2作)の【Inthi Ninna Preethiya】(08)では「アルコール中毒」の問題を扱い、なんとも悲惨な内容が嫌われて、フロップに終わってしまった。
 本作では【Duniya】のヴィジャイを再びヒーローに、注目株のアンドリタ・レイをヒロインに起用し、娯楽アクション路線を狙った模様。前作の暗雲をスカッと晴らしたいところだ。

【Junglee】 (2009 : Kannada)
物語・脚本・監督 : Suri
出演 : Vijay, Andrita Ray, Rangayana Raghu, Adhi Lokesh, Sureschandra, Megabhagavatar, Nanjunda, Shobaraj
音楽 : V.Harikrishna
撮影 : Satya Hegde
制作 : Rockline Venkatesh

《あらすじ》
 シヴァリング、通称‘ジャングリー’(Vijay)は、学も金もない田舎者だが、屈強な体を生かして映画の悪役スターになりたいと思っていた。彼はグッデ(Rangayana Raghu)という変てこな男と知り合いになり、映画界入りのきっかけを掴もうとしていた。グッデはジャングリーを映画界にコネのあるギャングのボス、グルスワミに紹介する。だがグルスワミはジャングリーを自分の息子、ワサンタ(Adhi Lokesh)の運転手として使う。
 一方、ジャングリーは女子大生のパドマ(Andrita Ray)に惚れており、後を追い掛け回していた。彼は古典音楽師匠のパドマの父にも接近していた。パドマは次第にジャングリーに心を開くようになる。
 ある日、ワサンタが敵方のギャングに襲われたところを、ジャングリーが助け出す。これを機に、グルスワミはジャングリーを我が子のように扱うようになる。また、グルスワミの妻、スシーラはジャングリーに恋心を抱く。
 音楽の仕事の依頼のため、グルスワミたちはジャングリーの紹介でパドマの父の家に行く。しかし、その時、敵方の銃撃に遭い、運悪くパドマの父は死んでしまう。
 グルスワミたちは敵方・ムンナの一味に報復し、ジャングリーはムンナの腕を切り落とす。だが、パドマはジャングリーに武器を捨てろと言う。
 ある時、パドマに横恋慕したワサンタは、彼女を拉致してレイプしようとする。そこはジャングリーが救い出すが、彼とワサンタの間で激しい格闘となり、結果的にワサンタは死ぬ。それを見ていた組員のジュンキーは、ジャングリーがワサンタを殺したとグルスワミに報告する。グルスワミはショックで息絶えてしまう。ジュンキーはかねてからグルスワミの妻、スシーラに惚れていたため、ここぞとばかりに彼女に言い寄るが、彼女がジャングリーに惚れていることを知り、絞め殺した上で自身も自殺する。
 ジャングリーはパドマの勧めで銃を捨てる。だが、その場にムンナたちが襲撃に来、パドマは撃たれてしまう。再び銃を手にしたジャングリーは、ムンナたちを一掃し、パドマを病院へ運ぶ。

   *    *    *    *

 いやー、まいった、まいった、とんだ失敗作だわい。
 ストーリーもこんなふうにこねくり回すと、もはやヒネリとは呼ばれなくなり、一体何が言いたいのか分からなくなる。
 たぶん、マフィアという「悪」の存在も、何かのきっかけで対立抗争や内部抗争を生み、「自壊」していくものだ、ということが言いたかったのではないかと思う。だが、ストーリーの組み立てが効果的でなかったため、数々の疑問と血なまぐさい暴力シーンの記憶だけが残る、後味の悪い娯楽アクション映画になってしまった。

 一番の問題は、ジャングリーとパドマの関係がうまく描き切れていないことだろう。二人は本当に恋人なのか、いつ愛し合うようになったのか、どこまで強く愛し合っているのかがはっきり分からないため、パドマの父の敵に対する復讐も、ボスの妻・スシーラのジャングリーに対する恋慕も、ワサンタのパドマに対する横恋慕も、ぜんぶ不発に終わってしまったように思う。
 うまく行けば、面白いストーリーになっただけに、残念だ。

 しかし、、、
 ・やっぱりボロ雑巾のようにドン底で暮らす人々
 ・復讐の相手にガソリンをかけて焼き、それを携帯電話のビデオに撮る男
 ・一滴も無駄にすまいと、ウィスキーのプラスティック・ボトルを絞る男
 ・敵の腕を切り落とし、それをオモチャにする男たち
等々、スーリ監督らしいセンスもいくつか見られ、それは面白かった。

◆ パフォーマンス面
 ヒーロー、ジャングリー役のヴィジャイについては問題はない。彼なりのパフォーマンスだった。
 ところで、Vijayというのはありふれた名前で、タミル映画界にもカンナダ映画界にも、すでにスター俳優のVijayがいる。それで、区別のために、彼にも何かニックネームが欲しいところだったが、ついにそれが決まったようだ。

 「黒コブラ(Black Cobra)」!

 笑わないでくださいよ、読者の皆さん。
 サンダルウッド・アクション映画界のセンスって、こんなもんですから、、、。

 ただ、私が名付けるとすれば、「ブラック・コブラ・ヴィジャイ」じゃなく、本作のタイトルから取って、「ジャングリー・ヴィジャイ」としたい。(注:「junglee」は「ジャングルの人」という意味。)
 (写真下:見よ、ブラック・コブラの見事なマッスルを!!!)

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 ヒロイン、パドマ役のアンドリタ・レイは【Meravanige】(08)でデビューし、本作が2作目。【Meravanige】では強い感銘は受けなかったのだが、本作ではすべての面で一段クオリティーがアップしており、芝居もできるアイドル系女優として注目できるのではないかと思っている。
 (下:黒コブラと白ウサギ。)

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◆ テクニカル面
 技術陣は良い。
 ダンス・シーンは、ハリクリシュナの音楽も振り付けも、ひと昔前のボリウッド・アクション映画を思わせるようなジャカスカと威勢のいいものだが、カンナダ映画の中では高水準ほうだ。
 サティヤ・ヘグデのカメラも良い。

◆ 総評
 結論として、世界のD級映画を見尽くすことに生きがいを感じている人ならいざ知らず、その他の人にはオススメしない。
 注目していたスーリ監督だが、次回もこんな分かりにくい映画を撮るようなら、私も見捨てざるを得なくなるだろう。

・満足度 : 2.0 / 5
 

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