カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Rajkumari】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2009/03/27 18:28   >>

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 皆さま、ハッピー・ウガディでございます!

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 私もインド映画ファンとして、インドの大スターを愛で、快作・傑作を味わうことにやぶさかではない。ただ、本ブログは「現地レポート」という性格があり、資料的価値を持たせるためにも、時にはぱっとしない俳優や作品も取り上げるべきだと思っている。
 このカンナダ映画、【Rajkumari】もそんなケースかもしれない。サンダルウッドの大スター、ラヴィチャンドランの弟でありながら、存在さえ忘れられがちなバーラジ主演、一応有名なタミル女優だが、ついぞブレイクしなかったカニカーさんと、南インドを渡り歩く「さすらいのキャラクター女優」こと、ニキタさんをヒロインに迎えた、まぁ、いかにも本ブログ向けの作品ではある。

【Rajkumari】 (2009 : Kannada)
脚本・監督 : Govindraj
出演 : Balaji, Kanika, Nikita, V.Ravichandran, Srinivasa Murthy, Avinash, Rangayana Raghu, Bullet Prakash, Thulasi, Sundar Raj, Ramanithu Chaudhary, Umesh
音楽 : V.Harikrishna
撮影 : Joshi
編集 : B.S.Kemparaj
制作 : K.Manju, Venkatesh

《あらすじ》
 ラージャ(Balaji)は‘A to Z’という便利屋を営む若者。彼は同じアパートに住むクマーリ(Kanika)を愛していた。クマーリは寡婦で、チャンドゥという男の子もいたが、それでもラージャは彼女と結婚したいと思っていた。
 ラージャはある人物からの依頼で、ある富豪の娘・バブリー(Nikita)の身辺調査をする。その過程でバブリーはラージャに惚れてしまい、彼に纏わりつく。
 ラージャの隣に住む中年夫妻の結婚記念パーティのとき、バブリーはやって来て、ラージャにアタックする。それに辟易したラージャは彼女を遠ざけるが、それを見ていたクマーリはラージャを説得しようとする。困惑したラージャは、思い余って遂にクマーリにプロポーズするが、拒絶されてしまう。ちょうどそこへ、田舎から出て来たクマーリの父(Srinivasa Murthy)がやって来、娘の過去を語り始める。
 ・・・クマーリはとある田舎の地主(Srinivasa Murthy)の娘だったが、すでに縁談もまとまっていた。
 ある日、クマーリはラヴィ(Ravichandran)という音楽教師に出会い、その歌をすっかり気に入った彼女は彼の生徒となる。ラヴィは妻(Ramanithu Chaudhary)を事故で亡くしており、息子のチャンドゥを一人で育てていた。
 ラヴィとクマーリの間には師弟愛以外の何物もなかったが、彼女の親族たちは二人の仲を誤解し、まさに結婚式が行われようという日に、ラヴィは殺されてしまう。激怒したクマーリは故郷と家族を捨て、寡婦を装って、ラヴィの息子を育てる決意をする。そして、この時クマーリと結婚する予定だった男というのが、他ならぬラージャだった。・・・
 クマーリの素性、ラージャの気持ち、そして二人の因縁めいた関係を知ったアパートの住人たちは、クマーリを説得しようとするが、彼女はラージャの気持ちを理解しない。
 ある日、チャンドゥが行方不明になり、クマーリはラージャを疑う。だが、チャンドゥを誘拐したのはバブリーの父(Avinash)であり、彼はラージャを呼び出し、チャンドゥを返す交換条件として娘との結婚を迫る。ラージャはやむを得ず同意する。
 バブリーとラージャの結婚式の日となるが、彼女は父の取った卑劣な行為を恥じ、ラージャとの結婚をキャンセルする。ラージャの隣人たちは彼を励まし、クマーリを説得しようとする。だが、すべてに絶望したラージャは街を離れる決意をする、、、。

   *    *    *    *

 映画の出来としては凡作だった。
 実は、本作はアジット&ミーナ主演のタミル映画、【Anandha Poongatre】(99)のリメイクらしい。【Anandha Poongatre】は観ていないので何とも言えないが、Wikipediaの記述に「アジットのスーパーヒット作の一つ」とあるからには、質的にもよくできた作品なのだろう。だが、この【Rajkumari】のほうは特に何と言うことのない、退屈なロマンス物だった。

 ストーリーそのものが単純なのだが、それでもタミル版オリジナルの【Anandha Poongatre】がヒットしたというのは分かるような気がする。寡婦に身をやつし、街の片隅でひっそり暮らすミーナというのは、タミル人の琴線に触れるものだったろうし、それを一歩離れた所から見つめる純朴なアジットの姿、また、街を出る決意をし、駅に向かうときに、無造作にかばんを肩に掛け、ふと上目使いに空を見上げるアジットの姿などは、きっと泣けるものだったに違いない。(これはあくまでも私の想像。)
 だが、この【Rajkumari】には観客の胸を打つほどの繊細さはなく、ロマンス映画としての質感に乏しい。面白い映画を作ろうという執念が足りなかったようで、なんとなく脚本を書き、なんとなく演技をさせ、なんとなくカメラを廻した、という感じがする。

 そんな中で一人気を吐いていたのが、音楽教師・ラヴィ役のラヴィチャンドランだった。さすがこのクラスの俳優となると、一瞬で映画の空気を変えるパワーがあるようだ。(なにせ初登場のシーンで、わざわざ‘Crazy Star’の字幕が出るほどだったし。)
 (写真下:ラヴィチャンドラン氏。【Nee Tata Na Birla】のスチールより。)

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◆ パフォーマンス面
 主人公ラージャ役のバーラジは、上に書いたとおり、そのラヴィチャンドランの弟。
 なるほど、若い頃のラヴィチャンドランによく似ているが、兄の濃密な個性とパワーに比べると、どこか普通の気さくなお兄さんという感じがする。(でも、スチール・ウール状の頭髪は同じなんです。)外見的にも能力的にもまずまずなのに、それが却って仇となってか、ヒット作には恵まれていないようだ。
 本作でもそんな感じで、悪くないけど、インパクトもないというパフォーマンスだった。(写真トップの真ん中)

 ヒロイン、クマーリ役のカニカーさんも似たような印象を受ける。
 このお方、私は十分魅力的だと思うのだが、現地人の目から見ればそれほどでもないのか、または彼女自身に野心がなかったのか、知名度の割には大きな仕事をして来なかったような気がする。
 本作のクマーリは良い役なのだが、まず彼女の代表作になることはないだろう。(写真下)

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 ちなみに、カニカーといえばハニー・ヴォイスの持ち主としても有名で、プレイバック歌手や声優としても活躍しているが、カンナダ語ができない(たぶん)ため、本作では他の声優の声に吹き替えられている。

 さて、ニキタさんであるが、映画を観る前はこの人が本作のヒロインだと思っていたが、実際はセカンド・ヒロインだった。しかも、下の写真のようなセクハラ・ショットもあったりして、あまり良い役ではなく、お気の毒だった。

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◆ 余談
 ところで、このニキタさんは南印4州で仕事をしているとはいえ、最もよく出ているのはテルグ映画だろう。そのテルグ映画界で、ニキタさんはどうやら‘Iron Leg’と呼ばれているようなのだ。
 ‘アイアン・レッグ’というのはテルグ映画界の業界用語で、その俳優が出ると必ずフロップになるという俳優について「あいつはアイアン・レッグだ」と言うらしい。
 それは、その昔、G.Viswanatha Sastriというコメディアンが【Appula Appa Rao】(91)という作品でやった役にちなんでいるのだが、この映画で彼は‘Iron Leg’Sastriというバラモン僧の役をやり、その僧侶が行ってプージャをした家では必ず不運なことが起きるという話らしい。ところが、このG.Viswanatha Sastriという人は本当にバラモン僧であり、この映画を機に本業のプージャの仕事はぱったり来なくなり、お金に困り、病気にもなり、2006年に44歳の若さで亡くなってしまったという、コメディーでは済まされない人生を送ることになってしまったのである。(この写真の人)

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 それほど縁起の悪いイメージを持つ言葉だが、今をときめくジェネリアもシュレーヤー・サランも、かつては「アイアン・レッグ」と呼ばれていたらしい。
 それで、その名誉ある‘アイアン・レッグ’がニキタだというのであるが、しかし、最近では、殺され役ではあるが【Anasuya】(07:Telugu)、悪漢の愛人役ではあるが【Saroja】(08)は大ヒットし、カンナダ映画の【Vamshi】(08)では堂々とヒロインを張り、大ヒットしているので、彼女の脚も多少は軟らかくなりつつあるのだろう。

 ところで、テルグ映画界にはもう一人強力な‘アイアン・レッグ’女優がおり、それはサローニちゃんだと言うのである。
 さて、そこでそろそろオチになるのだが、そのテルグ映画界が誇る二大‘アイアン・レッグ’のニキタとサローニがウペンドラの次回作【Dubai Babu】に揃って出るのである。
 はてさて、ウッピーのパワーはこの‘鉄脚娘’たちに打ち勝つことができるか、非常に楽しみである。(しかし、下のスチールを見る限り、ウペンドラが足を引っ張りそうな気がするが!)

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 (【Dubai Babu】のスチール。左部右:今日も可愛いサローニちゃん。右部左:ヒロイン役をもらってうれしそうなニキタさん。)

・満足度 : 2.0 / 5
 

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タイトル (本文) ブログ名/日時
【Dubai Babu】
 ウペンドラ主演のカンナダ映画。  この映画については、去年の11月に撮影現場を見学する機会に恵まれ、ウッピーはもちろんヒロインのニキタやサローニ、それにナーガンナ監督をはじめとする裏方陣ともお会いできた経緯があり、非常に楽しみにしていた。  しかし、冷静に考えると、本作はスリーヌ・ヴァイトラ監督、ラヴィ・テジャ主演のテルグ映画【Dubai Seenu】(07)のリメイクで、【Dubai Seenu】は私の印象では中位の面白さだっただけに、それをカンナダの映画陣が撮り直したとしても... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2009/06/11 22:24
【Hoo】 (Kannada)
 ‘クレイジー・スター’ラヴィチャンドラン監督・主演のカンナダ映画。  ラヴィチャンドランは、間違いなくサンダルウッドの重要人物なのだが、このブログには彼の出演作は【Rajkumari】(09)しか登場していない。それもそのはず、彼自身ここ数年不振にあえいでおり、監督作、主演作、ヒット作がめっきり少なくなっているからだ。しかし、出世作の【Premaloka】(87)以降、90年代末まで、その旺盛な創造力を以ってして彼がカンナダ映画界に及ぼした影響は大きい。 ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2010/06/11 22:02

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
【Anasuya】でニキタちゃんがアイテムで出るシーンは、私大好きですよ。
ダンスの入れにくいサスペンス物に”踊り子の被害者”って、ダンスもお色気も映画に使えてうまい考えだなぁっておもいましたもん。

へぇ、サローニちゃん鉄脚なんですかぁ。
シッダ君の【Chukkallo Chandrudu】があたったのはたぶん、チャルミとお貞ちゃんがあげマンだからだったんですねぇ、きっと。

あ、この鉄脚伝説、Piyoが旗振って応援したスケーターは知らないうちに消えてしまう、ってのと似てますね。。。。。。。
Piyo
2009/03/27 22:16
>シッダ君の【Chukkallo Chandrudu】があたったのは、、、

あれ、【Chukkallo Chandrudu】は当たらなかったのでは?
現地では批評的にも興行的にもイマイチだったと聞いていますが。
その証拠に(というわけでもないんですが)、こちらで唯一手に入らないシッダ物のDVDがこれなんですよ。

>あ、この鉄脚伝説、Piyoが旗振って応援したスケーターは知らないうちに消えてしまう、ってのと似てますね。。。。。。。

キム・ヨナに旗振ってあげてください。
 
カーヴェリ
2009/03/28 11:16
>
あれ、【Chukkallo Chandrudu】は当たらなかったのでは?
現地では批評的にも興行的にもイマイチだったと聞いていますが。

あ、そうなんですか。
普通には客は入ったけど【NVNV】や【Bommarillu】の当たりが凄すぎて、その陰に隠れているだけかと
、、、、、、、勝手に思い込んでましたねぇ。

>こちらで唯一手に入らないシッダ物のDVDがこれなんですよ。

ではまだご覧になってませんか?わたしゃ大好きなんですがね。

>キム・ヨナに旗振ってあげてください。

え!?カーヴェリさん、スケート見るんですか?
なんか怖いなぁ、、、、、
ワールドのショートでのキム ヨナ、後ろに女神姿のラムヤさんが憑いてるような気迫のこもった目付きでした。
怖すぎて旗振れません、、、、
Piyo
2009/03/28 19:41
>普通には客は入ったけど【NVNV】や【Bommarillu】の当たりが凄すぎて、その陰に隠れているだけかと

そのとおり、【NVNV】や【Bommarillu】に比べるとイマイチだった、ということです(特に興行面で)。
【Bommarillu】のレビュー等を見ると、それが不振だったことが伺えます。
http://www.nowrunning.com/movie/3161/telugu/bommarillu/823/review.htm
http://www.indiaglitz.com/channels/telugu/preview/8182.html

別にけなしているわけじゃなくって、私も【ChCh】は好きですよ。

>ではまだご覧になってませんか?わたしゃ大好きなんですがね。

そんな次第で、わざわざ某師にコピーしていただいて、鑑賞しました。

>え!?カーヴェリさん、スケート見るんですか?
なんか怖いなぁ、、、、、

な、な、なんでですのん???
 
カーヴェリ
2009/03/28 22:59
>それが不振だったことが伺えます。

なるほど、ありがとうございます。
情報はより正確に把握しとかないといけないですからねぇ。

ということはサローニちゃん、やっぱ鉄脚なんだ。

>え!?カーヴェリさん、スケート見るんですか?
なんか怖いなぁ、、、、、
>>な、な、なんでですのん???

え!?なんか、ビールマンスピンを一人で部屋で真似してたりするのを想像しちゃったので、、、、、、
Piyo
2009/03/29 00:30
>ということはサローニちゃん、やっぱ鉄脚なんだ。

筋金入りの鉄脚ですよ。
(でも、ウペンドラの【Budhivanta】はヒットしたんですよ。)

>え!?なんか、ビールマンスピンを一人で部屋で真似してたりするのを想像しちゃったので、、、、、、

そら、怖いわ。
 
カーヴェリ
2009/03/29 00:43

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