カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Savari】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2009/04/26 02:34   >>

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 本作は、昨年大ヒットしたテルグ映画【Gamyam】(Radhakrishna監督)のカンナダ語版リメイク。
 【Gamyam】のリメイクとしては、すでにタミル語版の【Kadhalna Summa Illai】が今年の初めに公開され、ヒットを記録している。
 【Kadhalna Summa Illai】は、【Gamyam】の主要登場人物のうち、主人公のシャルワーナンドとヒロインのカマリニー・ムカルジーが同じ役で出演している。この【Savari】でも、ヒロインはやはりカマリニー・ムカルジーが演じている。
 【Gamyam】もカマリニーもお気に入りの私としては、注目の1本だった。
 (「Savari」は「Riding」という意味。)

【Savari】 (2009 : Kannada)
脚本・監督 : Jacob Varghese
出演 : Raghu Mukherjee, Kamalinee Mukherjee, Srinagara Kitty, C.R. Simha, Sadhu Kokila, Milind Gunanji, Pavitra Lokesh, Dattatreya, Suman Ranganath
音楽 : Manikanth Kadri
撮影 : Welraj
編集 : Sreekar Prasad
制作 : Ramoji Rao

《あらすじ》
 アビラム(Raghu Mukherjee)は大富豪の息子で、生まれてすぐに母を亡くし、アメリカで育てられたために、インドの庶民の生活を知らずに育った。
 彼はジャーナキ(Kamalinee Mukerjee)という女医に出会い、惹かれる。ジャーナキは自分が孤児として育ったため、奉仕活動としてスラムの人々のために医療活動を行っている女性だった。
 まめにジャーナキと接しているうちに、アビラムは彼女に対する気持ちが真剣なものとなっているのに気付く。ジャーナキもアビラムに好意を抱いていたが、住んでいる世界も見ている対象も違っているため、彼とは距離をおいていた。そして、アビラムの誕生日に起きた自動車事故がきっかけで、ジャーナキは彼の許を去る。
 アビラムは、ジャーナキがアルシーケレにある故郷の孤児院に戻ったことを知り、バイクにまたがり、ジャーナキ探しの旅に出る。
 旅の途中で、彼はガーリ・スィーヌ(Srinagara Kitty)という男と出会う。スィーヌはバイク泥棒だが、気の良い男で、始めはバイク目当てでアビラムに接近するものの、すぐにアビラムの目的を援ける決意をする。
 二人は孤児院に到着するが、ジャーナキの姿はなかった。孤児院の院長(Dattatreya)はジャーナキがバドラーヴァティへ行ったことを告げる。だが、バドラーヴァティにも彼女はいなかった。アビラムは彼女の友人のサラスワティ(Pavitra Lokesh)に会い、彼女がサクレーシュプラ方面の医療キャンプにいることを聞く。
 サクレーシュプラへ行く途上で、スィーヌは転倒してしまい、怪我をする。治療のために付近の診療所に寄るが、スィーヌを治療したのは他ならぬジャーナキだった。しかし、スィーヌもアビラムも気付かないまま、診療所を後にする。
 途中の村で歌謡ダンスショーをやっていた。その会場でスィーヌは故郷の村で馴染みのあったマンジャリ(Suman Ranganath)というダンサーに再会する。彼女は村のヤクザたちから嫌がらせを受けていたが、スィーヌとアビラムは彼女をヤクザから救う。
 翌朝、野宿していた二人は警察に連行される。地元の警察署には父のデーシュパーンデー(C.R. Simha)が待っていた。アビラムは父を説得し、父もアビラムの行動に理解を示す。
 アビラムとスィーヌは旅を続けるが、その付近はナクサライト(極左ゲリラ)が潜伏する地方だった、、、。

   *    *    *    *

 オリジナルに忠実な、特に破綻もなく、きちんと作られたリメイクだった。
 オリジナルの雰囲気や面白さをうまく保持していたという点では評価できるが、その分、大きな工夫もなく、物足りなさも感じた。
 作品の主題や論理を崩すことなく、変更を加えることは可能だったと思う。
 例えば、【Gamyam】で重要な要素となっていたナクサライト(左翼ゲリラ)のエピソードだが、ナクサライトはカルナータカ州ではAP州ほど大きな問題とはなっていないので、現実味がないのである。ここはカルナータカ州ならではの問題に即して、例えばカーヴェリー川の水紛争や、サンダルウッド(白檀)の違法伐採・密輸の問題などをうまくストーリーに組み込めば、もっと唸れるリメイク作品になったと思う。

 ロードムービーとして、州が変わればルートも変わるのは当たり前で、本作でアビラムが訪れた地点は、Bangaloreを出発して、Arsikere、Bhadravathi、Sakleshpurなど、主にカルナータカ州南西部だった。この辺は風光明媚な所だが、実際にどこでカメラが回されたかは分からない。(途中にダムがあったので、バドラーヴァティに行ったのは確かなようだ。)
 ちなみに、アビラムが乗っていた大型バイクはスズキの「隼」だった。

 もう一つ、なんとしても気にかかるのは、村での歌謡ダンスショー(レコードダンス)の場面だが、オリジナルの【Gamyam】ではAP州の伝説的大スター、NTRの物真似ショーだった。これがカンナダ版では誰になるのか?が興味津々だったが、答えを言ってしまうと、1人ではなく、ヴィシュヌヴァルダン、シャンカル・ナーグ、ウペンドラの3人の物真似で、これが結構笑えた。(特にヴィシュヌヴァルダンはそっくりで、私は、実は本人がこっそり出演していたのではないかと睨んでいる。)

 監督のJacob Vargheseの名前は初めて聞いたが、どうやらケーララ州出身の人らしい。【Andhiyum】という短編映画で2006年に国家映画賞を取り、続く【Putti】(08)も短編映画。長編商業映画は本作が初めてのようだ。(こちらを参照。)

◆ パフォーマンス面
 主人公のアビラムはラグ・ムカルジーという人が演じているが、こんなモデル系ハンサム俳優がカンナダ映画界にいたとは、ちょっとした驚きだった。
 名前からすると、家族の出身はベンガリーっぽいが、彼自身はバンガロール生まれ。実際にモデルとして活動しており、俳優としてはナーガティハッリ・チャンドラシェーカル監督の【Paris Pranaya】(03)に出ている。その後、ボリウッドに行って泣かず飛ばずだったり、嫁はんに対する嫌がらせ行為で逮捕されたりと、碌なことがなかったようで、久々のカンナダ映画界復帰となった模様。
 彼が今後どのような活動をするかは分からないが、こういうスマート・ガイはサンダルウッドにはいないので、彼に適切なポジションが与えられるなら、カンナダ映画の幅も広がるに違いない。

 ヒロイン、ジャーナキ役のカマリニー・ムカルジーは、【Gamyam】と同じく、彼女らしい良い演技だった。
 ところで、この記事によると、彼女は“I did my schooling in Bangalore and was waiting for the right opportunity to enter the Kannada film industry.”と言っている。意外な事実だが、彼女がバンガロールのどこで、いつ、何を勉強していたのか、気にかかるところだ。
 (写真下:Raghu MukherjeeとKamalinee Mukherjee。)

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 注目のガーリ・スィーヌ役は実力者のシュリーナガラ・キッティ。問題なく、うまく演じていた。(ただし、私はオリジナルのナレーシュのほうが気に入っている。)
 彼は去年、芸名をKrishnaに変えたはずだが、あまり良いことがなかったのか、本作のクレジットでは元のSrinagara Kittyとなっていた。(写真下)

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 村のダンスショーのダンサー役はスマン・ランガナート。彼女の登場シーンも注目点の一つだったが、期待どおりに魅せてくれた。
 このところ、すっかりカンナダ女優に落ち着いた感のあるスマン・ランガナートだが、だてにボリウッドに長くいたわけでなく、カンナダ映画の中では非常にきれいに見える。今のところカメオ的な出演が多いが、効果的に使われている。彼女もボリ転落派の一人に違いないが、サンダルウッドとしては儲けものをしたと言えるだろう。

◆ テクニカル面
 音楽はManikanth Kadriという人の担当。この人はカルナーティック音楽の有名なサックス奏者、Kadri Gopalnathの息子らしい。
 音楽は良かったが、全5曲中、3曲は【Gamyam】のオリジナル曲を使っているようだ。

◆ 結語
 【Savari】は観て損はない映画だが、基本的に【Gamyam】と同じなので、それを観ている人なら、わざわざもう一度観る必要もないように思われる。
 今回、映画館で鑑賞している現地人の様子を観察してみると、「ほ〜ぉ」と感心したようなリアクションが多かったので、面白かった。【Gamyam】はバンガロールでもヒットし、ロングランにもなったが、【Savari】を観に来た人というのは【Gamyam】を観ていないのだろう。こういうテイストのカンナダ映画は珍しいので、新鮮に感じられたのかもしれない。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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