カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Dubai Babu】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2009/06/11 22:23   >>

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 ウペンドラ主演のカンナダ映画。
 この映画については、去年の11月に撮影現場を見学する機会に恵まれ、ウッピーはもちろんヒロインのニキタやサローニ、それにナーガンナ監督をはじめとする裏方陣ともお会いできた経緯があり、非常に楽しみにしていた。
 しかし、冷静に考えると、本作はスリーヌ・ヴァイトラ監督、ラヴィ・テジャ主演のテルグ映画【Dubai Seenu】(07)のリメイクで、【Dubai Seenu】は私の印象では中位の面白さだっただけに、それをカンナダの映画陣が撮り直したとしても、せいぜい面白さは中位だろうなぁ、という寒い読みもある。
 ここは大きな期待は抱かずに、ウッピーとヒロインのお二方に挨拶しに行くぐらいの気持ちで観に行こう。

【Dubai Babu】 (2009 : Kannada)
監督 : Naganna
出演 : Upendra, Nikita, Kumar Govind, Saloni, Aryan Vaid, Dwarakish, Sadhu Kokila, Rajesh, Ramesh Pandit, Satyajit, Tennis Krishna, Sundar Raj, M.S.Umesh
音楽 : V.Sridhar
撮影 : Anil Xavier
制作 : Shailendra Babu

《あらすじ》
 バブ(Upendra)は仲間5人とドバイへ出稼ぎに行くため、故郷のマイソールからムンバイまでやって来る。しかし、そこで詐欺師(Tennis Krishna)に引っかかってしまい、所持金を全部盗られてしまう。バブたちはパトナーイク(Sundar Raj)という男の援助で屋台を始め、資金稼ぎに励む。しかし、この男もあこぎな金貸しで、働けども一向に財布は豊かにならなかった。

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 そんなある日、バブはヴァスンダラ(Nikita)という女性に出会い、一目惚れする。彼女はバンガロールでラジオ・ジョッキーをしていたが、家出した兄を探しにムンバイまで来ていたのである。
 バブはヴァスンダラに接近するが、彼女に職業を聞かれて、思わず「ソフトウェア・エンジニアだ」とウソを言ってしまう。二人は仲が良くなるが、ほどなくバブのウソはばれてしまい、ヴァスンダラは失望する。やがて彼女はバンガロールへ帰って行く。
 その後、バブはたまたま親友のサティヤ(Kumar Govind)と妻のプージャ(Saloni)に再会する。バブから事情を聞いたサティヤは、彼のためにドバイ行きの段取りを整える。
 その頃、ムンバイではジンナー・バーイ(Aryan Vaid)という名のギャングが指名手配になっていた。ジンナー・バーイは変装して潜伏していたが、サティヤとプージャは偶然彼を見つけてしまう。正体がばれたジンナー・バーイは、バブの目前でサティヤとプージャを殺してしまう。サティヤが死ぬ間際に、バブは、実はサティヤこそがヴァスンダラの兄だということを知る。
 バブはヴァスンダラに再会するために、ドバイ行きを止めて、バンガロールへと赴く。その頃、ジンナー・バーイも敵を追ってバンガロールに潜んでいた。それを知ったバブは、復讐のために行動を開始する、、、。

   *    *    *    *

 プロデューサーのシャイレンドラ・バブ、監督のナーガンナ、それにウペンドラのトリオは、過去に【Kutumba】(03)と【Gowramma】(05)を作って、ヒットさせている。この3人は相性が良いらしく、本作も出来としては悪くない。
 ナーガンナ監督の力量は堅実なようで、主筋のドラマもアクションもコメディーも音楽シーンも、映画としてきちんと撮れている。特にアクション・シーンは派手で面白かった。
 にもかかわらず、私が大きく満足できなかったのは、映画として、リメイク作品として、きちんと作りすぎていたからだと思う。
 本作は、一ヶ所の気の利いた変更点を除いて、ほぼオリジナルに忠実なリメイクとなっている。それは構わないとして、オリジナルの【Dubai Seenu】はなにかと難点の多い作品なのに、その難点まで律儀にコピーすることもなかったのになぁ、と思う。

 鑑賞前の私の心配点は、【Dubai Seenu】はアクションよりもコメディーの勝った作品で、テルグのコメディー陣あったればこそうまく行ったと思われるだけに、それをカンナダのもっちゃりとした芸風のコメディアンがやると果たしてどうなるのか、ということだった。
 それも杞憂にすぎず、コメディー陣は総体に上手く演じていた。ただ、上手く演じすぎているのである。言葉を変えれば、オリジナルのコピーとしては上手かった、ということだ。
 しかし、コメディアンたるもの、少ない出番でいかに道化ぶりを発揮し、個性を示せるかが真価のはずで、オリジナルを上手く真似たからといって褒められるべきものではない。その点、本作のコメディー陣はちょっと物足りなく、もっとオリジナルを足蹴にするようなハチャメチャさがあってもよかったのではないかと思う。

 それは主演のウペンドラについても言えることで、本作のウッピーはややお行儀の良すぎた感がある。オリジナルと比較してみると、「ヒーロー兼コメディアン」として力量は、思い切りよく演じたラヴィ・テジャのほうに軍配が上がる。

◆ パフォーマンス面
 とはいうものの、本作のウッピーは悪くはない。多方面向け娯楽映画のヒーローとしては合格点のパフォーマンスだろう。
 もう何年も監督として映画を撮っておらず、出演作もリメイクが多いということで、さすがに地元ファンの一部からも不満の声が上がるウッピーだが、しかし冷静に見ると、彼の人気が落ちているわけでも、集客力をなくしているわけでもない。むしろ、着実にファン層を拡大し、すっかり「愛すべき州民スター」に定着した感さえある。
 もともとストーリー・ライターとして映画界入りし、監督から俳優に転じてスーパースターにまでなってしまったウッピーだが、体が硬いせいでダンスもアクションも上手くなく、台詞まわしにも難があったにもかかわらず、ここまで芝居のできる俳優に成長したというのも、くだらない作品にも厭わず出演して、地道に経験を積んできたからだろう。10年前の彼のイメージを知る者にはいささか物足りない気もするが、ここは「ウッピーも変わればファンも変わるべし」ということで、彼の意図と努力は評価しておきたい。

 さて、テルグ映画界ではフロップを招く不吉な「アイアン・レッグ」と呼ばれた2人、ニキタとサローニについてであるが、ニキタは十二分な働きをしている。まずは彼女のせいで本作がフロップになることはないだろう。このところニキタがヒロインを張れるのはカンナダ映画ぐらいしかないので、少ないチャンスをうまく生かしているようだ。
 (写真下:UpendraとNikita。)

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 他方、カンナダ映画でもヒロインを張れないサローニは、本作での出番も短かく、私としては残念だ。しかし、十分に可愛かった。(とはいうものの、テルグ版のネーハさんのほうが好きだなぁ。)

 バブの親友、サティヤ役(オリジナルではJ.D.チャクラヴォルティがやっていた役)はクマール・ゴーウィンド。この人はウペンドラの友人で、ウッピーの極初期の監督作品【Sssh!】(93)で主演をしていた人。久々の映画出演らしい。
 (写真下:Kumar Govindと今日も可愛いSaloniちゃん。)

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 物足りないとはいえ、まずまずの仕事をしていたコメディー陣では、ドワラキーシュ(バブの仲間の料理人)とサティヤジット(悪徳警官カーライアー(Ramesh Pandit)の部下)が良かったと思う。
 あらすじには書かなかったが、物語にはジンナー・バーイに誘拐される人気アクション・スターが登場する。オリジナルではソロモン・ラージュという役名でM.S.ナラヤナが演じていたが、本作ではアーミル・カーンという役名でM.S.ウメーシュが演じている。なかなかの熱演だったが、珍優のM.S.ナラヤナだからこそ洒落になるこのブチャイクな役を、人の好いウメーシュのオジサンがやると、痛々しいものを感じないでもなかった。

 テルグ版ではスシャント・スィンがやっていたジンナー・バーイは、Aryan Vaidという人が演じている。全然知らない人だったが、ムンバイ出身のスーパー・モデルで、2000年の‘ミスター・インターナショナル’、「インドの最もセクシーな男」にも選ばれたことがある人らしい。どうも近ごろこういうハンサム・ガイが悪役をやることが多いようだ。
 (このお兄さん。)

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◆ テクニカル面
 音楽は【Mussanjemaatu】(08)でデビューしたV.シュリダール。非常に有望な若手作曲家だが、本作でも楽しい曲を作っている。
 音楽シーンでは、ウペンドラが17種類の扮装をするということで話題になっていた。それはやや空振りっぽかったが、映像自体は面白く作られている。

◆ 結語
 【Dubai Babu】はテルグ語版オリジナルの律儀なリメイクとして、オリジナルを越えるほどの魅力はない。ウッピーのファンで、【Dubai Seenu】を観ていない人なら楽しめるだろう。
 せっかくだから書いておくと、上で言及したウッピーの極初期の監督作【Sssh!】はなかなか面白いので、関心のあるお方はVCDでどうぞ。

・満足度 : 2.5 / 5
 

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