カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Evaraina Epudaina】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2009/07/06 23:00   >>

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 ワルン・サンデーシュ主演のテルグ映画。
 【Happy Days】(07)、【Kotha Bangaru Lokam】(08)と、ブロック・バスターが続いたワルン・サンデーシュだが、華奢で、掴みどころのはっきりしないキャラクターは従来のテルグ映画スターとは趣が異なり、まさにマルチプレックス・シネマ時代のシンボル的存在の一人と見なしてもいいだろう。本作はそんな彼の第3作で、ハットトリック達成となるか?
 片やヒロインはウィマラ・ラーマン。去年、タミル映画の【Raman Thediya Seethai】を観て感銘を受けた私としては、非常に気になる女優だ。
 監督のMarthand K.Shankarは、有名なフィルム編集者、Marthand K.Venkateshの兄弟で、本作が監督デビューらしい。(ちなみに、編集はMarthand K.Venkateshが担当している。)

【Evaraina Epudaina】 (2009 : Telugu)
物語・脚本・監督 : Marthand K.Shankar
出演 : Varun Sandesh, Vimala Raman, Giri Babu, Kota Srinivasa Rao, Adarsh, Reshmi, Ali, Venu Madhav, Brahmanandam, Anu Haasan, Rama Prabha, Telangana Sakuntala, Surekha Vani, Vizag Prasad, Kovai Sarala, Radha Kumari, その他
音楽 : Mani Sharma
撮影 : Venugopalan
編集 : Marthand K.Venkatesh
制作 : M.Saravanan, M.S.Guhan, Aruna Guhan, Aparna Guhan

《あらすじ》
 ヴェンカット(Varun Sandesh)は根は悪くないのだが、大学を出ても定職に就かず、公園にいるカップルを言いくるめては金を騙し取っているような若者だった。彼は、頭さえ使えば世の中なんとかなる、ぐらいに考えていた。
 マドゥミータ(Vimala Raman)は大学生だが、家族が営んでいる老人ホームの手伝いもしていた。彼女には2人の姉がいた。
 ある日、ヴェンカットは怪我をした祖母(Telangana Sakuntala)をバイクで病院に運ぶ途中で、マドゥミータの父(Giri Babu)と祖母(Rama Prabha)が乗ったバイクと衝突し、怪我をさせてしまう。2人の祖母は同じ病院の同じ病室に入院することになる。
 この病室でヴェンカットはマドゥミータに出会うが、彼女は以前に街角で見かけて、一目惚れしていた女性だった。ヴェンカットは張り切り、友人のラジュー(Adarsh)の助けも借りながら、知恵を絞ってマドゥミータの気を惹こうとする。その甲斐あって、彼女はヴェンカットに信頼を寄せるようになる。
 マドゥミータの老人ホームで式典が行われたとき、主賓として大臣(Kota Srinivasa Rao)が招かれていたが、彼は式典行事での自分の扱いを不服とし、マドゥミータの家族に恨みを抱くようになる。
 ある時、ヴェンカットはマドゥミータから電話で呼び出される。待ち合わせ場所に行ってみると、そこにはマドゥミータとラジューがおり、彼女からラジューとの婚約が決まったと告げられる。実はそれはマドゥミータの姉、バールガウィ(Reshmi)とラジューの婚約だったのだが、ヴェンカットはマドゥミータ本人との婚約だと誤解し、絶望する。彼は策を弄して、ラジューの婚約を破談に陥れるが、婚約相手がバールガウィだと分かって、ショックを受ける。
 ヴェンカットはなんとか償いをしようと、ラジューとバールガウィに働きかけるが、うまく行かない。だが、そうしているうち、ヴェンカットはマドゥミータの家族にすっかり気に入られ、マドゥミータも彼に愛を告白する。しかし、まさにその時に、バールガウィの婚約に際して仕組んだ策略がばれてしまい、彼はマドゥミータから拒絶される。
 ヴェンカットは改心し、なんとかマドゥミータの信頼を取り戻そうとするが、彼女の気持ちは変わらない。そんな折に、逆恨みを抱く大臣がマドゥミータの老人ホームを横領しようと、マフィアを使って家族に脅迫をかける。それを知ったヴェンカットは、単身でマフィアの集会場所に乗り込む、、、。

   *    *    *    *

 楽天的で、機転が利きすぎる青年が、自らの策に嵌まり、失った恋人の愛を勝ち得るために更正するというドラマで、上のあらすじでは分かりにくいと思うが、コメディー仕立てになっている。こういうありふれたストーリーは、さて、どう見せるかがポイントなのだが、残念ながら、内容の面でも完成度の面でも、私の予想とは異なるものだった。
 その理由は、まずはミスキャストだと思う。または、キャストのキャラクターを生かしていない監督の責任ということになるだろう。

 これは私だけの思い込みかもしれないが、ワルン・サンデーシュといえば10代の、まだ未熟だがそれだけ無垢な青年の役が似合い、他方、ヒロインのウィマラ・ラーマンは、実年齢からいっても雰囲気からいっても、落ち着いた大人の女の役が適していると思う。この二人が共演し、タイトルが「Evaraina Epudaina(誰でも、いつでも)」と来れば、観客は、年下の男の子が年上のお姉さまに恋をするという、近ごろのインドでも流行の「様々な恋の形」シリーズを期待するのではないだろうか(少なくとも私はそうだった)。しかし、出て来たのは20代前半の男女のありがちなラブ・コメだったわけで、このストーリーならこの二人を使う理由が分からないし、この二人を使うなら違ったストーリーを用意してほしかった。

 完成度という点では、本作はどうもバラバラした感じがするのである。監督はテルグ映画のフォーミュラーに強くこだわりすぎたようで、ヒーロー&ヒロインの周囲にしっかりした脇役陣、コメディアン、悪役を揃え、主筋の上にコメディー・シーン、音楽シーン、乱闘シーンをきちんと配しているのだが、それらがフラグメントとしてあるだけで、うまくまとめ切れていないのである。
 それは脚本がまずいせいかもしれないし、もしかしたら、主役のワルン・サンデーシュに力がなかったからかもしれない。ただ、ワルン・サンデーシュの実力と経験、それにキャラクターからして、あの個性の強いテルグの役者たちをまとめろというのが無理な注文で、ここはやはり上と同じ論法で、ワルン・サンデーシュをヒーローにするならもっと軽量級の映画を作るべきだったし、この構成でいくなら他の俳優、例えば(どこかのレビューに書いてあったように)、ラヴィ・テジャかパワン・カリヤン、またはアッル・アルジュンなどを使うべきだったと思う。

 とはいうものの、それぞれのフラグメント自体は悪くはなかった。
 また、マドゥミータ(Vimala Raman)がヴェンカット(Varun Sandesh)になびいていくプロセスは比較的丁寧に描かれていたし、エンディングも型どおりに収まっていたので、作品として決定的な失敗作というのではない。

◆ パフォーマンス面
 ミスキャストとは書いたが、ワルン・サンデーシュのパフォーマンスそのものは悪くない。ほぼ映画全編に出ずっぱりで、饒舌でコミカルな役を元気に演じている。
 ただ、繰り返しで申し訳ないが、監督はこの人をテルグ映画本流のヒーロー路線に乗せようとしているようだが、私はもう少しシネコン路線風の、等身大の若者というイメージで押してもよかったのではと思っている。
 (写真下:Varun Sandesh@ヴェンカット。左にいるのはAdarsh@ラジューで、【Happy Days】では先輩役をしていた人。)

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 ヒロインのウィマラ・ラーマン(写真下)についても、老人ホームの世話をする「気立ての良い娘」という性格付けには問題なく、演技も良かったのだが、どうも大学生のこの役には老けすぎている印象が拭えなかった。姉役のReshmiのほうがずっと若く見えたりして、この辺、なんとかしてほしかった。
 彼女はバラタナーティヤムのダンサーだということだが、モダンは苦手なのか、ダンス・シーンは全く様になっていなかった。(この点を見ても、どうもこのデビュー監督の役者の扱いには納得がいかない。)

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 脇役陣では、タミル映画【Indira】(95)で有名なアヌー・ハーサンがヒーローの義姉役で出ており、なかなか良い雰囲気だった。(写真下)

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 コメディーは、主にワルン・サンデーシュがリードしているが、アリーとヴェーヌ・マーダヴも山を作っている。アリーは今回はコスプレなしだが、それでも顔は大きかった。この二人による【Athadu】(05)からの引用あり。

◆ テクニカル面
 マニ・シャルマの音楽と音楽シーンは、現地人にはあまり評判は芳しくないようだが、私は特に違和感なく見られた。(ウィマラ・ラーマンのステップを除く。)

 美術的には、割れた鏡を効果的に使った演出あり。

◆ 結語
 【Evaraina Epudaina】は、テルグ映画らしいとも、らしくないとも言えるテルグ映画。近ごろのトリウッドの交錯するトレンドの中で、舵取りを誤ったような作品ではないかと思う。ワルン・サンデーシュが作り出すコメディー・シークェンスに笑う自信がない人にはオススメしない。

・満足度 : 2.0 / 5
 

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