カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Kabaddi】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2009/07/16 11:31   >>

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 今年の初めごろに、カバディを題材にしたタミル映画【Vennila Kabaddi Kuzhu】が公開され、ヒットしたが、今度はカンナダ映画からもカバディ映画が登場した。その名もずばり【Kabaddi】なのだが、実はこの2作にはある因縁がある。奇しくも、両作ともキショールがカバディ・コーチの役を演じているのだが、この記事によると、【Kabaddi】の監督のナレンドラ・バブが【Vennila Kabaddi Kuzhu】を観て、いくつかのシーンが酷似していたので、これはきっとキショールがストーリーを【Vennila 〜 】のスタッフに漏らしたに違いないと、かんかんに怒ったというのである。しかし、【Kabaddi】のプロデューサーは実はキショール自身であり、彼は「プロデューサーのワシがなんでそんなことしまんねん?」と疑惑を否定している。
 キショールもキショールで、事前に「ワシ、タミルでもカバディ・コーチやってまんねや〜」ぐらいのことを言えなかったのだろうかとも思われるが、もし【Vennila 〜 】側で緘口令が出されていたのなら、一概にキショールを責めることもできない。
 そんなゴタゴタはともかく、【Vennila 〜 】は心地良い作品だったので、この【Kabaddi】もスカッとしたスポーツ映画を期待したいところだ。

【Kabaddi】 (2009 : Kannada)
物語・脚本・監督 : Narendra Babu
台詞 : Hoo Pattanashetty
出演 : Praveen, Priyanka, Kishore, Dharma, Sriraksha, Avinash, Shoba, Manju, B.C.Ramesh, Naveen
音楽 : Hamsalekha
撮影 : (five cameramen)
制作 : Kishore

《あらすじ》
 舞台はカルナータカ州マンディヤ。グルジーことビーレーシュ(Kishore)は、カバディのコーチとして、自分の指導するチームを全国レベルにまで引き上げることに腐心していた。
 プラウィーン(Praveen)は精米所で働くカバディ好きの若者。ビーレーシュはプラウィーンを自分のチームに入れ、練習させる。だが、プラウィーンはまったく学がなかったため、ビーレーシュは友人ウェンカテーシュ(Dharma)の妹プリヤンカ(Priyanka)の許にプラウィーンを送り、英語を習わせる。その過程でプラウィーンとプリヤンカは相思相愛の仲になる。
 ウェンカテーシュは村の有力者だったが、妹とプラウィーンの交際を快く思わず、二人を引き離しにかかる。そして、ビーレーシュに干渉し、プラウィーンをカバディ・チームから外してしまう。だが、プラウィーンはライバル・チームに加わり、ウェンカテーシュの鼻を明かす。
 プラウィーンとプリヤンカの仲が進展するにつれ、ウェンカテーシュとの対立も強くなる。そんな中、カバディ・ナショナル・チームの代表選考会が開かれる。ウェンカテーシュは自分の弟マンジャを選ぶよう働きかけるが、選考会の結果、プラウィーンが選ばれる。だが、残念なことに、彼は練習中に足に怪我をしてしまい、代表の座を失う。
 しばらく村を離れていたプラウィーンだが、ビーレーシュが持病で急死したため、村に戻る。折りしもカバディの大会が近付く頃で、ウェンカテーシュのチーム‘Bank Board of India’も参加予定だった。プラウィーンはウェンカテーシュに会い、プラウィーンの所属する‘Mandya Blues’が‘Bank Board of India’に勝ったら、プリヤンカとの仲を認めるよう、挑戦状を叩きつける。
 しかし、‘Mandya Blues’は、チームメートが賭博がらみの揉め事でチンピラを殺めてしまい、投獄されていた。保釈金は50万ルピー。プラウィーンは親交のあった富豪のアヴィ(Avinash)とシュりー(Sriraksha)の夫妻にお金の工面を頼む。アヴィはお金を出すが、カバディ賭博に手を染めていた彼は、大会で‘Mandya Blues’が‘Bank Board of India’に勝つことを条件にする。
 プラウィーンはまた、インド代表選手であるB.C.ラメーシュ(B.C.Ramesh)に懇願してチームに加わってもらい、保釈されたチームメートらと共に大一番に臨む、、、。

   *    *    *    *

 レビューでは概ね高評価で、客の入りもまずまずらしい本作だが、私が観た限り、ストーリーは予定調和的すぎるし、出演者(ベテランを除く)の演技も未熟で、音楽シーンも大したことはなく、映画的な出来としては凡庸だ。あえて比較をするなら、【Vennila Kabaddi Kuzhu】のほうが面白い。本作がどうして褒め口調で語られるのか、ちょっと不思議なくらいだ。

 しかし、私と現地人の評価のギャップというのは何度もあったことで、本作においても、きっと異邦人の私にはまだまだ感知できない「味」というものを現地人は感じているのだろうなぁ、という推測は立つ。
 本作はカンナダ映画という地方映画の中でもさらにミクロ的な地方映画で、おそらく「カバディとマンディヤ」というのがミソなのだろう。聞くところによると、マンディヤはカルナータカで最もカバディの盛んな所らしい。「サッカーと清水市」みたいなものかもしれない。それで、カバディというスポーツに愛着があり、マンディヤという所がどんな所かを知っている人には、本作の多くの場面は具体的な生きたイメージとして感性に飛び込んでくるのに違いない。実際、私が観ても、青々とした水田の中で村人たちがカバディをしている映像は気持ちが良いものだった。(ちなみに、マンディヤはカルナータカでも有数の米作地域。)
 言葉もそれを補強しているのだろう。本作の評価ポイントして、台詞の良さが挙げられている。台詞はナレンドラ・バブ監督自身とHoo Pattanashettyという人が書いたものだそうだが、マンディヤ地方の方言と北カルナータカの方言がうまくミックスされているらしい(キショール扮するコーチが北カルナータカ出身という設定)。このレベルになると全く私の感知できない領域だが、邦画を観ていて、方言のちょっとした言い回しが大きな感動に結び付いた経験もあるので、本作の台詞がカンナダ人の琴線に触れたというのも自然なことだろう。
 こうした細かい事情を現地人と共有できていない私が本作を素通りするように観てしまったのも無理のないことだが、地味な地方映画にも味わいどころはたくさんあり、当地の人々はそれを楽しんでいるのだろうなぁと思うと、外国映画を味わい尽くすのはなかなか困難なことだと痛感した。
 (写真下:村のカバディ・チームの面々。なるほど、この男たちを味わい尽くすには時間がかかりそうだ。)

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 さて、導入部に書いた「剽窃疑惑」であるが、確かに、カバディという競技に対する権力の介入やカバディ賭博の問題、主人公が負傷するところなど、似ている点はあるのだが、これらはカバディ映画を作るならどうしても入って来るネタだろう。私が観た限り、【Vennila 〜 】と本作は全く違った作品だ。

◆ パフォーマンス面
 ヒーローを演じたPraveenは実際に州レベルのカバディ選手だそうだ。映画は初出演で、上手いとは言えないが、落ち着いた演技はしていた。
 他にも、チームメートを演じた人たちもカバディ選手らしい。
 B.C.Rameshは特別出演ということになるが、この人もカンナダ人で、実際にナショナル・レベルの選手らしい。たぶん、カンナダ・カバディ界の雄なのだろう。
 (写真トップ:左がPraveen、右がB.C.Ramesh。)

 ヒロインのPriyankaもデビュー女優。なかなかコメントしづらい女優だが、映画を壊しているという印象はなかった。(写真下)

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 こうして見ると、俳優たちがほとんど素人の割には、監督はまずまずの演技をさせていたのではないだろうか。(監督のNarendra Babu自身もデビューらしい。)

 ベテラン陣は玄人らしい仕事をしている。
 「グルジー」ことビーレーシュ役のキショールは、哲学者ばりの風格あるカバディ・コーチを演じている。これは【Vennila 〜 】のコーチ像とはずいぶん趣の違うものだ。
 ダルマは、ネガティブ・ロールだったが、持ち味は出ていた。もともと腕の良い性格俳優なのだが、今まで紹介したこともなかったので、今回は顔写真も載せておく。(下)

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◆ 結語
 本作はインドの大衆的スポーツを扱った娯楽映画だが、娯楽的な作りに物足りなさがあるため、誰が観ても満足できるというものではないだろう。ただ、素朴な中にもストレートな美しさがある作品で、好感は持てる。

・満足度 : 2.5 / 5
 

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2011/09/06 20:56

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