カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Indira Vizha】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2009/07/24 01:00   >>

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 ナミター&シュリカント主演のタミル映画。
 アシン・ショック以来、主要タミル女優がボリウッドを目指し、タミル映画に出たがらないという、かつてないヒロイン危機に陥っているコリウッドだが、その間隙を縫って異様に元気なのがこのナミターだ。今やコリウッドの看板女優といえば「タマンナーかナミターか」と言うのがジョークではないほど、厚い人気を誇っている。
 先にネタを明かしてしまえば、この【Indira Vizha】はヒンディー映画の【Aitraaz】(04)からのパクリである。【Aitraaz】といえば「逆セクハラ」を扱った問題作として話題になったものだが、ナミターがどこまでセクハラ悪女ぶりを発揮できるか、果たしてオリジナルのプリヤンカ・チョープラを凌駕できるか、が焦点の一つだろう。
 いや、それよりも、そのセクハラされる相手というのが、ヒーローとしては貧相な部類に入るシュリカントだというのが優れている。「ナミーVSシュリカン」なら、しかも次のようなスチール写真を見せられたなら、こりゃ、もう、「セクハラ」というよりは「拷問」に近いものを期待してしまう。

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 私的な注目点としては、ヘーマ・マーリニーという大女優と同じ名の新人女優がデビューしていることだ。この女優は先日たまたまギャラリーで見て、鼻血を出してしまったほどのムッチリ肉感娘だが、こんなに早く銀幕でお目にかかれるとはうれしい限りだ。
 (写真トップはSrikanthとHema Malini。)

 本作にはさらにラガシヤという肉弾アイテム女優も出演しており、ここまで来りゃあ、もう、酒池肉林の罰当たりB級映画を期待したいところだ。

【Indira Vizha】 (2009 : Tamil)
脚本・監督 : K.Rajeshwar
出演 : Srikanth, Namitha, Hema Malini, Nasser, Ragasiya, Vivek, Radha Ravi, Y.G.Mahendran
音楽 : Yadhish
撮影 : Jey Cami Alex
制作 : Ashok K.Kotwani

《あらすじ》
 サントシュ・シュリーニワサン(Srikanth)は‘Teen TV’というテレビ局のチーフ・ダイレクター。ある時、サントシュは自身のテレビ番組の中で、サヴィトリ(Hema Malini)という女性を「どっきりカメラ」に嵌めてしまう。法律大学を優秀な成績で卒業した才女のサヴィトリは深く傷つくが、それが縁で二人は惹かれ合い、結婚する。
 このテレビ局のオーナー、JK(Nasser)は、近ごろカミニ(Namitha)という名の女性を娶り、彼女をテレビ局長に就任させる。この人事は思いがけないものであり、サントシュの胸中に複雑なものが走る。
 ・・・実は、カミニとサントシュはかつて恋人同士であった。海外のビーチ・リゾートで足を負傷したカミニをサントシュが助けたのをきっかけに、二人の仲はとんとん拍子に進み、サントシュは結婚も考える。しかし、目的のためには手段を選ばないカミニの強欲な性格に嫌気がさし、彼女との関係を絶つことになったのである。・・・

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 故意か偶然か再会してしまった二人だが、カミニはサントシュに未練を抱いており、彼に絡み始める。サントシュは新しい番組の企画を提出するが、その件でカミニに自宅まで呼び出される。だが、カミニは彼を誘惑し、服を脱がしにかかる。サントシュは必死に抵抗し、なんとかその場を逃れる。
 カミニがJKに、サントシュにレイプされそうになったと嘘をついたため、サントシュは解雇の危機に陥る。また、何者かに命を狙われそうにもなる。彼は友人の弁護士、オッピラ・マニ(Vivek)と相談し、カミニに対して訴訟を起こすことにする。
 裁判はどちらに有利ということなく進んだが、同僚のステラ(Ragasiya)がサントシュに不利な証言をしたため、彼は窮地に陥る。妻のサヴィトリもサントシュに不信感を抱き、家を出る決意をする。
 実は、ステラは隠し撮りのプロで、カミニの家に仕掛けた隠しカメラを通して真実を知っていた。だが、JKに買収されて、法廷で嘘の証言をしたのである。ステラはサントシュの窮状を見て、真実を述べる決意をするが、その前にJKに殺されてしまう。
 サントシュはステラが超小型カメラとチップを埋め込んだ眼鏡を常用していたのを思い出し、彼女の部屋でその眼鏡を見つけ出す。そのチップにはやはりJKがステラを射殺する模様が記録されていた。
 弁護士のオッピラ・マニはその証拠映像を持って出廷しようとするが、途中で交通事故に遭い、映像を保存したノートパソコンも壊れてしまう。だが幸いなことに、彼は事前にサヴィトリの携帯電話にその映像を送信していた。空港の待合ロビーでその映像を見たサヴィトリは、夫の無実を確信し、自ら夫を弁護するために法廷に立つ決意をする、、、。

   *    *    *    *

 期待はずれのガッカリ轟沈映画だった。
 何事も中途半端はいかんよ、中途半端は。

 このキャストとスタッフから誰もA級映画が出て来るとは期待しないが、しかし、傑作B級映画なら作れる具材が揃っていただけに、勿体ないなぁ。
 【Aitraaz】は確かに社会的メッセージを含んだ秀作だが、そんなものは骨抜きにして、残った肉塊で大衆料理を作ろうという意図は賛成できる。しかし、バカに徹し切れていない。意外と真面目。それならそれで、もっと大真面目に仰け反りB級映画を撮ってやろうという気概はなかったのかね?

 映画のオープニング・シーンは良かった。法律大学の卒業式で、学長のスピーチに対して、法服を着た女学生たちが抗議の印に一斉にお尻を向ける。次の学長の言葉に対して、振り返った女学生たちの顔には人を小バカにしたようなお面がかけられている。その直後に水着姿のヘーマ・マーリニー(サヴィトリ)がプールから飛び出すシーンが続くという、素敵なB級映画のノリだったのに、その後ずるずると失速する。
 で、ナミターが出れば持ち直すかと思いきや、そのナミターが思ったほどの「セクハラ地獄」を見せてくれず、繰り出した技がせいぜいこの「圧迫椅子責め」ぐらい。

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 これでは誰も納得せんでしょう。
 どだい、この映画を観るすべての人の期待は、ナミターとナザル(JK)がシュリカントをヒィヒィ言うほどいびり倒すことのはず。で、「そこまでシュリカンをいじめるか」と、観客の憐憫が頂点に達したところで大逆転があり、客はスカッとした気持ちで帰途に着く、、、というのが正しいインドB級映画の在り方だと思うのだが、私が間違っているのかなぁ?

 終盤になってやっとタミル映画らしさが見られ、それがせめてもの救いだった。

◆ パフォーマンス面
 それにしても、シュリカントのパフォーマンスは評価できる。
 なかなか一線級に躍り出ることのできないシュリカンだが、こんなつまらない映画に出ても、黙々と役目を果たしている姿は非常に男前だ。拍手しておく。

 ナミターには物足りないものを感じた。というより、ナミターに十分な仕事をさせなかった脚本が悪いということになるだろう。演技そのものは悪くなく、本人もこの役柄を気に入っていたのか、楽しそうに演じていた。それだけに、なんとも勿体ない。
 (写真下:「あたし、確実にプリヤンカ・チョープラを越えたわ」とご満悦なナミター嬢。)

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 サヴィトリ役のヘーマ・マーリニーについては、けっこう好印象を受けた。この人は使えると思う。本作では女弁護士役だったからそう感じただけかもしれないが、単純なお色気女優というより、演技本位の女優として使ったほうがいいと思う。
 彼女についてはほとんど何も知らないが、引き続き【Naan Avan Illai 2】と【Guru Sishyan】という2本のタミル映画に出演するようだ。【Naan Avan Illai 2】は私は確実に観る予定にしているので、楽しみだ。
 Hema Maliniという名前については気にかかるが、こちらのインタビューによると、【Guru Sishyan】から名前をShruthi Prakashに変えるとのこと。経緯は分からないが、おそらくShruthi Prakashが本名で、Hema Maliniは監督か誰かに勝手に付けられたものではないだろうか。
 (写真下:Hema Malini。レトロな味わいのグラマー美女だ。)

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 予想外の活躍だったのがステラ役のラガシヤだが、彼女についてもよく知らない。カマル・ハーサン主演の【Vasool Raja MBBS】(04)でアイテム出演しているのは確認できた。
 インド人には違いないだろうが、顔立ちは平板で、バンコクのオープンバーにたむろしているレディー・ボーイを思わせる風貌だった。(下)

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 ヴィヴェックはよく分からない役柄で、どうも売れないテレビ俳優兼弁護士だったようだ。前半のコメディーは陳腐だったが、後半の裁判のシーンではヴィヴェックらしさが出ていた。やはりタミル俳優たるもの、一度はやりたいものなのか、【Chandramukhi】のラジニに扮したパロディーあり。
 JK役のナザルについては特記することもないが、ナミターと同様、やはりもっと面白く見せることはできただろう。

 ところで、このJKという役は当初ラグヴァランがやることになっており、スチール写真まで撮影された。しかし、ラグが病死してしまったため、ナザルが代役に立ったものだが、ラグにとっては最後の契約作品ということになる。故人を偲んで、ここにそのスチールを1枚アップしておく。
 (写真下:在りし日のラグヴァラン氏。手前の黒犬がラグの顔真似をしているのに注目。)

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◆ 結語
 誰が観ても不満を感じる作品だと思うが、部分的には面白く、興味深い点もあるので、絶対に観るなとまでは言わない。

・満足度 : 2.0 / 5
 

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