カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Modhi Vilaiyadu】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2009/08/04 19:29   >>

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 ヴィネイ・ラーイ主演のタミル映画。
 ヴィネイ・ラーイといっても、まだまだ知名度は高くないと思われるが、2年前に【Unnale Unnale】でデビューした男優で、私はちょっと注目している。その理由は、たんに彼がバンガロール出身だからというだけのことなのだが、タミル・スターのマダヴァンがもはや「チョコ・ボーイ」とは呼べないほどオッサン化してしまった今、ポスト・マダヴァン候補の一人と見なしてもいいのでは、ぐらいには思っている。事実、映画はまだ3本ほどしか出ていないのに、女性ファンの数は多いらしい。ちなみに、彼はアイシュワリヤ・ラーイらと同じバント・コミュの出である。(こちらの記事参照。)

 本作のもう一つの注目点は、Colonial Cousinsが音楽を担当していることだ。
 レスリーとハリハランの曲なら、映画が多少つまらなくても退屈しないで観られるだろうという読みだ。

【Modhi Vilaiyadu】 (2009 : Tamil)
物語 : S.Ramakrishnan
脚本・監督 : Saran
出演 : Vinay Rai, Kajal Aggarwal, Kalabhavan Mani, Cochin Haneefa, Santhanam, Yuva, Tattoo Ram, Mayilsamy
Ramesh Khanna
音楽 : Colonial Cousins (Hariharan & Leslie Lewis)
Stephen Devassy
撮影 : A.D.Karun
編集 : V.T.Vijayan
制作 : Murali Manohar

《あらすじ》
 ラージャン・ヴァースデーヴ(Kalabhavan Mani)はOPMグループを統べる大実業家だが、冷酷なビジネス手法のせいで、各方面に敵がいた。
 ラージャンの一人息子、ウデイ(Vinay Rai)は父の富で贅沢三昧の暮らしをしていた。彼にはマダン(Yuva)という友人がおり、幼少の頃より一緒に生活していた。ラージャンはウデイと同様、マダンの日常の世話もしていた。
 イーシュワリ(Kajal Aggarwal)はムンバイの実業家の娘だが、大学で勉強するため、チェンナイに来ていた。ある時、彼女の投げたコーラの缶が車を運転中のウデイに当たり、彼は事故を起こしてしまう。ウデイは、故障してしまったフェラーリの修理費として30万ルピーを請求するが、イーシュワリに支払う意思がなかったため、彼女を家政婦として家で働かせることにする。そんな状況の中、マダンはイーシュワリに惚れてしまう。だがイーシュワリは、当初は毛嫌いしていたウデイのことを愛するようになる。同じくウデイもイーシュワリに愛情を抱くようになる。
 ラージャンがある会社を合併吸収したため、その若社長が自殺してしまう。若社長の叔父は憤り、ラージャンに対する復讐のために殺し屋を雇い、息子のウデイを殺すよう指示する。
 ウデイはイーシュワリを巡る三角関係のことを父に話す。だが、意外にもラージャンはマダンの肩を持つ発言をしたため、ウデイはショックを受ける。そんな時に、ウデイを狙った殺し屋の銃弾が誤ってマダンに命中し、死亡してしまう。それを知らされたラージャンはひどく悲しむ。
 ほどなくしてある朝、目覚めたウデイは、自分の身の回りの物が一切なくなっているのに気付く。ロックアウトされて、父の会社にも入れなくなっていた。さらに、何者かに命さえ狙われるようになる。なんとかラージャンを捕まえたウデイだが、しかし父の口から驚くべき事実が明かされる。実は、マダンこそがラージャンの本当の息子で、ウデイは外敵の危害からマダンを守るための隠れ蓑にしかすぎなかったのである。マダンが死んだ以上、もはやウデイにも用はなく、捨てられたというわけだ。
 すべてを失い、路頭に迷うウデイの前に、飲み仲間のチャーナキャン(Cochin Haneefa)が現れる。ウデイはイーシュワリにも勇気付けられ、チャーナキャンや友人のカドゥグ(Santhanam)らと共に、ラージャンを懲らしめる行動を開始する、、、。

   *    *    *    *

 こういう中途半端な面白さの作品が一番コメントを書きづらいのだが、、、。
 モチーフとなっているのは、「替え玉」とか「影武者」とか呼べるもので、冷血な企業家のエゴのために、たんにその跡取り(実子)を守るための「盾」として育てられた孤児の若者が、一夜にして生活の手段ばかりか、人格や存在理由まで奪われてしまうというドラマ。その若者がいかにして人格と人生を回復するかがドラマの焦点だ。
 アイデア自体は非常に面白いのだが、映画作品としてはパンチ力に欠けたかな、というのが正直な感想だ。
 ただ、個々のエピソードは面白く作られており(例えば、イーシュワリが家政婦として働くくだり等)、観ていて退屈するほどのものではない。惜しむらくは、小技に逃れてしまった感じが強く、もっとメイン・プロットの熟成を待ってから脚本化に取りかかってもよかったのでは、と思う。

 監督のシャランはベテラン監督で、過去に大ヒット作もものにしている人のはずだが、本作ではその腕っぷしの太さは窺えない。もしや創造力が枯れてしまったのかなと心配もするが、そうであっては困るのである。というのも、彼は現在、アジットと組んだ話題作の【Asal】を製作中で、これは私的に非常に楽しみにしている作品だけに、この【Modhi Vilaiyadu】でも安定した実力を見せてほしかったわけである。

◆ パフォーマンス面
 主役のヴィネイは、デビュー作の【Unnale Unnale】に比べると格段の進歩で、アクションなんかも無難にこなしているのだが、もうひと皮ふた皮むける必要があるだろう。トゥル語が母語の彼は、今回は果敢にタミル語のセルフ・ダビングに挑戦しているが、あまり評判は良くないようだ。

 ヒロインのカージャル・アガルワルは、バブリーで活発な女子大生をオシャレかつコミカルに演じている。ただ、その役作りと演技スタイルには「アシン」を連想させるものがあり、こんなところに近ごろのタミル映画界の呪縛を感じる。
 容姿的には私の好みではないので、萌えることなく見てしまったが、良かったのではないだろうか。ただ、彼女はテルグ映画の超話題作【Magadheera】にも出演しており、そちらでの注目のほうが大きくなるだろう。
 (写真トップと下:Vinay RaiとKajal Aggarwal。)

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 脇役陣では、カラバヴァン・マニが悪役ということになるのだが、役作りとしては見飽きた感じのもので、この辺が本作のパンチ力を落としている理由かとも思われる。頭に来ると“Bullshit!”を連発するラージャンが実際に牛の糞を踏むところは笑えた。
 対して、コーチン・ハニーファは、大実業家だとはったりをかましていたが、実はちっぽけな清掃業を営むオヤジという役柄で、人物像として非常に興味深かった。

 サンタナムのコメディーは、前半は「相変わらずオモロないな〜、この人」という感じで見ていたのだが、後半で【Naan Kadavul】(09)のアーリヤ、【Subramaniyapuram】(08)のジャイ、【Ramana】(02)のヴィジャイカントを真似たシーンがあり、これは面白かった。

◆ テクニカル面
 さて、注目のColonial Cousinsの音楽であるが、残念ながら期待はずれだった。上で「レスリーとハリハランの曲なら、映画が多少つまらなくても退屈しないで観られるだろう」と書いたが、特に音楽がドラマを持ち上げていたようにも感じられない。
 アレンジなんかはリッチで、オーディオCDを家でゆっくり聴いたら良さが分かるのかもしれないが、私の印象では、一般的なタミル映画の音楽としてイメージされるものとあんまり変わり映えしないもので、まぁ、タミル映画なんだからタミル映画っぽい音楽で文句はないのだが、Colonial Cousinsならもっと違ったものが出て来てほしかった、ということだ。
 ただし、この音楽シーンだけは歌も映像もナイスだった。(YouTubeには今のところこのクォリティーの悪いものしか上がっていなかった。毎度、YouTubeでは劇場で感じる迫力の100分の1も伝わらないのだが。)
 http://www.youtube.com/watch?v=mbZyAX2IWBY

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◆ 結語
 現地の映画館で観るには観て損はないと思うが、わざわざ高価なDVDを買ってまで、という気はする。
 ただ、上で触れたとおり、【Asal】でシャラン監督と組んでいるアジットは、本作を観て、非常に感銘を受けたと言っている(こちら)。かなり監督に対するリップ・サービスはあるにせよ、いやしくも‘Ultimate Star’のアジットが面白いと言ったのなら、面白いということなのだ。というより、そのシャラン監督の次回作、【Asal】に期待しよう!

・満足度 : 2.5 / 5
 

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