カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Yamagola】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2007/09/19 23:02   >>

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 先日の【Yamadonga】の項目でこの【Yamagola】について予告しておいたが、ほぼ同時期にヤマ(閻魔大王)をモチーフにした2作品が制作され、公開されるとは、偶然にしても面白いことだ。
 ヤマを取り上げた作品はテルグ映画だけでも過去に何度か作られ、ヒット作も多いらしい。よほどアーンドラ人(と限らず、インド人)はこのヤマというキャラクターが好きなのだろう。もちろん、人の死や運命を司る存在というのは、ドラマのモチーフには持って来いのはずだ。
 「Yamagola」と言えば、30年ほど前にも同名の【Yamagola】という作品が作られており(NTR主演)、名作だと言われている。新【Yamagola】は旧【Yamagola】のリメイクというわけではないが、なにかと着想を受け継いでいる部分はあるようだ。
 旧【Yamagola】でヤマを演じていたのがKaikala Satyanarayanaという俳優で、この新【Yamagola】でも彼が演じている。実は、テルグ映画界でヤマの役者といえばこの人のことを指すらしい。【Yamadonga】ではモハン・バブが演じたが、今回は本家本元復活ということで、それも話題の一つとなっている。

 「Yamagola」は「ヤマの問題」という意味らしいが、このタイトルには「Malli Modalayindi」という副題がかかっている。これは「もう一度始まった」という意味なので、題して【ヤマ騒動、再び】とか、【帰って来たヤマ! てんやわんや】はどうだろうか。(てんやわんや、て。)

【Yamagola】 (2007 : Telugu)
物語・脚本・監督 : Srinivasa Reddy
出演 : Srikanth, Venu, Meera Jasmine, Reema Sen, Kaikala Satyanarayana, Krishna Bhagawan, Chalapati Rao, AVS, Rajiv Kanakala, Ahuti Prasad, L.B.Sriram, Naresh, Rajita, Hema
音楽 : Jeevan Thomas Xavier
撮影 : ‘Steady Cam’Prasad
制作 : Amar, Rajashekar, Satish

《あらすじ》
 ハイデラバードのある家族に女児が誕生した。僧侶は、彼女は品性の良い女性となり、家族にも富がもたらされると予言し、アイシュワリヤと名付けた。しかし、彼女は22歳で死ぬ運命にあった。僧侶はそのことは家族に知らせず、代わりにルドラクシャ(ペンダント)を授け、片時も身から離さぬようにと命じる。
 アイシュワリヤ(Meera Jasmine)は予言どおり素晴らしい女性に成長し、家族も豊かになる。
 その頃、冥界では年老いたヤマ(Satyanarayana)がそろそろ引退を考え、権能を孫のダルマ・ラージュ(ヤング・ヤマ:Srikanth)に譲ろうとしていた。しかし、ダルマ・ラージュは親友のグプタ(チトラグプタの孫:Venu)と組んで、天女相手に遊び呆ける日々だった。ヤマはラージュとグプタに経験を積ませるため、二人を下界に降ろし、ある人の魂を取って来るよう指示する。
 地上に降りて来た二人は、人間界の様子に戸惑う。
 ダルマ・ラージュは、路上で母親に死に別れた子供を引き取るアイシュワリヤを目撃し、ひと目惚れする。
 アイシュワリヤは、孤児を強制労働させている一味のことを知り、警察に知らせる。彼女は命を狙われるが、ラージュとグプタに助けられる。また、彼女の親友の女警官・ヴァイジャヤンティ(Reema Sen)の働きで、その一味のボスも逮捕される。
 そんな時に、ラージュは、自分が魂を取る予定の人がアイシュワリヤに他ならないことを知り、愕然とする。
 グプタは、アイシュワリヤが孤児院にいるときに火事を起こし、ラージュに「命を奪え」と指示する。ラージュは心を鬼にしてパーサムを投げ付けるが、アイシュワリヤがぶら下げていたルドラクシャによって弾き返されてしまう。
 それはシヴァ神の力だった。ヤマやラージュらはヒマラヤに赴き、シヴァに抗議をするが、シヴァは「アイシュワリヤが自分で首からルドラクシャを取らない限り、彼女の魂は奪えない」と言う。
 ラージュとグプタは、ナーラダ仙(Krishna Bhagawan)に伴われて、再び地上に降り立つ。そして人間の姿にやつし、アイシュワリヤの家族に接近する。
 グプタとナーラダはあの手この手でアイシュワリヤにルドラクシャを外させようとするが、ことごとくラージュが邪魔をしてしまう。憤ったグプタはラージュを責めるが、彼は「愛のせいだ」と答える。
 グプタは策を巡らして、今度はラージュとアイシュワリヤの仲を裂こうとし、それは上手くいく。
 そんな折、逮捕されていた悪漢のボスが釈放され、復讐のためアイシュワリヤの命を狙う。これもラージュが助けに入るが、今度こそ命を奪うべきだと考えたグプタはラージュの前に立ちはだかる。悪漢がアイシュワリヤ目がけて銃を撃つ。しかしその弾は、駆けつけた女警官・ヴァイジャヤンティの胸に命中する。
 自分のせいで危篤状態に陥った親友を見て、アイシュワリヤは命乞いをする。グプタは「君のルドラクシャを彼女の胸に掛ければ、彼女は救われる」と言い放つ、、、。

   *    *    *    *

 ヤマというより、ヤマの孫(ヤング・ヤマ)が活躍する映画だった。
 メイン・キャラクターに神様が登場するが、描かれているのは義務(ダルマ)と感情の相克に揺れ動く者の姿であり、非常に人間的な映画だったと思う。しかし、同じ人情劇でも、違った次元から眺めているのが面白い。

 描き方はコメディーで、かなり面白かった。
 特に前半は、ダルマ・ラージュとグプタが初めて人間界に降り立つシーンでは小ネタが利いていたし、他の映画からの引用、パロディーも楽しめた。(特に、カマル・ハーサンが出るシーンは冴えている。)
 なのに、後半ではもたつき、平凡なコメディー映画のノリになってしまったのが残念だ。

 興味深かったのはグプタが持っていた「閻魔帳」。
 これは、開けるとディスプレイがあり、冥界からの指令や情報を映像で受け取れるようになっている。ノート・パソコンのノリだ。
 そう言えば、【Yamadonga】でチトラグプタが持っていた閻魔帳も、そこに書かれてあるデータがある方法で消去・書き換えが可能となっており、これもメモリー・デバイスのイメージだ。
 こんなふうに、神様映画の小道具にさえ何気にコンピュータからの発想を挿し込むところなど、さすがインド屈指の映画産業都市であり、IT産業都市でもあるハイデラバードのなせる業かなと、変に感心してしまった。

 主役のSrikanthはいい役者振り。
 祖父のヤマを演じたKaikala Satyanarayanaと共に、立派なヤマ姿だった。

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 しかし、もっと印象的だったのは、グプタ役のVenu。人間的な愛情に揺れ動くダルマ・ラージュに対し、義務を果たせと、アルジュナに対するクリシュナのように毅然と臨むところは、かなり渋かった。
 この人、素晴らしくきれいな青い目をしていたが、実際にあんな色なのだろうか、それとも、この映画だけのメイクなのだろうか?
 ヒロインを演じたMeera Jasmineは、彼女でなければできないというような芝居どころはなかったが、適役ではあった。
 コメディー・パートでは、ナーラダ仙役のKrishna Bhagawanがおいしい役柄だった。
 (写真トップ:左よりSrikanth、Reema Sen、Meera Jasmine、Venu。)

 ところで、私はずっと、ヤマは神格なので、不老不死、その力は不変だと思っていたのだが、この映画では年老いて権能を孫に譲ろうかというヤマ像が描かれている。まるで歌舞伎役者の襲名のような扱いだが、たぶん聖典にはこうは書かれていないだろう。しかし、こんな柔軟な想像力もインドらしくて面白い。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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