カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Ninaithale Inikkum】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2009/09/13 22:50   >>

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 つい先日、プリトヴィラージとプリヤマニが共演したマラヤラム映画【Puthiya Mugham】を紹介したばかりだが、今度はタミル映画から同じペアの作品が登場した。この「プリ・プリ・ペア」は去年の【Thirakkatha】から数えて3作目で、特に深い意味合いはないと思うが、スクリーン上での二人の相性は良いと思われているのだろうか?
 この【Ninaithale Inikkum】は、大ヒットしたマラヤラム映画【Classmates】(06)のタミル語版リメイクで、主役は同じプリトヴィラージが演じている。
 題名の「Ninaithale Inikkum」は「君想えば恋し」ぐらいの意味らしい。カマル・ハーサンやラジニカントが出演した同名のタミル映画(1979年公開)があるのだが、それと本作との関係は分からない。

【Ninaithale Inikkum】 (2009 : Tamil)
物語 : James Albert
脚本・台詞・監督 : Kumaravel
出演 : Prithviraj, Priyamani, Sakthi Vasu, Karthik Kumar, K.Bhagyaraj, Vishnu Priyan, Jeeva, Anuja Iyer, Ilavarasu, Manobala
音楽 : Vijay Antony
撮影 : Balasubramaniam
編集 : Sreekar Prasad
制作 : Kalanidhi Maran

《あらすじ》
 シヴァ(Prithviraj)は大学の同窓会に出席するため、チェンナイへ向かう飛行機の中にいた。彼の脳裏には学生時代の苦い思い出が去来する。
 ・・・舞台は8年前(2000年)の‘National Arts College’。大学寮で生活していたシヴァには、ホステルメイトで音楽が得意なシャクティ(Sakthi Vasu)やバーラ(Vishnu Priyan)などの男友達、政治家の娘ミーラ(Priyamani)やイスラム教徒のシャーリ(Anuja Iyer)などの女友達がいた。彼にはワス(Karthik Kumar)とカルティク(Jeeva)らのライバルもいた。ワスは以前、女性問題を巡ってシヴァに手痛い目に遭わされたこともあり、彼をひどく憎んでいた。
 シヴァはミーラのことを愛していたが、その気持ちとは裏腹に、彼女と対立することが多かった。
 ある時、シヴァたちは学生自治会の選挙実施を大学側に求め、大規模なデモを行う。この学生のデモ隊と警察隊とが衝突し、キャンパスはパニックとなる。シヴァは負傷したミーラを救い、化学実験室に隠れる。このことがきっかけで、シヴァとミーラは恋人同士となる。
 大学側は選挙の実施を認め、シヴァは委員長に立候補する。しかし、驚いたことに、対立候補として立ったのは恋人のミーラだった。実は、ワスが彼女の父に働きかけ、立候補を拒めないようにしていたのである。
 ・・・同窓会の会場にはかつての級友たちがぞくぞくと集まる。しかし、シャクティの姿はなかった。実はシャクティは、8年前の自治会選挙の直後に死亡していたのである。この同窓会はシャクティの父(K.Bhagyaraj)の呼びかけで行われたものであった。
 シヴァはミーラと再会するが、選挙のときのしこりから、彼女を無視する。ミーラは謝罪するためにシヴァの部屋まで行くが、そこで見たのは、ギターの弦が首に絡まった瀕死状態のシヴァだった。彼は病院の集中治療室に運び込まれる。
 シャクティの父は、バーラとワスから8年前の彼らの人間関係について聞く。
 ・・・選挙キャンペーンは、ワスの策動もあって、激しいものとなっていた。投票時に、ワスはシヴァを陥れる奥の手として、シヴァとミーラがキスしているところを撮った写真を投票箱に入れる。それを知ったシヴァは、写真を投票箱から抜き出すために、バーラと共に夜中に大学に忍び込む。しかし、これは警備の警官に見つかり、彼らは逃げ去るしかなかった。
 翌朝、激怒したシヴァはワス相手に大乱闘を起こす。その最中に、シャクティの死体が大学の発電室で発見される。
 シヴァは失意のうちに、誰にも告げずに大学を去る。
 ・・・シャクティの父に、病院にいるシヴァが回復に向かっているとの連絡が入る。彼は様子を見に病院を訪れるが、シヴァの病室に意外な人影を発見する、、、。

   *    *    *    *

 事前の情報では、本作はリメイクとはいえ、オリジナルを大きく改変しているということだった。果たしてそのとおりで、ずいぶん違ったテイストの作品となっている。
 実は、【Classmates】(06)のリメイク作品としては、すでに2007年にテルグ語版【Classmates】が作られている(これは劇場で観ることができなかったので、DVDで鑑賞した)。こちらはほぼマラヤラム語版に忠実なのだが、なかなかよくできたリメイクで、ネタが分かっていても感動できた。つまりは、このストーリーとテイストが私の琴線に触れるということなのだろう。そんな私の目からすると、タミル語版の改変はどうしても「改悪」に見えてしまう。
 マラヤラム語版【Classmates】のエッセンスは「ノスタルジア」と「荒々しい情熱」だったと思うのだが、タミル語版ではそのどちらもが希薄になっているようだった。

 オリジナルからの主な変更点は回想シーンの時代設定だ。
 【Classmates】(06)では、回想場面は現在時から15年前の1991年、対して、【Ninaithale Inikkum】では、8年前の2000年(2001年かもしれない)。この違いは大きい。特に1991年と2000年という10年ほどの差は、この間にインドでどんなことが起きたかを考えると、映画作品がまったく違ったテイストになったとしても不思議はない。この時代設定だけで、本作の監督がオリジナルに対してどんな違いを出そうとしたのかがよく分かる。
 私としては、ノスタルジックな色合いの濃いマラヤラム語版のほうが良いと思うのだが、しかし、今のタミルの若者には、よく覚えてもいない古い時代を持って来られるより、リメイク版の時代設定のほうがアピールするかもしれない。
 (写真下:確かにマラヤラム語版ではこんなシーンは想像できないのだが。)

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 しかし、そうは言っても、本作については本当に面白い作品となっているのか、完成度の点で疑問が残る。ストーリーが少し変えられ、回想シーンの入れ方も変わっているのだが、全体として簡略化しすぎている嫌いがあるからだ。
 マラヤラム語版オリジナルの上映時間は2時間30分あるのだが、本作は、歌が数曲入っているにもかかわらず、2時間強という短いものだった。それで、エピソードの積み重ねがあっさりしすぎていて、まるで映画そのものが「ドラマ」というより「あらすじ」みたいになっている。その結果、登場人物たちの情感も、サスペンス・ドラマとしての緊張感も、こちらにはあまり伝わって来ないような気がした。

◆ パフォーマンス面
 主役のプリトヴィラージについては、同じ役の再演ということで、まったく問題はないのだが、比較すると、オリジナルのほうが良い。同じ役といっても、人物像はやや違っており、あのマラヤラム語版の荒っぽい学生運動バカほどの魅力はなかった。

 プリヤマニの役柄と演技については特に述べることもない。ただ、プリヤちゃんはこの映画に何かと思い入れがあるようで、いつになく饒舌に語っている(こちらの記事)。
 しかし、100パーセント間違いないと断言できるのだが、本作では彼女自身がセルフ・ダビングしているようで、これは注目だ。
 (写真下:メガネのプリヤちゃん。プリトヴィくんと。)

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 脇役陣では、シャクティの父役のバーギャラージ、友人役のシャクティとヴィシュヌ・プリヤン、敵役のカルティク・クマルが印象的だった。特に、シャクティは掘り出し物かもしれない。
 (写真トップ:Sakthi VasuとPrithviraj。下:K.Bhagyaraj。)

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 マラヤラム語版、テルグ語版、タミル語版の見比べでは、男優陣のセットはどれも遜色ないと思うが、女優陣ではテルグ語版のサダとカマリニーの組み合わせが一番魅力的だと思う(私の好みと言ってしまえばそれまでだが)。

◆ 結語
 【Ninaithale Inikkum】は、マラヤラム語版オリジナルのように大きく時代を振り返ることはせず、今のタミルの若者層にターゲットを絞った作りとなっている。リメイクとして狙いは評価できるが、作品自体の完成度が低いため、大きく評判となることはないだろう。

・満足度 : 2.5 / 5
 

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【Unnaipol Oruvan】 (Tamil)
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2009/09/27 00:34

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