カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Aadhavan】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2009/11/06 22:12   >>

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 ラヴィクマール監督、スーリヤ主演のタミル映画。
 ラヴィクマール監督といえば、【Muthu】(95)や【Padayappa】(99)などで知られるタミル映画界を代表するヒットメーカーだが、昨年の【Dasavathaaram】を見ても分かるとおり、長いキャリアにおいても創作上の野心やアイデアが衰えないという、実にパワフルな監督だ。スーリヤはスーリヤで、目下、触れば電気が来そうなぐらい活きの良い俳優だが、この2人が組めば、娯楽アクション映画としては相当なものが出て来ると期待して間違いないだろう。
 なお本作は、【Ghatikudu】というタイトルでテルグ語ダビング版が作られ、同日公開されている。

【Aadhavan】 (2009 : Tamil)
物語 : Ramesh Khanna
脚本・台詞・監督 : K.S.Ravikumar
出演 : Surya, Nayantara, Murali, Sayaji Shinde, Rahul Dev, Vadivelu, B.Saroja Devi, Anu Haasan, Riyaz Khan, Anand Babu, Ramesh Khanna, Sathyan, Manobala
音楽 : Harris Jayaraj
撮影 : R.Ganesh
編集 : Don Max
制作 : Udhayanidhi Stalin

《あらすじ》
 舞台はコルカタ。アーダヴァン(Surya)はプロの殺し屋で、養父のイブラヒム(Sayaji Shinde)が請け負った仕事をこなしていた。
 ある時、彼らは、医者のアブドゥル(Rahul Dev)から高名な裁判官・スブラマニヤム(Murali)を殺すよう依頼される。アブドゥルは子供を誘拐して殺害し、臓器を売買するという犯罪グループのメンバーであったが、その事件を摘発せんとしていたのがスブラマニヤムであった。アーダヴァンは銃でスブラマニヤムを射殺しようとするが、間一髪で狙いが外れてしまう。
 この失敗にアブドゥルは怒るが、アーダヴァンは他の方法で暗殺を遂げることを約束する。彼はスブラマニヤム家の使用人・バネルジー(Vadivelu)を脅迫し、その親類のムルガンになりすまして、まんまと使用人としてスブラマニヤム家に住み込むことに成功する。
 アーダヴァンは3度暗殺の機会を窺うが、なぜか失敗に終わる。一家が不安に陥る中、同居人のスブラマニヤムの姪・ターラ(Nayantara)は、叔父の命を狙っているのはムルガン(アーダヴァン)ではないかとの疑念を抱く。しかし、彼女に対してアーダヴァンは、実は私は10歳のときに家出したスブラマニヤムの実子・マーダヴァンだと打ち明ける。
 ターラは、スブラマニヤムを除く家族の全メンバーに、ムルガンこそが失踪したマーダヴァンだというニュースを伝える。一家は大喜びでマーダヴァンを受け入れ、なかんずく祖母(B.Saroja Devi)はそうだった。
 一向にスブラマニヤムが片付かないことに苛立つアブドゥルは、イブラヒムを強要し、警察にアーダヴァンのことを白状させる。アブドゥルと結託していた警官(Riyaz Khan)がスブラマニヤム家を訪れ、アーダヴァンを逮捕しようとする。アーダヴァンはスブラマニヤムとターラを人質に取り、アブドゥルらの犯罪の証拠を保存したスブラマニヤムのノートPCを持って、車で逃走する。
 車中で不安に駆られるスブラマニヤムだが、彼の携帯電話に警察本部長から連絡が入り、思いがけない事実が告げられる。実はムルガン(アーダヴァン)は本当に彼の息子・マーダヴァンだったのである、、、。

   *    *    *    *

 この後、アーダヴァンの過去が回想されて、マーダヴァンがアーダヴァンになった経緯と、彼がスブラマニヤム家に住み込むことになった真の理由が明かされ、悪役アブドゥルとの丁々発止のクライマックスを迎える、という展開となる。

 ラヴィクマール監督作品にしてはアイデアが貧相で、大予算で見かけの豪華さとは裏腹に退屈な作品だった。基本的に悪くはないのだが、期待に届かずといったところか。
 映画開始30分とクライマックスのアクション・シーンはさすがに面白く、ここだけは見ものなのだが、問題は中盤に1時間ぐらいの退屈な時間帯があることだ。これはアーダヴァン(Surya)がスブラマニヤム家で暗殺未遂を繰り返すシーンで、実は、これらの場面はストーリーの展開上、必要とも考えられるのだが、スーリヤとヴァディヴェールとの絡みもくどかったりして、不必要な部分が多すぎたようだ。
 これは多くの鑑賞者が感じたことらしく、どうやら監督は観客の意見を採り入れて、公開後に短く編集しなおしたようだ(こちらの記事)。私が観たのは上映時間2時間45分の第1版だが、現在は19分縮めたものが上映されているらしい。2時間45分といえば、インドの本格的アクション映画としては標準的な長さなのだが、それが長く感じられたということは、やはりストーリーと脚本に不備があったということだろう。(DVDはどちらのヴァージョンになるのだろう?)

 ところで、近ごろ本作のように公開後に編集しなおすという事例をよく目にするのだが(昔から普通に行われていた事柄かもしれないが)、これは再編集後にもう一度CBFC(Central Board of Film Certification)の検閲を受けなおすのだろうか。主に上映時間の長さが再編集の理由だと思われるが、中には内容的に大きく関わる改変もあり、やはり再検閲が必要なのだろうか。

◆ パフォーマンス面
 本作のスーリヤは、ややネガティブな色彩(殺し屋)を出すということで話題だったが、悪くはなかった。ただ、全体のパフォーマンスとしては前作の【Ayan】のほうが印象に残るだろう。
 ネガティブなトーンよりも、むしろコメディー面(主にヴァディヴェールとの絡み)で光っていたのではないだろうか。
 (写真下:使用人になりすましたスーリヤ。田舎の兄ちゃん、といった感じがグッド。ナヤンタラと。)

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 ヒロイン、ターラ役のナヤンタラは、近ごろの彼女のパフォーマンスでは最悪ではないかと思われるぐらいの張りのなさで、これは却って特記に値する。
 おやおやおや、一体、彼女に何が起きたんだろう???
 (写真下:音楽シーンではそれなりに力が入っていたが。)

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 脇役陣では、マラヤラム俳優のムラリが裁判官スブラマニヤムの役を渋く決めていた。(この人は今年の8月に惜しくも他界している。)
 ラーフル・デーヴの悪役はイマイチだが、医者の白衣姿はレア物かも。
 往年のスター女優、サロージャ・デーヴィが久々に映画出演というのも話題の一つだったが、特にどうということはなかった。

◆ テクニカル面
 音楽は、スーリヤとは相性の良いハリス・ジャヤラージ。しかし曲の構成はこれまでの作品とあまり変わらず、新鮮さはない。
 音楽シーンは凝っていたのだが、映画全体とはあんまり馴染んでいないようだった(例えば、下)。

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 本作のもう一つの話題は、スーリヤが10歳の少年を演じるということだったが、さすがにこれは実演では無理で、どうやら別の子供の顔にスーリヤの顔のイメージをデジタル処理で貼り付けたもののようだ。
 ちょっと不自然な気もしたが、試みは面白い。

◆ 結語
 再編集の結果、締まりが出たかもしれないが、決定的に傑作に転じたとは考えにくい。スーリヤのスター・パワーで一定の客は集めると思われるが、スーリヤのファン、ラヴィクマール監督作品は押さえておきたいという人以外、観なきゃ損というものではないだろう。

・満足度 : 2.5 / 5
 

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