カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Gokula】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2009/12/11 22:24   >>

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 プラカシュ監督のカンナダ映画。
 プラカシュは【Kushi】(03)、【Rishi】(05)、【Milana】(07)、【Vamshi】(08)と堅実にヒット作を連ねている若手(そろそろ中堅か)監督だが、際立ってすごい作品を撮っているわけではないものの、カンナダ人の情を狙って外さない上手さがある。たぶん、ヨガラージ・バット監督と並んで、今のカンナダ映画界を代表する人情映画の作り手と言えるだろう。
 ヒーローはウィジャヤ・ラーガヴェンドラ。プラカシュ監督とは【Kushi】、【Rishi】以来3度目の共同だ。

【Gokula】 (2009 : Kannada)
物語・監督 : Prakash
出演 : Vijaya Raghavendra, Yash, Pawan, Raghuraj, Pooja Gandhi, Nakshatra, Srinivasa Murthy, Sumithra, Ravi Kale, Kote Prabhakar
音楽 : Mano Murthy
撮影 : Sathya Hegde
編集 : M. Verman
制作 : Thashvini Prakash

《あらすじ》
 四人の若者、ラージャ(Vijaya Raghavendra)、N・ラージャ(Yash)、グル(Pawan)、シャンカル(Raghuraj)は孤児で、同じ孤児院で育った仲間。彼らは孤児院を出た後、コソ泥や詐欺をして何とか生活していた。
 お金持ちの医大生、リーラ(Pooja Gandhi)はラージャに金を騙し取られるが、ラージャのおかげで医療奉仕活動がうまくいったこともあり、彼に好意を示す。また、四人組の部屋の大家(Kote Prabhakar)にマハーラクシュミ(Nakshatra)という娘がいたが、彼女はN・ラージャに惚れていた。N・ラージャはまったく気がなかったが、金づるになるので、しぶしぶ付き合っていた。
 ある朝、ラージャが牛乳泥棒をしていたとき、老人(Srinivasa Murthy)に目撃され、後を付けられる。後日、その老人は妻(Sumithra)を連れて四人組の前に現れ、ラージャのことを「息子」と呼ぶ。四人組とリーラは招かれるままに老夫婦の屋敷を訪れるが、そこでラージャの肖像画の写真を見て驚く。老人は、これは息子の肖像画だと主張する。
 老人の息子は子供のときに水死していたのだが、成長した息子を想像した絵を画家に描かせたところ、本当にそれと瓜二つのラージャが現れたため、彼を息子の生まれ変わりだと信じるようになっていた。実は、その絵はケチな画家が通りがかりのラージャを見て描いただけのものだったのだが、、、。
 突然の両親の出現にラージャは当惑し、迷惑に感じるが、老夫婦には資産があったため、他の三人が金目当てでラージャの背中を押す。また、四人組とも関係のあったヤクザのボス、カーレ(Ravi Kale)が、資産価値2億ルピーの老夫婦の屋敷を狙っていた。カーレはラージャと老夫婦との関係を知り、屋敷の権利書を手に入れるよう依頼する。ラージャは乗り気がしないが、儲けの2パーセントをやるという申し出をされ、前渡金も受け取ってしまう。
 ラージャは老夫婦を「お父さん、お母さん」と呼び、家を売って引っ越す提案をする。だが、老人は息子との思い出の家を出る気はなく、また、家の売却の話にヤクザのカーレが絡んでいることを知り、不快感を示す。しかし、結局は情にほだされて、ラージャに土地家屋の権利書を譲り渡す。
 良心の呵責を感じたラージャはこの件を御破算にしようとするが、N・ラージャらに強硬に反対されて、しぶしぶ書類をカーレに渡す。だが、時はすでに遅く、カーレは強引に屋敷を奪い取ろうと、老人を殺した後だった。
 老人の妻はショックで入院する。真実を知ったリーラにも責められ、ラージャらは激しく罪の意識に駆られる。
 家屋売却の書類にはラージャのサインが必要だったため、カーレは四人組を呼び出し、ラージャにサインを強要する。しかし、もはや我慢の限界を越えていたラージャは、カーレに怒りの鉄拳をぶちかます、、、。

   *    *    *    *

 カンナダ映画を観てはブツクサ文句を言っている私だが、しかしながら手応えとして、カンナダ映画も着実に魅力を増しつつあるなぁ、というのがある。もしや私の感性がようやくカンナダ映画の魅力に気付き始めただけかもしれないが、近ごろはカンナダ映画を観て「ジ〜ン」と来ることが多い。しかも、その「ジ〜ン」の来方が他の映画産業作品では味わえない来方なので、おそらくこれがカンナダ・テイストというものなのだろう。
 この【Gokula】もそんなふうにジ〜ンと来る作品で、しかもこれはプラカシュ監督作品に共通する感覚だ。

 ストーリーは簡潔で、見せ方もオーソドックスなものだ。新しいかなぁ、と言えるのは四人組の若者像で、楽天的なコソ泥・詐欺師に成長した孤児という設定はインド映画では珍しくないが、従来の紋切り型の若者像より描き方がややリアルになっていて、面白いと思える場面がいくつかあった。四人が作り出すコミカルな部分とセンチメンタルな部分のバランスも良かったと思う。

 孤児として育ち、親というものも親子の愛情というものも知らない若者が、ひょんなことから擬似親に出会い、とんでもない過ちを通して、ついに親子の情愛を実感として獲得する、という話。映画の冒頭でストーリーに入る前に、世界各地の子供の写真がモンタージュ式に映し出される部分があり、これからすると、本作でのプラカシュ監督の狙いは、逆境にいる子供たち(特に孤児)の問題に光を当てようとしたものだと考えてもいいだろう。

◆ パフォーマンス面
 四人組を演じたウィジャヤ・ラーガヴェンドラ、ヤシュ、パワン、ラグラージは、それぞれの役を理解した演技をしている。
 主役格のウィジャヤ・ラーガヴェンドラは、良くも悪くも好青年の役を申し分なく演じていたが、スパイスのようにピリっと利いていたのはN・ラージャ役のヤシュだ。【Moggina Manasu】(08)で映画デビューし、主演クラスの俳優に成長しつつある彼だが、この鋭角的な顔と思い切りのいい演技・ダンスは使い道があるだろう。
 (写真トップ:右よりVijaya Raghavendra、Yash、Pawan、Raghuraj。)

 ヒロインはプージャ・ガンディーだが、ストーリー上、中心人物というより、サポート役だった。過もなく不足もなくといったところか。
 もう一人、ナクシャトラという新人女優がセカンド・ヒロインとして出ている。都市部では姿を消しつつある伝統的「おぼこ娘」の役で、作品に無邪気な味覚を添えている。
 (下:Pooja Gandhi(左)とNakshatra。)

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 老夫婦役のシュリーニワーサ・ムルティとスミトラの好演も記憶に残るものだ。

◆ テクニカル面
 マノ・ムルティの音楽がまたまた良く、映画を感慨深いものにしている。
 毎度この人の音楽は耳に残るというか、初めて聴いても、以前から聴いていたような親しみを覚えるものだ。つまり、パクリ疑惑も否定できないわけなのだが、インド映画の音楽監督たるもの、2時間半座っている観客をいかに好い気持ちにさせるかが使命なので、その点では彼は優秀な音楽監督と言えるだろう。
 音楽シーンは総じて良くできている。アイテム・ナンバーでせっせとダンスをしているのは、Raginiという注目のカンナダ女優。

◆ 結語
 【Gokula】は、プラカシュ監督とウィジャヤ・ラーガヴェンドラのコンビ作ということからすると、やや期待に届かずといったところかもしれない。だが、泣き笑いのツボはきちんと押さえているし、クライマックスのアクション・シーンも胸がすくものなので、カンナダ映画ウォッチャーなら観ておくべきだろう。

・満足度 : 3.5 / 5
 

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