カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Raavana】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2009/12/16 22:10   >>

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 始めに断っておくと、この映画はマニ・ラトナム監督が現在制作中のタミル語・ヒンディー語映画【Raavana】とはまったく関係がない。(なんでこのカンナダ映画にこの題名を付けたのかは不明だが、紛らわしいことはやめてほしい。)
 本作は、2003年の大ヒット・タミル映画【Kaadhal Kondein】(03)のカンナダ語版リメイク。【Kaadhal Kondein】は批評的にも高く評価され、監督のセルワラーガヴァン、主演のダヌーシュの出世作となった作品として有名だ。それだけでも鑑賞の動機にはなるのだが、私がこの映画を観ようとした理由はただの1点、つまり、サンチタ・パドゥコーネのデビュー作だということだ。
 サンチタ・パドゥコーネは、名前から「もしや」と予想されるとおり、カルナータカ州出身のボリウッド女優、ディーピカ・パドゥコーネの妹、、、、ではなく、同じ「パドゥコーネ村」出身の新人女優。実際、「ディーピカの妹」と紹介している記事などもあったが、サンチタ本人は「妹でも従妹でもなく、出身村が同じなだけだ」と否定している。
 ところが、サンチタの写真(下)を見る限り、どうも私には彼女とディーピカが似ているような気がして、妹じゃないなら、「プラカーシュ・パドゥコーネ(ディーピカの父)の隠し子?」と訝っている。それなら、しっかり大スクリーンで外観チェックしてやろうじゃないか、というのが本作鑑賞の動機だ。

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 主演は、「サンダルウッドのダヌーシュ」と呼ばれ、私は「サンダルウッドのボロ雑巾」と呼んでいるヨーギーシュだが、これは大して重要なことではない。

【Raavana】 (2009 : Kannada)
脚本・監督 : Yogish Hunsur
出演 : Yogish, Sanchitha Padukone, Santosh, Dwarakish, Srinivasa Murthy, Ashwath Neenasam
音楽 : Abhiman Roy
撮影 : R. Giri
編集 : Srinivasa G. Babu
制作 : Uday K. Mehta, Mohan G. Nayak

《あらすじ》
 ヴィノード(Yogish)は孤児であったが、孤児院の閉ざされた世界の中で平和に生きていた。ところがある時、彼は留保制度によってバンガロールの工科大学に入学することになり、そこから人生が急変する。
 大学のクラスメートたちは、小汚く、内向的なヴィノードに対してあからさまな蔑視を投げかけ、ヴィノードも彼らとは距離を置いていた。だが、彼は学業が非常に優秀だったため、クラスメートの中でただ一人、ディヴィヤ(Sanchitha Padukone)は彼に関心を持ち、親交を結ぶ。彼女はいろいろな面でヴィノードをサポートし、励ます。ヴィノードのほうも必要に応じてディヴィヤのために行動していた。その過程で、ヴィノードはディヴィヤに恋慕を抱くようになる。孤児院の院長(Dwarakish)はヴィノードに彼女から離れないよう助言する。
 だが、ディヴィヤにとってヴィノードは単なる友達にしかすぎず、彼女はクラスメートのアーディ(Santosh)に関心を寄せていた。そのことをディヴィヤ自身から知らされ、仲介してくれるよう頼まれたヴィノードは、強いショックを受ける。
 ディヴィヤとアーディはすっかり恋人同士となり、アーディは彼女に結婚を迫るようになる。だが、警察官であるディヴィヤの父(Srinivasa Murthy)は二人の関係を知り、アーディの家に乗り込み、娘と縁を切るよう脅す。
 困惑したアーディはヴィノードに相談する。ヴィノードは駆け落ちを提案し、自分がディヴィヤを家から連れ出すから、バス・ターミナルで待つよう指示する。
 しかし、指定の時間・場所にヴィノードとディヴィヤは現れなかった。実は、ヴィノードはディヴィヤを連れ出したものの、アーディの所へ連れて行く気は毛頭なかった。彼は、彼女にはアーディに会わせると嘘をつき、逃避行に出たのである、、、。

   *    *    *    *

 リメイク作品としての出来から言うと、低調なものだった。【Kaadhal Kondein】は刺激的な内容を持つスリリングな展開の映画なのに、なぜかその緊張感が落ちてしまい、退屈なものになっていた。理由はよく分からないが、細かいところまでの配慮が足りなかったせいかもしれない。オリジナルでは、俳優の演技やカメラワークのあちこちにアクセントが付いていたが、リメイクではそれがなく、平板になっていたように思う。
 基本的にオリジナルに忠実なリメイク。所々、オリジナルでは分かりにくかった部分が分かりやすくなっており、考えた跡は伺える。
 オリジナルから、明らかにいくつかの場面と音楽シーンが省かれている。ただ、これは映画公開後にカットされたものかもしれない。本作の上映時間は、公開当初は2時間38分あったらしいのだが(オリジナルもそれぐらい)、私が観たのは2時間10分しかなかった。レビューでは一斉に「長すぎる」と批判されていたので、編集しなおしたのだろう。(30分短くしても、退屈感は救えなかったようだが。)
 【Kaadhal Kondein】のような衝撃度の高い作品は、ネタを知っているとつまらなく感じられるのは仕方なく、オリジナルを観ていない人なら、それなりに面白く鑑賞できるのかもしれない。

 この際だから、オリジナルの【Kaadhal Kondein】についても書いておくと、、、
 監督のセルワラーガヴァンは、私は【Kaadhal Kondein】と【7G Rainbow Colony】(04)と【Aadavari Matalaku Ardhale Verule】(07:Telugu)の3本しか観ていないが、好きなタミル映画監督の一人だ。
 【7G Rainbow Colony】と【Aadavari Matalaku Ardhale Verule】は私のお気に入り作品であり、特に前者は画期的名作とさえ思っているのだが、この2作を観た後にDVDで【Kaadhal Kondein】を鑑賞し、やや落胆した。
 【7G 〜 】も【Aadavari 〜 】もリアルというか、あり得ない話ではなく、比較的丹念に情念を描いたラブ・ストーリーで、【Kaadhal Kondein】にもそれを期待していたら、まったく違ったものが出て来た。前半は良いのだが、後半に入ってから話がどんどん変な方向に展開し、結局はヒンディー映画の【Darr】(93)みたいな荒唐無稽な「作り話」に終わってしまっていた。タミルの大衆はこういうストーリーを好みそうだが、【7G 〜 】などに比べると価値が低いように感じた。
 ただ、クライマックスの崖のシーンはいろいろ解釈できそうで面白いし、ヒロインのソニア・アガルワールも素敵なので、一度は観てもいい映画だと思う。
 ついでに書いておくと、セルワラーガヴァン監督作品はカンナダ人の好むテイストと思われるのか、【7G 〜 】は【Gilli】(09)として、【Aadavari 〜 】は【Anthu Inthu Preethi Banthu】(08)として、それぞれカンナダ語版リメイクが作られている。(どちらもヒットしなかったが。)

◆ パフォーマンス面
 主人公ヴィノードを演じたヨーギーシュは、【Ambaari】(09)の項目でも書いておいたが、最も私の見たくないカンナダ俳優で、こ奴がヒーローとしてカンナダ映画にコンスタントに出ていることが私にとって憂鬱の源だ。
 もっとも、この男を支持しているのはぴったりCクラスの連中のみで、A・Bクラスは誰も見向きもしないのだが、しかしこちらの意思とは関係なく、街を歩けばポスターが目に付くし、テレビを付ければビデオクリップが出て来るので、始末が悪い。(誰かなんとかしてくれ〜!)
 冷静に評すると、本作のヴィノードは役柄としては合っているのだが、鼻声でふにゃふにゃセリフを言うのはいただけなかった。
 (写真下:こ奴が得意とするイメージ。音楽シーンより。)

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 さぁ、それではサンチタさんに救いを求めよう、と期待したが、この娘がまた煮ても焼いても食えなさそうな感じで、とても女優には見えなかった。可愛いし、背も高いのだが、ヒロインとして成功するのは厳しいだろう。
 親子兄弟で全然違うというのは普通のことだが、サンチタの刺激のなさは「ディーピカ」に繋がるところはまったくない。「妹説」、「隠し子説」は忘れよう。(しかし、それにもかかわらずいきなりヒロイン・デビューできたということは、、、ぬぬぬ、やはり何か臭うぞ。)

◆ テクニカル面
 音楽はAbhiman Royという人の担当。曲そのものはなかなか良かった。オリジナルではユワン・シャンカル・ラージャが担当しており、非常に良かったのだが、そのオリジナル曲をまったく流用しなかったのは評価できる。
 音楽シーンの出来は、どうかなぁ〜、といったところ。

◆ 結語
 特にオススメする理由は見当たらない。フロップ間違いなし(サンチタさんには気の毒だけど)。

・満足度 : 1.5 / 5
 

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