カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Raam】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2010/01/31 22:50   >>

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 プニート・ラージクマール主演のカンナダ映画。
 私の今年1本目の鑑賞作品はこの映画になったわけだが、これとて昨年末のクリスマスに公開されたものだ。どうやら大ヒットとなっているようで、公開1ヶ月を過ぎた今も週末は満員御礼が続き、私もダフ屋チケットを購入しての鑑賞となった。
 本作は2008年公開のテルグ映画のヒット作【Ready】のリメイクで、話題としては、国家映画賞受賞女優のプリヤマニがカンナダ映画に初出演していることだろう。
 制作は、テルグ人のはずだが、なぜかカンナダ映画界にもちょくちょく顔を出すアーディティヤ・バブ。

【Raam】 (2009 : Kannada)
脚本・監督 : K. Madesh
出演 : Puneeth Rajakumar, Priyamani, Rangayana Raghu, Srinath, Sundar Raj, Sharath Lohitashwa, Doddanna, Shobharaj, Chitra Shenoy, Sangeetha, Sadhu Kokila, M. S. Umesh, Tilak, Achyuth Kumar, Rekha V. Kumar, Sonu, Chetan
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : Krishna Kumar
制作 : Aditya Babu

《あらすじ》
 ラグパティ(Srinath)は2人の弟と1人の妹、それにそれぞれの配偶者とその子供たちからなる大家族の家長だった。ラーム(Puneeth Rajakumar)はラグパティの弟・ラグバブ(Achyuth Kumar)の息子で、バッラーリの大学で学ぶ活発な学生だった。
 今まさにラグパティ姪・スワプナ(Sonu)の結婚式が行われようとしていた。だが、彼女には他に恋人がいたため、ラームは彼女を連れ出し、その恋人と結婚させる。この出来事のせいで、彼はしばらく実家に戻れなくなる。
 ある日、ラームは友人のために、結婚式に臨む花嫁を拉致しようとする。しかし、式場を間違えて別の女性を連れ出してしまう。
 その女性はプージャ(Priyamani)という名で、米国在住の富裕な実業家の娘だったが、両親が交通事故で死んでしまったため、やむなくインドに帰国していた。プージャには2人のおじ(Sharath Lohitashwa & Doddanna)がいたが、2人はマイソールの豪族で、財産を巡るトラブルから犬猿の仲だった。2人のおじはプージャに渡るはずの巨額の遺産を狙い、それぞれ自分の息子を彼女と結婚させようとしていたのである。
 この願ってもない拉致事件にプージャが喜ぶのも束の間、彼女たちはおじの手の者(Shobharaj)に追われる。プージャを取り巻く事情を察したラームは、彼女を自分の実家に送り、後に自分も実家に戻る。
 プージャはラームの家族に好意的に受け入れられる。また、ラグパティたちはラームとプージャが愛し合っていることに気付く。
 そんなある日、ラグパティがプージャをお寺へ連れて行ったとき、たまたま来ていたおじの一人に見つかり、彼女は連れ戻されてしまう。その後、彼女はもう一人のおじの息子に誘拐されるが、ラームが救い出す。
 ラームはプージャを連れて逃げようとしたが、プージャが2人のおじを仲直りさせるのが父の遺志だと告げたため、彼女をおじの家に戻す。そして、2人のおじを仲直りさせ、しかもプージャと結婚するための奇策を考え出す。
 ラームはまず、両方のおじが共通に雇っている会計監査人、クリシュナムルティ(Rangayana Raghu)と親しくなり、彼のアシスタントとして両家に出入りする。そして、ラグパティら家族のメンバーにも協力してもらって、ある大掛かりな芝居を打つ、、、。

   *    *    *    *

 本作はテルグ映画【Ready】のリメイクだと上に書いたが、K. Madesh監督の前作(デビュー作)である【Gaja】(08)もテルグ映画【Bhadra】(05)のリメイクで、二匹目のドジョウを狙った節がある。
 カンナダ映画界といえば、他言語映画をカンナダ語に吹き替えて公開するのが禁止されている分、リメイク作品が盛んに作られている、というのはよく知られていることだが、その傾向は年々強くなるようで、2009年は100本以上制作されたカンナダ作品の半数がリメイクだったとの指摘もある。その傾向を象徴するかのように、昨年最後に公開された本作もリメイクで、しかもヒット作になったとは、喜ぶべきか、嘆くべきか。
 しかし、これがまたよくできたリメイク作品で、ずいぶん面白かった。

 リメイク作品として成功した理由は、ヒーローとヒロインにプニートとプリヤマニを配したことで作品のバランスが良くなったことだろう。
 テルグ語版オリジナルのヒーロー・ヒロインはラームとジェネリアで、なんだか可愛いカップルだった。ジェネリアはいいとして、ラームくんは、ゴールコンダ・フォートの石垣みたいにがっちり組まれた芸達者な脇役・コメディー陣の間をちょこまか走り回るネズミといった感じで、奇妙なバランス感覚の映画になっていた。それがカンナダ版では、さすが共に国家映画賞受賞経験のあるプニートとプリヤマニが主役に就くことにより、ぐいぐい脇役陣を引っ張っていき、安定感のある映画になっていた。(もっとも、プニートが国家映画賞を取ったのは子役時代のことだけど。)
 映画の長さを短くしたのも改良ポイントだろう。
 オリジナルは2時間50分の長尺だが、本作は2時間30分と見やすい長さに収まっている。特に後半の、テルグ版では遊びすぎた部分を適切にカットしたのは評価できる。
 大量に作られているとは言え、多くは失敗に終わっているカンナダ・リメイク映画の中で、2作続けてちゃっかり成功させているマーデーシュ監督は、これも一つの才能と言うべきか。

 内容的には、【Ready】はアクション・コメディーとして秀逸な出来だったが、家族映画としても泣かせるものだった。その家族映画としてのほっこりとした味わいはカンナダ版のほうがよく出ていたと思う。理由は分からないが、たぶんプニートとプリヤマニのキャラクター、それにハリクリシュナの音楽が影響しているのではないかと思う。

◆ パフォーマンス面
 主人公は、オリジナルのラームくんは機転の利く策士というキャラクターだったが、本作のプニートは彼らしくストレートな正義漢だった。なかなかの好演。
 私は、以前はプニートの顔が怖くて苦手だったのだが、慣れというのは恐ろしいもので、近ごろは彼の顔が男前に見えるようになってきた。もしかしたら、インドでのアンバランスな栄養の食事のせいで、老眼がいびつな形で乱視化しているのかもしれない。

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 ちなみに、オリジナルのラームくんは「クリシュ」と「スパイダーマン」の扮装をしていたが、カンナダ版でも同じパロディーが使われていた。プニートの弁によると、最初はやるつもりはなかったのだが、ファンから「やれ、やれ」とせがまれたためにやった、ということらしい。

 プリヤマニがカンナダ映画に出たなんて未だに信じられないぐらいだが、もううれしくってうれしくって、私にとって素晴らしいお年玉となった。
 吹き替えの声がどうかなぁ、という嫌いはあるが、絵的には申し分なし。ジェネリアとはまた違った可愛らしさで、よかった。

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 下の動画は、お見せしたくないダンス・シーンなのであるが、プリヤちゃんのダンス・スキルのほどがよく知れるものなので、恥を忍んで紹介しておく。
 http://www.youtube.com/watch?v=6pPdF9eZTUQ
 (笑っちゃいかん! プリヤちゃんにこんなダンスをさせた振付師が悪いんだ。)

 脇役陣・コメディー陣も大健闘。ラグパティ役のベテラン、スリナート、それにプージャのおじの一人を演じたシャーラト・ローヒッターシュワが上手いところを見せていた。
 オリジナルでブラフマナンダムが演じた‘マクダウエル’ムルティの役はランガーヤナ・ラグが演じ、これまた笑えた。

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 さて、テルグ版オリジナルではタマンナーとナワディープがカップル役で特別出演していたのだが、それをカンナダ版では誰がやるか?
 ソヌとチェタンでした!
 と言っても誰もピンと来ないと思うが、チェタンについては近々新作で改めて紹介する予定。ソヌは【Inthi Ninna Preethiya】(08)でデビューした女優で、やっぱり私のお気に入りのカンナダ娘。期せずしてこんなところでソヌちゃんに会えるなんて、今年はきっと良い年になるだろう。

◆ 結語
 もし【Ready】を観た人なら、わざわざ【Raam】を観る必要はないとも思われるが、よくできたリメイクで、ヒーロー・ヒロインのペアの対比など、テルグ・テイストとカンナダ・テイストの違いがよく分かる作品なので、酔狂なお方には両方とも観ることをオススメする。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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