カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Porki】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2010/02/10 00:49   >>

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 テルグ映画のブロックバスター【Pokiri】(06)は、タミル版の【Pokkiri】(07)、ヒンディー版の【Wanted】(09)と順々にリメイクされ、カンナダ版も準備されている、と【Wanted】の項目に記しておいたが、今回紹介する【Porki】がそれ。(「Porki」の意味は、テルグ語の「Pokiri」と同じ、「ならず者」。)
 テルグ版オリジナルの【Pokiri】はバンガロールでも上映25週間の大ヒットで、タミル版は「カーヴェリ川問題」によるタミル映画ボイコット運動のせいで2週間程度の公開に終わったが、【Wanted】はまた3ヶ月を越えるロングランとなった。
 つまり、バンガロールのかなり多くの人がこの物語の映画を観たわけで、そんな中でもう一つカンナダ版を作る意味があるのかなぁ、と考えてみるに、、、、きっと大した意味はないだろう。
 ただ、地方の人にとってはカンナダ語版の登場はありがたいだろうし、ダルシャンのファンはもちろん歓迎しないはずがない。それに、制作サイドにしても、面白いテルグ・アクションをダルシャンでリメイクすれば、よっぽど下手に作らない限り、まずは客が来るという皮算用も立つ。
 ちなみに、M.D. Shridhar監督の前作は【Jolly Days】(09)で、やはりテルグ映画【Happy Days】(07)のリメイクだった。

【Porki】 (2010 : Kannada)
脚本・監督 : M.D. Shridhar
出演 : Darshan, Pranitha, Ashish Vidyarthi, Avinash, Devaraj, Shobharaj, Sharath Lohitashwa, Dharma, Sangeetha Shetty, Srujan Lokesh, Sadhu Kokila, Sharan, Tennis Krishna, Chitra Shenoy, Manoj
音楽 : V. Harikrishna
撮影 : Krishnakumar
編集 : S.S. Sundar Raj
制作 : Dattatreya Bachchegowda

《あらすじ》
 マフィア間の抗争が絶えないバンガロール。新任の警察副本部長、アブドゥル・ハシーム・アリ・カーン(Devaraj)はマフィア殲滅を誓い、海外で暗躍する大物ドン、アリ・バーイ(Ashish Vidyarthi)の逮捕を第一目標に掲げていた。
 バンガロールの下街にダットゥ(Darshan)というフリーの殺し屋がいた。彼は、ある経緯から、グルの率いるマフィアと行動を共にすることになる。このグルを背後から操っていたのがアリ・バーイであった。
 ダットゥはある時、アンジャリ(Pranitha)という女性と出会い、心惹かれる。彼女はフィットネス・クラブでインストラクターをしていたが、そこはダットゥの友人の父、サティヤ・ナラヤナムルティ(Avinash)が経営するクラブだった。アンジャリはまた悪徳警官のウメーシュ・レッディー(Shobharaj)に目を付けられていたが、ある晩、彼にハラスメントを受けていたときに、ダットゥに救われる。これがきっかけで、アンジャリもダットゥを愛するようになる。しかし、絶えず暴力の渦中にいるダットゥを見て、彼女の恋心は悲痛なものとなる。
 グルの組と敵方サティヤ(Sharath Lohitashwa)の組との抗争が激化する中、アリ・バーイがドバイからバンガロールにやって来る。彼は、挨拶代わりにサティヤを始末した後、会合の場を設けてダットゥと対面する。アリ・バーイはダットゥを信頼し、彼に州首相暗殺計画まで話す。だが、その会合の場に警察が乗り込んで来、アリ・バーイは警察副本部長アブドゥル・ハシームによって捕縛されてしまう。
 アリ・バーイの部下たちがアブドゥル・ハシームの娘を誘拐し、脅迫したため、彼はやむなくアリ・バーイを解放する。アリ・バーイは部下に命じて娘をレイプさせようとするが、その際に彼女の口から、ある退役警官の息子が覆面警官として組織に潜入している事実を知る。アリ・バーイは、悪徳警官ウメーシュ・レッディーを通して、その退役警官とはフィットネス・クラブの経営者、サティヤ・ナラヤナムルティであることをつきとめる。
 アリ・バーイはフィットネス・クラブに急行し、サティヤ・ナラヤナムルティを縛り上げ、息子について問い詰める。だが彼は「スーリヤ」という名前以外口を割らなかった。業を煮やしたアリ・バーイはサティヤ・ナラヤナムルティを射殺し、息子が現れるのを注視する。だが、驚いたことに、父の死を知り飛んで来た人物とは、他ならぬダットゥであった、、、。

   *    *    *    *

 【Pokiri】、【Pokkiri】、【Wanted】が内容的にほとんど同じだったので、さすがに4作目のカンナダ版は手を変えて来るだろう、いやいや、サンダルウッドの連中がそんな野心的なことをするはずがない、などといろいろ予想しながら映画館に入ったが、案の定、まったく同じ内容だった。詳しく言うと、プラブデーヴァの監督したタミル版とヒンディー版がちょっと変えていたのに対して、この【Porki】はテルグ版オリジナルに忠実なものだった(つまり、アリ・バーイの片腕がクライマックスまで生きているストーリー)。この辺の労力の省き具合が潔くっていい(私も気楽に観られた)。

 オリジナルに比べると、それぞれの面において少しずつ見劣り感はあるものの、誓って言うが、本作はコピー作品としては合格品だ。前3作のどれか(または、すべて)を観ていたとしても、スカッと面白く観られるだろう。特に、2つ重要なアクション・シーン(インターバル前とクライマックス)は、どちらもオリジナルと同じロケ地(ゴールコンダ・フォートとビニー・ミルズ)で撮影されており、コンセプトも同じなのだが、非常にシャープに良く撮れている。
 監督のシュリダールは、これまで主にロマンス映画を作ってきた人なので、ハードなアクション物はできるのか?という疑問もあったが、なんなくクリアーしている。アクション撮りに関しては、テルグからカンナダへの技術移転はほぼ完了しているようだ。

 メモ代わりに細かな異同を挙げておくと、、、
 カンナダ版ではいくつかシーンがカットされており(例えば、ヒーローとヒロインがエレベーターに閉じ込められる前のショッピングセンターでのエピソード)、オリジナルより10分ぐらい短くなっている。この軽量化はプラス・ポイント。
 コメディー・トラックは、テルグ版では乞食の集団が登場するが、それはカンナダ版でも踏襲。敵方マフィアのドンがSMプレイに興じているときにアリ・バーイに殺されるというエピソードも同じ。
 ヒーローとヒロインが主に会うのは、他の3作では列車の中だが、カンナダ版ではバンガロール市交通公団のボルボ社製ACバスの中だった。
 ヒロインが持っているお弁当箱の中身は、テルグ版とタミル版は「ウプマ」で、ヒンディー版は「パスタ」、カンナダ版では「レモンライス」だった。
 ヒロインの職業は、テルグ版、タミル版、カンナダ版ではフィットネス・クラブのインストラクターだが、ヒンディー版だけコールセンター勤務で、フィットネス・クラブは会員という設定だった。まぁ、アーイシャ・ターキヤの体型を見れば、それもやむを得ないか。

◆ パフォーマンス面
 他の3作がブロックバスターとなった後でのカンナダ版の登場で、恥ずかしい興行成績は残せないのだが、その鍵を握るのはやはり‘チャレンジング・スター’ダルシャンの出来だろう。幸い、本作のダルシャンは本格アクション俳優として納得できるカッコよさで、おかげさまで【Porki】も快調に客を集めているようだ。ダルシャンにとっては【Gaja】(08)以来のスマッシュ・ヒットとなるかもしれない。
 先行3作のヒーローたち(マヘーシュ・バブ、ヴィジャイ、サルマン・カーン)との細かい比較はさておき、アクションに関してはマヘーシュ・バブと比べても落ちるものではない(身長も1インチ高いし)。ただ、ヒロインとのロマンス面では不器用なものを感じた。

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 ヒロイン、アンジャリ役のプラニータさんは、これがデビュー作で、公開前から大きな注目を集めていた。期待どおり、まったく可愛くて、スタイルも申し分ないのだが、テルグ版のイリアナほどの衝撃はない。
 快活な隣のお姉さま的美人で、カンナダ人には愛されそうだ。(下)

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 なお、彼女は以前はパリニータ(Parinitha)という名前で紹介されていたが、今はすべてのレビューでプラニータ(Pranitha)としているので、それに倣っておく。

 脇役陣では、プラカシュ・ラージの当たり役だったアリ・バーイの役を本作ではアシシュ・ヴィディヤルティがやっている(彼はテルグ版では悪徳警官の役だった)。悪くはないが、プラカシュ・ラージほどの面白さは出ていなかった。
 マフィア殲滅に燃えて颯爽と登場しながらも、娘を誘拐されて情けなく失速してしまった警官役にデーヴァラージ、覆面警官(主人公)の父役にアヴィナッシュと、この辺は問題ない。
 (写真下:Ashish VidyarthiとDevaraj。)

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 悪徳警官役はショバラージで、もう一つ嫌らしさがほしかったところ。(下)

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 女ギャングのモナ役はサンギータ・シェッティ。期待以上の出来だった。(下:Sangeetha Shetty。名前からすると、彼女もバント族なのだろう。)

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 コメディー陣は、オリジナルのブラフマナンダムの役はサードゥ・コキラで、まずまず。乞食の役はシャランとテニス・クリシュナだが、オリジナル(アリーとヴェーヌ・マーダヴ)には遠く及ばず。

◆ テクニカル面
 ハリクリシュナの音楽も快適なノリだ。
 彼のオリジナル曲が基本だが、1曲だけ、テルグ版から‘Dole Dole’がそのまま取られている。(【Pokiri】といえばこの曲なのか、これはタミル版でも使われていた。)

◆ 結語
 ブロックバスター・テルグ映画のよくできたコピーとして楽しく鑑賞できるが、リメイク・マニアでもない限り、オリジナルの【Pokiri】を観ておけば十分だろう。私的には、たとえリメイクであれ、サンダルウッドでも高水準の本格アクション映画が作れることが確認でき、収穫だった。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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【Saarathee】 (Kannada)
 ‘チャレンジング・スター’ダルシャン主演のカンナダ映画。  ダルシャンといえば、ここ1ヶ月カルナータカ州のマスコミを騒がせ続けた時の人だ。というのも、先月7日に「妻に対する暴行事件」で逮捕されてしまったからである(こちら)。その後、各方面からの働きかけがあり、妻ヴィジャヤラクシュミも告訴を取り下げる意思を示すなどして、今月7日に彼の条件付き保釈が認められ(こちら)、事件は収束へと向かいそうである。  この件でとばっちりを食ったのは女優のニキタで、どうもヴィジャヤラクシュミの訴状の... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2011/10/11 21:59

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