カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Sura】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2010/05/14 02:18   >>

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 ヴィジャイ主演のタミル映画。
 本作はヴィジャイの記念すべき50本目の作品に当たり、また、ヒロインにタマンナーが就いているということもあって、やはり期待作に挙げられていた。
 「Sura」はヴィジャイ演じる主人公の名前だが、「サメ」という意味らしい。

【Sura】 (2010 : Tamil)
物語・脚本・台詞・監督 : S.P. Raajakumar
出演 : Vijay, Tamannaah, Dev Gill, Vadivelu, Sriman, Riyaz Khan, Ilavarasu, Radha Ravi
音楽 : Mani Sharma
撮影 : N.K. Ekambaram, M.S. Prabhu
編集 : Don Max
制作 : Sangili Murugan

《あらすじ》
 スラー(Vijay)はヤールナガルという小さな漁村に暮らす若い漁師。彼には一つの大志があった。この集落の住民たちは粗末な小屋に住んでいたため、スラーは彼らのためにきちんとした家屋を供給したいと考えていた。
 ある日、美しい女性が海に飛び込み、自殺を図ったところをスラーが救い出す。彼女はプールニマ(Tamannaah)という名前で、愛するラメーシュが失踪したのを受けての愚挙だった。しかし、そのラメーシュとはペットの犬のことだと分かり、スラーはずっこける。
 この漁村の沖にはしばしば怪しい船が停泊し、密輸が行われていた。しかも、この違法行為の裏には大臣のサムディラ・ラージャン(Dev Gill)がいた。
 悪徳大臣のサムディラ・ラージャンはまた、スレーシュ・レッディーという男からビーチリゾート開発計画の権利を奪い取る。しかし、このリゾート開発のためには、スラーのいる集落を立ち退かせる必要があった。大臣は、スラーが村人の信望を集めている事実を知り、まず彼を処分することを考える。
 プルーニマはその後何度かスラーに会い、すっかり惚れてしまう。そして、意を決して愛の告白をする。唐突の告白にスラーはずっこけそうになりながらも、歓びのダンスをする。
 ある夜、村で祭りが行われていたとき、スラーは悪漢に襲撃され、小屋に閉じ込められた上、火を付けられる。悪漢たちは集落全体にも火を放ち、村人らの小屋は全焼する。そこへサムディラ大臣が現れ、村人たちに別所に移住するよう呼びかけ、支援金を手渡す。しかし、スラーはドゥルガー神像の下にいたおかげで奇跡的に助かり、村人たちに土地を捨てぬよう訴える。彼らは現金を大臣に返し、スラーの下に集まる。ここでスラーと大臣の間で宣戦布告がなされる。
 漁村の復興作業が始まる。スラーは資金を稼ぐために、大臣が関与している密輸船を狙い、密輸物のノートパソコンをごっそり奪い取り、チェンナイの闇市場で売りさばく。
 これは大臣を激怒させた。彼はプールニマを誘拐し、スラーを脅す。しかしスラーは機転を利かし、まんまとプールニマを奪い返す。
 大臣は腐敗警官(Riyaz Khan)を遣って、麻薬所持容疑でスラーを逮捕させる。しかし裁判の場で、スラーは逆に麻薬犯罪に関わっているのは警官のほうだと証言する。実際に警官の家に捜査が入るが、スラーは友人のアンブレラ(Vadivelu)を遣ってそこに麻薬を仕込ませていたため、警官が逮捕され、スラーは釈放される。
 復興した漁村で記念式典が行われる日に、大臣は手下を使ってその場に爆弾を仕掛けさせる。それを察知したスラーは手下を追跡するが、逆に捕まってしまい、大臣の前に差し出される。大臣はスラーに爆弾のことを話し、痛めつけるが、それでもスラーは余裕の表情を崩さなかった、、、。 

   *    *    *    *

 特に新趣向のない作品なのだが、なかなか面白く、良い気持ちで映画館を出られた。プロットは単純すぎるぐらいなのだが、その単純さが却って幸いしたのか、気楽に安心して鑑賞できた。「フォーミュラは強し」と言ったところか。

 ただ、「ヴィジャイ50作目の記念映画」というには地味な中身で、何事かを期待したファンはがっかりしたかもしれない。もちろん、50本目だけが重要で、49本目や51本目はそうでないということでもないので、単に外野が騒ぎすぎていただけかもしれないが、それでも、ヴィジャイの最近の映画に比べても盛り込んだネタが貧相な気がした。セカンド・ヒロインを置くとか、悪役にもっと大物俳優を使うとか、シブい脇役を設けるとかできなかっただろうか。

 ストーリーは単純かつ直線的で、凝ったところはないのだが、それでも面白いと思えたのは、やっぱり、、、
 ・なんだかんだいって安定しているヴィジャイのパフォーマンス
 ・可愛いタマンナーの適切なプレゼンス
 ・幸いクドくなかったヴァディヴェールのコメディー
 ・マニ・シャルマのノリのいい音楽とカラフルな音楽シーン
 ・そして、「海」
だろう。
 どこで撮影されたのか分からないが、舞台となった漁村の海と砂浜は美しく、映画の急ぎすぎないリズムとマッチして、ずいぶん気持ち良く、リラックスできた。

◆ 演技者たち
 ヴィジャイのパフォーマンスがきちんと評価できるほど馴染んでいるわけではないのだが、本作のヴィジャイもいつものとおり、彼らしい緩急の効いたものだったと思う。
 本作では、どうもヴィジャイの政治に対する野心が仄めかされているということらしいのだが、その点は私にはまったく分からなかった。

 ミルクホワイト・ビューティーのタマちゃんは、日焼けさえしないのか、ビーチで見ても白かった。
 やっと分かったのだが、この娘がヒロインとしてうまくやって行けている理由の一つに、相手役を選ばないというのがあるようだ。どのヒーロー俳優とペアを組んでも、カメレオンのように馴染むのである。今回も、観る前は「ヴィジャイとはどうかなぁ」と思っていたのだが、特に違和感はなかった。本作のプールニマは頭のネジが抜けたようなおバカ娘だったのだが、そのキャラクター設定がうまく行った理由かもしれない。
 プールニマは自殺フェチの娘としても描かれていたが、それがクライマックスで意外な伏線となっており、面白いアイデアだった。

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 悪役はデーヴ・ギルで、悪くはなかった。しかし、テルグ映画の【Magadheera】を観たときも思ったのだが、私はどうもこの人に怖さより「気さくな田舎のお兄さん」といった優しさを感じてしまい、具合が悪かった。とはいっても、彼もこの2作で評価を上げており、これからも本格悪役として重宝されるのだろう。

◆ 音楽・撮影・その他
 マニ・シャルマの音楽と音楽シーンは平均的な出来なのだが、十分楽しめるものだった。
 ただ、終盤の1曲で、テルグ映画【Billa】(09)のダンス・シーンでプラバスとアヌシュカがやっていたのと同じようなアイデアが使われており、ちょっと残念だった。

◆ 結語
 【Sura】は、フィッシャーマン・ヴィジャイという設定が私的にはヒットだったが、タミルの人気スター・ヴィジャイの映画としては物足りなさが残るだろう。51作目ではぜひ「めっちゃおもろいやんけ!」という作品を観せてほしい。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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【100% Love】 (Telugu)
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カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2011/05/13 21:50

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
前回のバーラクリシュナのもそうですが、川縁さんのレビュー読んでて垂涎ですよ。インド政府の定めた悪法・2ヶ月禁足がなかったら、今すぐにでもバンガロールに飛んでいくのに!

しかしサウスの映画で(除く芸術映画)ヒーローが漁師ってのは珍しくありません?なんだかんだ言ってまだまだカースト意識がありますからねえ。クリスチャンのヴィジャイじゃなかったら、ヒーロー本人かプロデューサー・サイドが二の足を踏んだかも。

>幸いクドくなかったヴァディヴェールのコメディー

これを読んで本作を絶対見るぞと心に決めたメタ坊さんなのでした。
メタ坊
2010/05/14 10:38
>インド政府の定めた悪法・2ヶ月禁足がなかったら、今すぐにでもバンガロールに飛んでいくのに!

どちらもメタ坊さんならダメ出しする部分が多いと思いますよ。

>しかしサウスの映画で(除く芸術映画)ヒーローが漁師ってのは珍しくありません?・・・

劇中では、ヴィジャイは実際にクリスチャンの役でした。

>幸いクドくなかったヴァディヴェールのコメディー

これはヤバい!
「比較的クドくなかった・・・」に書き換えます。(要らないシーンが2つほどありました。)
 
カーヴェリ
2010/05/15 02:34

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