カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Singam】 (Tamil)

<<   作成日時 : 2010/06/04 22:21   >>

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 ハリ監督、スーリヤ主演のタミル映画。ヒロインはアヌシュカ・シェッティ。
 データ的なことを並べておくと、本作はスーリヤの第25作目記念映画。
 ハリ監督とスーリヤのコンビは【Aaru】(05)、【Vel】(07)に続く3作目。
 本作は主人公が警察官の物語だが、ハリ監督が警官物を撮るのはヴィクラム主演の【Saamy】(03)以来2本目、また、スーリヤが警官を演じるのもガウタム・メノン監督の【Kaakha Kaakha】(03)以来2度目となる。
 上に作品名を挙げた4作はすべてヒットで、これで行くと、ハリとスーリヤのコンビは強し、タミル映画の警官物はウケる、ということになるのだが、果たして本作はどうか? 個人的には、【Vettaikaaran】(09)であまり良い仕事をさせてもらえなかったアヌシュカがどこまで目立っているかに注目したい。

【Singam】 (2010 : Tamil)
物語・脚本・台詞・監督 : Hari
出演 : Surya, Anushka Shetty, Prakash Raj, Vivek, Nasser, Radha Ravi, Vijayakumar, Nizhalgal Ravi, Bose Venkat, Aditya Menon, Sumithra, Manorama, Krishna Priya, Yuvarani, Manobala
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : Priyan
編集 : V.T. Vijayan
制作 : K.E. Gnyanavel Raja

《あらすじ》
 トゥートゥクディ県のナッルール村に暮らすシンガム(ドゥライシンガム:Surya)は地元の署に勤める警官。彼の第一の望みは、父(Radha Ravi)の経営する日用品店を大きくすることだったが、その父のたっての願いにより、警察官となっていた。だが、シンガムは職務を厳正に遂行し、村人からも信頼を集めていた。
 この村にカーヴィヤ(Anushka Shetty)という女性がチェンナイからやって来る。彼女はマハーリンガム(Nasser)という実業家の娘で、休暇を利用して祖父母のいる村を訪ねたのであった。カーヴィヤはひょんなきっかけでシンガムと出会い、惚れる。彼女はあれこれと理由をつけてはシンガムに接近しようとする。
 チェンナイにマイルワーガナム(Prakash Raj)という名の、表向きは不動産屋だが、裏では地上げ、恐喝、身代金目的誘拐などを専門とするマフィアがいた。ある時彼は、新居を建築中の老人を恐喝し、自殺に追い込む。老人のアメリカ在住の息子が大使館宛てにこの問題を告発したため、マイルワーガナムは逮捕されることになる。彼はすぐ保釈請求をするが、そのためには連日ナッルール村の警察署まで出頭し、署名をもらう必要があった。マイルワーガナムは田舎の警官を軽くあしらおうとするが、逆にシンガムからこっ酷い目に遭わされる。
 シンガムは突然昇進異動が決まり、チェンナイのティルヴァンマユール地区の勤務となる。だがこれは、マイルワーガナムが自分の縄張りにシンガムを置き、叩き潰そうと、政治家に手を回して昇進させたものだった。早速、マイルワーガナム一味のシンガムへの嫌がらせ工作が始まる。だが、シンガムはブルドーザーのような勢いでそれを撃退する。
 シンガムとカーヴィヤは度々会い、仲を進展させていた。だが、警察嫌いのカーヴィヤの父マハーリンガムは二人の関係を快く思っていなかった。そんな折に、カーヴィヤの妹ディヴィヤ(Krishna Priya)がマイルワーガナム一味に誘拐される。シンガムはマハーリンガムから事情を聞き出し、ディヴィヤを救出する。その後、マハーリンガムもシンガムとカーヴィヤの仲を認める。
 マイルワーガナムの悪業を察知した内務大臣(Vijayakumar)は、シンガムを警察副本部長に昇格させ、誘拐組織殲滅活動に当たらせる。シンガムは津波のような勢いでマイルワーガナム一味の勢力を潰して行く。
 マイルワーガナムはおとりを使ってシンガムをおびき出し、殺害しようとするが、シンガムは逆に罠を仕掛け、マイルワーガナムの弟(Aditya Menon)を射殺する。これに逆上したマイルワーガナムは、カーヴィヤを襲い、銃で撃つ。さらに、シンガムの部下のラヴィ(Bose Venkat)を切り殺す。カーヴィヤは病院に運ばれ、なんとか一命を取り留める。
 マイルワーガナム対策に喧々囂々たる議論が起きる中、シンガムは同僚の警官ラージェンドラン(Nizhalgal Ravi)がマイルワーガナムと内通している事実を突き止める。シンガムはラージェンドランを説得し、逆に対マイルワーガナム作戦の切り札として使う。これが功を奏し、マイルワーガナムの所業が明るみに出、シンガムはマイルワーガナムへの逮捕状と射殺許可を手にする。切羽詰まったマイルワーガムは、シンガムに内務大臣の娘を誘拐すると警告する、、、。

   *    *    *    *

 いや、まったく、ハリ監督は凄いわ。
 毎度毎度、どうしてこうもパワフルな映画が撮れるんだろう? 本作も下腹部にぐっと力が入るような作品で、こちらも気張って観ていたら、肛門が飛び出しそうになった。(痔のお方は気を付けて鑑賞されたし。)
 もやは映画というより、火山の噴火か津波みたいなものだが、火山や津波に娯楽的要素はないが、本作は実に楽しめるフル・アクション映画だった。

 快心のホームランといった感じの、良くできた典型的アクション娯楽映画なのだが、そうなると、特にここに書くこともなくて困る。一応、簡単に書き並べておくと、、、
◎ 良かった点
 ・アクション、音楽、コメディーのバランスが取れていた。
 ・ストーリーが考えられたもので、矛盾や飛躍、破綻が少なかった。
 ・ヒーローとヒロインのロマンス展開も割ときちんとステップを踏んでいた。
 ・十分田舎くさかった。

◎ どうかなぁ、と思った点
 ・主人公(シンガム)が半殺しの目に遭うようなこともなく、最後まできれいすぎた。
 ・内務大臣が出しゃばりすぎ。(演じたヴィジャヤクマールはハリ監督の義父らしい。)
 ・アヌシュカのトラの縫いぐるみ!

◆ 演技者たち
 現在、タミル映画界では唯一のヒット・スターになってしまったスーリヤだが、本作の面白さも彼の頑張り(正確には気張り)によるところが大きい。
 【Kaakha Kaakha】や【Vel】と同じような、頭の血管が切れそうな力の溜め方で、見ているこちらが心配になるほどだった。1年に3本ハリ監督の作品に出ようものなら、スーリヤは間違いなくころっと行くね。アフレコではさぞや喉が痛かったことだろう。

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 こんなに気張らなくてもよかったと思うが、この力強さが観客を引き寄せる魅力となっているのだろう。
 気に掛かったのは、スーリヤがぴちぴちの警察ユニフォームを着ていたことだが、そんなことをしてまで筋肉の盛り上がりを強調することもなかろうにと、微笑ましいものを感じた。

 ところで、題名(主人公の名前)の「Singam」は「獅子」という意味だが、先日鑑賞したテルグ映画の【Simha】も同じく「獅子」。そういえば、どちらのヒーローも同じようなコンセプトの髭をしているが、これは「獅子髭」というものだろうか?
 (【Simha】のバーラクリシュナ氏。)

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 すると、こちらのお方も「獅子髭」ということになるのだろうか?
 (【Pokkiri Raja】のマムーティ氏。)

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 ヒロインのアヌシュカは良かったと思う。ドラマ面、お色気面でも見せ場がきちんとあり、後半の途中で消えてしまうこともなく、ハリ監督がかなり気を配って脚本を書いたことが推測される。
 この作品はヒットは堅いので、「アヌシュカ、念願のタミル・ブレイク!」ということになるだろう。
 欲を言えば、もっと力強いダンスをさせてほしかった。(スーリヤが頑張りすぎ。)

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 悪役はプラカーシュ・ラージで、彼らしい悪役像。特に新鮮ではなかったが、上手いのは上手い。その弟役はアーディティヤ・メノンがやっていたと思うのだが、どのレビューのキャスト表にも名前が挙がっておらず、もしや別人か。

 ヴィヴェーク(エリマライ巡査長役)のコメディーは良いほうだろう。
 その他の脇役もほぼ適材適所。上に書いたとおり、ヴィジャヤクマールだけが変にアクセントがついていたのが残念。

◆ 音楽・撮影・その他
 音楽シーンはまずまず楽しめるものだが、デーヴィ・シュリー・プラサードの音楽も映像もダンスも普通の出来だろう。
 1曲で、アヌシュカの露出度が高すぎて検閲に引っ掛かり、後で修正が加えられたナンバーもあるらしい。

 主なロケ地は、Thoothukudi、Tirunelveli、Chennai、Dubai。
 物語はタミルナードゥ州のナッルール(Nallur)で始まり、アーンドラ・プラデーシュ州のネッロール(Nellore)で終わるという、地名ゴロ合わせが使われていた。

◆ 結語
 こういう映画の良さを理解できるニッポン人も多くはないと思われるので、私のほうからは控えめに、本格タミル・マサラ・アクション映画ファンの方必見!とだけ言っておこう。

・満足度 : 4.0 / 5
 

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
髭の話題となると思わず身を乗り出してしまいます。

他のスターさんについては分りませんが、マンムーティーさんの場合は、'Pandi Kapada Meesa' (walrus moustache)=タミルのセイウチ髭という文句が散々出回ってましたね、Pokkiri Raja公開前に。

やっぱりタミル(のそれも田舎)っぽい記号なんですかね、あの形の髭は。
Periplo
2010/06/04 23:16
はい、セイウチ髭と言われています。

ただ、「セイウチ髭」というのはイギリス的な見方じゃないですか?(だって、南インドじゃ、まったく馴染みのない動物ですよ。)

南インドの荒くれ男が「獅子」をイメージに「髭」をたくわえるとすると、こういうデザインになるのかなぁ、と思った次第です。
 
カーヴェリ
2010/06/05 13:02
こんにちは!初めてコメントさせていただきます。

同じくスーリヤ主演【Vel】のレビューを拝見しまして
即座にDVDを購入しました。
Periploさまに激しく共感いたします!

獅子髭3作品発売されましたら
絶対購入します。

あいや〜
2010/06/05 13:11
>ブルドーザーのような勢い

という表現で俄かに必ず見ようと決意しました。近頃この手のヒーロー・セントラルで勧善懲悪のストレートな筋展開なものに(自分もサウス全体も)飢えているような気がします。
メタ坊
2010/06/05 18:46
あいや〜さま
コメントありがとうございます。

>獅子髭3作品発売されましたら絶対購入します。

髭フェチと来ましたか。
いろいろな楽しみ方があるんですね。

【Vel】は、髭という点では期待に沿うものだと思います。
 
カーヴェリ
2010/06/05 22:38
メタ坊さま

>近頃この手のヒーロー・セントラルで勧善懲悪のストレートな筋展開なものに(自分もサウス全体も)飢えているような気がします。

確かにそのとおりですね。
作られてはいますが、いまいち鮮やかじゃなかったりして、ヒットに結び付いていないものが多いですし。

プーリ・ジャガンナートの新作【Golimaar】も現在ヒット中のようですよ。
 
カーヴェリ
2010/06/05 22:43

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