カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Brahmalokam to Yamalokam via Bhulokam】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2010/08/06 21:42   >>

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 神様(多くはヒンドゥー教の)を主役、または主要キャラクターに据えた映画、つまり神様映画というのは、インド映画の重要ジャンルの一つに違いないのだが、近年ではめっきり制作本数も減り、秀作が現れることも少ない。だが、神の「聖性」や帰依者の篤い「信仰心」を主題にした映画は少なくなったとはいえ、神々の属性や神話をネタとして取り込んだ作品というのは、南インドではまだまだよく作られている。そもそも、主流の娯楽アクション映画でさえ、ヒーローはたいてい神様の名前を冠し、登場シーンや劇中の重要シーンでは「寺院」が舞台になっていることが多く、きっぱりとした「勧善懲悪観」と併せて見ても、こうした映画にも民衆の信仰が色濃く反映されているのがよく分かる。
 神様ネタを取り入れた映画といって、哲学的な作品がある一方で、かなりチープなコメディー作品もある。神様を使ってコメディーを作るとは、一見不謹慎なことのようにも思えるが、「神々を笑う」、という言い方が語弊があるなら、「神々と共に愉快な時間を過ごす」というのは、ヒンドゥー教の社会では普通のことで、むしろ、こうしたスタンスが、21世紀になってもヒンドゥー教が活力のある宗教装置として機能している理由なのかなぁ、などと思ったりする。
 このテルグ映画【Brahmalokam to Yamalokam via Bhulokam】もそうした神キャラ・コメディーで、ブラフマーやヤマ・ダルマラージャが活躍するという前情報だった。

【Brahmalokam to Yamalokam via Bhulokam】 (2010 : Telugu)
物語・脚本・台詞・監督 : G. Nageswara Rao
出演 : Rajendra Prasad, Sivaji, Sonia, Venu Madhav, Raghu Babu, Jayaprakash Reddy, AVS, Pragathi, Aarti Agarwal, Kalyani, Laya, M.S. Narayana, Telangana Sakuntala, Kondavalasa, Jyothi, Kausha
音楽 : M.M. Srilekha
撮影 : Vasu
編集 : V. Nagi Reddy
制作 : Rupesh Gohil, Bekkam Venugopal

《あらすじ》
 スィーヌ(Sivaji)は結婚願望があったが、大学の試験に合格せず、学位を持っていなかっため、なかなか良い相手が見つからなかった。また、友人のショーバン・バブ(Venu Madhav)は結婚していたが、文無しだったため、義母(Telangana Sakuntala)に家にさえ入れてもらえない有様だった。
 スィーヌはある日、シュウェタ(Sonia)という女子大生に出会い、一目惚れする。彼は早速プロポーズするが、断られた上、チンピラのシャンカル・ジャクソン(Raghu Babu)にぼこぼこに痛め付けられる。
 他方、ショーバン・バブは、占星術師になって金儲けをしようと、人里離れた所でブラフマー神を念じて苦行に励む。ブラフマー(Rajendra Prasad)はその努力に感心し、ショーバン・バブの眼前に姿を現し、飲めば人の運命が透視できるという霊水の入った壺を授ける。ところが、事の成り行きから、スィーヌがその霊水を飲み干してしまう。
 スィーヌはその運命透視の能力を使い、ショーバン・バブと組んで、大金を儲ける。また彼は、シャンカル・ジャクソンの件で反省モードにあったシュウェタと相思相愛の仲になる。
 スィーヌはある時、スクールバスが事故に遭い、子供たちが死んでしまう出来事を予知する。彼は事故を未然に防ぎ、子供たちの命を救うが、これは冥界の主、ヤマ(Jayaprakash Reddy)を怒らせることとなった。
 ヤマはブラフマーに、人の運命が変えられていると直訴する。自分の授けた能力が誤って使われていることを知ったブラフマーは、それを取り返すために、ヤマとチトラグプタ(AVS)を伴い、地上に降り立つ。
 ブラフマーは天女のランバー(Aarti Agarwal)を呼び寄せ、ショーバン・バブを誘惑させようとする。ブラフマーの授けた能力は、淫行を行うと召し上げられることになっていたからである。ところがブラフマーは、能力を持っているのがショーバン・バブではなく、スィーヌであることに気付く。ランバーは今度はスィーヌをターゲットにするが、シュウェタを愛している彼は誘惑に乗ってこない。こうして誘惑作戦は失敗に終わる。
 そうこうしているうちに、スィーヌとシュウェタの結婚式の日となる。ところが、式の途中で彼は、シュウェタが結婚した直後に死ぬ運命にあることを知る。彼は彼女の命を救うために、ターリを結ぶことを拒否する、、、。

   *    *    *    *

 かなりはっきりしたB級映画だったが、そこそこ面白かった。
 ストーリーはけっこう凝っていて、お笑いネタも部分的には面白かったのだが、残念ながら脚本が悪すぎた。

 映画は、天界でのブラフマーとサラスワティの口論から始まり、ヘソを曲げたブラフマーがある決断を下すところからこの皮肉な運命の物語がスタートするのだが、そこは良かった。だが、この後の展開がテルグ映画にしては緩慢で、かなりチープな、近ごろではカンナダ映画でさえ見られないレベルのダンスシーンもあったりして、前半はアクビの連発だった。しかし、ヤマだのランバーだのが登場してからは持ち直し、クライマックスはまずまずうまくまとめていた。

 神様コメディーとしてのネタのひらめき度は中程度か。常套となっている、地上に降りて来た神様たちが、勝手が分からずにとんちんかんなことをしでかすというくだりは、相変わらず笑える。今回はかなりお下劣なエロネタも多く、おかげさまで、ありがたい神格が登場するコメディー映画なのに、子供は見ちゃあいかんという「A指定」が付いてしまった。しかし、観客のウケはよかった。

 題名は「ブラフマーの国から地球を経由してヤマの国へ」(ちょっとずれるが、「天国発、地球経由、冥土行き」)という意味だが、映画の内容とぴったり合っているわけではなく、要はブラフマーとヤマと人間(スィーヌとショーバン・バブ)が地上で交流するという話だった。で、一番強いのが実は人間で、人間の強い愛には神々も動かされる、という結末になっていた。
 面白いのは、インドではあまり人気のない(とされている)ブラフマー神が大活躍するということ。特にテルグ映画では、ラーマやクリシュナの人気が高いだけに、かなり異色だ。しかも、それをラジェンドラ・プラサドが凛々しく演じていて、素敵なブラフマー像となっていた。だからといってAP州でブラフマー信仰が復興するわけではないだろうけれど、監督の狙いは当たっていたと思う。

◆ 演技者たち
 ラジェンドラ・プラサドは、私はDVDで【Quick Gun Murugun】(09)を観ただけなのだが、かなりエレガントでクールなお笑い演技のできる人のようだ。ブラフマーがヤマとチトラグプタを伴い、成り行きから売春宿に入ってしまうシーンは、微妙な空気が面白かった。
 (写真下:下界ではなぜか演歌歌手のような白衣装だったブラフマー。)

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 ヒーローといえば、スィーヌを演じたシヴァージがヒーローなのだが、さすが低予算映画には欠かせぬ顔、なかなか良い仕事をしていた。

 ヒロインは【Happy Days】(07)や【Vinayakudu】(08)でお馴染みのソニア。特に光るところはなかった。
 (写真下:SivajiとSonia。)

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 見ものはジャヤプラカシュ・レッディーのヤマ・ダルマラージャ。すっかり年老いた【Yamagola】(07)のサティヤナラヤナに代わって、新ヤマ役者として行けそうだ。

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 他のご神体では、カリヤーニ扮するサラスワティがけっこう「萌え」だった。

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 こちら、アールティ・アガルワール演じるランバーは、「萌え」より「お笑い」だったが、さすがベテラン・元アイドル女優、汚れ役も平然とこなしていた。

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 ショーバン・バブ役のヴェーヌ・マーダヴは効果的。ラグ・バブ演じるシャンカル・ジャクソン(マイケル・ジャクソンのパロディー)は、アホくさいが、とにかく笑えた。MSナラヤナの出番は短かったが、かなりパンチが利いていた。

◆ 音楽・撮影・その他
 音楽シーンは、上で触れたとおり、かなり「リハは1回しかしてません」的な粗末なものだった。特記事項はないが、私的には、テルグ映画のくせにカンナダ映画と肩を並べるような出来だったので、親近感を覚えた。

 アクション・シーンやグラフィックスは、テルグ映画の水準からいくと、普通。
 ただし、注目点として、ブラフマーの「四面」は挙げておきたい。昔の神話映画に出てくるブラフマーは、中央の俳優の顔だけリアルで、他の三面(たいてい二面だけ)は紙かプラスティックで作ったようなもので、まったく動かず、これが不自然で気持ち悪かった。時代が少し下ると、今度は機械仕掛けが施してあって、目と口がぴょこぴょこ動くものが登場したが、やはり動きがぎこちなく、気持ち悪かった。しかし、本作のブラフマーは、CGの技術を駆使して、ラジェンドラ・プラサドの顔が4つともリアルに動くというものだった。これぞ技術革新の勝利!と言いたいところだが、、、これはこれで、やっぱりキモかった(この場合、4つあるのがラジェンドラ・プラサドの顔だったというのが問題だったかもしれない)。

◆ 結語
 脚本が悪いせいで、ムラとムダの多い作品となってしまい、一般的に「お勧め」と言えないのが残念だ。しかし、マニアなお方なら、観ておいてもいいと思う(どの種のマニアかはここでは特定しないが)。

・満足度 : 2.5 / 5

《 見ても害なし・なんちゃってトレイラー@ 》
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ショーバン・バブ「悪徳商法とちゃいます。正真正銘、梵天様からいただいた、ありがたい壺でおます。」

スィーヌ「ほ〜ぉ。で、いくらで譲ってくれますのん?」

ショーバン・バブ「200ルピー!」

スィーヌ「安っ! 梵天さんの価値は、お前の呑み代ぐらいかい!?」





《 見ても害なし・なんちゃってトレイラーA 》
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ランバー「ちょくちょく来るて言うてたのに、ちっとも来てくれへんやないの。」

スィーヌ「すまん、キミとのことは、一時の出来心やったんや。」









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ランバー「そんなこと言わんと、せめて今晩だけでも泊まってって。」

スィーヌ「オレには心に決めた人がおるんや。」










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ランバー「ええぃ、こうなったら、力ずくやわ!」

スィーヌ「ぎょえ〜、あんさん、えらい重たなってまっせ!」

(と、ブラフマーの指令を忠実に遂行するランバーであった。)







 

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