カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Don Seenu】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2010/09/01 01:40   >>

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 ラヴィ・テージャ主演のテルグ映画。
 今やテルグ映画界の最もパワフルな稼ぎ頭となった感のあるラヴィ・テージャだが、事実、彼の映画はたいてい面白く、私も好んで観ている。といっても、ブロックバスターとなった【Kick】(09)を観て以来、【Anjaneyulu】(09)と【Shambo Shiva Shambo】(10)は見送った。わざと流したのである。というのも、ラヴィ・テージャの二枚目半的「臭キャラ」は強い中毒性を持つものと思われ、私も日本人の端くれとして、行く行く「日本社会復帰」ということを考慮すると、こんなところで「ラヴィ・テージャ中毒」に罹っている場合ではないからである(まったく、多くのテルグ人はこの中毒の末期症状にあると私は信じている)。それゆえ、ラヴィ・テージャの映画は適度に間を置いて服用すべし、というのをルールとして定めている。
 それはさておき、ラヴィ・テージャは本作で初めて‘Mass Raja’の冠タイトルを用い、大衆ヒーローとしての自覚をより強めている。
 相手役はシュリヤー・サランで、意外にもヒロインとしてテルグ映画出演するのは5年ぶりのことらしい。これにボリウッド女優のアンジャナ・スカーニがセカンド・ヒロインに付いている。

【Don Seenu】 (2010 : Telugu)
物語・脚本・監督 : Gopichand Malineni
出演 : Ravi Teja, Shriya Saran, Srihari, Sayaji Shinde, Anjana Sukani, Mahesh Manjrekar, Ali, Brahmanandam, Brahmaji, Raghu Babu, Venu Madhav, Sudha, Surekha Vani, Vijayaranga Raju, Kasturi, John Kokken
音楽 : Mani Sharma
撮影 : Sameer Reddy
編集 : Gowtham Raju
制作 : Venkat (RR Movie Makers)

《あらすじ》
 スィーヌ少年はアミターブ・バッチャンの大ファンで、殊に映画「Don」に狂っており、他人から「ドン・スィーヌ」と呼ばれない限り、振り向きさえしないほどだった。そんなスィーヌ少年は継母(Sudha)の不興を買い、学寮に入れられそうになる。少年は家を飛び出し、映画館の親切な映写技師(Vijayaranga Raju)とその娘(Kasturi)に家族のように育てられる。
 長じて、スィーヌ(Ravi Teja)は「ドン」になる夢を果たすべく、ハイダラーバードへやって来る。ちょうどその頃、当地ではマーチラージュ(Sayaji Shinde)とナーラシンハ(Srihari)という2人のドンが対立していた。
 スィーヌは売名行為のため、まず手始めにドゥバイの大物マフィア、ムケーシュ(Mahesh Manjrekar)の息子であるプラヴィーン(John Kokken)を痛め付ける。この作戦は成功し、すぐさまマーチラージュの手下がやって来て、スィーヌを組に招き入れる。実はナーラシンハはムケーシュと友好関係にあったため、一矢報いたいマーチラージュは、スィーヌを利用できると考えたからである。
 マーチラージュは早速スィーヌに、ドイツへ行って、留学中のナーラシンハの妹を誘惑し、恋仲になるよう指示する。ナーラシンハの妹とムケーシュの息子プラヴィーンとは結婚がほぼ決まっていたが、マーチラージュはこの関係を破壊しようと企んだわけである。スィーヌは、マーチラージュの片腕(Brahmaji)と友人のラーマラーオ(Ali)を伴い、ドイツへと飛ぶ。
 現地で、スィーヌはナーラシンハの妹ディープティ(Shriya Saran)を見つけ出し、接近する。ディープティは「ブル・シット!」と「インポッシブル!」と「アンビリーバボー!」が口癖の高飛車な女だったが、スィーヌはあの手この手の策を尽くし、とうとう彼女を落としてしまう。また、ディープティの友達プリヤ(Anjana Sukani)もスィーヌに想いを寄せる。
 一方、ハイダラーバードのナーラシンハは、ドン・スィーヌという男が妹を誘惑したと聞き、激昂する。
 やがてスィーヌは、ディープティやプリヤらと共に、インドへ戻る。空港にはマーチラージュがスィーヌらを出迎えに行くが、片やナーラシンハもスィーヌを射殺しようと、銃口を向けていた。だがナーラシンハは、スィーヌに寄り添っていた女性が自分の妹プリヤではなく、マーチラージュの妹ディープティだと気付き、安堵する。他方、マーチラージュは、スィーヌが落としたのが自分の妹だと分かり、ずっこける、、、。

   *    *    *    *

 あらすじは前半までで止めた。ネタバレに配慮したというより、ここから先は、スィーヌが2人のドンに二股をかけて自分の目的を実現していくという、かなり込み入った展開が続き、これを分かりやすく書くと長くなりすぎるので、止めた。どうしてナーラシンハとマーチラージュのそれぞれの妹が混乱して取り違えられたのか、スィーヌは果たして希望どおり「ドン」になることができるのか、一体、スィーヌがこの危険な「二股」に身を投じた真の理由は何なのか、、、こうしたことはぜひとも実作品を通してお楽しみいただきたい。

 まさに典型的な「ラヴィ・テージャ印」のアクション・コメディーで、かなり楽しめた。アクションやダンス、コメディーがリッチに配されていて、食に例えるなら満腹感のあるアーンドラ・フルミールス。しかし、決して贅沢すぎず、あくまでも100ルピーを越えない大衆定食であるところがミソだ。

 監督のGopichand Malineniという人は新人のようだが、スリーヌ・ヴァイトラ監督から大きな影響を受けているように見えた(もしかしたら、助監督ぐらいやっていたかもしれない)。登場人物がやたら多く、主人公が標的を陥れる罠として狂言を仕掛けるストーリー構成など、同監督の【Dubai Seenu】(07)や【Ready】(08)、【King】(08)などを連想させる。
 またゴーピチャンド監督は、ラヴィ・テージャの強みが発揮されるように、【Vikramarkudu】(06)や【Dubai Seenu】、【Krishna】(08)、【Kick】など、彼のヒット作のヒーロー像をほぼ完璧に踏襲している。(ちなみに、【Dubai Seenu】とはタイトルも似ており、続編かとも思ったが、そうではなかった。)

 おかげさまで、本作は新鮮味の乏しいものとなっているのだが、まぁ、それはかまわない。ただ、上に挙げた過去のヒット作に比べて、本作は面白さが落ちると思われたのは、きっとクライマックスが弱かったせいだと思う。
 しかし、このクライマックスには、ドゥバイの大物ドン(Mahesh Manjrekar)が各地のドンをハイダラーバードに集め、スィーヌ(Ravi Teja)がそれを片付けるという場面があって、そのドンたち(例えば、タミルのドン、カルナータカのドン)の姿形がいかにもそれらしく、また、スィーヌが彼らとそれぞれの言葉(タミル語やカンナダ語)で見得を切るという趣向があり、それは面白かった。

◆ 演技者たち
 主演のラヴィ・テージャは、その高速回転舌と共に相変わらずエネルギッシュなパフォーマンスだった。相当頭の良い男のようで、私は、ラヴィ・テージャのような自分のイメージとやるべき仕事をはっきり自覚し、それをスクリーン上で十全に表現できる役者が好きだ。
 この手のアクション・コメディーに繊細な演技など要求されないが、本作のラヴィ・テージャは、3人のドン、2人のヒロイン、3人のコメディアンと絡まねばならず、けっこう複雑なのであるが、場面に応じたキャラクターの切り替えが上手く、見ていて愉快だった。
 (写真下:主人公の設定に合わせてドン・Tシャツを着るRavi Teja。このTシャツは市販のものだろうか?)

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 私的には、シュリヤー・サランがかなり光っていたのがうれしかった。
 最近作では、【Kanthaswamy】(09:Tamil)では良かったと思うが、【Pokkiri Raja】(10:Malayalam)ではイマイチで、その他はカメオ出演だったり、フロップだったり、ヒンディー語や英語の作品だったりしたので、南インド映画で活きの良い彼女が観られたのは久々のことだ。
 見世物(アイドル)としてはまだまだ魅力的なのを実感した。
 (写真下:左よりRavi Teja、でかい顔の一部を見せているAli、Shriya Saran、セカンド・ヒロインとしてまずまずだったAnjana Sukani。)

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 強面陣では、ナーラシンハ役のシュリハリ、マーチラージュ役のサヤージ・シンデ、ドゥバイの大物ムケーシュ役のマヘーシュ・マンジュレーカルは、常の持ち味を出していて問題なし。
 ムケーシュの息子、プラヴィーン役をやったのはJohn Kokken。この人はムンバイ生まれのマラヤラム人らしく、すでにマラヤラム映画に何本か出ているが、私はカンナダ映画の【Prithvi】(10)で見て、いたく気に入った。南インド映画界でも絶滅しつつある「怒号系」悪役俳優ということで、大きな期待も寄せているのだが、本作ではまったく甲斐のない使われ方だった。

 コメディアンは3人いたが、アリーはたんなる主人公の友人役で、今回は摩訶不思議キャラではなく、かなり残念。ヴェーヌ・マーダヴは盲人のふりをした詐欺師役で、ストーリーとはまったく関係ないが、前半のお茶請けにはなっていた。後半にのみ登場するブラフマナンダムはラヴィ・テージャとの絡みが面白かった。

 ジャガパティ・バブが冒頭のナレーションを担当している。

◆ 音楽・撮影・その他
 マニ・シャルマの音楽は凡庸で、音楽シーンも平均的な出来だろう。

◆ 結語
 【Don Seenu】は、大衆王ラヴィ・テージャ主演の典型的なテルグ・アクション・コメディーということで、2時間40分、楽しく座っていられる。ただ、特に新鮮味はなく、一度観れば十分な作品であるので、ラヴィ・テージャのファンでもない限り、高価なDVDを買ってまで観る必要はないだろう。

・満足度 : 3.0 / 5
 

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