カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Gun】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2011/03/02 15:30   >>

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 ハリーシュ・ラージ監督・主演のカンナダ映画。
 ハリーシュ・ラージについては、【Bengaloored】(10)のレビューで紹介しておいたが、芸術系映画やテレビドラマなどで良い仕事をしている俳優。だが、商業娯楽映画では大きなチャンスがなかったため、【Kalaakar】(09)で自ら制作、監督、主演に挑戦したのだが、フロップに終わってしまった。
 本作は、そのハリーシュ・ラージがめげずに取り組んだ監督・主演の第2作になる。「拳銃にトラウマを持つ男の話」との触れ込みだった。

【Gun】 (2011 : Kannada)
物語・脚本 : Harish Raj, Manju Mandavya
監督 : Harish Raj
出演 : Harish Raj, Mallika Kapoor, Nikita, Rangayana Raghu, P.N. Sathya, Sangeetha, Sundarasri, Bullet Prakash, Mohan Juneja, M.S. Umesh, Kiran Rathod(特別出演), Rachana Maurya(特別出演)
音楽 : Ronnie Raphel
撮影 : K.M. Vishnuvardhana, H.M. Ramachandra
編集 : Deepu S. Kumar
制作 : Harish Raj, K. Murali

《あらすじ》
 ガネーシュ(Harish Raj)は工業大学をドロップアウトして、酒浸りの生活を送っている若者。父とは死別しており、屋台を営む母(Sundarasri)と妹が家計を支えていた。
 テレビ・レポーターのマッリカ(Mallika Kapoor)は取材の過程でガネーシュと出会い、関心を持つ。彼女はガネーシュに更正し、大学を修了するよう説得する。だが、ガネーシュには辛い過去があった。かつて彼にはヴァンダナ(Nikita)という愛する女性がおり、まさにプロポーズしようとしたときに、マフィアと警察の銃撃戦に巻き込まれ、彼女を失っていたのである。以来彼は、ヴァンダナを救えなかった無力感から、酒浸りになっていた。
 それを知ったマッリカは、ガネーシュを励まし、自分がヴァンダナの代わりになるように振る舞う。ガネーシュもそんなマッリカを意識し始める。
 マッリカは、ワシム・カーン(Rangayana Raghu)という悪徳実業家の不正土地売買問題を取材していた。また、ワシム・カーンの弟(P.N. Sathya)はドゥバイで暗躍するマフィアのドンであったが、バンガロールに戻り、敵対者を殺害していた。マッリカはこの事件をも取材していたため、ワシム・カーンの弟に襲われ、銃で肩を撃たれる。その場にいたガネーシュは、ワシム・カーンの弟の拳銃を奪い、彼を射殺する。病院へ運ばれたマッリカは一命を取り留める。
 ガネーシュは警察に出頭し、自首する。だが、ワシム・カーンは、自分の手で弟の復讐を果たすために、別人を犯人としてでっち上げ、ガネーシュを釈放させる。
 ワシム・カーンはガネーシュとその家族を脅し始め、ガネーシュの妹を誘拐する。ガネーシュも逆に、ワシム・カーンの妻で女優のガウリ(Sangeetha)を人質に取る。しかしワシム・カーンは、妹をレイプした上、殺害し、さらにマッリカをも人質に取る。ガネーシュは、ガウリを連れてワシム・カーンのアジトに乗り込む。両者の間で激しい乱闘となるが、最終的にワシム・カーンを射殺したのは、夫に裏切られたことを悟った妻のガウリであった。
 何年か後、ガネーシュはエンジニアにはならず、警官として市民の安全を守る職に就いていた。

   *    *    *    *

 インド映画の世界というのは残酷なもので、人気スターの出ていない娯楽アクション映画というのは、そこそこ面白いものであっても、世間から冷たくあしらわれることが多い。この【Gun】も、そんなに悪いとは私は思わない。しかし、映画館はがらがら、レビューの評価も概ね低い。やっぱり、ハリーシュ・ラージじゃあ、ダメなんだろうなぁ。ヒロインも、マッリカ・カープールとニキタ、それにアイテム・ガールとしてキラン・ラートールとラチャナ・マウリヤという、B・C級女優マニアの私でも頭痛を感じる並びだ。本作も、もしプニート・ラージクマールが主演で、ヒロインにラミャ辺りが付いていれば、100日ヒットとなっても不思議はないし、レビューの星も1つ増えただろう。
 要するに、インド娯楽アクション映画というのは、ストーリーやテーマがどうのこうのというより、誰が演じているか(正確には、君臨しているか)が要であって、オーラのない俳優がやっているアクション映画というのは、所詮はまがいものにすぎないということだろう。

 しかしながら、根が判官贔屓な私はついハリーシュ・ラージくんの側に立ってしまう。人の好さなんて映画スターには無用の属性だと思うが、ついつい負け組みに入ってしまうような彼の人の好さには妙に親近感を覚える。
 ハリーシュ・ラージがどれだけお人好しかと言うと、監督・主演した前作の【Kalaakar】は映画スターになることを夢見る貧しい若者(ハリーシュ・ラージ演じる)の物語で、彼が逆境にめげず奮闘した結果、遂にスターとして成功を収める、、、と思いきや、そのサクセス・ストーリーはぜんぶ夢でした、という話だった。このオチがあちこちで不評を買ったのだが、それに対してハリーシュ・ラージは「ボクがこの業界で味わった12年間の辛苦を考えると、とてもハッピーエンドは作れなかった」と答えている。なんとも正直で素晴らしいじゃないか! しかし、インド娯楽映画である以上、こういう夢も希望もない夢物語を作っていてはいかんのです。
 スターとしても監督としても適性を欠いているようなハリーシュ・ラージだが、彼のこうした誠実さは評価してやりたい。

 もっとも、本作の評価が上がらない理由も分からなくもない。そこそこ面白いのだが、観なきゃ損というほどのものでは全然ない。それに、ハリーシュ・ラージは、演技は几帳面にやるのだが、脚本は大雑把に書いてしまうようで、簡単に始末してしまったような箇所があちこちにあった。
 ただ、結末で主人公のガネーシュ(Harish Raj)が警官となって登場するオチが、「唐突」、「ロジック無視」と批判されていることについては、賛成できない。本作は、いくつかの体験から銃に対してトラウマを持つようになった男が、それを克服する話で、それを通してハリーシュ・ラージが言いたかったのは「銃(武力)は平和的に使用されるべき」ということだ。これ自身は至極まっとうなメッセージだと思う。それを言うために、ガネーシュが警官となる結末も頷けるはずだ。

◆ 演技者たち
 脚本・監督でのハリーシュ・ラージは合格とは言えないが、演技者としては本作でもまずまずの芝居をしており、技術点は高い。しかし、オーラが、、、。
 本作はオーソドックスな娯楽アクション映画仕立てになっているが、近ごろのタミル映画ふうに、リアルな「バンガロール下町秘話」みたいな作りにしたら、ハリーシュ・ラージにとってかえって良かったかもしれない。

 ヒロインはマッリカ・カプール。この人も可愛い人だとは思うが、タレ目もここまでくると苦戦するようで、キャリアの割には中途半端な位置に甘んじている。本作でも強い印象は残らなかった。(写真下:どだい、メイクが濃すぎる。)

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 中途半端といえばニキタもそうだ。彼女は一時期カンナダ映画によく出ていたので、カンナダ女優化したかと思ったが、その後「カンナダはイヤ!」みたいな発言と共にしばらく遠ざかっていた。しかし、ここに来て再びカンナダの出演作が相次ぎ、いよいよバンガロールに骨を埋める覚悟ができたか。そういえば、先日、カンナダ語のテレビ番組に出演していて、ずいぶんカンナダ語が上達していたので、驚いた。
 (写真下:ニキタとハリーシュ・ラージ。)

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 アイテム・ナンバーが2曲あって、1曲目にはキラン・ラートールが出ている。一時期タミルで人気のあったキランだが、今さらこのお方のデカ尻を見せられてもなぁ、、、。(写真下)

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 対して、もう1人のアイテム・ダンサーはラチャナ・マウリヤ。私はこちらはけっこう好きだったりする。ただ、北インド出身の女優も南では安心するのか、彼女も見るたびに体重が増えているようで、ナミタ化しつつあるのが気掛かりだ。(下)

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 脇役陣では、悪役ワシム・カーン役のランガーヤナ・ラグのみ良かった。

◆ 音楽・撮影・その他
 音楽はローニ・ラーフェルという聞いたことのない人の担当だが、悪くはなかった。特に、主人公がヴァンダナ(Nikita)を回想するシーンに入る‘Taaja Taaja’はきれいに作られている。

 撮影は良い。

◆ 結語
 ハリーシュ・ラージの人柄の滲み出た真面目なアクション映画。私は好きだが、特にお勧めはしない。

・満足度 : 2.5 / 5
 

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【Govindaya Namaha】 (Kannada)
 コーマル・クマール主演のカンナダ映画。  コーマル・クマールといえば、カンナダ映画界の著名喜劇俳優ジャッゲーシュの弟で、彼自身、ランガーヤナ・ラグ、サードゥ・コーキラ、ブレット・プラカーシュ、チャランらと並んで、サンダルウッド・華のコメディー衆の1人と見なされている。  たいていはコメディー・パートを担当するだけであるが、【Mr. Garagasa】(08)辺りから主役も務めるようになり、【Chamkaysi Chindi Udaysi】(09)、【Vaare Vah】(11)、... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2012/04/22 22:05

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