カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【100% Love】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2011/05/13 21:49   >>

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 スクマール監督、ナーガ・チャイタニヤとタマンナー主演のテルグ映画。
 スクマール監督については、【Arya-2】(09)を観て複雑な気持ちになったが、やはり【Arya】(04)を撮った人、注目したいものがある。
 ナーガ・チャイタニヤは、前作【Ye Maaya Chesave】(10)が当たったので、御曹司俳優としての格好は付いた感じだが、私はまだまだだと見ている。大体、【Ye Maaya Chesave】がヒットしたのは、1にARラフマーンの音楽、2にサマンタの可愛らしさとチンマイさんの吹き替え、3にガウタム・メノン監督のフレッシュな脚本、4に美しいロケーションがあったればこそで、ナーガ・チャイタニヤのプレゼンスはむしろ同作品の平均点を下げているのでは?と私には思われた。今回はその名も「100% Love」と、またまたロマンス・ボーイを演じることになったようだが、果たしてどこまで進歩が見られるか?
 タマンナーについては、私ははっきりと彼女のファンであると公言しているが、【Sura】(10)を観て以来、2本のタミル映画【Thillalangadi】(10)と【Siruthai】(11)は見送った。理由は両作ともラヴィ・テージャ主演のテルグ映画、すなわち前者が【Kick】(09)、後者が【Vikramarkudu】(06)のリメイクだからである。別にタマちゃん目当てで観てもよかったのだが、ジェイヤム・ラヴィやカールティにラヴィ・テージャほどのことはできまいと思うと・・・(以下省略)

【100% Love】 (2011 : Telugu)
脚本 : Hari Prasad
監督 : Sukumar
出演 : Naga Chaitanya, Tamannaah, Naresh, K.R. Vijaya, Vijayakumar, Anand, Tara Alisha, Dharmavarapu Subramanyam, M.S. Narayana, Chitram Seenu, Satyam Rajesh, Tagubothu Ramesh
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : Prasad
編集 : Karthika Srinivas
制作 : Bunny Vasu, Allu Aravind

《あらすじ》
 ハイダラーバードに暮らすバールー(Naga Chaitanya)は、試験をいつも1番の成績で突破してきた自称天才児。彼の家に、田舎から従妹のマハーラクシュミ(Tamannaah)がやって来、同居することになる。二人はまた同じ大学に通うことになる。田舎育ちで、おおらかな性格のマハーラクシュミは、バールーの理詰めで冷たい態度にげんなりする。
 テルグ語ミディアムの学校で学んだマハーラクシュミは、英語力の不足から、初めての学期試験に落第してしまう。哀れんだバールーは彼女に参考書を貸し、1日5時間の学習プログラムを授ける。これによってマハーラクシュミの成績はぐんぐん伸び、次の試験ではなんと彼女が1位となり、バールーは2位に転落してしまう。
 大学でも家でも面目を失ったバールーは、1位を奪回するために、マハーラクシュミの勉強の邪魔をしたり、こっそりと専門学校に通ったりする。それを知ったマハーラクシュミも反撃に出る。そんな足の引っ張り合いをしたため、次の試験ではトップの座をアジット(Anand)に奪われてしまう。
 さすがに反省した二人は、トップ奪回のために、共同してアジットの妨害作戦を行う。また、ちょうどこの頃、マハーラクシュミの父が彼女の結婚相手を決めるが、彼女が乗り気でなかったため、二人で花婿候補撃退作戦も行う。こうした共同作戦の過程で、バールーとマハーラクシュミは互いに惹かれ合うようになる。
 作戦はうまく行き、次に試験では見事バールーが首位に返り咲く。しかし、祝賀パーティーの時に、マハーラクシュミが、あんなに妨害したにもかかわらず、わずか2パーセントの差で2位になったアジットのことを褒めたため、バールーは激怒する。二人は大喧嘩をし、マハーラクシュミは家を出て行くことになる。実はこのパーティーは、バールーとマハーラクシュミの親たちが二人の婚約発表の場にしたいと考えていたのだが、それもおじゃんとなってしまう。
 時が経ち、大学を卒業したバールーは小さなソフトウェア会社を経営し、マハーラクシュミも大手ソフトウェア会社に就職していた。ある時、二人の祖母(K.R. Vijaya)が入院したため、バールーとマハーラクシュミは久々に顔を合わせる。互いに話が弾むが、こと話題が仕事の話に移ると、マハーラクシュミがまたアジットの業績を褒めたため、バールーは不機嫌となる。
 二人の叔父(Dharmavarapu Subramanyam)が登場し、バールーとマハーラクシュミの結婚を提案するが、意地を張ったバールーは秘書のスワプナ(Tara Alisha)を呼び寄せ、恋人だと紹介する。それに対抗してマハーラクシュミも同様にアジットを紹介する。そんな次第で、二人は本当にそれぞれの相手と婚約し、同じ日に結婚式を挙げることが決まってしまう。
 二人には祖父(Vijayakumar)がいたが、祖母との意見の不一致で、田舎で独居していた。バールーとマハーラクシュミは、祖母の指示で、それぞれの結婚式の招待状を渡すために祖父に会いに行く。ところが祖父は二人が結婚すると思って大喜びしたため、バールーは祖父を傷付けないように、マハーラクシュミと結婚すると嘘をつく。
 バールーの会社でプロジェクト上の問題が起きる。それを知ったマハーラクシュミは彼の会社に入社し、手助けする。おかげで会社は難局を乗り切ることができる。祝賀パーティーの夜、酒に酔ったバールーはマハーラクシュミに感謝する。そして、彼女に対して本心を打ち明けてしまう。
 やがて、それぞれが結婚する日となるのだが、、、。

   *    *    *    *

 題名が「100% Love」、監督がスクマールと来れば、かなり新規なラブストーリーになると思いきや、意外にオーソドックスな、テルグ映画らしい結末を持つ作品だった。なかなか面白い。特に前半はハイテンポなキャンパス・ラブコメで、ここだけですでにチケット代の元は取れる。
 残念ながら、後半はペースが落ち、前半のフレッシュさに比べてぐっと古典的な展開になる。クライマックスももっと考えてほしいようなものだが、しかし、こういう「ちゃんちゃん」で終わる終わり方も、実はインド映画らしくて、微笑ましいものを感じた。

 ストーリー構成が面白く、基本的に回想形式の物語なのだが、前半(バールーとマハーラクシュミが喧嘩をして、後者が家を飛び出すまで)がバールーによる回想、後半がマハーラクシュミによる回想となっている。しかし、だからといって、前半が男性の視点で、後半が女性の視点で登場人物の心理描写がなされているわけではなさそうで、この点も工夫してくれたら、実に意味深い作品になっただろうなぁ、と思う。

 本当は好きなのに、意地の張り合いで背を向ける男女が、結局は折れるというストーリー展開で、これそのものはそれほど珍しくない。もしや大展開があるか、と期待もしたが、クライマックスが弱いせいで、徒に若者の痴話喧嘩にお付き合いしてしまったかなぁ、という残念感も残った。
 ただ、この意地の張り合いのきっかけとなるのが、試験の点や仕事の業績(収入)など、数量で計れるパフォーマンス至上主義だということで、これには新しさを感じた。バールーはこの競争主義社会のトップ集団を走っていると自負している男で、そのプライドと嫉妬心から独り相撲を取ってしまう。
 バールーは、嫌な男なのだが、この人物設定には興味深いものを感じた。こういう「硬直した」というか、「原理原則型」の極端な人物を登場させ、それが折れて「人間らしい人」になるという物語は、テルグ映画に多いように思えるのだが、気のせいだろうか。(【Orange】【Mr. Perfect】もそんな話だった。)
 他方、マハーラクシュミは、田舎育ちらしく細かいことに忖度しない性質で、「こんなことを言うと、この人は傷付くだろうなぁ」ということが読めない率直さが禍となっている。結局は彼女のハートがバールーを救うことになるのだが、この二人、結婚したとしても、きっと喧嘩続きだろうなぁ。(ちょうど彼らの祖父と祖母が別居していたように。)

◆ 演技者たち
 主演のナーガ・チャイタニヤは、【Josh】(09)と【Ye Maaya Chesave】に比べると、目に見えて演技は上達している。それでも、もうひと頑張りしてほしいと思う。なんと言うか、「ツラのデカさ」みたいなものに欠けるような気がする。それに、やはりダンスが様にならず、これはトリウッドでは致命的かもしれない。本作の役柄(理知的な都会っ子)は合っていたと思うが、今のところ彼がユニバーサルなヒーローになるとは想像しにくい。

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 対して、本作のタマンナーには賞賛の嵐を贈ってもいいだろう。別に私がタマちゃんのファンだからといって無理から持ち上げるわけではなく、事実、めちゃめちゃ可愛いやら、演技が自然やら、適当にエロティックやらで、この手のラブコメのヒロインとしてほぼ死角がない。恐れ入りやした。
 彼女に付いた吹き替えも非常に良かったが、誰か分からない。

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 脇役陣では、特に際立った仕事をしている人はいないが、祖母役のK・R・ヴィジャヤは情感のこもった演技だった。

◆ 音楽・撮影・その他
 音楽はデーヴィ・シュリー・プラサードの担当だが、相当気合いが入っていると思った。すべての曲が良く聴こえた。いつもこれぐらいの仕事をしてくれると、音楽を聴くという目的だけでも映画館に足が向くのだが。
 音楽シーンの作りもカワユくて良い。祖父の田舎での「お祭りソング」はかなり面白かった。

 ところで、本作の音楽CDがリリースされた際に、大規模なイベントが行われ、それをテレビで見ることができた。ナーガ・チャイタニヤは撮影のため欠席だったが、タマンナーは出席、その他、ナグさんやアッル・アルジュン、ラームくん、スワティちゃんなども招待されていて、けっこう楽しいイベントだった。やっぱりデーヴィ・シュリー・プラサードが相当ハイテンションだった。
 このイベントでタマンナーの地声が聞けたのだが、あの顔形から想像できるとおりの声だった。テルグ語と英語を器用にちゃんぽんしながら話していた。

◆ 結語
 傑作・秀作には届かないが、楽しく、かつ適当にセンティメンタルで、観て損はなし。タマンナーのファンならマストだ。

・満足度 : 3.0 / 5

《 勝手トレイラー 》
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バールー「ちょっと足の裏貸してね。計算式書きたいから。」
マハー「うん、ええよ。ちょっと匂うかもしれんけど。」
バールー「匂う以前に、お前、さっき食うたビリヤーニの飯ツブ、まだ足の裏に付いてるぞ。」
マハー「ほんまぁ? 足でご飯食べる癖、そろそろ止めんといかんね。」






 

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
カーヴェリさんがこのようなラブストーリーもご覧になるとはなんだか意外でした。(勝手にそんな人物像を描いていて申し訳ありません)
私も観賞しましたが、なんだか少女漫画風、且つテルグ映画でわざわざ取らなくても…と感じました。
演出とはいえ舌打ちがやけに気になり、わざと臭い泣き方も少々いただけませんでしたが、ヒロインはとても可愛らしかったです。それだけで満足でした。

それにしても『Kick』と『Vikramarkudu』のリメイクがあったんですね。サルマン・カーン主演で『Kick』のリメイクがあるとも聞いていますが。ラヴィ・テージャには敵わないと思います。……ファンの欲目でしょうか。

2011/05/15 03:34
ご無沙汰です。

>カーヴェリさんがこのようなラブストーリーもご覧になるとはなんだか意外でした。

あら、けっこう好んで観てるんですよ。

>私も観賞しましたが、なんだか少女漫画風、且つテルグ映画でわざわざ取らなくても…と感じました。

はい、インドはマンガとかトレンディードラマとかがないですからね、こんな映画も現れるんでしょう。
しかし、近ごろ、「テルグ映画でわざわざ撮らなくても」と言えるようなテルグ映画が多いと思いません?

>演出とはいえ舌打ちがやけに気になり、わざと臭い泣き方も少々いただけませんでしたが、ヒロインはとても可愛らしかったです。それだけで満足でした。

「舌打ち」と「泣き方」が気に入りませんでしたか。おかしいなぁ、「死角なし」と思ったんですけど。これもファンの欲目でしょうね。

>それにしても『Kick』と『Vikramarkudu』のリメイクがあったんですね。

参考に、『Vikramarkudu』はスディープ主演のカンナダ・リメイク『Veera Madakari』もあり、ヒットしました。
 
カーヴェリ
2011/05/15 17:51

>あら、けっこう好んで観てるんですよ。

これは失礼しました。

観ている本数がそんなにないので意見するのが少し憚られますが、確かに「わざわざ…」というのが少々多いかと思います。ただそれが現在の風潮なのかとも思います。「若い女性に好まれる映画」というのを意識しているのかなとなんとなく感じますが、いかがでしょうか。

ヒロインに関しては、舌打ちの多さが私の好みじゃなかったというだけですのでお気になさらず。

(上記コメントで漢字を間違えていてお恥ずかしいです。失礼しました。)

2011/05/16 10:22
>ただそれが現在の風潮なのかとも思います。

はい、現在の風潮だと思います。
テルグ映画も私が観始めた頃から比べてもずいぶん変わった部分もあります。私は「えっ、これがテルグ映画?」というテルグ映画が現れてもいいと思っていますが、ボリウッドとかハリウッドの後追いなら「わざわざなぁ・・・」と思ってしまいます。

>「若い女性に好まれる映画」というのを意識しているのかなとなんとなく感じますが、いかがでしょうか。

なんとなく、ではなく、もろ意識していると思いますよ。ワルン・サンデーシュ(「Kudirithe Kappu Coffee」の主演男優)の映画があまりヒットしないにもかかわらすコンスタントに作られるのもそんな次第だと思います。若い女性をターゲットにした作品だけでなく、内容的に「ヒロイン中心」の映画も増えてきました。
 
カーヴェリ
2011/05/16 23:07

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