カーヴェリ川長治の南インド映画日記

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zoom RSS 【Shrimathi】 (Kannada)

<<   作成日時 : 2011/07/13 21:07   >>

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 好きな女優というのはたくさんいるが、それは女優としてファンであるとか、応援したいとかいう意味であって、一人の女性として惹かれる人となると、ぐっと少ない。プリヤンカ・ウペンドラ(旧プリヤンカ・トリウェーディ)はそんな数少ない女優の一人であるが、絶世の美女というわけでも、図抜けて演技が上手いというわけでもないのに、テルグ映画【Raa】(01)で初めて彼女を観て以来、ずっと胸ときめくものを感じていた。そんなわけで、彼女がウペンドラと結婚したときはショックだったが、まぁ、相手がウッピだからいいか、ご近所さんになるし、とすんなり受け止めた。その後、ご本人に会う機会も得、彼女に対する憧れはますます確固たるものとなった。
 プリヤンカは、結婚後は主に「主婦」となっていたが、女優業を辞めたわけではなく、細々とベンガリー映画には出ていたようだ(ちなみに、彼女はベンガリー人)。カンナダ映画の出演は【Malla】(04)以来途絶えていたが、2年ほど前からカンナダ語テレビのバラエティー番組に出始め、マスコミの前に立つ機会が多くなった。そろそろカンナダ映画にも復帰かな、と思っていたら、去年【Pancharangi】にカメオ出演し、そしてとうとうこの【Shrimathi】でヒロインとしてカムバックすることとなった。

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 この【Shrimathi】はアッバース&マスターン監督のボリウッド映画【Aitraaz】(04)のリメイクで、オリジナルでアクシャイ・クマール、カリーナ・カプール、プリヤンカ・チョープラが演じた役をそれぞれウペンドラ、プリヤンカ・ウペンドラ、セリナ・ジェートリーが演じている。ウッピとプリヤンカは実生活と同様、夫婦の役を演じることとなる。
 題名の「Shrimathi」は「夫人」という意味。

【Shrimathi】 (2011 : Kannada)
脚本・台詞・監督 : G. Ravi
出演 : Upendra, Priyanka Upendra, Celina Jaitley, Sayaji Shinde, Kota Srinivasa Rao, Prem Chopra, Rajesh, Rekha Das, Ramakrishna, Hema
音楽 : GK, Rajesh Ramanath
撮影 : Johny Lal
編集 : K. Eshwar Reddy
制作 : Shankare Gowda

《あらすじ》
 法律学校を出たプリヤ(Priyanka)は、弁護士ラームダース(Sayaji Shinde)の出していた助手の求人広告に応募し、その事務所まで面接試験を受けに行く。だが彼女は住所を間違え、向かいのラージクマール(Upendra)の家に入ってしまう。独身だったラージクマールはプリヤに一目惚れする。またプリヤもラージクマールに惹かれ、二人は難なく結婚、幸せな新婚生活をスタートさせる。
 ラージクマールは大手携帯電話会社「ボイス・モバイル」のトップ社員だった。折りしもこの会社で創立記念式典が行われ、新たな昇進人事が発表される。会長のランジート・ロイ(Prem Chopra)はまず、最近娶ったばかりの若妻ソニア(Celina Jaitley)を紹介し、取締役に就任したことを発表する。さらに、取締役補佐にはラージクマールが任命される。ラージクマールにとってこの昇進は期待以上のものだったが、彼の胸中には複雑なものが走る。
 ・・・
 実は、ラージクマールとソニアはかつて恋人同士であった。海外のビーチ・リゾートで二人は出会い、肉体関係にまで発展し、ラージクマールは結婚も考える。しかし、出世のためには手段を選ばないソニアの強欲な性格に嫌気がさし、彼女との関係を絶つことにしたのである。
 ・・・
 ちょうどその頃、ボイス・モバイル社の生産していた携帯電話機に不具合が発見される。それは、その電話機から電話をかけると、電話帳に登録されている別の番号にも電話がかかってしまうというものだった。ラージクマールと同僚のラケーシュ(Rajesh)は生産停止を決断するが、そのためにはソニアの承認が必要であった。ソニアはその件について相談するという理由でラージクマールを自宅まで呼び寄せる。
 だが、それはソニアの口実にすぎず、彼女は自宅にやって来たラージクマールを誘惑し、肉体関係を迫る。妻のプリヤを裏切れないラージクマールは必死に抵抗し、なんとかその場を逃れる。
 だが、ソニアは夫のランジートに、ラージクマールにレイプされそうになったと嘘をつく。そのためラージクマールは、ランジートから辞表を提出し、退社するよう命じられる。ラージクマールはこの件で弁護士のラームダースに相談するが、彼は裁判で勝つ見込みの低いことなどから、大人しく辞職することを勧める。だが、経緯を知ったプリヤは、ソニアをセクハラで訴え、法廷で争うよう夫を励ます。
 ほどなく裁判となる。ラージクマール側の弁護士ラームダースも健闘するが、ソニア側の弁護士クリシュナ(Kota Srinivasa Rao)の狡知な訊問のせいで、裁判はラージクマールに不利に傾く。
 ところが、ここでラージクマール側にとって決定的な証拠が現れる。ソニアにレイプされそうになっていたとき、ラージクマールはちょうど携帯電話で友人に電話をかけていたのであるが、おかげでソニアとラージクマールのやり取りがテープに録音されていたのである。だが、この証拠の存在はソニア側に知られ、弁護士ラームダースは車に衝突されて入院し、証拠のテープも隠滅されてしまう。
 絶体絶命に陥ったラージクマールであるが、プリヤは再び法律を勉強し、自ら夫を弁護するために法廷に立つ決意をする、、、。

   *    *    *    *

 本作の企画が発表されたのはもう2009年のことで、公開までに2年もかかったわけだが、じっくり作られた力作というわけではない。途中ウペンドラは自身の【Super】にかかりっきりになっており、ずっと塩漬け状態になっていた企画を俄かに復活させ、やっつけ仕事で撮ったような作品だった(途中で監督も交代している)。リメイクとしてはかなり手抜きで、どのくらい手抜きかと言うと、全体的に【Aitraaz】のコピーなのは言わずもがな、登場人物や会社の名前などもほとんどオリジナルのままだった。
 実は、【Aitraaz】は【Indira Vizha】(09)というタミル版リメイクも作られており、こちらは何かと変更が加えられていて、タミルB級映画を作ろうという意図が感じられた。しかし、その目論見が滑りまくり、哀れな失敗作になってしまったのだが、それに対して本作【Shrimathi】はオリジナルをぴったり再現したおかげで、【Aitraaz】が面白かった分だけ面白い。とは言っても、7年前に作られた映画を、まったく手を加えずして再現することに、何か意義があるのかなぁ?

 そう思った評者は多いらしく、レビューの評価は概ね低い。しかし、実際に鑑賞した感じでは、けっこう楽しめるのである。
 その理由は、一にプリヤンカ・ウペンドラの好演・熱演がある。ファンの欲目と言われそうだが、実際にアイドル時代のプリヤンカとは違っていて、結婚・出産を経験した「妻」としての「意地」のようなものが滲み出ていた。
 その二に、悪女ソニアを演じたセリナ・ジェートリーが思ったより面白かった。オリジナルではプリヤンカ・チョープラが演じ、大そう評判を取った役だが、セリナのほうはぐっと下品で、それが地方映画の質感に合っており、オンボロ映画館で観たらなんとも大衆感が出ていて、私は気に入った。

 オリジナルの【Aitraaz】は、何度も観たいという作品ではないが、私はけっこう評価している。バランス感覚というか、都市部の教養層にも庶民層にも双方向でアピールしているところが良い。
 【Aitraaz】で特徴的なのは、セクハラ・パワハラ(この場合は女から男への)の問題を扱っていることだが、これは都市部の教養層を納得させるもの。しかし、映画全体としてはけっこうこてこてのコメディーや下ネタなどがあり、ソニアのレイプ未遂シーンにしても、どちらかというとポルノ映画っぽく、これらは大衆を大いに湧かせる部分だ。
 しかも、メッセージとしては、セクハラ・パワハラの問題性を訴えるというよりも、「夫は妻を裏切らず、妻は夫を支えるべし」という夫婦のあり方を伝えることのほうを重視しているように思われたのだが、これはインドの幅広い層に好まれる価値観だろう。とすると、【Aitraaz】は公開当時のセンセーショナルなイメージとは裏腹に、思ったよりインド映画の伝統に則った作品であるとも解釈できる。本作【Shrimathi】は、この伝統的な夫婦観を描くことのほうにもっと力点を移しているように見えたが、それは成功していたと思う。

◆ 演技者たち
 一応、ウペンドラ主演の映画ということになっているのだが、ウッピに対する評価は低い。というより、これはウッピのやるような役柄ではない、という論調が支配的なのだが、それはまったく正しいとも言えるし、間違っているとも言える。つまり、本作でウペンドラが見せている間の抜けた髭なし面というのは、言ってみれば刀を持たない侍のようなものであり、妻のプリヤンカを立てるために自身は脇に回るという彼の意思表示なのだが、カンナダ映画ファンならこの程度のことには気付かなければならない。

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 上にも書いたとおり、プリヤンカは好演している。さすがに若い頃の茫漠とした可愛らしさは失せたが、結婚して7年以上が経ち、30歳を越えても、体の線があまり崩れていないところが良い。しかも、一応ダンスシーンも用意されており、「2児の母、頑張る!」といった感じだった。(写真トップ)

 セリナ・ジェートリーについては上に書いたとおり。(写真下)

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 テルグ語ダビング版制作を念頭に置いてか、主にトリウッドで活躍している俳優が何人か出ていた。しかし、本作がダビングされる可能性はまずないだろう。

◆ 結語
 ウペンドラ主演のウペンドラのための映画と見れば、ファンにはがっかりの作品となるが、見方を変えれば(つまり、プリヤンカを中心に見れば)、それなりに楽しめる。私的には、馴染みのお二方の【H2O】(03)以来の共演とあって、特別な思いで鑑賞できた。

・満足度 : 2.5 / 5
 

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【Mummy】 (Kannada)
 インド映画界における「Priyanka」と言えばChopraさんが圧倒的に有名だが、私にとってPriyankaとは「Priyanka Upendra」、すなわちウペンドラの奥方のことになる。テルグ映画の【Raa】(01)を観てめちゃめちゃ好きになり、以来、【Kotigobba】(01)、【H2O】(02)、【Malla】(04)と順々に観て、愛を確かめた。ウペンドラと結婚して、二児の出産と、銀幕活動のほうは疎遠になってしまったのは残念だったが、【Pancharangi】(10)でカンナダ... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2016/12/14 20:11

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