カーヴェリ川長治の南インド映画日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 【Oosaravelli】 (Telugu)

<<   作成日時 : 2011/10/15 04:14   >>

ナイス ブログ気持玉 2 / トラックバック 5 / コメント 4

画像

 ダサラ祭に合わせてきたテルグ映画の話題作は【Dookudu】だけだと思っていたら、NTRジュニアの【Oosaravelli】も登場し、びっくりした。これはディーパーワリの公開だと勝手に思い込んでいた。
 何はともあれ、監督がスレンダル・レッディで、ヒロインがタマンナーの話題作。スレンダル・レッディは前作の【Kick】(09)が面白かったので、非常に楽しみだった。
 「Oosaravelli」は「カメレオン」という意味らしい。

【Oosaravelli】 (2011 : Telugu)
脚本・監督 : Surender Reddy
出演 : NTR Jr, Tamannaah, Payal Ghosh, Prakash Raj, Shaam, Rahman, Vidyut Jamwal, Jayaprakash Reddy, Raghu Babu, Sayaji Shinde, Tanikella Bharani, Adhvik Mahajan, Ajay, Murali Sharma, M.S. Narayana, Ahuti Prasad, Raghu Karumanchi, Duvvasi Mohan, GV
音楽 : Devi Sri Prasad
撮影 : Rasool Ellore
編集 : Goutham Raju
制作 : BVSN Prasad

《あらすじ》
 ムンバイに暮らすトニー(NTR Jr)は金で動くケチなヤクザだった。ある時、仕事でカシミールに行った際に、彼はテロリストに誘拐され、某所に監禁される。そこにはニハー(ニハーリカー:Tamannaah)という女性も捕われていた。二人はなんとかその場を脱出するが、その時までにトニーはすっかり二ハーに惚れていた。
 ニハーはハイダラーバードに暮らすファッションデザイナーで、女友達チトラ(Payal Ghosh)の部屋に厄介になっていた。仕事でハイダラーバードまで出たトニーはニハーに再会し、さっそく求愛活動を始める。だが、ニハーはすでに内務大臣(Tanikella Bharani)の息子ラーケーシュ(Adhvik Mahajan)と将来を約束した仲だった。しかし、トニーはそんなことお構いなしに彼女にアタックする。そして、いくつかの局面を経て、ニハーもとうとうトニーを愛するようになる。
 だが、トニーには果たさねばならぬ「使命」があった。彼は凶悪マフィアのドン、アッジュ・バーイ(Prakash Raj)の命を狙っていたのである。アッジュ・バーイは内務大臣及びラーケーシュ親子とも密輸で共謀していた。トニーはまずハイダラーバードのローカル・マフィア、サルカル(Jayaprakash Reddy)と懇意になり、そこからアッジュ・バーイの弟イルファーン・バーイ(Vidyut Jamwal)に接近する。そして、イルファーン・バーイ、内務大臣、ラーケーシュらをさっさと殺害してしまう。
 この出来事はアッジュ・バーイを激怒させる。また、ムンバイ警察の警視副総監(Rahman)をも驚愕させる、、、。

   *    *    *    *

 スレンダル・レッディ監督の【Athidhi】(07)を観たとき、この監督は相当イカれた野郎だと感じたが、この【Oosaravelli】を観て、その感を強くした。
 何というナンセンス、何というご都合主義!
 実は、腰を抜かすほど面白かったのだが、もしかしたら、あまりにアホくさくて腰が砕けてしまっただけなのかもしれない。
 近年のテルグ・アクション映画というのは、タミル映画が「リアルさ」のほうへ振れているのとは対照的に、どんどんと虚構的世界を膨らませつつあるように見える。それが【Shakti】(11)まで行くと観客も「幼稚」と感じるのだろうが、本作はなんとか許容の範囲内で、むしろスレンダル・レッディの大胆な発想に私は感服した。

 ダサラ対決では、【Dookudu】より本作のほうが面白いと思った。どちらも後半でもたつくが、本作のほうがまだ緊張感を保っている。アクション・シーンはバイオレンス過多で、「子供が見るもんじゃねぇぜ」という監督の開き直りが感じられる。あまり好きな態度ではないが、しかし、あれだけ爽快に眉間に銃をぶち込まれては、黙って拍手するしかないのである。
 スレンダル・レッディ監督の【Athidhi】は、マヘーシュとアムリタ・ラーオが良かった以外、どんよりとした鬱陶しい作品だった。本作は、【Athidhi】よりは格段に良いが、コメディーで押した【Kick】に比べると、鑑賞後の充実感は乏しい。

 公開に先立って製作サイドから、本作は「ヒーロー・ヒロイン」ではなく「ストーリー」に重点を置いたものだとのコメントが出されていたが、かといってそれは本作のストーリーに有意味な内容やメッセージが込められているということではなさそうだ。おそらくそれは「回想シーンを多用した凝ったストーリー展開を楽しんでくれ」といった意味だったと思われる。
 トニー(NTR Jr)の不可解な言動の背景には何があるのか、それが後半で大規模に明かされる。その回想シーンはニハー(Tamannaah)を中心に展開され、これも「ロジックなんて何のその」といった運びなのだが、私的には面白いと思った。
 それにしても、ひと昔前までインド映画には複雑な回想形式はなかったように思うのだが、近ごろはタミルでもテルグでもこれでもかというぐらい回想シーンを入れたがり、まさに「フラッシュ・バック狂時代」とでも呼べる現象が起きている。それが絶対にいけないとは言わないが、徒にひねくり回しすぎているようにも思う。

◆ 演技者たち
 本作のNTRジュニアは、レビューなどでは、従来のNTRジュニアのイメージとは違っていて、ファンは満足しないかもしれない、といった評が目立つ。私もジュニアの映画を見潰したわけではないので、「はて、ジュニアのイメージとは?」と戸惑うのだが、どうも「ワイルドさ」や「パンチ力」に欠けるということらしい。そういえば、いつになく衣装も洒落た感じだし(といっても、マヘーシュやアッル・アルジュンなどに比べると野暮ったいのだが)、役名の「トニー」からして変わっている。しかし、私的にはそれほど違和感を感じなかったし、やや体重も戻し、【Kantri】(08)の大異変を思えばずっと印象は良い。
 (写真下:鑑賞中、ジュニアの左首に何が書かれているか気になっていたのだが、「Tony」だった。)

画像

 ヒロイン、ニハーリカーを演じたタマンナーは本作の見どころ。男くさい作品にあって「前半で消えてしまう」ヒロインではなく、最後まで大活躍。もう、泣くやら笑うやら、銃を構えるやら銃に撃たれるやら、救急車さえ運転するやらで、あまりの熱演に涙が出た。場面場面でヘアスタイルが変わっているのにも注目。
 (写真下:一瞬、寝癖かと思った、よれよれヘアーのタマちゃん。)

画像

 ニハーの友達チトラ役は【Prayanam】(09)でヒロインを務めたパヤル・ゴーシュさん。これまた意外に重要な役回りだった。

 悪役陣では、アッジュ・バーイ役のプラカーシュ・ラージは月並。
 むしろフレッシュだったのは、弟イルファーン・バーイ役のヴィデュット・ジャームワールという人。詳細は知らないが、おそらく北インド出身のモデルかなんかだろう。現在公開中のヒンディー映画【Force】でもヒーローのアンタゴニストとして出演してる。シャープな風貌に筋肉隆々のボディーと、今後テルグにもちょくちょく顔を出しそうな気配だ。(下)

画像

 前半でのニハーの恋人ラーケーシュ役はアドヴィク・マハージャンという人。冴えない俳優に見えたが、ラーム・ゴーパール・ヴァルマ監督の【Contract】(08)という作品で主役を務めたこともあるらしい。

 シャームとラフマーンは無駄遣いっぽい。
 ジャヤプラカーシュ・レッディとラグバーブのコメディー的役回りはOK。

◆ 音楽・撮影・その他
 音楽はDSPの担当。良かったのかなぁ?
 オープニングからNTRジュニアががんがん踊ってくれることを期待したが、1曲目はタマンナーとのロマンティックな曲で、気取った感じのジュニアに笑ってしまった。しかし、中盤にはジュニアらしいダンス・ナンバーもあり、まずは納得した。ただし、全般的に彼が弾けたという印象はない。

 アクション・シーンの作り方はスリークで、アイデアも面白かった。

◆ 結語
 【Oosaravelli】はスレンダル・レッディ監督作品らしく、ヒネリのある荒唐無稽なアクション映画。私は面白いと思ったが、評価は分かれそうな作品だ。ちょっと違うNTRジュニアと熱演のタマンナーに注目したい。

・満足度 : 3.5 / 5
 

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
ナイス ナイス

トラックバック(5件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
【Force】 (Hindi)
 今年のディーパーワリの話題作として、タミル映画ではスーリヤ主演の【7aum Arivu】、ヴィジャイ主演の【Velayudham】、ヒンディー映画ではシャールク・カーン主演の【Ra.One】が公開され、どれも快調に客を集めているようだ。  そんな時期に、私は【Force】のようなもう1ヶ月も前に公開され、しかも興行的にイマイチだったらしいヒンディー映画を観たわけだが、これすなわち上記3作のチケットが取れなかったせいである。  しかし、【Force】は観ておきたい理由があった。本作... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2011/10/29 22:34
【Cameraman Gangatho Rambabu】 (Telugu)
 プーリ・ジャガンナート監督、パワン・カリヤーン主演のテルグ映画。  パワン・カリヤーンはそもそも好きなテルグ俳優だったが、【Teen Maar】(11)でのパフォーマンスが鼻に付いて鼻に付いて(というより、キモくさえ感じた)、どうもアレルギーができてしまったようで、以来パワンの映画は敬遠していた。  片やプーリ・ジャガンナートのほうは、「【Pokiri】を撮った名監督」、「トリウッド屈指の硬派アクション映画の作り手」という刷り込みがあり、敬意と共に観ていたが、ふと我に返ると、彼の... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2012/10/28 21:09
【Baadshah】 (Telugu)
 さて、【Swamy Ra Ra】も観たことだし、お待ちかね、【Baadshah】の登場!  シュリーヌ・ヴァイトラ監督とNTRジュニアのタッグということだけで観る動機は十分。ヒロインがカージャルだとか、嘘か真かテルグ映画史上最高の製作費だとか、カメラマンが4人もいるとか、そんなことは言わなくてもいいだろう。  ちなみに、本作も来たる21日(日)に、埼玉県川口市で1回こっきりの上映会が行われるらしい。物理的に参加可能なお方は速やかなチケット予約を。さもなくば、飛行機に乗ってハイダラ... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2013/04/17 10:06
【Race Gurram】 (Telugu)
 テルグのスレンダル・レッディ監督については、一風変わったアクション映画の作り手という認識を持っているが、とにかくセンスにずれたところがあるので、【Athidhi】(07)で初めて観たときは苦労した。しかし、【Kick】(09)、【Oosaravelli】(11)と観ていくうちに、アクションやコメディーなどの見せ方に鋭いものを感じ、「もしや、天才?」と思うようにもなった。  そんなスレンダル・レッディ監督の新作がこの【Race Gurram】。【Oosaravelli】(日本でも上映... ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2014/04/17 22:41
【Kick 2】 (Telugu)
 【Uppi 2】の次は【Kick 2】と、たまたまパート2が並んだ。6年前に公開されたパート1の【Kick】は、バカバカしさの際立つ作品だったが、とにかく面白いので、スレンダル・レッディ監督の作品では一番好きだったりする。なので、このパート2も楽しみだった。  題名の「キック」は、周知のとおり、「蹴り」のことではなく、酒やドラッグを摂取したときに頭にカチンと来る刺激、興奮、酔いのこと。 ...続きを見る
カーヴェリ川長治の南インド映画日記
2015/08/26 20:48

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ダサラの話題作としては、私のテルグ人インフォーマントの間でも、Dookuduを高く評価する意見と本作のほうが優れてるとする意見が拮抗しているのですが、同じ3.5評価の川縁さんとしてはどうですか?

ヒロインに関してだけいえば、明らかにお珠ちゃんに軍配が上がったといえそうですが、これはキャリアの差というべきなんでしょうかね。
メタ坊
2011/10/15 06:30
はい、意見が拮抗していますね。それぞれのファンがライバル側の作品を「くさし合いっこ」していたりして、面白いです。
私としては、どちらかと問われれば、Oosaravelliのほうに軍配を上げます。
その理由の1つに、やっぱりヒロインの差があります。「キャリア」の差もあると思いますが、ストーリー内での「役回り」の差でしょう。スレンダル・レッディはタマちゃんに面白いことをさせようと狙っていたと思います。
 
カーヴェリ
2011/10/15 23:44
初めまして、エルザと申します。
普段はヒンディー語映画をメインに見ているのですが、タマンナーちゃんに一目ぼれし、
「タマンナーちゃんの出演映画が見たい!」と思い、DVD選びにブログ参考にさせていただきました。南インドの映画はラジニカーントのしか見たことないので、とても助かりました!
Cameraman Gangatho Rambabuのダンスシーン写真を見てタマンナーが気になったのですが、途中でフェードアウトしてしまうということでこちらのDVDを買ってみました。
少し慣れないストーリー展開や、なかなか謎が明かされないモヤモヤ感から「これ選んだの失敗したかな…」とも思ったんですが、後半トニーの行動の謎が明かされてからはグッと楽しく見ることができ、なかなか面白い作品だったなというのが全体の感想になりました。
ショートヘアのタマンナーちゃんもかわいくて良かったです!堪能できましたw見て良かったです。

Kanden Kadhalaiも一緒に買ったので近々見る予定です。
エルザ
2013/08/09 17:05
エルザさん、コメントありがとうございます。

>タマンナーちゃんに一目ぼれし、

タマちゃん、老若男女問わず、見て「かわい〜」と思えるキャラですよね。

>少し慣れないストーリー展開や、なかなか謎が明かされないモヤモヤ感から「これ選んだの失敗したかな…」とも思ったんですが、

そりゃあ、普段ヒンディー映画を見ている方がこれを見たら、ア然としますよね。
この映画のタマちゃんはいろいろな側面を見せていて、とても良いです。
ご存知かと思いますが、この映画、日本(埼玉)で上映されたんですよね。またそんな機会があるかもしれないので、日本でタマンナーが見られることを期待してください。

タマンナーの他の作品で私が好きなのは、タミル映画の「Kalloori」とテルグ映画の「Konchem Ishtam Konchem Kashtam」です。(実は、ぜんぶ好きと言いたいんですが。)
 
カーヴェリ
2013/08/09 22:52

コメントする help

ニックネーム
本 文
【Oosaravelli】 (Telugu) カーヴェリ川長治の南インド映画日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる